画像電子学会誌
Online ISSN : 1348-0316
Print ISSN : 0285-9831
ISSN-L : 0285-9831
46 巻, 4 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
随想
ビジュアルコンピューティング論文特集号
論文
  • 鈴木 菜摘, 中田 洋平
    原稿種別: 論文
    2017 年 46 巻 4 号 p. 498-509
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    本論文では,特定オブジェクトの誘目性を向上させる際に,適切な画像加工を行うエフェクト列を自動選択する方法を提案する.提案手法では,デザイナーや画像加工担当者が頻繁に利用するエフェクトの中から,画像加工に用いるエフェクト列を構成する最適化問題を考える.この最適化問題では,視覚的顕著性マップにより目的関数を算出し,加工前後の画像間の距離に関する制約条件を設ける.その解法として,貪欲法に基づく発見的解法を用いる.これにより,現実的な計算時間で過度な違和感を生じずに特定オブジェクトの誘目性を向上させることが期待できる.検証のために,提案手法を16枚の画像例に適用する.また,アンケートによる主観的評価や注視点測定システムによる客観的評価により,提案手法により得られた加工画像を検証する.
  • 辻 広生, 福水 洋平, 道関 隆国, 山内 寛紀
    原稿種別: 論文
    2017 年 46 巻 4 号 p. 510-521
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    防犯カメラにより撮影された顕著な照明光成分の偏りを有する複合劣化ナンバープレート画像の文字認識精度を改善し,かつ人の視覚特性にも適合する輝度値補正手法が求められている.この要求に沿った輝度値補正を行うため,サポートベクター回帰をRetinexモデルにおいて適用する手法を提案する.提案手法は,顕著な照明光成分の偏りに対応するためサポートベクター回帰を用いて従来のRetinex処理よりも正確に照明光成分を推定し輝度値補正精度を改善する.提案手法の有効性を確認するため,実写画像に複合劣化を付与した画像を実験用画像とし,正規化相互相関による劣化文字認識精度実験を行った結果,提案手法における正答率は従来のRetinex処理における正答率よりも最大で約39パーセント高い値となった.また提案手法を適用した画像は従来のRetinex処理を適用した画像よりもHalo が低減し,提案手法は,少なくともHalo の観点で従来のRetinex処理よりも視覚的に自然な画像を復元した.さらに実環境で撮影された防犯カメラ画像を対象とした場合においても提案手法は従来のRetinex処理よりも優位性があることを確認した.また輝度値補正手法を畳み込みニューラルネットワークによる文字認識に応用した場合においても提案手法は従来のRetinex処理よりも有効であることがわかった.
  • 上原 啓, 斎藤 英雄, 原 孝介
    原稿種別: 論文
    2017 年 46 巻 4 号 p. 522-532
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    本論文では,線分特徴の事前分布を考慮した自動運転車のためのSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)を提案する.提案手法は,道路標示や建物など,線分を検出しやすい物体が存在する都市環境を走行する車両に搭載されたカメラにより撮影される動画像を入力とすることを前提とし,この動画像から検出される線分特徴の方向に関する制約を加えることによりSLAMの精度を向上させるものである.線分特徴の方向に関する制約を加えるため,本手法では道路標示中の線分が車両進行方向に対して平行,もしくは垂直であるものが多いことに着目し,それら2つの線分間の角度分布が混合ガウス分布に則ると仮定し,バンドル調整による最適化に導入する.これにより,カメラの位置姿勢と線分特徴の位置推定の精度を高めることが期待できる.本手法の有効性を確かめるため,カメラを1つ用いたシングルカメラシステムと,2つ用いたマルチカメラシステムの両方に提案手法を適用し精度検証を行った.その結果マルチカメラによる従来手法の精度と,シングルカメラによる本手法の精度が同等となった.また提案手法により生成した路面地図は,線分の方向に関する制約を導入したことにより補正され,精度向上を確認した.
  • 小澤 禎裕, 谷田川 達也, 久保 尋之, 森島 繁生
    原稿種別: 論文
    2017 年 46 巻 4 号 p. 533-546
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    表面下散乱を考慮したレンダリングは,写実的なCGを作成するうえで不可欠である.しかし,表面下散乱を物理的に正しく扱う場合,半透明物体中を進む様々な光の経路を考慮する必要があり,この経路の多さが半透明物体の高速なレンダリングを難しくしている.物体がそれほど透けておらず,多重散乱光が支配的となる材質を仮定したとき,表面下散乱光の寄与は光路が長くなるにつれて急激に小さくなることが知られている.この観察から,半透明物体内部を最短の光学的距離で透過した光ほど,レンダリング結果に対して視覚的により重要であると考えられる.そこで入射光の強度および光学的最短距離の2つを考慮し,最も明るさの寄与が大きくなる表面下散乱光ただ1つを用いて物体表面上の輝度を推定する.本稿ではこれを寄与最大経路と呼び,この経路ただ1つを用いて物体表面上の輝度を推定する.本手法は,寄与最大経路を通った表面下散乱光は視覚的に大きな重要度を持つという経験則に基づく手法である.このような寄与最大経路1 つから表面下散乱光を計算することで,物理的な正しさは保証されないものの,もっともらしいレンダリング結果をリアルタイムに得ることができる.特に,物体内部を考慮した光路の計算コストは非常に高いが,本手法では考慮する経路の本数を限定したことにより,内部に異なる材質の半透明物体が含まれた物体を実時間にレンダリング可能とした.
  • 金澤 功尚, 田邉 竜馬, 森谷 友昭, 高橋 時市郎
    原稿種別: 論文
    2017 年 46 巻 4 号 p. 547-558
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    写実的な自然景観の表現はコンピュータグラフィックスコミュニティでは最も挑戦的な分野の一つである.特にウェザリング(風化)は,そのようなシーンを合成するための重要な要素である.本論文ではウェザリング現象の一つである金属腐食の外観を再現するための手続き的テクスチャ合成手法を導入する.本手法では,一種のセルオートマトンを用いて金属の腐食過程のシミュレーションを行う.このセルオートマトンを構成する各セルは,金属,腐食,染みの三つの状態をとり,腐食や染み状態のセルは各タイムステップにおいてその状態を3Dモデルの形状を考慮した確率的モデルに基づいて近傍の領域に拡散する.そして,各タイムステップにおけるセル全体の状態を可視化することで,経時的な腐食過程を模した一連のテクスチャ画像のセットを得ることができる.本手法の効果を検証するため,平面,半円筒,バニー,フランジ付きパイプなどいくつかの3Dモデルの経時的な腐食過程をシミュレートした例を示す.
ショートペーパー
  • 宮本 龍介, 横川 拓, 大木 琢郎, 四方 博之, 原 晋介
    原稿種別: ショートペーパー
    2017 年 46 巻 4 号 p. 559-567
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    従来のセンサネットワーク技術のみでは不可能であった運動中の人物のバイタルセンシングを可能とするために,画像情報を用いたルーティングの実現を目指している.本稿では,上方から撮影された画像を用いることにより,このルーティングに必要となる高精度な人検出の実現を目指す.実際に撮影されたスポーツシーンから得られた位置情報を用いて作成されたCGによるデータセットに対して,Informed-Filtersによって構築された色特徴のみを用いた検出器によるスライディングウィンドウ方式の検出を行った結果,FPPIが0.1の場合であっても約0.83%のミスレートであるという極めて高い検出精度を達成できることが確認できた.
論文
  • 大井 翔, 池ヶ谷 剛, 佐野 睦夫
    原稿種別: 論文
    2017 年 46 巻 4 号 p. 570-578
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    近年,ウェアラブルカメラを用いた行動認識が盛んである.ウェアラブルカメラを用いることにより簡単に人間の行動情報を取得することができる.本論文では,ウェアラブルカメラにより撮影された一人称視点映像に着目し,特に日常生活に欠かせない調理動作を認識する手法を提案する.具体的には,一人称視点映像から手の軌 跡・移動方向ヒストグラムを算出し,調理動作を認識する.始めに軌跡データを固有空間へ変換し,固有空間上の軌跡データに対する主成分の分散と軌跡の長さから決定木により大まかな分類を行う.分類後,連続DPマッチングを用いて,調理動作の認識を行う.しかし,連続DPマッチングではデータの系列情報の類似度の計算は可能であるが,方向成分に対する手の移動量は不明である.そこで,移動方向ヒストグラムを導入する.移動方向ヒストグラムは手領域のオプティカルフローから算出し,手の移動方向を16,32分割しヒストグラムを作成し,k-Nearest Neighbor, Support Vector Machine,Neural Networkそれぞれの識別関数により識別を行った.結果として,軌跡データのみで46%,移動方向ヒストグラムのみで73%,両方のデータを組み合わせて84%の識別率であり,提案手法の有効性を確認した.
ショートペーパ―
  • 田村 徹, 平野 寿宗
    原稿種別: ショートペーパー
    2017 年 46 巻 4 号 p. 579-584
    発行日: 2017/10/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    観察者から見て異なる視距離に置かれた2枚のディスプレイ上の対応する位置に物体を表示する.その際に,2枚のディスプレイ間の表示輝度比に対応した位置に物体像を知覚する.この立体錯視をDepth Fused 3D錯視と呼ぶ.この錯視現象を利用した3Dディスプレイ(Depth Fused 3D Display)用の立体画像をリアルタイム生成する方法について検討したので報告する.本研究ではカメラと物体までの距離を安価で簡便に測定できるKINECTを距離情報取得用デバイスとして用いた.また,Depth Fused 3D錯視による立体像が良好に知覚されるためには,前後の画像が観察者の顔位置から重なって表示されることが必要である.本研究では,Haar-like特徴と学習結果,肌色画素の割合と顔候補領域の大きさを用いることで観察者の顔位置を良好に追跡し,顔位置をもとに前後画像の位置を補正する方法を示した.
講座
連載技術解説
スキャニング
feedback
Top