画像電子学会誌
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35 巻, 4 号
Special Issue on Visual Computing
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
ビジュアルコンピューティング論文特集号
論文
  • 森 悠紀, 高橋 成雄, 五十嵐 健夫, 竹島 由里子, 藤代 一成
    2006 年 35 巻 4 号 p. 252-260
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    ボリュームデータの複雑な内部構造を視覚的に解析する手法の一つに断面の表示がある.内部構造を理解するためには,対象の特徴をよくとらえた断面を抽出することが必要である.しかし,既存システムの断面生成機能では,ユーザが経験や知識をもとに試行錯誤を繰り返して断面を指定するため,必ずしも特徴的な断面が得られているとはいえなかった.そこで 本稿では,複数の特徴的な断面を自動的に提示する手法を提案する.本提案手法は,ボリュームデータにおける等値面の位相的な振る舞いに着目することで,その特徴をとらえる断面を自動抽出し,その断面をユーザに効果的に提示する.更に,実データに適用することで,提案手法の有効性を示す.
  • 川田 弘明, 金井 崇
    2006 年 35 巻 4 号 p. 261-268
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,位置情報のみを持つ点群データを,GPU を利用して直接レンダリングする方法について提案する.本手法におけるレンダリング処理のほとんどはGPU により実行され,高品質なレンダリング結果を高速に得ることができる.我々のアルゴリズムでは,イメージバッファと呼ばれる,フレームバッファより解像度の低い画像を一枚用意し,その画像を利用して法線ベクトルの計算や,測定点群データに含まれるノイズの軽減処理が行われる.実際の描画処理はスプラットにより行われるが,スプラットの描画処理に必要なフィルタリング処理は,画像バッファの中で選択されたピクセルにのみ適用される.このため,点群データを直接フィルタリングする手間を省くことができ,処理を高速化することができる.実際,多くの例題において,法線計算やノイズ軽減処理を含む我々のアルゴリズムは,既存のアルゴリズムよりも高速に処理することが可能である.
  • 小田 正志, 岩崎 慶, 高木 佐恵子, 吉本 富士市
    2006 年 35 巻 4 号 p. 269-276
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,大理石などの半透明な材質の大規模なモデルをリアルタイムにレンダリングする手法を提案する.半透明物体をレンダリングするためには,表面下散乱という物体内部での光の散乱を考慮する必要があるが,非常に計算コストが高い.そこで本稿では,物体の周囲に規則的な格子点を設置し,散乱光の輝度を各仮想点で計算し格子内部の 半透明物体表面上の点の輝度は周囲の仮想点の輝度の補間により求める.この計算をGPUで行うことにより200万頂点からなる半透明物体をリアルタイムにレンダリングすることが可能となった.
  • 大橋 剛介, 望月 圭太, 橋本 岳
    2006 年 35 巻 4 号 p. 277-285
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,スケッチ画像検索のためのカラー情報に着目したエッジ検出法を提案した.エッジ情報に基づく特徴量用いた画像検索では,対象のエッジを検出することが重要になる.本手法は,カラー画像をマンセル表色系に基づいて有彩色5色,無彩色2色に分類し,その分類結果に対してエッジを検出するものである.Corel Photo Galleryの5,500点の画像データセットに対して,本手法を用いて,エッジを検出し,スケッチ画像検索を行ったところ,背景が複雑な画像や複数のオブジェクトを含む画像に対しても 良好な結果を得ることができた.
  • 青木 工太, 長橋 宏
    2006 年 35 巻 4 号 p. 286-295
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    画像分割は画素の分類問題と解釈できる.分類は画素ごとにラベルを割り当て,帰属すべきクラス(部分領域)を指示す ることで達成される.分割ラベルの推定とともに,最適なモデルパラメータを決定することは容易ではない.本稿で提案するモデルはパラメータの事前分布に対して,データに関する 「最小限」の仮定を反映するような階層構造を導入することにより,情報が不 十分である状況において有効であると考えられる.観測された画像の下で,ギブスサンプリングにおけるマルコフ連鎖は分割ラベ ルおよび,パラメータに対する同時事後分布を効率的に探索する.この連鎖をシミュレートして得られる標本列を用いてベイズの定理に基づく推定を行う.また,人間が領域分割を行ってラベリングした画像データベースと比較することによって,アルゴリズムによる分割結果の定量的な評価を試みる.
  • 小谷 章夫, 種村 嘉高, 密山 幸男, 朝井 宣美, 中村 安久 , 尾上 孝雄
    2006 年 35 巻 4 号 p. 296-305
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    ユビキタス社会における情報流通の中で,最も重要な役割を担うもの の一つが「文字情報」である.携帯電話やナビゲーションシステム,DTVなどの 電子ディスプレイには,日々膨大な文字情報が絶え間なく映し出されており,表示する文字の可読性がきわめて重要になっている.従来の紙媒体での 文字情報は,改良を続け洗練された活字を使って印刷されているので可読性の 高いものが多いが,電子ディスプレイ上に表示されるフォント開発の歴史は浅く,現在も可読性を向上させるための改良が続けられている.本稿では,可読性の高いフォントの開発において重要な指標の一つとなって いる「文字重心」を定量化するために,ポテンシャルエネルギーを用いた 文字重心位置取得手法を提案する.実験の結果,従来手法では考慮されていな かった文字のシルエット内部のストローク位置による影響を加味した 文字重心算出が可能となり,取得精度が向上された.
  • 和島 直哉, 高橋 悟, 伊藤 誠也, 佐藤 雄隆, 金子 俊一
    2006 年 35 巻 4 号 p. 306-313
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    高度道路交通システムやセキュリティシステムの分野において,固定カメラで取得される画像内の移動物体を追跡する画像処理手法 の開発は大変重要な課題である.本稿では,従来の移動物体の追跡法では解決されていない背景変動などを考慮した 手法を提案する.このとき,画像内の物体を検出する代表的手法の一つであるRadial Reach Filterから算出される画素単位の 放射リーチ情報をブロック化し,移動物体の判別に応用する.最後に,実画像を用いた実験により,提案する手法の有効性を実証する.
論文
  • 妹尾 孝憲, 青木 輝勝, 安田 浩, 小暮 拓世
    2006 年 35 巻 4 号 p. 317-325
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    近年のディジタル画像処理技術の進化に伴い,映画の立体化が進行しつつある.現在最も実現可能性の高い方法は,両眼視差を利用した偏光眼鏡方式と思われるが,眼鏡方式に起因する違和感や疲労感があり,眼鏡の不要な立体映像の実用化が強く望まれている.本稿では,空間標本化法による裸眼立体映像の実現性について検討した結果を報告する.空間標本化法は,三次元の実空間をレンズにより小空間に写像し,これを三次元標本化することで,立体映像データを取得し,三次元ディスプレイに表示することで映像空間を再生する.この再生映像を屈折スクリーンに投映することにより,元のスケールの三次元映像空間を再現すること もできる.多層化撮像·表示デバイス,奥行解像度,ボケの透明化,オクルージョン問題について検討を行った.
  • Yousun KANG, Hiroshi NAGAHASHI
    2006 年 35 巻 4 号 p. 326-333
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    This paper describes a real-time vision system that recognizes the location and position of automobile cylinder sleeves on a moving conveyor belt based on surface texture pattern. The proposed vision system will maximize production efficiency and improve the strenuous and labor-intensive conditions of assembly lines. The normalized correlation function uses multi-resolution pyramid images to quickly find candidates. To discriminate these candidates, the output scores of the normalized correlation function are classified and the higher order autocorrelation functions are employed. The results from field tests prove that the performance is fully capable in providing a basis for a practical vision system. In the future, by integrating other surface texture patterns, the proposed system can expand the combined real-time vision system for the factory automation field.
ショートペーパー
  • 今井 修平, 田中 宏卓, 越智 宏
    2006 年 35 巻 4 号 p. 334-338
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    複数の撮影画像をもとに,対象物の空間座標を求めるには,撮影画像の間において対応 する点の座標が既知である必要がある.撮影位置が比較的近い画像どうしの場合は類似した画像になるので,単純なパターンマッチングにより対応点を求めることができるが,任意視点画像どうしの場 合にはうまくゆかない.本稿では,任意視点画像を対象として,三つの既知の対応点をもとにアフィン変換によりテンプレートを決め,エピポーラ線上でパターンマッチングを行うことで,対応点を自 動的に追加することを検討した.その結果,平面および曲面を持つ対象物において,正しい対応点を 求めることができた.
連載技術解説
携帯電話と画像処理技術II
拡張色空間とカラーマネジメント技術I
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