日本酒の海外市場を意識した醸造所が増えつつある中、中国市場をターゲットとした日本酒ブランドも多く見受けられるようになった。商品を消費者に手に取ってもらう手段としてラベルはブランドの情報を伝える重要な手段であり、商品が売れるかどうかに影響する要因の一つである。本稿の目的は、中国消費者の日本酒ラベルへの選好を明らかにし、選好と購買意欲の相関を探究することにある。
本稿の構成は、エスディー法(SD法)に基づいて、まず中国消費者の日本酒パッケージのイメージを評価する形容詞を明確にし、次に、被験者にそれらの形容詞を用いて新潟の日本酒のラベル十種を評価してもらった。さらに、各パッケージと各形容詞の得点を用いて因子分析と重回帰分析などの定量分析を行い、中国消費者の日本酒ラベルへの選好と購買意欲の相関を調査した。論考の纏めとしては、選好される日本酒のサンプルの視覚要素を分析して、六つの新しい日本酒ラベルを筆者がデザインし、中国消費者の評価を基に検証した。その結果として、筆者が定めた「穏やか因子」や「気楽因子」、「本物感」は中国消費者の購買意欲に対して正の影響を与え、「穏やか因子」は「本物感」に対しても正の影響を与えるが、「気楽因子」は「本物感」に対して影響がないと結論された。二つの因子を十分に把握することで、中国消費者に選好されるラベルデザインを明らかにした内容である。
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