画像電子学会誌
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31 巻, 2 号
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論文
  • 呉 偉国, 高橋 辰宏, 小山 清人, 赤塚 孝雄
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年 31 巻 2 号 p. 166-174
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/24
    ジャーナル フリー
    顕微鏡観測画像から粒子の大きさ,形状,変形度などの特徴パラメータを定量的に計測し解析することは,種々の応用分野における画像解析の課題となっている.高分子材料の特性分析では,ABS高分子材料の非線形的溶融伸長特性の解析において,顕微鏡画像からのハードブタジエンとソフトブタジエンの粒子の大きさ分布や伸長率などを計測するのもこの一例である.ここでは,この高分子粒子解析のための一つの実用的な解析手法を構築し,その定量的解析を試みた.
     粒子領域の取り出しと認識には,画像の適応二値化やモルフォロジィフィルタ,及び領域のラベリングなどを適用した.その際,各粒子の連結領域を検出するために,4方向の構造要素の集合を用いたモルフォロジィフィルタを設計し適用して,良い結果を得た.また,変形粒子の伸長率を計測するために,粒子の楕円への変形モデルを用意し,実画像から求めた領域の面積と周囲長をその変形モデルに適用することで,各粒子の変形率の推定を実現した.これらの手法によって高分子材料の顕微鏡画像から粒子の大きさ分布や形状変形などの特徴パラメータを高速で確実に計測できることを示した. 画像解析方法の有用性と信頼性は実際の顕微鏡画像を用いた解析結果で確認した.
  • 児玉 明, 高橋 秀和, 金田 和文, 山下 英生
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年 31 巻 2 号 p. 175-185
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/24
    ジャーナル フリー
    動画像情報の検索を行う際,フレーム間画素間相関をとると検索精度は保証されるが,動画像特徴量算出時間に膨大な時間を有する問題がある.そこで,精度を保ちつつ特徴量算出時間を低減できる,時間的頻度分布相関を利用した動画像検索方式を提案した.本手法は,相関値が激しく変化する部分を時間的特徴としたヒストグラムの相関値を基に,時間方向の構造情報を定義し,その構造情報(グループ情報)を利用した動画像検索方式である.本研究では,検索の精度についての評価として,構造数におけるグループ間の構造の長さに対する相関値を用いて本方式の有効性を示した.また,構造数の増加によりその相関値が小さくなることで,本特徴量の精度が向上することを示した.また,検索時間からもマッチング時間を短縮可能であることを示し,本方式の有効性を示した.
  • 鈴木 峰生
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年 31 巻 2 号 p. 186-192
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/24
    ジャーナル フリー
    人の表情はコミュニケーションの手段として重要な役割を担っている.この表情についての研究は古くは心理学や人類学などの分野でなされていたが,最近はCGやCADなどがパーソナルコンピュータ上で利用されるようになり,これを利用して医療分野やCGの分野でも工学的な観点から表情を分析したり再現したりする研究がなされつつある.本研究ではこの表情をCGで生成する点に着目し,リアルな表情をCG上で自動生成することを目的としている.これにより例えば「10%の笑い顔」などという表情の数量化が可能になる.本論文ではこの目的の第一段階として,骨の構造と筋の動きを考慮し,解析手法として有限要素法を用いた笑いの表情の生成についての試みを報告する.その結果,シリコーンゴムによる顔面形状有限要素モデルの解析計算による変形出力形状で笑いの一表情を表現することができた.
  • 竹内 啓五, 金子 俊一, 五十嵐 悟, 佐藤 雄隆, 羽根 義
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年 31 巻 2 号 p. 193-201
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/24
    ジャーナル フリー
    歩行者の自然な挙動を解析するための,新しい画像解析のアプローチを提案する.そこでは,背景推定に対してはLMedS推定による方法の提案を行う.さらに,画素間の濃淡関係に基づく周辺増分符号相関を応用することにより,背景や対象物の濃度に影響されにくい領域抽出処理を示す.提案手法によって,撮影画像から歩行者をより正確に抽出し,行動指標を従来よりも正確に算出することが可能になる.歩行者の簡単な数理モデルに基づいて,密度及び占有率を推定する.利用空間解析に関しては,占有状況を評価することで歩行・滞留・未利用領域の分類を行う.アトリウムにおける実画像系列を用いた実験によって,提案手法の有効性を示す.
  • 芳沢 聡, 新井 康平
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年 31 巻 2 号 p. 202-209
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/24
    ジャーナル フリー
    遺伝的アルゴリズムを衛星画像クラスタリングに用する際, 画素そのものを個体として, また, 個体間は無相関として特徴空間上にて扱われる.しかし, 画像を対象にした場合, 個体間には相関がある.この相関を考慮することにより, クラスタリング精度の向上を図る方法を提案する.この時, 相関をコンテキストな情報として考慮するが, この相関は空間的に一様ではなく, たとえば, 道路のような1画素幅の線構造を持つ対象物の場合, コンテキストな情報を考慮すると却って周囲画素に悪影響が及ぶ.これを回避すべく, 本小文では線抽出をあらかじめ行い, それら画素をマスクしてそれ以外の画素に対してコンテキストな情報を考慮することにより, クラスタリング精度の向上を図っている.
  • 土田 勝, 村上 百合, 小尾 高史, 山口 雅浩, 大山 永昭
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年 31 巻 2 号 p. 210-216
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/24
    ジャーナル フリー
    本論文では,被写体を回転させて撮影した複数枚の画像間で対応点の追跡を行う手法を提案する.被写体やカメラを移動させながら撮影した複数枚の画像を用いて被写体の形状を推定する方法として,画像間での対応点の軌跡を基に形状を推定する手法が提案されている.対応点の追跡の多くは画像中のテクスチャや色に注目して行われる.しかし画像中に光沢が含まれる場合にはそれが対応点を追跡する際の障害となる.提案手法では,撮影した画像から照明光のスペクトルに相当する成分を取り除くことで,鏡面反射の影響を含まない成分を求める.そして得られた鏡面反射の影響を含まない成分を用いて対応点の追跡を行う.実験では被写体を回転させて撮影したマルチバンド画像における対応点の追跡を行い,提案手法を用いることで鏡面反射の影響を受けることなく対応点の軌跡を求めることが可能であることを確認した.
  • 嶋野 法之
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年 31 巻 2 号 p. 217-224
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/24
    ジャーナル フリー
    カラー画像入力装置の測色的評価は装置に依存しない色再現を実現するために重要である.本論文ではノイズが存在するとき,入力装置の測色的な品質を評価するために簡潔な式を導き,さらに多様な物体色及び光源についてのシミュレーション結果を示す.シミュレーション結果は提案した式と極めて良い一致を示し,あらゆるノイズレベルで基本成分ベクトルにおける平均二乗誤差は提案した測色的品質と線形な関係を有していることを示す.
  • 斉藤 文彦
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年 31 巻 2 号 p. 225-233
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/24
    ジャーナル フリー
    本論文では,画像内に含まれる複数の線分を検出するための手法を提案する.線分の始点と終点の座標を染色体情報とする遺伝的アルゴリズムを用い,距離変換画像とのマッチング結果によって個体の適応度を評価する.しかし,一般的な遺伝的アルゴリズムでは,唯一の線分しか検出できないことが問題となる.そこで,提案手法では,複数の線分を並列的に検出するために,局所解の探索に有効な免疫システムのアルゴリズムを導入し,各個体の免疫度に応じて集団を進化させる.実験を通し,提案手法によって,画像内に存在する複数の線分を安定に検出できることを示す.
  • 辻 敏雄, 吉田 靖夫
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年 31 巻 2 号 p. 234-243
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/24
    ジャーナル フリー
    本論文はパワースペクトルのモーメントを用いてテクスチャ平面の3次元位置の推定を行う方法を述べる.テクスチャ平面がカメラに近づくと画像は拡大し,その2次元パワースペクトルは低周波領域に縮小する.テクスチャ平面が傾き回転すると,パワースペクトルは傾く方向に拡大,回転する.それに対応してパワースペクトルのモーメントも変化する.標準のテクスチャ平面と位置推定されるテクスチャ平面の3つのスペクトルモーメントと1つの回転モーメントを比較すれば,テクスチャ平面のカメラからの距離,回転角,傾き角と傾く方向を推定することが可能になる.Brodatzのアルバムより取り出したテクスチャ平面画像によるシミュレーション実験とCCDカメラで捉えた実画像による実験を行い,この方法の有効性を示す.また,他の方法との推定誤差の比較を行う.
資料
  • 小林 一雄
    原稿種別: 資料
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年 31 巻 2 号 p. 244-249
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/25
    ジャーナル フリー
    1920年代のはじめに,Bartlane方式と呼ばれるディジタル写真電送方式が実用化され,通常の電信回線で写真電送が可能となった.画像信号はディジタル符号に変換され鑽孔テープに記録される.これを通常の電信送信機にかけ,受信側で原テープを再生する.このテープより,オフ・ラインで受信画を再生する.この方式はディジタル写真電送の先駆をなすもので,当時,冗長度抑圧のためのラン・レングス符号化方式も考案されている.
     Bartlane方式により,1939年,欧州戦争勃発のころまでに,約500枚のニュース写真電送が,大西洋海底ケーブルを通して,ロンドン=ニュ—ヨーク間で行われた.
連載技術解説
技術解説
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