本論文では,Maxoutフィルタネットワークを用いて印刷文書に書き込まれた手書き文字を抽出する方法を提案する.文書画像処理において,印刷された文字とメモ書きなどの手書き文字が混在している文書画像から,手書き文字のみを抽出することができれば,原印刷物の復元,メモ書きの編集及びテキスト化などが実現できる.本論文では,手書き文字を抽出するために,Maxout活性化関数によって構成されたネットワークを適用する.Maxoutフィルタはモフォロジカルフィルタの拡張であり,形状に関するフィルタリングの能力を持つ.本論文では,手書き文字の抽出を目的として,従来のMaxoutフィルタネットワークを改良し,出力段で入力データとネットワークの出力を比較してその最大値を出力する新しいネットワーク構成を導入する.加えて,複数の記入者に対応するために,記入者ごとに入力データとネットワーク出力との二乗誤差の勾配の平均を計算し,パラメータを学習するバッチ学習を導入する.実験では,従来のMaxoutネットワークとの比較を行い,有効性を確認している.
ビジュアル情報処理研究合宿(以下,本合宿)は,ビジュアル情報処理分野を始め,情報処理に関する研究を行う学生を幅広く対象とした研究合宿である.本年度で18回目の開催を迎えた本合宿は,全国の学生有志が中心となって企画の考案から当日の運営までを行い,参加学生にポスターセッションやグループワークを通して,研究に関する活発な議論や交流の場の提供を目的としている.本年度は,2018年9月22–24日に埼玉県県民活動総合センターで実施した.今回は「研究を,はじめよう」をテーマに掲げ,それに関連してポスターセッションではポスター発表者によるファストフォワード,グループワークでは論文サーベイの企画を新たに実施した.本稿では,本合宿の開催概要と当日の状況を報告し,合宿最終日に行った参加者へのアンケート結果を基に来年度の活動に向けた考察を行う.