育療
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最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 盛岡 淳美
    2024 年 73 巻 p. 1-10
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    ジャーナル フリー
    本研究は特別支援学校に通う児童生徒をもつ保護者の特別支援学校における医療的ケアに関する問題意識とニーズを明らかにするための資料を得ることを目的とした。研究対象者は A県の特別支援学校に通学している医療的ケアが必要な児童生徒の保護者8名であった。研究方法は半構造化インタビューであった。分析の結果、保護者が捉える問題意識は【特別支援学校における不十分な医療的ケア体制】【就学に伴う母親の苦悩】【医療的ケア体制の想像と現実との乖離】であった。保護者のニーズは【特別支援学校への要望】における〈安全・安心の確保〉〈臨機応変な食事摂取方法〉〈必要な教育の保障〉〈臨機応変な医療的ケアの実施〉〈他者との交流による成長〉〈登校時の荷物の削減〉〈多職種との連携〉〈子どものこころのケア〉〈柔軟な寄宿舎の使用〉〈保護者同伴の選択〉〈観察期間の短縮〉〈教員のできる医療的ケアの拡大〉であった。
  • 永井 祐也
    2023 年 73 巻 p. 12-14
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/10/01
    ジャーナル フリー
    医療的ケア児は、重度・重複障害で医療的ケアを必要とする子どもから、身体障害や知的障害を伴わずに医療機器等の装着や医療上の配慮が必要な子どもまで多様な実態があり、彼らとその家族を支援する体制を整えるべく、医療的ケア児支援法が成立・施行された。このような中、医療的ケア児に対する支援やその体制の構築に向けた研究や実践に対する関心が高まっている。学校で行われる医療的ケアでは、安全に実施されるという医療の専門性に加えて、自立活動の指導といった教育の専門性も活かされるべきである。そこで、ご寄稿いただいた先生方の論文を踏まえて、学校で行われる医療的ケアにおける教育の専門性を自立活動の観点から確認していきたい。そして、学校で行われる医療的ケアにおいて、教育、医療それぞれの専門性を活かし、教員と看護師とのよりよい協働の在り方について議論を深める契機とすることを目的に本特集を企画した。
  • 永井 祐也
    2023 年 73 巻 p. 15-20
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/10/01
    ジャーナル フリー
    特別支援学校等には、自立活動という独自の指導領域が法令上位置付けられている。自立活動の指導は、障害や病気のある幼児児童生徒の将来の自立・社会参加に向けて、障害に基づく困難を改善・克服するために必要な知識等を養うものであり、障害や病気のある幼児児童生徒に対する教育の専門性の中核である。しかし、自立活動の指導は、個々の児童生徒の実態が多様であることから、具体的な指導内容が定められていない。そのため、自立活動を指導する教員には、指導対象となる幼児児童生徒の実態把握とそれに基づく目標設定、指導内容と支援方法の工夫、それら一連の指導計画が求められる。それは、医療的ケアを必要とする児童生徒についても同様である。医療的ケアを必要とする児童生徒一人一人やクラス集団の実態を把握し、指導目標を達成するために、自立活動の内容の中から必要な項目を選定し、それらを相互に関連付けて指導・支援することが求められる。
  • 藤川 雅人
    2023 年 73 巻 p. 21-26
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/10/01
    ジャーナル フリー
    本稿は、医療的ケア児に対する教育の充実を図るため、個別の指導計画による自立活動の指導の重要性及び看護師との連携の必要性の観点から、以下の内容について論じた。まず、医療的ケアに関する文部科学省の検討会議の資料や先行文献を基に、医療的ケアと自立活動の関連性を確認し、医療的ケアを教育の一環として位置付け、自立活動と関連付けて指導する重要性を論じた。次に、自立活動を指導するための根拠となる個別の指導計画の作成手順とポイントを学習指導要領に即して解説した。さらに、医療的ケア児の事例を基に個別の指導計画に設定された指導目標と指導内容を紹介するとともに看護師との連携の課題を指摘した。最後に、個別の指導計画をツールとした教師と看護師の連携の必要性について言及した。
  • 笹原 未来
    2023 年 73 巻 p. 27-32
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/10/01
    ジャーナル フリー
    医療的ケアを要する子どもの増加に伴い、教育的活動としての医療的ケアのあり方を検討することは喫緊の課題となっている。本稿では、筆者が取り組んできた医療的ケアを要する重度・重複障害者との係わり合いにおける痰の吸引場面への対応の経過を踏まえ、医療的ケアと自立活動との関連性について検討した。医療的ケア場面への教育的対応は、健康の保持のみならず、コミュニケーション、環境の把握、心理的な安定、人間関係の形成とも密接に関連するものであり、教育的活動としての医療的ケアの実践事例のさらなる蓄積の必要性について言及した。
  • 小柳津 和博
    2023 年 73 巻 p. 33-37
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/10/01
    ジャーナル フリー
    医療的ケアを要する重度・重複障害児の自立活動の学習に関する実践を省察するなかで、身体の動きを主とした指導に関わる教師の専門性について広く議論を交わすための視点の整理を試みた。身体の動きを主とした自立活動の学習に対する子どものニーズは運動・動作の発達と合わせて子ども自身の生活の変容にある。子ども自身が身体を動かし、継続した姿勢保持と移動運動の学習経験が医療的ケアを要する重度・重複障害児の学びの重点であると考えた。教師が子どもの実態を正しく捉え、個に合わせた適切な支援を見極めることによって、自立活動の学習成果が変化する。変化し続ける子どもの心と身体の状態について、教師は自分のこととして捉えなおし、子どもの環境接続が可能となるような身体的援助を創出できることが身体の動きを主とした自立活動の指導に関する教師の専門性の一端になると考えた。
  • 安田 和夫, 大森 裕子
    2023 年 73 巻 p. 38-43
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/10/01
    ジャーナル フリー
    岐阜聖徳学園大学では、平成27 (2015) 年4月に看護学部と教育学部学校教育課程特別支援教育専修が同時に設置されることを受けて、学部を超えて、「学校で行われる医療的ケアにおける多職種連携」を共通のテーマとした合同演習を実施することとした。医療的ケアを必要とする障害や疾患のある子どもやその保護者の心情に寄り添いつつ、安心・安全な学校生活を保障していくことはとても重要である。そのために、看護師、教員それぞれが、どのような思いをもちながら医療的ケアを進めているのかを理解し、それぞれの専門性を尊び、連携・協働していくための資質・能力を育んでいきたいと考えた。ここまでの取り組みを振り返りつつ、今後の解決すべき課題について考察していく。
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