医療と社会
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13 巻 , 4 号
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研究論文
  • 八巻(木村) 知香子
    2003 年 13 巻 4 号 p. 4_77-4_94
    発行日: 2003年
    公開日: 2010/02/02
    ジャーナル フリー
     1970年代の国際的な障害者運動以降,自立生活理念に基づいた生活は多くの先進諸国において広く支持されている。我が国では理念が有効なものとして評価されてはいるものの,それぞれの地域で暮らす個人がどのように自立生活理念と出会い,その理念を反映した生活へと移行したのか,その過程はほとんど明らかにされてこなかった。本研究は,山陰と東京の2地域で行った自立生活をする肢体不自由者への面接調査のうち,38ケースの結果からそれぞれの地域でいつ,どのように自立生活運動が広がったのか,個人はどのように自立生活理念に出会ったのかを記述的に明らかにした。東京と山陰では自立生活運動の展開の時期に差が見られるものの,類似したパターンが見られた。いずれの地域においても,初期の段階では,ごく限られた人による試行錯誤の試みがなされていた。その数人のグループが自立生活センターの形をとりはじめると,そのメンバーから誘われた養護学校の同窓生などの仲間が加わる。そして自立生活センターがサービス提供主体としての活動も軌道に乗ると,センターの側からのアプローチによって自立生活理念に触れる人が急増していた。東京のみに認められたのは,東京の自立生活センターを頼って上京するケース,特別に自立生活運動を意識することなく,就職に応募した先が偶然自立生活センターであったケースであった。
  • 吉田 あつし, 川村 顕
    2003 年 13 巻 4 号 p. 4_95-4_113
    発行日: 2003年
    公開日: 2010/02/02
    ジャーナル フリー
     本稿は,被保険者の自己負担率の変化が医療サービスの需要と供給にどのような変化をもたらすかを理論的に分析するモデルを提案し,97年9月に健康保険組合の被保険者本人の自己負担率が1割から2割に変更された結果,被保険者の歯科サービス需要および医師の歯科サービス供給に変化があったかどうかを統計的に検証した。通院日数についてHurdle Negative Binomial Modelを用いて推定した結果,改定の前後1年間で被保険者本人の通院日数は減少したが家族のそれは変化しなかった。他方,医師の供給行動分析のために改定前後1年間両方に1日以上通院している患者の1日あたりの医療費を比較したが,その差の期待値が0であるという仮説は15%有意水準では棄却できたが10%水準では棄却できなかった。改定によって1日あたり医療費の期待値には変化がなかったと強くは主張できないが,ほとんど変化はなかったと考えてよいであろう。
  • 尾藤 誠司, 松井 邦彦, 茅野 眞男
    2003 年 13 巻 4 号 p. 4_115-4_124
    発行日: 2003年
    公開日: 2010/02/02
    ジャーナル フリー
     今回われわれは,急性心筋梗塞の入院ケアを対象に,臨床評価指標(以下QI)開発のための評価項目選定を行った。研究は,4つの段階の手順,すなわち,系統的レビューを基にした初期指標項目プールの作成,デルファイ変法による評価委員による各選定項目に対する適切性評価,評価結果を基にしたエキスパート・パネル,パネル後の再評価,にそって行われた。QI作成に際し,合計9名からなる評価委員をエキスパート・パネルとして選出した。各委員は,個別に評価項目の査定を行い,その結果をまとめた後,コンセンサス決定のための小グループ協議が行われた。協議の後,臨床評価指標としての基準を満たした項目一覧表を各委員に再度郵送し,評価項目の再点数化を行った。初期段階で収集した文献から,合計41項目の診療の質評価指標を抽出した。パネル協議終了後,評価の低かった項目,および協議により不適切と判断された項目を削除し,さらに協議によって各項目の内容に若干の修正を行った結果,評価項目の一部が削減され,最終的に合計22項目にまでQI項目を絞り込むに至った。今回の我々の試みは,このケース・ミックス調節因子の選択に関する適切性を裏付けるためのプロセスを提示したとともに,プロセスレベルでの診療の質評価ツール開発に対する初期的な試みとして成功を見たといえる。今後他疾患の臨床評価指標開発に関しても,本プロセスの有用性が示唆された。
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