国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要
Online ISSN : 2433-5657
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12 巻
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 秋田港の訪日クルーズ客の調査
    村山 めい子, 相沢 陽子, 根岸 洋
    2021 年 12 巻 p. 1-34
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/09
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    前稿(村山 2020)に引き続き、秋田県におけるクルーズ観光の持続的な発展に向け、本稿では訪日クルーズ客及び秋田市内の観光関連事業者からの調査結果を記す。2019年夏に秋田港を訪れた外国籍クルーズ船の乗客・乗員に満足度、県内消費額、秋田県内での行動等のアンケート調査を行い、さらにクルーズシーズンの終了した同年冬に、秋田市内の主たる観光事業者からクルーズ客の消費行動等についての聞き取り調査を実施した。訪日クルーズ客の秋田での満足度は非常に高いが、多くの課題やチャンスも明らかになった。インターネット上の英語の観光情報の拡充、秋田市内の標識、飲食店のメニュー、文化施設や商品説明の英語表記、喫茶店等の休憩施設、Wi-Fiのアクセス拡充などが求められている。その一方で、訪日クルーズ客がもたらす経済効果は比較的低く、クルーズ船の係留時間の延長、外国人向けの新商品、秋田の伝統工芸などの「体験」商品の開発など、受入れ側のリスクを抑えながらも、訪日クルーズ客の経済活動を促進する方策が望まれる。
  • 眼鏡絵と風景図
    阿部 邦子
    2021 年 12 巻 p. 35-52
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/09
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    秋田蘭画は 18 世紀の洋風画で武人画であり、その厳格な作風は、当時流行した西洋の透視遠近法を取り入れ、更にレンズで覗き見る眼鏡絵とは一線を画していると見られがちだが、風景図の主題や構成に関しては、近似点がみられる。特に主題は、浮世絵版画で盛んにとりあげられた江戸や江戸近郊の景勝地に取材しており、文学的発想とも不可分である。この論稿では近年千秋美術館収蔵となった秋田蘭画の眼鏡絵作品を通して、江戸洋風画の原点となっている秋田蘭画に於ける風景図と、眼鏡絵との関係についての調査研究結果を述べる。
  • 名越 健郎
    2021 年 12 巻 p. 53-62
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/09
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    国際教養大学(AIU)を創設した中嶋嶺雄初代学長兼理事長(1936 - 2013)は、中国問題の権威として論壇で活躍し、晩年はAIUでのグローバル教育の成功で大学革命を起こした立役者として知られる。しかし、中嶋が長年の膨大な著作や評論活動で、日本外交を舌鋒鋭く批判していたことは、若い世代にはあまり知られていない。中嶋は中国に下手に出て浮薄な友好を煽る日本外交を「位負け外交」と称し、いずれ中国を高飛車にさせ、日中関係を悪化させると警告した。ロシアに対してはゴルバチョフ時代から北方領土問題解決の好機が到来したとして、日本も譲歩しながら早期に決着させるよう主張したが、日本外務省は千載一遇のチャンスを生かせなかった。今日、経済成長を遂げた中国は、日本への圧力を強め、尖閣諸島を力で奪いかねない展開となってきた。北方領土問題ではプーチン政権が強硬外交を貫き、安倍晋三首相が力を注いだ平和条約交渉もあえなく吹き飛んだ。本稿では、中嶋の外務省批判を紹介しながら、日本の対中、対露外交失敗の経緯を探った。
  • 根岸 洋, 熊谷 星, 北畑 有紀乃
    2021 年 12 巻 p. 63-72
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/09
    ジャーナル オープンアクセス
    2005 年に設立された国際教養大学竿燈会は、交換留学生も含むメンバーで秋田竿燈まつりに継続的に参加してきた学生団体である。ミネソタ州立大学秋田校の時代にも外国人の参加があったことから、竿燈は過去 20 年以上に渡って外国人を参加者として受け入れてきた伝統行事と言える。本論文は国際教養大学竿燈会に焦点をあて、外国からの交換留学生がどのような形で参加してきたかを明らかにすることを目的とする。まず秋田青年会議所と上亀之丁竿燈会からの聞き取り調査を通じて、同会と外部との関わりについて論じる。次に同会に在籍した学生(正規生)を分析対象としたアンケート調査と交換留学生の聞き取り調査を通じて、交換留学生の行事への参加形態や外部との交流の実態について検討する。最後に調査結果を踏まえて、今後の外国人参加のあり方について展望を述べる。
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