画像電子学会誌
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40 巻, 4 号
Special Issue on Visual Computing
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ビジュアルコンピューティング論文特集号
論文
  • 金森 祥太, 藤原 和也, Bisser RAYTCHEV, 玉木 徹, 金田 和文
    2011 年 40 巻 4 号 p. 532-540
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    虹やハロのような大気光学現象は,光の回折や散乱といった現象によって引き起こされている.このような大気光学現象は,波長依存性が強いため光のスペクトルを考慮する必要がある.従来,虹は幾何光学を用いてレンダリングされた.しかしながら,この方法では水滴半径による虹の様相の変化や過剰虹を表示することはできない.本稿では,波動光学と光のスペクトル分布の両方を考慮した虹のレンダリング手法を提案する.本手法では,大気中の水滴の半径や,個数密度といった水滴の分布も考慮している.また,大気中の空気分子やエアロゾルによる散乱現象を計算し,それらの虹への影響も考慮している.これらによって,提案手法では,様々な大気状態における過剰虹を含めた虹の表示が可能になっている.物理法則に基づくことで大気光学現象の解明や気象学分野の支援も行える.
  • 間淵 聡, 藤代 一成, 大野 義夫
    2011 年 40 巻 4 号 p. 541-548
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    本稿では粒子ベースによるリアルタイム火炎レンダリング法を提案する.可視化分野で考案された粒子ベースボリュームレンダリングと呼ばれる手法をベースとし,これを火炎の特性に合わせて合理的に改良した.これにより,従来の粒子ベースレンダリングでは困難であった,ディテールの表現とユーザの制御性を大きく向上させることができた.また,既存APIを活用することで,実装が容易かつ実行速度は高速であり,充分なリアルタイム性を提供できる.更に,本手法の要求する粒子属性の個数は少数であるため,特定の粒子シミュレータに依存することなく,汎用的に用いることができる.
  • 高松 賢二, 金井 崇
    2011 年 40 巻 4 号 p. 549-557
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    物理法則シミュレーションにもとづく形状変形は,3DCGアプリケーションにおいて人間の肌や布のような弾性変形を表現するために利用される.なかでも,シェイプマッチング法2),6)は,弾性体のような動きを実現する高速かつ頑健な手法として注目されている.しかし,オリジナルのシェイプマッチング法では,体積が保存されないため,特にオブジェクトを伸縮したときに現実とはかけ離れた動きをする.そこで,本研究では,シェイプマッチング法を利用した体積保存変形手法を提案する.本手法により,高速かつ頑健な計算を維持しつつ,より弾性体に近い動きを実現する.また本手法は,格子状点群だけでなくより一般的な任意配置の点群にも適用できることを示す.
  • Hiroaki KAWATA, Takashi KANAI
    2011 年 40 巻 4 号 p. 558-567
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    In this paper, we propose a robust projection operator for noisy point clouds with outliers. The operator is an extension of Moving Least Square (MLS) projection and inherits its smoothing property. A key idea is to compute average positions and projection directions to prevent the influence of outliers. This is done by a kind of median-filtering operation. In all our experiments, our operator has been able to eliminate outliers well compared with previously-proposed projection operators, and is also able to reconstruct clean and smooth meshes from filtered point clouds.
  • 水上 嘉樹, 佐々木 克泰, 多田村 克己
    2011 年 40 巻 4 号 p. 568-577
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,現実感の高い三次元降雨アニメーションを実現可能な手法を提案する.提案手法は,以下の二つの特徴を持つ.一つは,シーンごとに異なる周囲環境の状況をそのまま反映した降雨景観画像を生成するための風の影響,降雨密度と強度,および色(明るさ)に関して,それぞれの時間的・空間的な局所性を表現可能としていることである.もう一つは,落下軌跡を追跡する雨粒数が雨粒の見かけの動きの複雑さに影響を受けずに画像を生成可能としていることである.視野変化を伴う降雨アニメーションを作成して,提案手法の有効性を示す.
  • 安東 遼一, 鶴野 玲治
    2011 年 40 巻 4 号 p. 578-586
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,事前に準備した参照画像を用いてブラシストロークを対話的に生成する手法を述べる.本手法では,参照される複数のブラシストロークは自動的に小さな断片画像に分解され,特徴量と共に記録される.生成されるブラシストロークは,これら断片画像を一次元のテクスチャ合成で組み合わせて生成される.提案手法は,既存の物理シミュレーションやピクセル単位の画像合成手法と比べ,計算コストが少なく,様々な筆を再現可能である.更に,流体力学を用いた顔料の移流や,クベルカ-ムンクモデルに基づいた顔料の混合色を計算することで,写実的な画像も生成可能であることを示す.評価実験では,油絵具や水彩画,木炭画,パステル画材が再現され,有効性が示されている.また,口紅や指など画材以外の媒体へも適応可能であることが確認できた.
  • Guangzhe ZHAO, Takafumi MARUTANI, Shoji KAJITA, Kenji MASE
    2011 年 40 巻 4 号 p. 587-596
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    Pedestrian protection is a crucial component of driver assistance systems. Considering all the available cues for predicting the possibility of collision is very important. The direction in which the pedestrian is facing is one of the most important cues predicting where the pedestrian may move in future. In this paper, we address the problem of single-frame pedestrian orientation estimation in real-world scenes with a single camera from a moving vehicle. We present a novel approach to determine the pedestrian' orientations using cascade orientation estimation, by exploiting the head orientation by a multi-Bayesian model.
    Experiments on a large amount of real-world data show a significant performance improvement in octant orientation estimation of about 64% accuracy by head orientation consideration, compared to one vs. one and one vs. all multi-class classification methods.
  • Luis R. SAPAICO, Masayuki NAKAJIMA, Makoto SATO
    2011 年 40 巻 4 号 p. 597-608
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    We propose a vision-based Human-Computer Interface for Text Entry. The system uses a web camera for detecting tongue protrusion gestures, which are interpreted as the signals of International Morse Code. These gestures can be generated independently; hence, the traditional 3:1 ratio between dashes and dots can be disregarded. Employing Morse code for text entry requires memorizing it in advance. In this paper, users are provided with a Visual Chart where input characters are displayed on the screen. Navigating the chart in order to select a character matches perceptually the position of the tongue gestures. Thus, without previous knowledge of Morse code, users are able to start typing just by looking at the screen. Furthermore, the proposed interface allows learning the code by associating it with the tongue actions, while already obtaining tangible results. The Text Entry protocol consists of Timers that can be adjusted according to the level of expertise of users. The best text entry rate obtained was 2.54 WPM. We also provide a method to calculate theoretical speeds, which indicate the lower bound for the speeds obtained in practice. Finally, the Visual Chart contains 30 characters; however, it is possible to expand it in order to encode more information while maintaining the same text entry protocol.
ショートペーパー
  • 岡林 慶, 檜垣 徹, Bisser RAYTCHEV, 玉木 徹, 金田 和文, 曽根 隆志, 木内 良明
    2011 年 40 巻 4 号 p. 609-614
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,眼底の三次元形状を再構成するために,放射状にスキャンした眼底断面画像群の位置合わせ手法を提案する.Optical Coherence Tomography (OCT)を用いて眼底をスキャンする際に眼球運動により生じる位置ずれを,本手法では眼球運動を考慮し,断面画像をRoll-Pitch-Yawの回転パラメータを用いて位置合わせする.また,実際の三次元形状を正確に再現するために,視神経乳頭形状を考慮した目的関数を導入する.眼底モデルと,OCTによる眼底断面画像をそれぞれ用いて位置合わせ実験を行った結果,従来手法より高精度な三次元形状が得られた.
論文
  • 山崎 和博, 森 純一, 齋藤 悠司, 長谷川 修
    2011 年 40 巻 4 号 p. 617-630
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,グラフベースな手法を用いて時間方向の安定性を考慮したSuperpixel算出手法を提案する.Superpixelとは輝度や色などの性質が相対的に似ている複数のピクセルをまとめた小領域であり,近年,物体認識などの分野において認識精度向上や処理時間短縮のために利用されている.Superpixelを動画像から算出する場合,処理結果が時間方向に安定していることが望ましいと考えられ,また,Superpixel算出結果として得られる領域には,画像の局所的な性質ではなく大域的な性質をとらえていることが望まれる.以上の性質を実現するために,既存の手法をもとに対応点の推定を行うことで,時間方向に安定したSuperpixelを算出する手法を開発し,人工画像を用いた定量評価により,既存の手法と比較して提案手法が最も時間方向に安定していることを確認した.
  • 萩原 義裕, 及川 慶紀, 萩原 由香里, イミティ アデルジャン, 三好 扶, 西川 尚宏
    2011 年 40 巻 4 号 p. 631-641
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    テンプレートマッチングは,二つの画像間の対応点探索やパターン認識などに有効な手段であるが,オクルージョン,影,ゆがみなどの影響によりマッチングミスを生じやすいという問題がある.これは対応点探索を行う際,テンプレートサイズを固定しているため,探索対象画像によってテンプレートの持つ情報量が必要以上であったり不十分であったりするためである.つまり,探索対象画像によってテンプレートサイズを調整できればよりよい結果が得られる.本稿は,テンプレートとは無関係な誤対応の分布がχ2分布になる性質を利用して,画像中の局所領域ごとに最適なテンプレート画素数が得られることを示し,適応的にテンプレートを選ぶことによりマッチングの精度を向上させる方法を提案する.実験の結果,本手法の精度は,試行錯誤により十分にチューニングされた従来手法と同等またはそれ以上であり,提案手法はチューニングが必要ないためより有用であることが確認された.
  • 北村 和男, 高地 伸夫, 金子 俊一
    2011 年 40 巻 4 号 p. 642-649
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    我々は,地上据え置き型レーザスキャナ(Terrestrial Laser Scanner: TLS)から得られた点群データを用いて,測定対象物のモデリングや図面を作成する方法について研究している.対象物をTLSで計測する場合,裏面やオクルージョンを考慮してTLSを複数箇所に移動させて計測している.そのため対象物の図面やモデルの作成には,複数の視点からの点群データを位置合わせするレジストレーション処理が必要となる.そこで我々は,既に開発している1視点の点群データから特徴抽出する手法を適用し,得られた面などの特徴を用いて効率よくレジストレーションする手法を開発した.ここでは特徴抽出とレジストレーションの手法,実際のデータを用いて提案手法の有効性を示す.
  • 鈴木 章, 木村 義政, 嶌田 聡, 米村 俊一, 森本 正志
    2011 年 40 巻 4 号 p. 650-659
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    遺伝的アルゴリズム(GA)を用いた文字認識のための特徴選択において,特徴のみならず標準パターン作成に使用する学習サンプルをも選択する方法について提案する.本手法では,識別に使用する特徴と学習サンプルを染色体を構成するビットに割り当てる.各カテゴリーの標準パターンは選択された学習サンプルによって作成するが,適応度は全学習サンプルに対する識別率とする.GAは特徴と学習サンプルの膨大な組み合わせの中から識別率を高める準最適な組み合わせを発見する役割を演じる.5種類の類似手書き漢字カテゴリー対を用いた識別実験において,特徴選択と学習サンプル選択を同時に行う提案法は特徴選択のみを行う従来法に比べて識別率が向上する結果を得た.
  • 常盤 公徳, 福江 潔也, 松前 義昭
    2011 年 40 巻 4 号 p. 660-670
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    法科学(科学捜査)分野における筆者異同識別は,テキスト依存のオフライン型筆者照合の代表的応用分野の一つである.しかし,いまだ研究開発段階にとどまっており筆者鑑定に利用されているという状況に至っていない.本研究では実用化を念頭に,字形を表すごく基本的で安定的に抽出可能な字画の始筆部・転折部・終筆部からなる特徴点群の配置パターンに基づき,代表的な統計的識別法の一つである最大尤度法を用いて異同識別を行うシンプルな識別システムを提案する.筆跡に関して限られた特徴のみに基づいて識別を行うにもかかわらず,特徴点群に対して均一で平易な幾何学的変換を前処理として施すことにより,個人内変動を抑制することが可能であり,それによって識別精度が実用化レベルに向上することを被験者320人の識別実験で確認した.
  • Dongzhu YIN, Yoshihiro SUGAYA, Shinichiro OMACHI, Hirotomo ASO
    2011 年 40 巻 4 号 p. 671-678
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    Using color information can significantly improve the face recognition rate instead of using the grayscale luminance image. However, there are few works that try to compare the color space models on face recognition. In this paper, we investigate thirty different color space models on face recognition using the classical principal component analysis (PCA). Through the extensive experiments we find that after successfully diminishing the influence of the illumination the recognition accuracy can be improved by 4.6∼5.5 percent points.
  • 村瀬 真隆, 斉藤 文彦
    2011 年 40 巻 4 号 p. 679-686
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    撮影で得られた画像のコントラストが良好でないとき,その画像はソフトウェアによるコントラスト改善が有効である.濃度線形変換法とヒストグラム均等化法は,入力画像の濃度分布に基づく従来のコントラスト改善手法として提案されている.しかし,従来手法では画像の空間的特徴を用いてないため,コントラスト改善が不十分や不自然になる場合がある.画像の空間的情報として濃度微分ヒストグラムを用いた手法がある.この方法は,画像全体では良好な結果を得ることができるが,画像の細部では劣化する場合がある.本研究の目的は画像全体と細部の双方のコントラストを改善させる.本稿では,空間的特徴,画像分割,線形補間を使ってコントラスト改善手法を提案する.最初に,画像を幾つかのブロックに分割する.各々のブロックで濃度微分ヒストグラムからLUTを作成する.最後に,各々の画素で線形補間を用いて近傍の四つのLUTから出力濃度値を求める.提案手法は,実験の結果から有効で自然な結果を示した.
  • 顧 飛, 中田 崇行, 包 躍
    2011 年 40 巻 4 号 p. 687-694
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    テレプレゼンスに代表される遠隔地の情景の取得および提示は,自由に見回しができ,立体視ができることが望まれる.従来の立体視可能な自由視点撮影法としては,複数台のカメラを使用するものと数枚の写真を撮影し中間視点の画像を生成するものがあった.しかし,前者は,高価かつ複雑なシステムであり,後者は,オクルージョンにより情報が欠けるという問題がある.本稿は,1台のカメラと1枚の回転ミラーから構成される回転式カメラシステムを用い,全方位自由視点立体画像を生成する手法を提案する.回転ミラーによって全方位に得られた多数の撮影画像を用いて,自由視点の立体画像を生成するため,複数の自由視点立体画像を同時に生成可能である.提案手法の有効性は,試作システムを用いた検証実験により確認された.
  • 高濱 敦, 赤羽 克仁, 佐藤 誠
    2011 年 40 巻 4 号 p. 695-701
    発行日: 2011/07/25
    公開日: 2012/03/01
    ジャーナル フリー
    任意の画像に対して,材質感に違和感がなく,情報の理解力を向上させることが可能な画像可触化手法を提案する.力覚インタフェースを用いて可触化を行うためには,インピーダンス情報などのパラメータ値が必要になるが,それらの適切な値を画像情報のみから生成する手法は,これまで考えられていなかった.そこで,本稿では,画像の色とエッジ情報を用いて,画像の意味を理解することなく,自動的に適切なパラメータ値を設定することが可能な画像可触化システムを開発し,提案手法の有効性を検証した.
技術解説
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