画像電子学会誌
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38 巻, 5 号
Special Issue on Image Electronics and Related Technologies towards a “Safe, Secure and Comfortable” Society
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
「安心・安全・快適」な社会の実現を目指す画像電子関連技術論文特集号
論文
  • 東條 絵里, アギレ エルナン, 田中 清
    2009 年38 巻5 号 p. 579-588
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて高品質な割符画像を生成する方法を発展させ,生成されたN枚の割符画像の任意の2枚の組み合わせからNC2とおりの異なる透かし画像を検出する方法が提案されている.この方法は,ロゴなどの肉太な透かし画像は鮮明に復元できる一方で,細かい文字や詳細なテクチャーを有する透かし画像を再現することが難しい弱点があった.そこで本稿では,この方法における透かし再現に関する評価関数に修正を加え,詳細な透かし画像も検出可能な電子割符生成法について検討している.テスト画像を用いたシミュレーション実験により,提案法の有効性を示す.
  • 畑谷 健吾, 田中 清
    2009 年38 巻5 号 p. 589-598
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,背景地紋を用いる印刷文書向け電子透かしに注目し,透かしが埋め込まれている背景地紋に違和感を持たせないように濃淡画像のグレイレベルを再現するとともに,同期用のマーカーの埋め込みにより,文書の一部を切り取られたり,複写されても透かしを頑健に取り出せる方法を検討している.提案法の特徴として,(i)マーカーも濃淡画像のグレイレベルおよび透かし情報を表現する.(ii)マーカーおよび透かし情報の検出に位相の異なるガボールフィルタを利用する.(iii)復号した透かしデータに信頼度を付与し,ニューロンモデルを用いた最尤復号を行う.これらの工夫により,違和感のない背景地紋と頑健な透かし検出の両立を追及している.複写および切り取りに対する透かし検出率の実験を行い,提案法の性能検証を行っている.
  • 松田 純一, 三輪 智也, 松田 憲, 水上 嘉樹, 多田村 克己
    2009 年38 巻5 号 p. 599-607
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,電子交付される印刷帳票にイラストベースの地紋透かしを用いることにより,書類としての見た目の美しさにも配慮した情報埋め込み手法を提案する.通常の地紋には,無意味なドットの集合を使用することが多く,書類として違和感を与えることが少なくない.これに対して提案手法では,イラスト画像を変換した画像を地紋として用いることによりこの問題を回避する.このために,イラスト画像から情報埋め込みに適したドット画像への変換手法を開発した.更に,交付された電子ファイルを印刷し,それをスキャナで読み取る過程で生じる誤りをできるだけ低減する情報埋め込み手法を開発した.提案手法により作成した地紋入り印刷帳票画像を用いて,見た目と読みやすさに関する被験者実験を行い,提案手法の有用性を評価した.
  • 安斎 太基, 伊與田 光宏
    2009 年38 巻5 号 p. 608-613
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    現在,パスワードや暗証番号など文字情報をベースとした個人認証手法が様々な場面で使用されている.しかし,ユーザの多くが生年月日や電話番号,住所などを秘密情報に使用しているため,他人に容易に推測される危険がある.そのため,ランダムな数字や文字列の使用が推奨されているが,ユーザの記憶負担が大きくなってしまう.そこで,記憶負担を軽減するための手法として,画像認証が研究されている.
    画像認証はこの秘密情報に画像を使用する個人認証手法である.既存の画像認証の研究では秘密情報である画像(パス画像)を直接選択する手法が考案されているが,Observation攻撃によってパス画像が他人に漏えいする危険が高い.そこで本研究では複数の画像を数字を用いて一度に選択することで,パス画像を間接的に選択する手法を提案する.この手法により,パス画像の候補が複数存在するため推測は困難になると考えられる.
  • 松元 秀昭, 梅田 三千雄
    2009 年38 巻5 号 p. 614-622
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,バイオメトリクス認証の問題点である拒絶感や抵抗感の少ない個人認証を目的とし,シーケンシャルニューラルネットワークを用いた筆者照合による個人認証を試みる.時系列パターンを扱えるシーケンシャルニューラルネットワークをオフライン筆者照合の分野に適用した例はほとんどなく,複数の手書き文字を時系列パターンとして扱うことにより字種,筆跡のみではなく,入力順序の取得も試みる.特徴抽出には,加重方向指数ヒストグラム法と背景伝搬法を用いた.評価実験により,他人が不正な認証を試みた場合に筆記される可能性がある3種類の設定において,提案手法が個人認証に有用であることを示した.
  • 田中 秀典, 北原 格, 斎藤 英雄, 村瀬 洋, 小暮 潔, 萩田 紀博
    2009 年38 巻5 号 p. 623-633
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,監視カメラで撮影される状況を想定し,時間・空間を隔てて撮影された多視点画像を用いた個人識別のための動的な見え方学習法を提案する.本手法では,まず,初期段階で数枚の多視点画像と三次元標準顔モデルを利用して被写体の見え方を補間し,姿勢変動用と個人識別用の2種類の固有空間の生成を行う学習を行う.そして,時間の経過とともに異なる視点で撮影された画像が追加される度に,姿勢変動用固有空間を用いて頭部の姿勢を推定し,更に個人識別用固有空間を用いて被写体の識別を行う.推定された姿勢と識別結果を用いて追加画像を三次元顔モデルにマッピングし,見え方を更新することで固有空間の識別能力を向上させる.室内環境において,監視カメラで撮影した画像に対して本手法を適用する実験により,提案手法の有効性を確認する.
  • 張 明明, 大町 真一郎, 阿曽 弘具
    2009 年38 巻5 号 p. 634-639
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    シルエット画像のカテゴリ分け技術は防犯システムや画像の検索システムなどにおける候補選出の前処理として有用であり,シルエット画像を識別するための研究が行われている.本稿では,シルエット画像を識別するフレームワークを提案する.まずシルエット画像を中心軸変換によりグラフ化する.そして,編集距離による非類似度を求め,多次元尺度構成法でベクトル空間への埋め込みを行う.未知のシルエット画像が与えられたときは,これをベクトル空間に埋め込むことにより識別を行う.ただし,埋め込みに多次元尺度構成法を用いたのでは非常に時間がかかって実用的ではない.そこで,埋め込みを高速に実現する手法を提案する.実際のシルエット画像を用いた実験により,提案手法が従来手法と比べて高精度に識別を行うことができることを示す.
  • 宮崎 智, 大町 真一郎, 阿曽 弘具
    2009 年38 巻5 号 p. 640-647
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    画像中の物体を認識することはコンピュータビジョンの分野において主要な問題である.本稿では穴のないシルエット画像を対象とし,画像からグラフを抽出してグラフの類似性により認識する手法を提案する.シルエット画像をグラフで表現して認識する手法はいくつか提案されているが,従来手法の多くは学習データの中からカテゴリごとにプロトタイプを選び,未知画像とプロトタイプとの類似度を計算することで認識を行っている.提案手法はプロトタイプを学習データの中から選ぶのではなく,カテゴリごとにすべての学習データを用いて共通的な構造をもつグラフ(代表グラフ)を求め,未知画像をこの代表グラフとの類似性により認識する.実際のシルエット画像を用いた認識実験を行い,提案手法の有効性を示す.
  • 大町 方子, 大町 真一郎
    2009 年38 巻5 号 p. 648-655
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    画像の高速・高精度な探索技術は,監視システムに不可欠な技術であるほか,ロボットビジョンやコンテント検索システムなど様々な分野で利用できる.本稿では,探索対象を表す参照画像が与えられたとき,入力画像中の部分画像の中から参照画像と最も似ている部分画像を見つけることを画像探索の問題とし,テンプレートマッチング法に基づく画像探索を高速化するための手法を提案する.提案手法ではまず参照画像(テンプレート)を多項式で近似する.そして,画像同士の類似度計算を多項式の係数と画素値との計算に置き換えることで高速化を実現する.多項式近似を用いてテンプレートマッチング法を高速化する従来手法ではすべての部分画像との類似度計算を効率良く行える反面,一部の部分画像のみの類似度計算を行うことには不向きであった.提案手法は,すべての部分画像との類似度を計算するのではなく,任意の指定された部分画像とテンプレートとの類似度計算を高速に行う点に大きな特徴がある.様々な大きさの画像を用いた実験により提案手法の有効性を確認する.
  • 坂寄 貴宏, 池永 剛
    2009 年38 巻5 号 p. 656-663
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    近年,車載カメラや監視カメラなどの動画像処理において,実時間での移動体検出の重要性が増している.特にKLT Tracker(Kanade-Lucas-Tomasi)は,ロバストな移動物体追跡アルゴリズムとして多様なアプリケーションに用いられており実時間処理のニーズは高い.しかし多くの演算処理が必要であり,汎用PC上では実時間で処理することが困難である.そこでFPGAを用いたハードウェアエンジンにより,KLT Trackerの実時間処理を目指した.本稿では,ストリーム・データ処理や並列処理による高速化,FIFOや画像ブロックバッファを用いた外部メモリとのアクセス遅延回避のアーキテクチャなどを提案する.FPGAを用いて実装評価を行った結果,解像度640×480,周波数100MHz,特徴点数100個の場合に約9msecで処理することが可能となった.
  • 中川 康紀, 鈴木 孝造, 寺田 賢治
    2009 年38 巻5 号 p. 664-672
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,FG視覚センサを用いて得られる三次元情報により人の姿勢認識を行う手法を提案する.FG視覚センサでは,レーザにより空間を粗くサンプリングして輝点情報のみを取得する.それにより,分解能は低下するが,扱うデータ量が少なくなるため,実時間での処理が可能となり,機密性も高くなる.人の姿勢認識として,顔や胴体の向き,腕の位置の検出を行う.
  • 大町 方子, 大町 真一郎
    2009 年38 巻5 号 p. 673-679
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    高度道路情報システムへの関心が高まり,安全走行のための様々な運転支援システムが開発されている.その中でも,最近画像を用いたシステムが注目され,道路環境の認識と理解に関する様々な研究が行われている.信号機の認識は安全運転支援には重要な技術である.車載カメラで撮影した画像から信号機を検出し,点灯している色を認識することが可能となれば,運転者に対して道路環境を理解するための有益な情報を与えることが可能となる.本稿では,車両用信号機を対象とし,デジタルカメラで撮影した情景画像から点灯している信号表示面を高速に検出し,その色を認識する手法を提案する.提案手法では,まず信号機の種類や照明条件による色の違いを吸収するために色空間をRGBから正規化RGBに変換する.次に,色情報に基づいて信号表示面の候補領域を抽出する.そして,エッジを用いたハフ変換を基本とし,色情報を相補的に利用することにより信号表示面の正確な領域を抽出する.実際にデジタルカメラで自動車のフロントガラスを通して撮影された情景画像を用いた実験を行い,提案手法の有効性を検証する.
  • 山形 朋久, 藤崎 紘久
    2009 年38 巻5 号 p. 680-685
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    タイヤの溝は種々の環境条件下においても車が安全に走行するための重要な役割を担っている.このため,車検時には必ずタイヤの溝のチェックがなされているが,その検査は溝ゲージによる簡素なものである.本来,タイヤの装着状態や走行状態により,その摩耗状態は一様でなく,検査ではタイヤ全周をチェックすることが望ましい.このような観点から,ブレーキテストなどの検査時に同時計測を行える溝計測システムについて検討を加えた.
  • 佐藤 公則, 大野 敬弘, 鹿嶋 雅之, 渡邊 睦
    2009 年38 巻5 号 p. 686-693
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    現在,銀行ATMなどではセキュリティを重視し,暗証番号入力に替わるバイオメトリック認証システムを設ける銀行が増えている.しかしこれらは安心ではあるが,反面その導入コストはかなりの高額となる.また,指紋や手の静脈といった生体情報であるがゆえに,障害などによりユーザが使えない場合や盗難の場合に代替が効かないなどの課題がある.また機器に接触しての認証となるため,人によっては嫌悪感を抱くなどといった心理的抵抗も否定することはできない.本研究では赤外線カメラを使用した非接触型セキュリティキー入力システムの開発を行う.本提案システムは手形状パターンを四つ挙げ,手形状パターンを暗証番号の替わりにしてセキュリティキーとするものである.切り出した手形状より,認識に必要な手の開閉,指の本数,指の種類の判定を行うこととし,その結果からセキュリティキーへの応用実験を行った.45人の被験者中38人がセキュリティキーの認証に成功し,その有効性を示した.
  • 藪田 顕一, 北澤 仁志
    2009 年38 巻5 号 p. 694-702
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    カメラにより撮影された人物のプライバシ保護はモザイキングなどの不可視化により実現できる.不可視化と同時に,被写体の特定が必要な際に,原画像に戻せる手法が提案されている.ところが,復元画像の証拠能力は乏しいため,復元画像の真正性を証明できる方法が必要である.本稿では,公開鍵暗号方式を応用し,公開鍵によって作られる暗号化ストリームから,復元画像の真正性証明が可能な手法を提案する.原画像への復元を必要とせず,また,不可視化により真正性が失われることがないため,真正性証明とプライバシ保護を両立できる.また,原画像への復元に必要な暗号化データを,ハフマン符号化の特性を利用した電子透かしを用いて出力画像に埋め込むことで,ファイルサイズの増加がおさえられる.
  • 内山 英昭, 吉野 昌樹, 春山 真一郎, 斎藤 英雄, 中川 正雄, 掛橋 孝夫, 永元 直樹
    2009 年38 巻5 号 p. 703-711
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,高精度な写真測量を行う際に設置する基準点マーカとして光源を用いた可視光通信に基づく写真測量システムを提案する.本システムでは,光源マーカを基準点と測量する点に設置し,各視点において時系列画像を撮影することで,撮影された光源マーカの対応付けを自動的に行う.各光源は,可視光通信に基づいて,点滅パターンによって変調された強度信号を送信し,異なる視点間で同じ信号の対応付けを行うことで,光源の対応付けを行う.また,画像中から光源を自動的に検出するために,パルス位相変調のルールに基づく光源候補検出と,巡回冗長検査に基づく光源検出を行う.実験では,光源マーカを用いた写真測量を行った場合の精度と光源マーカの有用性について検証する.
  • 青木 功介, 河尻 寛之, 西原 功, 中野 愼夫, 黒田 卓, 林 忠史
    2009 年38 巻5 号 p. 712-722
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    科学館のような施設と学校とを結ぶ授業を目的としたHD遠隔授業システムを開発した.リアルタイムに講師を資料映像やシミュレータソフトの映像中に合成することにより,講師は映像の中に入り込んで授業を行える.講師が映像の中でチョーク型のLEDを操作することにより,簡単に映像の切り替えや資料映像に対する書き込みができるインタフェース(チョーク型ポインティング)を提案する.また,展示施設でブルーバックなどを設置して映像合成を行うのは困難であるが,背景差分法を補正することで,バックや特殊な装置を準備する必要がなく,容易に展示施設からの授業を可能にする.開発したシステムを実際の遠隔授業で使用して実用性を確かめた.
ショートペーパー
  • KokSheik WONG, Kiyoshi TANAKA
    2009 年38 巻5 号 p. 723-729
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    This paper proposes hybrid data representation schemes to improve the performance of a DCT-based steganographic method called StegErmelc1). Even though StegErmelc simultaneously achieves scalable carrier capacity, high embedding efficiency, and low SDR (stego detectable rate), SDR of StegErmelc increases sharply when the embedding rate is increased to more than 0.10bpc. SDR of StegErmelc also varies significantly when using different parameters. To suppress the sharp increase of SDR and to reduce the performance gap when using different parameters, we propose a new algorithm that keeps as many blocks that are operating in block mode as possible, and changes their encoding modes, one at a time, to gradually and accurately increase their carrier capacities. Experimental results show that, when embedding the same amount of information, the proposed method achieves lower SDR than that of StegErmelc and the performance gap of the proposed method is also found to be smaller than that of StegErmelc. The proposed method stays undetectable when embedding up to 0.125bpc. Basic performance of StegErmelc is also confirmed to be consistent regardless of the image database in use.
論文
  • 河村 尚登
    2009 年38 巻5 号 p. 735-745
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    クラスターサイズを可変にする新規FMスクリーンVACS(Variable Cluster Screen)法を開発した.入力データをしきい値Ts,Thにより暗部,中間部,明部に分割し,中間部では出力信号フィードバックによる誤差拡散法(グリーンノイズ法)を用いクラスターサイズの制御とクラスターの遷移(黒クラスターから白クラスターへ,あるいはその逆)を行い,明暗部では近傍の画素探索によりセルサイズを変動させ孤立クラスターの分散的配置を行う.中間部における二値化のしきい値Tを入力データの関数とすることにより,明暗部との境界に発生する不連続性パターンを除去し,また,しきい値Ts,Thをゲイン係数に連動することにより,クラスターサイズの連続性を図った.その結果,全階調域で均一で異方性のないクラスター型ハーフトーンを得た.応用として記録エンジンのMTF特性に合わせた最適クラスターサイズへのチューニングや,文書画像における高品質画像処理が考えられる.
  • 伊奈 諭
    2009 年38 巻5 号 p. 746-752
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    視覚心理学,視覚物理学においてよく知られた両眼視の錯視現象として主観的階段錯視がある.これは格子状のドットパターンを前後に傾けて水平方向から両眼視観察すると階段状の3D構造が出現する現象である.心理物理学分野では,この現象を引き起こす基本的な仮説として両眼網膜対応における「近接要素融合規則」が唱えられてきたが,明確な証拠はなかった.そこで本研究では,人間の視覚を模擬して客観的に表現できる両眼網膜像計算モデルの構築と計算機実験をとおして以下の検証を行った.
    (1)両眼の網膜像のみの基本情報から階段錯視が発生するかどうかの検証
    (2)近接要素融合規則(Nearest Neighbour Rule)が本当に正しく働くかどうかの検証
    (2)について,両眼網膜像計算モデルを構築するにはより具体的かつ詳細な規則表現が必要であり,新たに「近接要素融合計算規則」として定式化を行った.結果,両眼の網膜像の幾何学的な構造を明らかにするとともに,格子状ドットパターンの両眼網膜像のみを手掛かりにして階段錯視現象が発生することを検証した.
  • 江原 康生, 櫻井 健一, 曽根 秀昭, 坂本 尚久, 小山田 耕二
    2009 年38 巻5 号 p. 753-761
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    遠隔地間で大規模ボリュームデータの可視化結果を実時間で共有しながら共通の問題に取り組む遠隔協調作業環境の構築に向けて,遠隔可視化への要求が高まっているが未だ有効な手法は確立されていない.本稿では,遠隔可視化でボトルネックとされる分散可視化における重畳処理が容易とされる粒子ベースボリュームレンダリングを用いた遠隔可視化手法を提案した.更に遠隔地間ネットワークを介した対話処理によって生じる大量のデータ転送の効率化を図るために,TCPを用いた並列伝送を提案手法に実装した.長距離ネットワーク上で評価実験を行い,サーバのスレーブ数を増やすことで処理時間を短縮し,かつ格子数5123のボリュームデータの結果画像を高速表示でき,並列効果を実証した.更に,TCP のストリーム数を増やすに従い,データ伝送時間の短縮を実現した.
  • 丸野 進, 今川 太郎
    2009 年38 巻5 号 p. 762-771
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    フルカラープリント画像の画質を向上させる一つの方法として,画像の状態に応じて階調補正曲線を制御するような適応的階調補正法が考えられる.著者らは,明示的に記述不可能である人間の経験に基づく階調補正曲線の選択ルールを,量子化ニューロンを用いた機能別階層ネットワーク(MFLN)に学習にさせ,この学習結果に基づき入力画像の階調を補正する学習適応型階調補正法を提案,フルカラープリンタの階調補正に適用し,比較的良好な補正画像を得ることができた.階調補正を行うに際しての色信号処理方法についても詳細検討を行い,「色差色比混合型」階調補正法を用いることで,均等知覚色空間における三次元的な色の変化が最も少なくできることを明らかにした.
  • 丸野 進, 今川 太郎
    2009 年38 巻5 号 p. 772-780
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    自然画像中から物体画像を切り出し,その形状の認識を行う場合,画像自身に含まれるノイズや切り出しに伴うノイズの影響で切り出された物体形状は大きく変化する.また,同じ物体であっても回転や移動などにより,二次元座標上でのパターンは異なることが多い.このような自然画像中の物体形状の認識には,形状の変化に対して柔軟な認識処理が必要となる.
    そこで我々は,二次元物体の形状を時系列データに変換するφ-s特徴変換を新たに提案すると共に,時系列パターンの入力に応じてニューロンが適応的に増殖し,ネットワークの自己生成を行いながら学習認識が可能である,適応増殖ベクトル量子化ニューロンによる時系列パターン認識ネットワーク(TASQA: Temporal Pattern Recognition Network with ASQA)を新たに提案,これを用いることにより,高い物体形状認識性能を実現することができた.
  • Guang ZHENG, Shunichiro OE
    2009 年38 巻5 号 p. 781-790
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    In this paper, we propose a method to make digital content by using teacher tracking system. In order to make a digital content which includes the teaching action of the teacher and the writing on blackboard, we use two cameras to do the work. The first one is employed to track and record the teaching detail of the teacher during class (Teacher Tracking System, TTS), the other one is used to implement the acquisition system of writing on blackboard (ASOWOB). These two cameras are controlled by one computer, the position of the teacher is estimated by TTS, then send the command to ASOWOB to grab the image of writing on blackboard which the teacher is not in it. The digital content is built by composing the teaching detail of teacher and the image sequence of the writing on blackboard. Therefore, the student can study or review the whole lesson by it, the panorama of the whole blackboard also provide the overall sense of the class to the student. Our digital contents also can be published in internet, so the student can study in anywhere and anytime.
ショートペーパー
  • 高田 洋佑, 浦浜 喜一
    2009 年38 巻5 号 p. 791-794
    発行日: 2009/09/25
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    樹状線画の生成法を提案し,ハーフトーニングと地形風画像のNPRに応用する.入力画像から抽出した主要エッジからの距離変換を求め,ポアソンディスクサンプリング点からエッジに枝を伸ばすのを繰り返して樹状線画を生成する.この枝の密度と太さを領域の暗さに比例させることによってハーフトーン画像が得られる.地形風画像生成では,エッジからの距離を地形の高さとし,尾根から枝を伸ばして細かい凹凸を作ってハイトフィールドとし,ランダムディザで高さに応じた色を地表面に付けたテクスチャ画像をレンダリングする.
資料
連載技術解説
社会安全のためのトレーサビリティ VI
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