理学療法症例報告データライブラリ
Online ISSN : 1347-8745
ISSN-L : 1347-8745
1 巻, 2 号
April
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
神経系理学療法領域
  • -麻痺側上肢挙上保持評価に着目して-
    大沼 俊博, 渡邊 裕文, 蔦谷 星子, 三好 裕子, 山口 剛司, 鈴木 俊明
    原稿種別: 脳血管障害
    2003 年 1 巻 2 号 p. 112-117
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/04/14
    ジャーナル フリー
    脳卒中片麻痺症例の麻痺側上肢に対する理学療法を経験した。今回,麻痺側上肢挙上保持に着目し,評価,治療を実施した。治療において皮質網様帯脊髄路の支配をうける下部体幹筋群,臀筋群の活性と,それに伴う立ち直り運動の持続を促したことにより,麻痺側上肢挙上保持能力の向上がみられた。今回の経験から片麻痺症例における麻痺側上肢の機能向上を図る場合,前提として身体中枢部,四肢近位部に対する姿勢調整の必要性が示唆された。
  • ―表面筋電図による治療効果判定を行った一症例について―
    高崎 恭輔, 嘉戸 直樹
    原稿種別: 脳血管障害
    2003 年 1 巻 2 号 p. 118-123
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/04/14
    ジャーナル フリー
    今回我々は脳血管障害片麻痺患者の治療を経験した。その症例の主要な問題点としては歩行障害があり,歩容としては麻痺側遊脚相に体幹が麻痺側前方に傾斜し,麻痺側の足尖離地が不十分であった。初期評価時,体幹の麻痺側前方への傾斜には麻痺側腹筋群の筋緊張低下が関与していると考えた。また下肢においては不安定性に対して代償的に生じた非麻痺側ハムストリングスの過緊張もみられた。本症例に対し、腹筋群の筋緊張低下に対しての治療を行ったが治療効果はプラトーに達した。そこで我々は再評価を行い新たに麻痺側大胸筋の短縮に着目した。この麻痺側大胸筋の短縮は,長期間に渡り腹筋群の筋緊張低下により生じる不安定性を代償していたために生じたものであり,この大胸筋の短縮が肩甲帯および体幹の可動性を低下させ,さらに腹筋群の筋緊張を低下させるという悪循環を生じていると考えた。そこで治療としては新たに麻痺側大胸筋の短縮に対するストレッチングを行い,その治療効果の判定を表面筋電図を用いて行った。その結果,一回の麻痺側大胸筋のストレッチングにより低下していた腹筋群の筋緊張は治療前に比べ増大し,過緊張を起こしていた非麻痺側ハムストリングスでは筋緊張の低下がみられた。また,腹筋群の治療と麻痺側大胸筋の短縮に対するストレッチングを併用することで歩行の不安定性も減少した。本症例を経験する中で,脳血管障害により一次的に生じる腹筋群の筋緊張低下に対する治療を行うのみでなく,長期の経過により生じる二次的な麻痺側大胸筋の筋短縮への治療も重要であることが考えられた。
  • 福羅 憲子, 木下 友子, 横山 咲子, 小蔵 早苗
    原稿種別: その他
    2003 年 1 巻 2 号 p. 124-130
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/04/14
    ジャーナル フリー
    包虫の脳・脊髄への寄生により,歩行困難となった症例に対し運動療法を行った。本症例の主訴は歩行時の側方への動揺であったが,感覚検査や筋力テストから問題点を明らかにすることは困難であった。しかし,坐位,立ち上がり,歩行の動作観察・分析をおこない動的場面の筋活動を把握することで,体幹筋の活動性の不均衡や,大腿四頭筋の活動性低下が認められた。動作観察・分析で得られた問題点に対し運動療法を行ったところ,歩行能力の改善を図ることができた。動作観察・分析は,今回の理学療法評価の中でも重要な項目であったと考えられた。
小児理学療法領域
骨関節系理学療法領域
  • 大沼 俊博, 渡邊 裕文, 蔦谷 星子, 三好 裕子, 鈴木 俊明
    原稿種別: 骨折
    2003 年 1 巻 2 号 p. 137-143
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/04/14
    ジャーナル フリー
    上腕骨顆上骨折後の長期固定により肘関節屈曲拘縮をきたした症例の運動療法を経験した。関節可動域練習による肘関節の関節可動域の改善後,肘関節屈曲,伸展運動における変換運動時のタイミング遅延がみられたこと,また日常生活動作時に患側上肢の協調的な活動が行えないという患者の主訴から関節可動域練習と共に肘関節の変換運動練習を実施した。そしてこの運動療法効果を上腕二頭筋,上腕三頭筋の動作筋電図により検討した。結果,関節可動域の改善と共に肘関節変換運動時の各筋における筋電図波形の出現遅延がみられなくなり,健側の筋電図波形と類似するようになった。さらに日常生活動作時の患側上肢の協調的な活動が可能となり,日常生活動作の質の改善が得られた。本結果より,運動療法における筋電図評価と運動療法効果検討の重要性が示唆された。
  • 安藤 正志, 渡辺 規子
    原稿種別: 下肢傷害
    2003 年 1 巻 2 号 p. 144-149
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/04/14
    ジャーナル フリー
    本症例は45歳女性で左変形性股関節症(末期変形性股関節)である。これに対し人工股関節置換術(セメントレス,スルザー製Natural Hip)が施行された。術後1週間目から理学療法が開始となり,訓練開始から3週間が経過したところ(術後1ヶ月)で退院に至った症例である。術後10日目から平行棒歩行開始(部分荷重を支持しないで患者の荷重痛を目安としている)。退院時にはT字杖で300 m以上を歩行可能となった。しかし退院時の術側股関節周囲筋力は不十分であった。
  • 安藤 正志
    原稿種別: 下肢傷害
    2003 年 1 巻 2 号 p. 150-154
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/04/14
    ジャーナル フリー
    本症例は腰痛症と診断された23歳の男性で大学生であった。2002年6月3日理学療法開始となった。この症例に対し,マッケンジーの提唱する評価システムと系統的治療過程(クリニカルパス)を施行し良好な治療結果を得たので報告する。マッケンジーの評価システムによる理学療法診断結果はDerangement症候群タイプ1であった。Derangement 1に対するクリニカルパスを確実に実施できた。症例は4回の治療で症状が消失し発症前の活動が可能となった。
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