理学療法症例報告データライブラリ
Online ISSN : 1347-8745
ISSN-L : 1347-8745
2 巻, 1 号
January
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
神経系理学療法領域
  • 山口 剛司, 渡邊 裕文, 蔦谷 星子, 大沼 俊博, 三好 裕子, 赤松 圭介, 藤本 将志, 若林 志保子, 鈴木 俊明
    原稿種別: 脳血管障害
    2004 年 2 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/01/24
    ジャーナル フリー
    脳血管障害片麻痺患者における側方重心移動を用いた治療の考察を行った。本症例は,麻痺側腰背筋群の筋緊張が亢進しており,麻痺側への重心移動が困難であった。立ち上がりや歩行動作獲得の準備段階として,座位姿勢を改善する必要性があると考えられる。今回は,本症例に対して二種類の治療を実施した。側方重心移動を体幹のみの運動を誘導した場合と,体幹・骨盤・下肢の連動した運動を誘導した場合で行い,それぞれの治療効果を筋積分値と姿勢動作観察を用いて比較した。結果としては,体幹・骨盤・下肢の運動を誘導した方が体幹筋群の筋活動パターンが健常者に近づき,姿勢動作の改善が見られた。側方重心移動を用いた治療では,体幹・骨盤・下肢の連動した運動を誘導することが重要であることが示唆された。
  • 伊藤 正憲, 稲森 望美, 岩永 優子, 古家 葉子, 宇佐美 裕子, 北沢 めぐみ, 西守 隆
    原稿種別: 神経筋障害
    2004 年 2 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/01/24
    ジャーナル フリー
    支持基底面への触圧覚刺激入力により,立ち上がり動作能力の改善を認めた症候性パーキンソニズム患者を経験した。本症例は,立ち上がり動作第1相の体幹前傾が乏しく,殿部離床が困難であった。運動療法において,股関節の可動域訓練と支持基底面への触圧覚刺激入力を施行した。これらの運動療法の効果を,座位での体幹前傾における大腿後面圧計測により比較した。支持基底面への触圧覚刺激入力により,座位での体幹前傾動作に伴う支持基底面内の知覚・圧変化を感じ取ることができるようになり,立ち上がり動作能力の改善,大腿後面圧の上昇を認めた。本症例においては,身体運動時に支持基底面を知覚し,機能的支持基底面としての役割を果たすことが重要であった。
  • 白井 誠
    原稿種別: その他の中枢神経系障害
    2004 年 2 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/01/24
    ジャーナル フリー
    前頭葉の脳膿瘍による右片麻痺患者の運動療法を経験した。除去術後も右上肢を中心とした麻痺が残存し,術後4ヶ月目から入院理学療法に関わった。一次運動野を中心とした障害ととらえられ,随意運動の改善が課題となった。運動療法は身体のアライメントを修正,固有受容感覚のフィードバックから自律的姿勢適応を促し,随意運動を促通した。20回の運動療法後,随意運動が改善し廃用上肢手から補助上肢レベルに向上した。今回の運動療法は,固有受容感覚フィードバックからの姿勢・運動コントロールととらえられ,随意運動改善に有益であった。
  • 米田 浩久, 鈴木 俊明
    原稿種別: その他の中枢神経系障害
    2004 年 2 巻 1 号 p. 20-27
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/01/24
    ジャーナル フリー
    今回,両立脚相において上部体幹の過度の同側への側方傾斜と対側回旋を認めた体幹ジストニア患者を経験した。この両立脚相での上部体幹の異常動作の原因として,一次的障害として両腹斜筋群の筋緊張低下を,二次的障害として遊脚側腰背筋群の筋緊張亢進を考えた。これらの問題点に対して1回の運動療法を実施し,治療前後での結果を表面筋電図により検討した。その結果,一次的障害である両腹斜筋群の筋緊張改善を目的にした運動療法のみではなく,二次的障害に対するアプローチも歩行動作改善に重要であることが確認された。以上のことから,詳細な動作分析に基づく二次的障害の特定と一次的障害との連関の把握が,体幹ジストニア患者に対して重要であることが示唆された。
  • 井上 博紀, 谷 万喜子, 高田 あや, 飯塚 朋子, 鈴木 俊明, 若山 育郎, 吉田 宗平
    原稿種別: その他の中枢神経系障害
    2004 年 2 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/01/24
    ジャーナル フリー
    局所性ジストニアの一つである書痙患者2症例に対して,書字評価テストと自覚的評価によって症状の評価をおこない,週に1回の間隔で鍼治療をおこなった。症例1は,67歳,男性,右利き,元中学校教師。平成8年頃から書字に違和感を認めるようになった。症例2は,67歳,女性,右利き,元書道家。平成9年頃から書字困難を認めるようになった。初診時の両症例は,書字評価テストにおいて書字および描画ともに困難を認めていた。そのため,罹患側上肢の筋活動のバランスの改善を目的に上肢区,罹患側上肢の腕神経叢に対してのアプローチを目的に足陽明胃経の気舎穴,書字中の不随意運動の軽減を目的に足少陽胆経の風池穴へ鍼治療をおこなった。その結果,症例1は鍼治療3回目に,症例2は鍼治療5回目に書字動作が円滑になり,症状の改善が認められた。このことから,書痙患者に対して鍼治療が有効であることが示唆された。
骨関節系理学療法領域
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