画像電子学会誌
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38 巻, 4 号
Special Issue on Visual Computing
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
ビジュアルコンピューティング論文特集号
論文
  • Yoshiki MIZUKAMI, Katsumi TADAMURA
    2009 年 38 巻 4 号 p. 356-364
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    In this paper, for the reduction of the computation time of a deformable approach to pattern recognition, prototype-parallel displacement computation on GPUs (PPDC-GPU) is proposed. The displacement computation used in this study has the virtue of simplicity and consists of locally parallel processing, therefore it is expected to be suitable for the implementation on graphics processing units (GPUs). In the proposed method, large plates of image and displacement function are generated from input images, prototypes, and displacement functions on the main memory, and then these plates are transferred collectively to the video memory. After the parallel computation of displacement between the input image plate and the prototype image plate on the GPU, the displacement function plates are transferred back to the main memory. The simulation results show that PPDC-GPU reduces the computation time to less than 10% of the ordinary implementation on CPUs. This study especially focused on handwritten character recognition, since it is one of the most fundamental and important problems in the field of computer vision and pattern recognition. However the proposed framework can be widely applied to other problems, for instance, face recognition or object recognition.
  • 長谷川 隆行, 飯野 浩一, 津村 徳道, 中口 俊哉, 三宅 洋一
    2009 年 38 巻 4 号 p. 365-374
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,デジタルカメラの RGB 画像から,任意照明光下における 被写体の測色値を予測する手法を提案する. 3 バンドカメラによる撮影では,測色値の異なる複数の分光反射率が 同一のセンサ応答を与え得る. そのため,センサ応答から正確な測色値への変換は一対多関係となり,一意に決定することができない. 提案手法では,被写体と同じ材質の物体が有する分光反射率の統計的特徴を 参照することにより,与えられたセンサ応答から最も期待度の 高い測色値を導出する.
  • 長谷川 隆行, 飯野 浩一, 津村 徳道, 中口 俊哉, 三宅 洋一
    2009 年 38 巻 4 号 p. 375-384
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    第一報では,デジタルカメラの RGB 画像から任意照明光下における 被写体の測色値を予測する手法を提案した. 第二報となる本稿では,提案手法の評価について述べる. シミュレーションによる評価では,提案手法の予測精度を,照明光,カメラの分光感度,被写体の種別,および色予測モデル構築に 使用する母集団データの複数の組み合わせについて検証した. その結果,精度,および母集団データの選択に対する安定性のいずれについても,従来手法に対する提案手法の優位性が確認された. また,デジタルカメラで撮影して得た画像を用いた実験により,提案手法は実際の画像に対しても有効であることが示された.
  • 佐藤 勲, 青木 義満, 中島 真人
    2009 年 38 巻 4 号 p. 385-394
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    近年,睡眠時呼吸障害(SDB: Sleep disordered Breathing)の発生件数が増加している.このSDBは,糖尿病,高血圧などの重大な疾病を引き起こす原因となる.就寝中の呼吸状態監視を目的とした装置は,国内外で種々の方式が研究開発されてきた.しかし,既に商品化され実際に病院内で使用されている装置はすべて接触型であり,呼吸の測定に際して被験者に何らかの苦痛や負担を与えるものであった.そこで我々は,完全に無拘束かつ非接触で被験者の呼吸を長時間にわたってモニタリングできる2カメラFG呼吸モニタを開発した.本装置は,被験者の身体概形と呼吸活動による局所的な体表の動きを同時に可視化しながら,呼吸活動をリアルタイムでモニタリングできるものである.このシステムを用いることにより,医師は就寝者の胸腹部上の呼吸運動部位を一目で同定することが可能となる.また,本システムでは,就寝者の胸部および腹部の定量的な体積変化量,ひいては肺の容積変化量を精度良く求めることが可能であり,肺機能や肺の病態を推定する新しい診断方法として用いられることが期待できる.
  • 糟谷 望, 北原 格, 亀田 能成, 大田 友一
    2009 年 38 巻 4 号 p. 395-403
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    サッカーシーンにおける自由視点映像の提示法として,操作が容易で臨場感の高い「選手視点映像」を提案し,その生成に必要な,選手の移動軌跡を推定する手法について述べる. 高所に設置した複数台の固定カメラで撮影した映像から抽出した影を含む前景領域をフィールドに射影し,影と選手の写像領域を用いて選手の位置を推定することにより,サッカーシーンで頻発する選手同士のオクルージョンの問題を軽減する. ユニフォームの色情報を用いて選手領域をチームごとにクラス分けすることにより,映像中にクロスプレーのような複雑な見え方が発生した場合でも,追跡の継続を可能とする. 実際の競技場においてサッカーの試合を撮影した映像を用いて提案手法の有効性を検証し,選手視点映像を生成した.
  • 前島 謙宣, 森島 繁生
    2009 年 38 巻 4 号 p. 404-413
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    人間の三次元頭部モデルの構築において,三次元レンジスキャナから獲得した頭部の形状データに対して,テンプレートメッシュを変形し整合する手法が一般的である. しかし,整合に必要なマーカの手動設定が必要とされ,レンジスキャン不可能な頭髪部位のデータ欠損の影響で後頭部の構築が困難な箇所の手修正を行う必要が生じる. 本稿では,レンジスキャンで得られる正面顔のみの形状とテンプレートメッシュから,通常では計測困難な後頭部の形状をテンプレートメッシュの形状から補完可能な自動頭部生成法を提案する. 本手法は,実測された顔形状とテンプレートメッシュ形状の境界がシームレスに接続された頭部モデルを構築することが可能である. また,一般的な整合処理は数分の時間を要するのに対し,本手法の処理時間は平均10.4秒であるため,短時間に多くのCG頭部モデル作成を必要とするゲーム,映像制作などエンタテインメント分野において有効であると考えられる.
  • 三浦 憲二郎, 上利 真一, 秋江 俊尚, 吉田 典正, 斎藤 隆文
    2009 年 38 巻 4 号 p. 414-422
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    対数型美的曲線は,対数(等角)らせん,クロソイド曲線,更にインボリュート曲線を含むとともに,接線ベクトルの積分形式としてのみ与えられている場合であっても対話的な生成,変形が可能であり,実務への応用が期待されている.しかしながら,対数型美的曲線の一つのセグメントにおいては曲率が単調に増加,あるいは減少するとともに,曲率に曲線長に依存する強い制約条件が課されている.立体モデル作成においては デザイナに強い制約を与えず自由にデザインできることが望ましく,曲率が増減するような曲線に対しても,より制約の少ない形式で美的曲線の性質を埋め込む手法が望まれる. そこで,本研究ではリバースエンジニアリングで用いられる測定データのようなノイズを含む平面内の点列データから,局所的にノイズを削除して平滑化するとともに,対数型美的平面曲線化する 離散的フィルタ:離散的log-aestheticフィルタを開発する.更に,そのフィルタの空間曲線や曲面へ 応用する方法について提案する.
  • 新谷 幹夫, 白石 路雄, 土橋 宜典, 岩崎 慶, 西田 友是
    2009 年 38 巻 4 号 p. 423-431
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    散乱物質の質感表現は写実的な画像生成において重要な課題である. 本研究では,散乱物質の反射・透過特性の算出および補間手法を論ずる. まず,plane-parallel散乱理論に基づいて均質散乱媒体に対する 双方向反射・透過関数(BRDF·BTDF)の 解析的計算方法を概説し,次いで多層膜媒質への拡張を論ずる. 更に,アルベドなどの散乱パラメータや媒質の厚さによるBRDF·BTDFの変化を 分析し,補間手法および補間テーブルの作成法を考察する.
  • 北岡 伸也, 北村 喜文, 岸野 文郎
    2009 年 38 巻 4 号 p. 432-440
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    メトロポリス光輸送法において多重重点的サンプリングを利用した場合に生じる統計的偏りを除く手法を提案する.統計的偏りとは,物理ベースのレンダリングを行った際に,結果画像が,真値より明るすぎたり暗くなりすぎたりしてしまい,正しい結果が得られないことを指している.特定のシーンでのみ顕現化し,従来手法では無視されてきたこの問題を,結果画像のバッファを二つ利用し値を補正することで解決した.
  • 藤澤 誠, 三浦 憲二郎
    2009 年 38 巻 4 号 p. 441-448
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿は従来の沸騰アニメーションに見られる不自然な体積損失を抑えた 熱力学に基づく沸騰シミュレーション手法を提案する. 本手法では保存系のCIP法を用いて液体表面を移流させることで,移流時の体積損失を抑える. また,従来の沸騰シミュレーションにおける核沸騰時の沸騰核生成による 体積損失を抑制するために,沸騰核固体を用いた核沸騰シミュレーション手法を提案する. 本手法では,壁面に流入境界条件を設定し,その流れを沸騰核生成のための専用の固体で制御することで,沸騰核を “壁面から押し出される” 操作として実現し,核沸騰シミュレーションにおけるシーン全体の液体体積損失問題を解決した.
  • 今給黎 隆, ジョハン ヘンリー, 西田 友是
    2009 年 38 巻 4 号 p. 449-458
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    映画やゲームなどにおいて,物理シミュレーションは,リアルなアニメーションを生成するためには欠かすことができない手法の一つとなっている.映画などでは,あらかじめ絵コンテによりシーンが設計され,通常ではありえない演出をしたいことがしばしば発生する.しかし,通常の物理シミュレーションでは,運動は決定論的に決まる.材質などの特性の調整によりある程度の運動の制御は可能であるが,望む結果が得られるように初期値やそれら特性を指定することは難しい.本研究では,物体を要素(破片)の集合で表現し,要素間にばねを設置するばねモデルによる破壊シミュレーションにおいて,物体の破壊後の形状を制御する手法を提案する.ユーザーにより指定された物体の堅い部分と脆い部分の情報から,要素間のばねの切れ難さを指定することで,破壊後の形状を制御する.これにより,ユーザーは物理的な運動をしつつも意図した形状の破砕物を生じるアニメーションの生成が可能となる.
  • 竹島 由里子, 奈良岡 亮太, 藤代 一成, 高橋 成雄
    2009 年 38 巻 4 号 p. 459-470
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    対象ボリュームデータの特徴を効果的に提示するボリュームレンダリングを実現するには,特徴を強調するような伝達関数を設定し,投影による特徴間の遮へいを極小化するような視点位置を選定するだけでなく,特徴に十分な奥行き感が与えられるような照明の配置設計を行う必要がある. 本稿では,表面形状に対する照明評価に使われていた従来の照明エントロピーの枠組みを拡張し,ボリューム微分位相特徴を更に強調できるような照明配置法を新たに提案する. 複数の実データへの適用実験を通じて,単一平行光源を用いた場合に対する提案手法の有効性を実証するとともに,複数照明に対する照明配置問題への拡張方針についても考察を加える.
  • 木村 彰徳, 山添 悠, 田中 覚, 田中 弘美
    2009 年 38 巻 4 号 p. 471-480
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    領域の個数や位置に関する知識や初期推定を必要とせず,複数領域を同時に抽出する並列三次元領域抽出アルゴリズムを提案する. 本アルゴリズムは,ボリュームデータの階層的な適応的四面体メッシュ表現に基づき,局所特徴の不連続性を再帰的に二分探索する過程に従って,二分離二統合処理を行うことで領域抽出を行う. 領域を特徴が滑らかに変化する連続した部分空間と定義し,滑らかさを表す局所特徴を用いて領域の一様性を評価することにより,シード選択や順序依存性の問題を解決している. また,局所特徴の連続性を保証するために必要な最小のオーバーラップ空間のみの共有により,ブロック間の整合性を保証し,かつ,局所特徴の不連続性に整合した領域境界面を抽出することが可能である. 実験結果を示し,本アルゴリズムの有効性を示す.
論文
  • 朱 世松, 古閑 敏夫
    2009 年 38 巻 4 号 p. 484-492
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    交通画像からは,車両の追跡,車速,交通量,認識など多種多様な情報を得ることができるが,画像処理技術面から見ると課題が少なくない. 例えば,晴天時の走行車両の抽出においては,一般に車両領域に車影部分がつながった形で動領域が形成されるため,車影部分の分離が極めて重要である.本稿では背景画像を用いて得られる動領域から車影を検出する新しい手法を提案する.一般に影の輪郭部分には日照部分と影(本影) の間に「半影」と呼ばれる中間的状態が存在する.半影に挟まれた本影部分では輝度変化が極めて微小であり,これを微分すると“凹→ほぼゼロ→凸”の変化で表現できること,更に車影領域では車影の幅と動領域の幅が一致するなどの特徴をモデル化し,車影検出を行う.交通画像Highway-Iに対する車影検出率は従来の手法による約70~78%から83%へと大幅に改善されるなど,本提案の有効性を明らかにした.
  • 田中 賢一, 西 謹
    2009 年 38 巻 4 号 p. 493-502
    発行日: 2009/07/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    計算機ホログラムは仮想物体の三次元像再生などのために合成される.誤差拡散法は計算機ホログラムの再生像の改善に用いられるが,誤差拡散係数の選択は再生像の画質に大きな影響を及ぼす.多くの研究者がこの問題に取り組んできており,これまでは最適化手法を用いる方法がほとんどであったが,本稿では入力物体の位置と入力物体の大きさとがわかれば誤差拡散係数が一意的に求まることを示す.その結果,計算時間は遺伝的アルゴリズムや摂動型誤差拡散法と比較して大幅に短縮でき,再生像についても同等以上の画質を得ることができた.
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