画像電子学会誌
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43 巻, 4 号
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新たなコミュニケーションを切り拓く2D・3D画像電子関連技術 論文特集号
論文
  • 児玉 明
    原稿種別: 論文
    2014 年 43 巻 4 号 p. 499-507
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2015/11/06
    ジャーナル フリー
    動画コンテンツ配信システムにおいて,動画検索手法は,必要不可欠な技術の一つである.本研究では,動画検索として特に動画特定に着目する.従来手法として,動き算出処理を考慮し,符号化済みの動きベクトルを利用した量子化動きベクトルヒストグラムによる動画特定法(手法(b)) が検討されている.しかし,特徴量が膨大で,処理の高速化に課題があった.そこで本稿では,本手法に対する高速化を目的とし,符号化動きベクトルからノルムと動き方向グループを分解算出した,各ヒストグラムによる特定手法(手法(c),(d)) を利用する.次に,各ヒストグラムを段階的に利用した高速化手法を提案する.シミュレーション実験により,手法(b) における特定精度について考察し,この性能を満たすべき最高精度とした.手法(c), (d) において,有意な特徴量がある動画クエリに対して,特定可能であることを確認した.また,高速化検証実験により,提案高速化手法(e) が手法(b) と同じ特定精度で,約2.27 倍の高速化が図れ,検索処理速度の向上効果とその応用例について考察した.今後の課題として,本手法の大規模データベースに対する詳細な検討が挙げられる.
  • 岩切 宗利
    原稿種別: 論文
    2014 年 43 巻 4 号 p. 508-515
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2015/11/06
    ジャーナル フリー
    インターネットやWAN (Wide Area Network) などの広域なディジタル通信網の整備は,付加価値の高い電子情報をいつでもどこでも入手し,利用できる社会を実現しつつある.情報を広域に分散配置する情報分散システムは,情報資源の有効活用などの観点から優れており,膨大な情報を効率よく管理できるものとして実用化されている.本論文は,情報分散システムに冗長化の概念を導入することより,情報の著作権や利用権を管理する方式を提案し,その特性に関する考察を示したものである.提案方式は,情報復元に用いる分割情報の組とその処理過程を利用して,情報開示状態の制御や利用者識別を容易に実現できるものである.その利用者識別能力は,情報復元過程に分割情報を重畳させる情報交叉の概念を導入することにより大幅に向上できる.
  • 児玉 明
    原稿種別: 論文
    2014 年 43 巻 4 号 p. 516-524
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2015/11/06
    ジャーナル フリー
    近年,様々なモバイルデバイスの普及により,ネットワークを介した映像利用が多くなってきており,映像配信の高効率化を図るために,映像キャッシュ配信方式が検討されている.利用頻度を品質独立の優先度算出に利用した場合,高品質データ (H) 利用時に低品質データ (L) を必須とする階層データの復号条件が存在するため,Hの利用がL の利用よりも多い場合,キャッシュ配信用映像管理効率低下の課題があった.そこで本研究では,品質利用条件を考慮した映像管理方式 (m2)を提案した.本手法は,Lに対してHの利用頻度を加算する方法である.従来手法として,品質独立型管理方式 (m1),L重み付け手法として,順位シフト法 (m3)を利用した.また,各品質の伝送量を低減する改善手法(m1', m2', m3') を定義した.さらに,品質利用条件に対する提案方式の有効性について考察した.L, Hのデータ量に対する各手法のキャッシュ効率について比較した.実験結果より,m2'が最も有効であり,品質従属条件とデータ量の考慮が重要であることを確認した.次に,2段階キャッシュ手法を利用して,品質変動の有無に対する管理方式の効率について考察し,提案手法が有効であることを示した.
  • 奥木 翔平, 菅谷 至寛, 大町 真一郎
    原稿種別: 論文
    2014 年 43 巻 4 号 p. 525-533
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2015/11/06
    ジャーナル フリー
    サイバーフィジカルシステム (Cyber Physical System) の取り組みにより,実空間を経由可能な情報ハイディング技術への期待が高まっている.一方で,実空間文字認識の精度向上のため,文字パターン自体に認識を補助する付加情報を埋め込むというアプローチの研究が行われている.この際,文字パターンのデザインを大きく変えてしまうと,人が見た際に不自然さを感じたり,読みやすさを損ねてしまったりするおそれがある.そのため,人間の目で見て自然であり,かつカメラでは正確に読み取れる付加情報埋め込み手法が求められる.本論文では,人間の眼が輝度変化と比較して色変化に鈍感であるという性質に着目し,人間が視認しづらい範囲の色変化を用いて階層的に付加情報を埋め込むことで認識精度を改善する手法を提案する.
  • 岩切 宗利, 宗石 和久
    原稿種別: 論文
    2014 年 43 巻 4 号 p. 534-542
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2015/11/06
    ジャーナル フリー
    劇場や映画館などで盗撮された映像コンテンツ再配布は,著作者等の利権を侵害するものとして大きな社会問題になっている.その対策である電子透かし技術は,電子的な著作物の著作権を証明するために検討されてきた.電子透かしは,著作権の存在を示す手段として有効であるが,盗撮者の特定には利用できない.本論文は,劇場や映画館などで盗撮され,不正に配布されている映像から,盗撮者の撮像位置を推定する技術とその評価結果を示したものである.提案方式は,映像から得た空間座標既知の特徴点を用いて,盗撮者の撮像位置を推定する手法である.本方式に関する評価結果は,提案方式により盗撮位置を正確に推定できることを示した.盗撮位置推定の可能性は,個人特定を恐れる不正者にとって脅威であり,盗撮行為の抑止にも有用と考える.
  • 本多 健二, アニューシャ ジャヤシリ, 赤羽 克仁, 佐藤 誠
    原稿種別: 論文
    2014 年 43 巻 4 号 p. 543-549
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2015/11/06
    ジャーナル フリー
    一般的に利用されている任意の動画像を違和感なく,かつ手軽に可触化するシステムを提案する.可触化のためのデバイスはこれまでにいくつか提案され,市販されてはいるものの,依然として高価であり研究用途に限られている.このような状況において,我々はこれまで,手軽に力触覚を伴うインタラクティブシステムが構築可能なハプティックデバイスSpidar-mouseを提案してきた.本研究では,Spidar-mouseを用いて,動画像における対象の動き情報を力覚パラメータとして設定することで,任意の動画像に対して違和感のない可触化を手軽に実現するシステムを開発し,提案システムの有効性を検証する.
  • 堀田 富宝, 岩切 宗利
    原稿種別: 論文
    2014 年 43 巻 4 号 p. 550-558
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2015/11/06
    ジャーナル フリー
    3Dセンシング技術の進展と普及により,取得した3次元点群から空間情報を分析し,理解する手法の需要が高まっている.従来の2次元画像の特徴抽出手法を3次元空間情報の一種である距離画像に適用する手法は,値の変化が顕著な箇所を特徴抽出するため,3次元幾何形状を捉える目的には利用できない.
    本論文では,3次元点群上の法線ベクトルの変化を内積値とその分布で評価する特徴付け手法を提案する.数値シミュレーション及び実測値の結果から,提案方式の特徴付け手法は,ノイズやオクルージョンによる点群の欠損に強く,他の手法に比べて有用であることがわかった.
  • 長原 一, 中村 勇太, 井手 佑人, 谷口 倫一郎
    原稿種別: 論文
    2014 年 43 巻 4 号 p. 559-567
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2015/11/06
    ジャーナル フリー
    近年,映画やテレビなどの視覚メディアをはじめとして様々な分野で3次元や自由視点画像表示が盛んに応用されている.しかしながら,これら自由視点映像表示には,膨大な数の多視点入力画像を取得する必要がある.このような多視点入力画像は,撮影機材が高価であるとかデータ量が膨大で扱いにくいという問題があるが,そのデータは本質的には冗長で無駄が大きいことが知られている.本研究では,自由視点提示のための効率的なデータ取得を目指して,画像データの削減と内挿によるデータ補償を考える.実際にカメラアレイの視点数や解像度の異なる入力画像を想定し,内挿により高解像度で密な多視点画像の生成を行った.生成した画像をPSNRやSSIMを用いた客観画質評価および被験者を用いた主観画質評価により評価することで,撮影データ量と画質のトレードオフの関係を調べた.
論文
  • 高地 伸夫, 佐々木 剛, 北村 和男, 金子 俊一
    原稿種別: 論文
    2014 年 43 巻 4 号 p. 571-578
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2015/11/06
    ジャーナル フリー
    本論文では,ロバストかつ正確(高精度,高密度)に形状を再構築する新しいエリアベースのステレオマッチング法について述べる.我々の目標はエッジを含む対象物の形状を面的に正確に再構築することである.そのためには,急峻なエッジを持つ形状をいかに再構築するか,という課題に対処する必要がある.エリアマッチング法はエリア領域をテンプレートとしマッチングを行うため,急峻なエッジ周辺の形状を正しく再構築できない.さらに左右ステレオ画像上の対応するエッジの不連続性や不一致はマッチング処理をより困難にする.これらの課題を克服するため,本研究では視差と確実な直線エッジを利用し,抽出した3Dエッジをエリアベースマッチングに組込み統合し,左右形状の違い,明度変動,オクルージョンにロバストなステレオマッチング法を提案する.本方法は,視差推定,エッジマッチング,拡張エッジTIN-LSM法(エッジサーフェスマッチング),と3段階に分かれる.エッジ抽出には既提案手法を適用したので主に視差推定とエッジを統合したエリアベースのサーフェスマッチング処理について説明した後,提案法の性能の有効性を確認した結果についてその詳細を報告する.
  • 谷 育馬, 横井 昭, 佐治 斉
    原稿種別: 論文
    2014 年 43 巻 4 号 p. 579-587
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2015/11/06
    ジャーナル フリー
    近年,自動車の普及により交通量は増加の傾向にあり,素早く正確に道路交通情報を収集することが重要となってきている.本研究では,一台のビデオカメラによって道路を交差点斜め上から撮影した動画像を用い,車両の位置と動きを検出し俯瞰図として表示する手法を提案する.本手法では,車両の形状モデルを利用し,画像と路面間の幾何学変換により求められた消失点と消失線から,簡易な計算により車両モデルの位置を決定する.そして,その位置情報をデジタル地図へ投影することにより,動画像の各フレームにおける車両の位置を俯瞰図として示す.
  • 徐 咏馳 , 周 世生, 徐 錦林
    原稿種別: 論文
    2014 年 43 巻 4 号 p. 588-594
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2015/11/06
    ジャーナル フリー
    紙を基材とした印刷物の色再現は,大まかには紙の光反射とインキの透過光に対する選択吸収に依存する.紙に塗布したインキ層を紙から完全に分離することは困難であり,インキ層の透過率及び厚さを正確には測定できないため,印刷物のインキ層透過率の精度の良い表現モデルはこれまでに存在していない.本研究では,紙へのインキの浸透を無視し,単色ベタ印刷物を紙層とベタインキ層とを積み上げた二層媒体と考え,このインキ層を単色インキがベタ印刷された透明フィルムで置き換えてシミュレートする.まず,透過ヘイズを導入して,インキ層における光の散乱特性を定量的に測定する.続いて,上層媒体からの透過光を平行光と散乱光とに分解する.最後に,重ね合わせの原理を利用して,この2つの光の紙への透過の影響を合成して,フィルム上のインキ層と紙とを積み上げた二層媒体の透過率モデルを提案する.これにより,この二層媒体の透過率,特に紙に積み上げられた上層媒体の透過率予測を可能とし,本モデルとKubelkaの二層媒体モデルのそれぞれの予測値を実測値と比較し,本モデルの方が精度がよいことを確認した
ショートペーパー
  • 吉田 大海, 飯國 洋二
    原稿種別: ショートペーパー
    2014 年 43 巻 4 号 p. 595-598
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2015/11/06
    ジャーナル フリー
    本稿では, 高速化ブランケット法によるフラクタル次元をテクスチャ領域の評価に用いた, クラック検出を目的としたレーザー画像の2値化法を提案する. 本稿で扱うレーザー画像は, 道路面にレーザー光を当て,その散乱光を計測することにより取得する道路面画像である. レーザー画像は, 光学カメラで取得した画像に比べて, 取得時の照明条件の影響を受けにくく, またクラックの深度が深いほどその領域の輝度値が低くなるという特徴がある. ただし道路面画像は, 道路表面の凹凸がテクスチャ領域となって画像に出現するため, 道路面画像からのクラック検出を行う場合はテクスチャ領域への対応が必要となる. 従来のクラック検出方式は, その多くがコンクリート構造物を対象としているため, 道路表面の凹凸がつくるテクスチャ領域を考慮していない. したがって, 従来のクラック検出方式では道路面画像を対象とした場合は有効な結果が得られない. 提案法は, テクスチャ解析方式であるブランケット法を用いることで, 2値化後の画像にノイズ領域となって出現するテクスチャ領域の割合を評価することができる. その評価において, ノイズ領域の割合が少なくかつ輝度が低い2値化しきい値を選択することで, レーザー画像を有効に2値化することができる. 実験では, レーザー画像を対象とした2値化実験を行い, 従来法と比較して提案法の有効性を示す.
  • 小桐 康博, 松岡 茂登
    原稿種別: ショートペーパー
    2014 年 43 巻 4 号 p. 599-604
    発行日: 2014/09/30
    公開日: 2015/11/06
    ジャーナル フリー
    本論文ではH.264/AVCによって符号化されたビデオストリームを復号する際にフレームごとに抽出される予測残差信号と可変ブロックから歩行者数をリアルタイムに推定する手法を提案する.これまでの手法はビデオストリームから特徴点を一旦別処理で抽出後,クラスタリングや統計手法によって人数推定を行っており,リアルタイム処理には不向きであった.提案手法は, H.264/AVCによって符号化されたビデオストリームを復号する際に抽出される予測残差信号からフレームごとに回帰分析を用いて歩行者数を推定し,フレーム内の可変ブロックを参照して歩行者数を補正するところに特徴がある.評価ビデオストリームには,標準的に背景差分や人物追跡で使われるPETS (Performance Evaluation of Tracking and Surveillance) 2009のデータセットを用いて,従来手法と同等の性能が得られ,かつリアルタイムに推定できることを確認した.
連載技術解説
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