酸化エチレンガス滅菌法は,非耐熱性の医療機器の滅菌に使用される優れた低温滅菌法の一つである.病院などの医療機関において頻用されている.しかしながら,酸化エチレン(法令名:エチレンオキシド)には発癌性,刺激性,引火性などがあるので,その取り扱いには十分に注意しなければならない.また,近年,大気中に排出された酸化エチレンが環境に与える影響も重大な問題になりつつある.そのため,本邦のみならず諸外国において酸化エチレンに関する規制が定められている.表1に,本邦における状況を示す.特に,2001年には労働安全衛生法施行令等一部改正(厚生労働省労働基準局)にともない,酸化エチレンは特定化学物質等第二類物質に指定された.その結果,作業環境測定士による作業環境測定の実施,作業主任者の選任,特定作業従事者健康診断などを行うことが定められた.さらに,東京都環境確保条例(東京都環境局)により酸化エチレンは有毒ガス規制対象物に指定された.この条例においては,300病床以上の病院,あるいは,300床に満たない病院でもボイラー,駐車場(収容能力20台以上),焼却炉等を有する病院などが作業指定場に含まれる.
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