二つの同波形同大の衝撃波間の最大電位差に依つて、火花の遲れを測定する方法を用ひ、電極表面の状態に依る影響、並に電極材料に依る影響を調べた。
實驗の結果に依ると、火花の遲れは電極表面に油等が附けば勿論變化はあるが、其他表面の荒さにも大なる關系をもつものである。
處で一度火花放電を行ふと、陰極の表面には窪みを生じ、陽極には陰極の電極材料の一少部分が附着する。斯樣に電極表面は、放電に依り、可成り荒らされるものなるが故に、火花の遲れも放電回數に依り異つて來るのである。
次に之の陰極表面の窪みは、先づ放電の初めに於ては、突起が出来るのであるが、それが放電の進むにつれ、順次陽極に向つて飛び去る爲めに出來るものであつて、之の變化の有樣は第四十圖、第四十一圖、第四十二圖及第二十八圖を見ればわかる。
又火花の遲れは電極材料にも關係するものであつた。而して大體に於てMelting Pointの低いもの程、火花の遲れは小である。
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