本稿では, 高速化ブランケット法によるフラクタル次元をテクスチャ領域の評価に用いた, クラック検出を目的としたレーザー画像の2値化法を提案する. 本稿で扱うレーザー画像は, 道路面にレーザー光を当て,その散乱光を計測することにより取得する道路面画像である. レーザー画像は, 光学カメラで取得した画像に比べて, 取得時の照明条件の影響を受けにくく, またクラックの深度が深いほどその領域の輝度値が低くなるという特徴がある. ただし道路面画像は, 道路表面の凹凸がテクスチャ領域となって画像に出現するため, 道路面画像からのクラック検出を行う場合はテクスチャ領域への対応が必要となる. 従来のクラック検出方式は, その多くがコンクリート構造物を対象としているため, 道路表面の凹凸がつくるテクスチャ領域を考慮していない. したがって, 従来のクラック検出方式では道路面画像を対象とした場合は有効な結果が得られない. 提案法は, テクスチャ解析方式であるブランケット法を用いることで, 2値化後の画像にノイズ領域となって出現するテクスチャ領域の割合を評価することができる. その評価において, ノイズ領域の割合が少なくかつ輝度が低い2値化しきい値を選択することで, レーザー画像を有効に2値化することができる. 実験では, レーザー画像を対象とした2値化実験を行い, 従来法と比較して提案法の有効性を示す.
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