このたび130年を越える歴史と伝統を有する電気学会誌への寄稿の機会を頂き,大変有り難くうれしく思っております。私は,昨年4月に開学した大阪公立大学(Osaka Metropolitan University)の初代学長を務めています。統合の母体となったのは,いずれも約140年の歴史を持つ
1.はじめに
日本では,2018年7月の第5次エネルギー基本計画において,初めて再生可能エネルギー(以下,再エネ)を主力電源化していく方向性が掲げられた。また,2020年10月には2050年カーボンニュートラル,脱炭素社会の実現を目指すことが政府により示された。さらに,2021年7
1.はじめに
本稿では2019〜2021年度にかけて(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下,NEDO)からの受託事業「再生可能エネルギーの大量導入に向けた次世代電力ネットワーク安定化技術開発/慣性力等の低下に対応するための基盤技術の開発」(以下,本事業)で実施した電力
1.はじめに
近年,脱炭素化のために太陽光発電や風力発電に代表される再生可能エネルギー(以下,再エネ)の導入量が急速に増加している。日本は,2020年10月に2050年カーボンニュートラルを宣言し,2030年度の新たな温室効果ガス排出削減目標として,2013年度比で46%削減すること
1.まえがき
カーボンニュートラル実現には,再生可能エネルギー(以下,再エネ)の更なる普及拡大が不可欠である。一方で,系統の安定した運転に必要な機能を提供していた火力発電等(同期機)が減少し,再エネ等の非同期のインバータ電源(IBRs)*が増加すると,電力系統の慣性が低下し
1.はじめに
カーボンニュートラル社会の実現に向けて再生可能エネルギー(以下,再エネ)が急速に普及し,蓄電池なども含め,パワーコンディショナ(Power Conditioning Subsystem,以下PCS)を介する電源の存在感が急激に大きくなってきている。これまでの従来型PCSは,同期制御を
1.はじめに
特集-5にて述べたように,慣性低下対策PCSに期待される効果は周波数安定性の向上にとどまらない。Grid-Forming(GFM)インバータは同期発電機の代替として慣性力を提供するだけでなく,出力電圧・電流を適切に制御することで,系統の定態・過渡安定度や電圧安定性の向
1.はじめに
人工知能(Artificial Intelligence:AI)は,データの中でよく起こるパターンを学習し捉えることを得意とし,顔認証システムや音声認識システムなど,我々の身近な生活の中で利用されている。AIの技術領域の一つである深層学習の発展により,多分野でAIの活躍の場が広がりつつ
1.はじめに
磁気共鳴画像診断装置(Magnetic Resonance Imaging:MRI)は,1982年に国内に初めて臨床機として据え付け(1)られて以降目覚ましく発展している。MRIの画像診断における位置付けは非常に高く,現在の診療において必要不可欠な画像診断装置である。MRIによる画像情報
創意工夫の成果を競うべく筑波サーキットに集結した各チームのマシンがスターティンググリッドに着き,レッドシグナルがブラックアウトすると,静かに滑るようにマシンが走り出します。いわゆる電気自動車(EV)の耐久レースです。2022年度CQEVミニカート筑波大会は,ウィズ
1.はじめに
近年,再生可能エネルギー電源(以下,再エネ電源)の主力電源化に向けて,再エネ電源の大規模な導入が進められている。一方,再エネ電源の導入拡大に伴い,全国各地において系統混雑の発生が懸念されている。系統混雑とは,送配電設備に流れる電力の大きさがその上限値(運用