日本小児科医会会報
Online ISSN : 2435-9270
Print ISSN : 0912-1781
62 巻
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
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原著論文
  • 秋谷 進
    2021 年 62 巻 p. 218-221
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/07
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    起立性調節障害(OD: orthostatic dysregulation)は小学生,中学生に多く認められる身体的疾患である。主訴である「朝起きられない」といった症状を養育者や教育者が正しく理解せず,患児を責める,罰を与えるといったマルトリートメントや自己評価の低下につながる恐れがある。起立性調節障害の診療には患児のみならず養育者の心理的ストレスを軽減し,家庭や学校における環境を調整するなど適正なアセスメントが大事である。

  • 宮崎 あゆみ, 五十嵐 登, 村上 美也子, 青木 真智子
    2021 年 62 巻 p. 222-229
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/07
    ジャーナル 認証あり

    【背景,目的】肥満児の急増を背景に1980年代から各地で始まった小児生活習慣病予防健診の全国調査を行って現状を把握し,今後のあり方を検討する。

    【方法】2019年5~7月に,全国815の郡市区医師会を対象に地元自治体での小児生活習慣病予防健診実施に関するアンケート調査を実施し,現状を把握した上で,健診に関する提言を行った。

    【結果】全国492郡市区医師会(60.4%)から回答があった。うち127医師会(24.8%)の地元で健診が行われており,重複を除いた123の健診に関して集計を行った。健診全体の6割以上に医師会が関与していたが,財源は105(85.4%)が自治体であり,多くが教育委員会主催であった。健診対象は特定学年の70%以上に実施(全員健診)が62(50.4%),肥満児のみ(肥満児健診)が28(22.8%)であった。実施場所は,全員健診のほとんどが学校であるのに対し,肥満児健診の多くが医療機関で,その半数以上が医療保険を利用していた。健診での精査基準は各地様々であった。学校,自治体,医師会などによる事後指導は55(44.7%)で実施されていた。

    【結語】小児生活習慣病予防健診は未だ全国の実施率が低く,全国レベルでの情報共有に乏しい。今後は情報共有を促進し,健診方法,基準等を検討した上で,先制医療の要と位置づけ,節目の学年全体を対象に健康教育の一環として実施することを提言したい。

  • 宮川 美知子, 伊藤 隆一, 林 泉彦, 辻 祐一郎, 津田 隆, 神川 晃, 佐藤 德枝, 沼口 俊介, 野間 清司, 宮下 理夫, 三澤 ...
    2021 年 62 巻 p. 230-234
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/07
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    いくつかの自治体で救急受診に際しての電話相談事業が活用され,軽症児(者)の救急外来受診や不急の救急車出動の抑制に効果を挙げている。代表的な事業は「#7119救急安心センター事業」と「#8000子ども医療電話相談事業」であるが,前者は総務省の所管,後者は厚生労働省の所管と異なる。運用状況も自治体によって違うことから,東京小児科医会小児救急部では,「日本小児科医会#8000情報収集分析事業ワーキンググループ」と相談・協力して,本会が#7119事業もしくは別番号で同様の事業を行っていると把握している19の自治体の小児科医会にアンケートを実施,運用実態を調査した。アンケートの回収率は100%で,集計の結果,消防庁などの行政が直接職員を雇用して運用している自治体は少なく,多くはその自治体以外に拠点がある民間業者に委託していることがわかった。また,1つの業者が複数の自治体から受託している場合もみられた。アンケート結果を検討し,各自治体内で抱える本事業運用上の問題点や課題,#8000との関係などを考察した。現在同様の事業を実施している地域や,今後#7119が行われる予定の地域への情報提供になると考えた。

  • 和田 紀之, 黒澤 サト子, 泉田 直己, 萩原 温久, 菅谷 明則, 牧野 郁夫, 沼口 俊介, 竹内 典子, 竹下 健一, 大楠 美佐子 ...
    2021 年 62 巻 p. 235-240
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/07
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    肺炎球菌結合型ワクチンが保育園児の上咽頭保菌に与える影響,水平伝播の状況について調査する目的で,2017~2019年度,足立区(3か所)と国分寺市(1か所)の保育園の年3回の保菌調査で,分離された肺炎球菌の血清型・薬剤感受性について調査を行った。

    2017年度,2018年度,2019年度の肺炎球菌分離株数は55株,69株,60株(うち1検体から2つの血清型株分離)であった。年度ごとの肺炎球菌分離率は,64~67%と大きな違いは認めなかった。13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)含有血清型は,2017年度2株,2019年度1株で,いずれも血清型3であった。PCV13非含有血清型である15Aは2017年度,2018年度に多く,また,無莢膜株が2018年度に多く分離された。2019年度は10Aと34,35Bが増加していた。保育園の中では,年度により同じ血清型が多数分離される傾向があり,水平伝播が示唆された。PCG MIC ≧ 2 μg/mLの株は,15株あり,血清型15A(5株),35B(3株),10A(4株),無莢膜株(3株)であった。同一の児から年複数回分離された血清型は7種類あり,そのうち34,10A,23Bは年間を通じて検出されていた。1~3回目の採取時における肺炎球菌の有無と同胞の有無との関連について解析したところ,1,2回目は有意な関連が認められた。肺炎球菌の上咽頭への無症候性定着が侵襲性感染症の発症契機となること,今後,新しく開発された肺炎球菌結合型ワクチンの効果を予測する上においても,保菌調査による継続的な監視が必要である。

Experience
一筆啓上
小児と医療トラブル No.27
  • 桑原 博道
    2021 年 62 巻 p. 260-262
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/07
    ジャーナル 認証あり

    2020年に新たに提起された医療訴訟件数は,2011年から2019年までに引き続きほぼ横ばいの状態であった。しかし,終了した医療訴訟件数は,2011年から2019年までの9年間はほぼ横ばいの状態が続いていたが,2020年はコロナ禍の影響により大幅に減少した。そのため,現在進行中の医療訴訟件数は増加したものと考えられる。

    診療科別の訴訟件数は,多い順に,内科,外科,整形外科,産婦人科であった。小児科はわずかであった。しかし,医師1,000人ごとの医療訴訟件数は,整形外科,外科,産婦人科,内科の順となった。したがって,外科系の診療科は内科系の診療科に比して医療訴訟になり易い傾向であったといえる。

    判決では,認容よりも棄却が圧倒的に多かった。しかし,医療訴訟の終わり方として,判決は約1/3に過ぎず,約半分は和解によって終了しているので,医療訴訟になれば医療側に有利とは必ずしもいえないと考えられる。医療訴訟を医療側で担当している弁護士から見れば,いずれが有利であるかは,ケース・バイ・ケースである。

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