變壓器に於ける漂遊負荷損
第一章 緒論。 内鐵型變壓器に於て漏洩磁束のため鐵函側板に漂遊負荷の發生することを述べ殊に輓近激甚なる發達をなせる電力傳送事業の要求に應ずべき高電壓大容量の變壓器に於ては此種漂遊負荷損の輕視すべからざるを論ぜり。
第二章 鐵板内の磁束の分布及びエナージー損。 變壓器鐡函に使用するが如き厚さを有する鐵板内に於ける交番磁束の分布及び總量の計算法を説述し計算に有用なる導磁率比曲線を求め之れを圖示せり。
次に交番磁束のため鐵板内に生ずる渦流損及びヒステレシス損の計算式並に渦流損係數曲線及びヒスデレシス損係數曲線を求めたり、而して一定の表皮磁束密度及び導磁率に對し鐵板の或る厚さ以上に於ては交番磁束は表皮に近き層に限られ深く内部に達せざるため渦流損及びヒスデレシス損共に一定の値となることを述べたり。
最後に前節に於て得たる渦流損及びヒステレシス損に就き詳説し各種の厚さの鐵板に對し表皮磁束密度の種々なる値に於ける鐵損を計算し磁束對鐵損曲線を以て之れを示し尚試驗鐵心に對し測定したる値と著者の得たる公式より計算せる數値とを比較し略一致することを示せり。
第三章 漂遊負荷損。變壓器に於ける漏洩磁束算定の公式を求め捲線外に於ける磁束分布の状態及び鐵函側板を通過する磁束の算定を説述し次に側板内の漂遊負荷損を求むべさ方法を説明し變壓器に就て實驗を行ひ此れを實證せり。
前記の方法により一般に起り得る廣汎の範圍に於て側板單位面積の漂遊負荷損を計算し以て高電壓大出力の内鐵型變壓器に適用し得べき公式を求めたり。
最後に薄鋼板を以て鐵函側板の内周に適當に裝置することにより漂遊負荷損を殆んど除去し得ることを述べ變壓器に就き實驗的に之れを證明せり。
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