顕微鏡観測画像から粒子の大きさ,形状,変形度などの特徴パラメータを定量的に計測し解析することは,種々の応用分野における画像解析の課題となっている.高分子材料の特性分析では,ABS高分子材料の非線形的溶融伸長特性の解析において,顕微鏡画像からのハードブタジエンとソフトブタジエンの粒子の大きさ分布や伸長率などを計測するのもこの一例である.ここでは,この高分子粒子解析のための一つの実用的な解析手法を構築し,その定量的解析を試みた.
粒子領域の取り出しと認識には,画像の適応二値化やモルフォロジィフィルタ,及び領域のラベリングなどを適用した.その際,各粒子の連結領域を検出するために,4方向の構造要素の集合を用いたモルフォロジィフィルタを設計し適用して,良い結果を得た.また,変形粒子の伸長率を計測するために,粒子の楕円への変形モデルを用意し,実画像から求めた領域の面積と周囲長をその変形モデルに適用することで,各粒子の変形率の推定を実現した.これらの手法によって高分子材料の顕微鏡画像から粒子の大きさ分布や形状変形などの特徴パラメータを高速で確実に計測できることを示した. 画像解析方法の有用性と信頼性は実際の顕微鏡画像を用いた解析結果で確認した.
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