医療と社会
Online ISSN : 1883-4477
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ISSN-L : 0916-9202
30 巻, 4 号
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新年のごあいさつ
巻頭言
医研シンポジウム2020講演録
医療科学研究所創立30 周年記念「新型コロナウイルス-これまでを 振り返り,秋冬に備える-」
開会挨拶・来賓挨拶
座長基調講演
講演
パネルディスカッション
特別寄稿
  • 石川 ひろの
    2021 年 30 巻 4 号 p. 447-458
    発行日: 2021/03/12
    公開日: 2021/03/23
    ジャーナル フリー

    この数十年間,「患者中心」という概念は,医療コミュニケーション研究において多くの研究者の注目を集めてきた。にもかかわらず,その概念は定義や測定方法が統一されていないことがしばしば批判されてきた。本論文では,機能主義,コンフリクト理論,功利主義,社会構築主義の4つの社会学の理論的視点に基づいて,患者-医師間コミュニケーションに関する研究が,患者中心的コミュニケーションをどのように概念化し,測定してきたかをレビューした。それぞれの理論的視点によって,患者-医師関係の前提,期待される役割,コミュニケーションの目標は異なる捉え方をされていた。これが,先行研究においてたびたび指摘されてきた患者中心的コミュニケーションに関する概念的および操作的な定義の混乱の一因であると考えられる。本研究は,患者中心的コミュニケーションのさまざまなモデルと,各モデルで期待される役割と目標についての概観を示した。患者中心的コミュニケーションの重要な特徴は,患者の希望や状況に合わせて患者-医師間のコミュニケーションモデルを調整することであるとされる。本研究で示した枠組みは,その患者や文脈に即したコミュニケーションモデルを特定し,既存の患者中心的コミュニケーションの尺度を理論的に再構築することにつながる可能性がある。また,患者中心的コミュニケーションは,これまで主に患者中心のケアを実現するための医師側の行動として定義されてきたが,その実現に向けては患者との協働が重要であり,今後の研究,臨床において着目していく必要がある。

研究論文
  • 三苫 美和, 東 ますみ, 石垣 恭子, 福島 美幸, 谷水 正人, 西村 治彦
    2021 年 30 巻 4 号 p. 459-478
    発行日: 2021/03/12
    公開日: 2021/03/23
    [早期公開] 公開日: 2021/01/15
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,がん相談支援センターに蓄積される相談記録に対する体系的なデータ活用への第1段階の取り組みとして,相談記録の1年分(9,451件)を対象に,相談内容項目と相談記録文に対して共起性分析とテキストマイニングの手法を用いて相談内容を構造化し,そのパターンと傾向を明らかにすることである。その結果,まず,相談内容項目の組み合わせパターンを可視化できた。次に,各項目の相談記録文における共起関係のネットワーク図に基づいて,「受診方法・入院」では,がんの疑いやがんの診断後にがんの専門病院を受診したいこと,「症状・副作用・後遺症への対応」では,薬物療法に伴う副作用を医師に相談したいという状況が読み取れた。また,「医療費・生活費」では,高額医療費の払い戻しの仕組み,「がんの検査」では,検査の申し込み方法や料金,検査前の水分摂取や定期内服薬の相談が確認できた。さらに,相談内容項目が複数に亘る場合には,これらの各項目における相談内容のパターンを組み合わせて対処することができると考える。本手法によって相談記録を構造化した結果は,相談支援従事者にとって相談内容の文脈を共有し,相談対応に必要な知識の強化に活用できることから,膨大な相談記録に対するアプローチ手法としての有用性が示唆された。

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