画像電子学会誌
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32 巻, 1 号
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論文
  • 渡辺 淳, 長谷川 まどか, 加藤 茂夫
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻1 号 p. 13-21
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/20
    ジャーナル フリー
    近年,インターネット環境の整備・発展により,画像,映像,音楽などのディジタルコンテンツの流通が盛んになってきている.それに伴い,不正コピーを防止し,著作権を保護するための技術として,コンテンツに著作者の署名やID番号などの情報を埋め込む電子透かし技術の研究が進められている. 画像に対する電子透かしの方式の一つとして直交変換を利用する方式がある.この方式は,画像を直交変換により周波数成分に変換し,その変換係数を変更することで情報を埋め込む.しかし,この方式を用いた場合,透かし情報に応じて限られた周波数成分のみを変更するために,逆変換後に得られる透かし合成画像の画素値がダイナミックレンジを超えてしまうことがある.このとき行われるクリッピング処理により,画像処理などの攻撃が行われていないにもかかわらず,透かし情報が変化する場合があり,改ざん検知などへの適用には問題があった. 本論文では,直交変換を利用した電子透かしにおける上記の問題点を解決する方法についての検討を行い,「増減反転法」と「変化量保存法」の2手法を提案する.これらの手法を用いることで,透かし合成画像から正確に透かし情報を抽出することができる.本方式のシミュレーション実験により,攻撃を受けていない場合には透かし合成画像から正しく透かしを抽出できることを明らかにした.
  • 岩村 恵市, 林 淳一, 櫻井 幸一, 今井 秀樹
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻1 号 p. 22-28
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/20
    ジャーナル フリー
    従来の改ざん位置検出用電子透かしはアルゴリズムおよび埋め込み位置が秘密であることにその安全性を依存しており,著者らがCSS20012). で発表した手法(提案手法1)以外,それらが知られても安全な手法は発表されていない.しかし,提案手法1は画像の切り張り攻撃に対しては画像ごとに異なる鍵を用いることにより解決している.この解決法は,改ざん位置検出用電子透かしのアプリケーションまたはサービスを考えた場合,あまり望ましくないことが多い.よって,本論文ではアルゴリズムと埋め込み位置が知られても安全で,かつ,異なる画像に対しても同じ鍵を用いることができる改ざん位置検出用電子透かし手法を提案する.この手法は安全な暗号化関数,擬似乱数,自己同期パターンを用いれば安全であることが示される.
  • 包 躍, 服部 晋也
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻1 号 p. 29-37
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/20
    ジャーナル フリー
    近年,メガネなし立体ディスプレイの代表的な方法として複数の観察者にも対応したバックライト分割方式の立体ディスプレイが提案されている.しかし,この立体ディスプレイでは光源からレンズまでの距離はほぼ固定されているので,左右移動や左右の複数の観察者には対応できるが,異なる距離にいる観察者にはどちらかの観察者に機械的移動で対応させるなど同時には対応できない.本論文では広視域複数者対応のバックライト分割方式立体ディスプレイを提案する.この立体ディスプレイでは,斜めに配置したバックライトパネルと上下方向に拡散する拡散フィルタを用いることで前後方向への視域を拡大している.また,観察者トラッキングにおいて観察者の眼間距離と黒眼の中心座標を用いることで観察位置を測定し,光源表示の際に光源発光部の距離と幅を変えることで,機械的な動きがなく,同時に前後位置にいる観察者に対応できる.
  • 斉藤 文彦
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻1 号 p. 38-46
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/20
    ジャーナル フリー
    正規化相関によるテンプレート画像照合は,画像の濃度変化に対して頑強な汎用的手法であるが,すべての画素を用いて照合処理を行うため,計算コストを要する.本論文では,テンプレート画像照合を高速化するために,濃度が異なる面の端に位置する側方エッジ画素に基づく照合手法を提案する.側方エッジ画素の濃度は,通常のエッジ画素の濃度と比較して,対象物の位置変化や照明変動の影響を受け難いという特長を持つ.実験によって,提案手法は,従来の正規化相関による手法と比較して3倍程度高速であり,また,通常のエッジ画素による手法と比較して,対象物の移動や濃度変化に対して頑強であることを示す.
  • 伊奈 諭, 田畑 孝一
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻1 号 p. 47-54
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/20
    ジャーナル フリー
    両眼視による錯視現象に主観的階段と呼ばれるものがある.これに類似の別の錯視現象に気付いた.矩形波状縦縞周期パターンを上下奥行方向あるいは左右奥行方向に傾けて両眼で観察を行うと半円形状ステップを有する立体階段や縦型短冊状の急勾配横向き階段が観察できた.そこでこの現象が発生する仕組み(アルゴリズム)の背景と出現する錯視立体の三次元的構造を詳しく探るために両眼視の計算的モデルを構築,現象の再現と検証を行った.この結果,水平垂直方向を複合した統合的な錯視空間の解析を通して(従来の二次元水平面上だけでの解析だけでは明確でなかった)三次元立体形状の詳細な構造を解析的かつ視覚的に再現することができた.
  • 渡辺 辰巳, くわ原 康浩, 小嶋 章夫, 黒沢 俊晴
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻1 号 p. 55-63
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/20
    ジャーナル フリー
    ディジタルカメラ(以下,DSCと略す)の普及に伴い,DSC撮影画像の高画質化の要望がある.その一つの課題はCCD撮像素子の狭いダイナミックレンジにより生じる暗部の潰れを自動的に改善することにある.従来,この改善には,γ変換やヒストグラム均等化手法などが使用されたが,改善程度は十分とはいえなかった.近年,この改善に対してLandにより提案された人間の視覚特性を考慮したRetinex理論を適用する試みが注目されている.これは,二次元に配置された各画素間の空間的情報を有効に利用して暗部の明りょう化を実現する手法である.しかし出力画像に対する調整パラメータの依存性,一様に広いハイライト領域での輝度低下などの課題が指摘されていた.本論文では,これらの課題を解決したRetinex理論に基づくコントラスト改善手法を述べ,実際のDSC画像を用いた実験でその有効性を示した.また,本手法の処理速度の高速化についても述べる.
  • ソソラバラム バトゥジャルガル, 藤本 忠博, 千葉 則茂, 村岡 一信
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻1 号 p. 64-70
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/20
    ジャーナル フリー
    コンピュータグラフィックスにおける天候景観のシミュレーションは,映画などの映像コンテンツの製作や種々の景観シミュレーションに応用を持つ重要なテーマである.これまでの稲妻に関する研究は,主に確率的,統計的手法による雲底-地面間の稲妻パターンの生成法に関するものであり,稲妻の発生メカニズムは考慮されていない.実際の稲妻では,雲の帯電により形成される電界の影響を受けて階段状先駆と呼ばれる放電路が伝わり,雲と地面の間,あるいは,雲と雲の間が短絡し雷撃が発生する.本手法では,雲内ならびに地上部に電荷を配置し,これにより発生する電界を考慮した階段状先駆のシミュレーションを行うことにより,様々な稲妻の形状が生成可能である.
  • 河中 治樹, 岩堀 祐之, 福井 真二, 岩田 彰
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻1 号 p. 71-78
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/20
    ジャーナル フリー
    走査型電子顕微鏡での環境において,観察される二次元濃淡画像をもとに対象物の三次元形状を復元可能な技術が必要とされている.走査型電子顕微鏡では観測画像を得る際に試料台をある程度回転させることができるが,本論文ではこの原理を利用して,回転の前後で撮影された2枚の濃淡画像から物体の形状を復元する手法について述べる.本論文では,形状を復元するためにホップフィールド型ニューラルネットワークを用いて標準正則化理論に基づいたエネルギー関数最適化の手法を提案する.最適化を行う際には,最適解に近い初期ベクトルを与えることが重要である.そこで,物体の回転前後の画像から適切な初期ベクトルを作成する方法を導入する.コンピュータシミュレーションによって提案手法の復元精度を確認するとともに,SEM画像を対象として実験を行った結果について考察する.
  • 日下 博也, 岸 靖典
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2003 年32 巻1 号 p. 79-86
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/02/20
    ジャーナル フリー
    民生用ビデオカメラの手振れ補正システムには様々な方式が存在する.そのうち,純電子式手振れ補正システムのコスト低減には,ハードウエアの大半を占める画像メモリを削除することが最も効果的である.しかし,画像メモリは動きベクトル検出に伴う1フィールド期間の遅延補償を兼ねており,これを削除すると手振れ抑圧特性が劣化し,手振れ補正効果が損なわれる.よって,動き予測(予測フィルタ)などの画像メモリに代わる遅延補償手段を設けて抑圧特性を改善する必要があるが,すべての振動帯域に対する完全な遅延補償は不可能であり,抑圧特性の改善には限界がある. そこで,手振れによる画像の動きに対する人間の視覚特性を評価し,目障りな振動帯域を特定した.そしてこの結果に基づき,特に目障りな振動帯域での抑圧特性を改善する予測フィルタを設計し,画像メモリを削除した低コストシステムにおいても手振れ補正効果が実現可能であることを確認した.
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