1. 目的 医療用の血液ポンプとして利用されるローラーポンプは, 「操作が容易, 流量計を必要としない, コスト部材が安価」など優れた特徴があり, 人工心肺や血液透析, 血液成分採血など広く利用されている. しかし, ローラーがポンプチューブを圧閉する程度(以下, 圧閉度)によっては, 「血球の挫滅, モーターの過負荷, 逆流によるキャビテーションの発生, 流量不足」などが発生する可能性がある. このため適正な圧閉度(以下, 適正圧閉)に調節しなければならない. 従来の圧閉度の測定は, 「チューブに取り付けた点滴セットでの滴下数, 送血回路の液面の落下速度, 圧力低下速度」など, ポンプチューブの圧閉部分の逆流の程度で測る方法で行われてきたが, 適正圧閉に調節するためには, 測定と調整を繰り返す必要があった. そこで, われわれは新たに電気的に圧閉度を測定し, 適切な圧閉度を容易に調整する方法を考案した. 本論文は基礎実験による圧閉度の電気的測定の可能性とその有用性について検討したので, 考察を加え報告するものである.
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