一、 緒言
理想的避雷器の働作として擧げらるゝ諸條件の中、過剩電壓な除去する事及び發電機電流の流失を防ぐ事の二ヶ條は其の意味極めて不明瞭且つ非科學的なることな示し、實際眞に理想的に働く避雷器な放電器の原理によつて作り上げることは不可能であると述べてある。
二、 交流實効値を用いてする解法
所謂ヴオルトアムベア特性曲線がら放電時の働作な論じ、先づ角形避雷器の直列抵抗を考へて多隙避雷器の優秀なるべきを示し、次に多隙避雷器に就て空隙の數と直列抵抗との關係な定むる算式な與へ、次に抵抗分路を以て間隙の弧光な不安定ならしめ吹消作用を行はしむるに適當なる分路の抵抗な定めてある。
次にアルミニウム液槽避雷器の放電特性な考へ、畢竟以上の如きヴオルトアンペア實効値の關係を與ふる特性曲線を以てしては各周波中に於て顯著なる且つ一般に不連續的なる變化な呈す可き放電現象を論ずるの誤謬なるを示してある。
三、 瞬時現象を考ふる解法
ダイナミツク特性曲線な用いて放電現象な考ふべきものである、併し雷の異常電壓の形及び大さを知らずしてはダイナミツク特性曲線も定まらない、從つて正確なる結論は得難い道理で、特にダイナミツク特性曲線の未だ充分研究ぜられざるアルミニウム避雷器に就ては推論の甚だ困難なることを指摘してある。
四、 雷襲撃に對する作用
(1) 雷が短時間の高周波振動なる時
(2) 持續高周波振動なる時
(3) 極めて低周波又は靜電的充電なる時
以上三つの場合に就て假令避雷器が普通に稱へらるゝ條件を滿足する如く働作するとも、雷が激烈ならば常に有用なる交流が失はれて線路には却つて雷現象を殘す如く働き、同期機のステツプアウトな起し得る事を示してある。
五、 アルミニウム液槽避雷器に就ての考案
終りにアルニウム避雷器の容量を利用して動搖勢力の吸收な行はしめんが爲めに、普通に避雷器と直列に置かるゝ空隙に並列に他の直列抵抗を有する一空隙と更に蓄電器とを附加するの有効なる可きな説いてある。
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