技術革新において幸福度の向上を考えることが,実は倫理に適っていることに気付かされた。これは,電気学会倫理委員会委員長を拝命し2年を経たところでの一つの体験である。
倫理,特に技術や研究に関する倫理は,近年,その考
1.はじめに
我々は,技術の進化とともにさまざまな利便性を獲得してきた。身近なところでは,スマートフォンなどの携帯端末で必要な情報が必要な時に取得でき,あたかもあらゆる情報が手の内にあるかのような錯覚さえ覚える。家庭内でも,スマートスピーカの登場によってさまざまな電子機器
1.はじめに
サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させる社会(Society 5.0)では,あらゆる「もの」がサイバー空間に接続(IoT)され,そこからさまざまな情報が生成される。この情報は「もの」側に近いエッジコンピュータやそれらを集約するクラウドコンピュータへインターネットを
1.はじめに
Society5.0の基盤技術はAI,ビッグデータ解析技術,サイバーセキュリティ技術であり,特にビッグデータ解析技術の発展のためには,増え続けるデジタルデータを時間的にも容量的にも安定して保持するストレージ技術の発展が不可欠である。ビッグデータのほとんどはハードディス
1.はじめに
磁気センサとは,本質的には磁界の強さを電気量(電圧・抵抗値など)に変換するセンサである。
しかしIoTにおいては磁界の強さを測定することそのものが目的ではなく,検知対象の発している磁界の大小が,その位置や電流などの磁界ではない物理量の変化と相
1.はじめに
IoT(全てのモノがインターネットにつながる)の大きな課題の一つとして無線通信モジュールの電源がある。近年,さまざまなLPWA(Low Power Wide Area)やBLE(Bluetooth Low Energy)などさまざまな低電力通信モジュールが開発されているが,その電源はボタン電池か乾
1.はじめに
Society 5.0における電力消費をIoTセンサの観点で考えると,1個のセンサの消費電力を1 mWと仮定してもTrillion Sensors(1)では100万kWという原発約1基分の電力が必要となる。Trillion Sensorsをワイヤードで電源線と信号線を接続すると膨大な数の電線が必要になるので,
1.はじめに
日本農業は,農家戸数の減少と就業者の高齢化により労働力不足が深刻である。農産物の輸入自由化が進む中で日本農業が持続性を確保するためには,農産物の格段の品質向上と生産コスト削減が必須で,ICTやロボットへの期待が高まっている(1)(2)。他方,農地集積による労働生産性
1.はじめに
プレゼン用スクリーンではなく,我々の身の回りのさまざまな面へと映像を投射するプロジェクションマッピングは,特にエンタテインメント・広告分野での利用が急拡大し,実際に街中で目にする機会も増えてきた。毎年,入学直後の大学生(理系)に対し,技術キーワードの浸透度合
プラットホームや電車内で見かける光景が,6年くらい前と大きく違ってきた。そこには,片手にしたスマートフォン(スマホ)とにらめっこしている光景がある。電気を学習した筆者から見ると,片手にしたスマホは基地局アンテナと電波(電磁波)で交信していると考えてしまう。
1.はじめに
我々が普段何気なく生活するなかで意識することは少ないかもしれないが,自動車は現在の社会を成り立たせる上で必要不可欠なものとなっている。人々の移動手段や物流手段として自動車の存在なしには社会が成り立たない。それほどまでに重要かつ偉大な発明品である自動車である
1.はじめに
この規格の基となるJEC-207(架空送電用架線金具)は,送電用がいし装置に使用されているがいし及び架線金具についての仕様を統一し,設計と製造の合理化を図るため,1979年に制定された。
JEC-207-1979は,制定から40年近く経過し,規定内