Journal of Inclusive Education
Online ISSN : 2189-9185
ISSN-L : 2189-9185
8 巻
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
原著論文
  • 矢野 夏樹, 韓 昌完
    2020 年 8 巻 p. 1-13
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    教育分野においてQOL尺度を用いて教育成果を評価する研究はほとんど行われていない。この問題は教育成果評価を測定することを目的としてQOL尺度の開発が行われていないことに起因している。そこで本研究においては、児童生徒の認識してる学校生活の質を教育成果として評価するためのQOL尺度を開発することを目的とする。QOL尺度の試案作成にあたり既存のQOL尺度(WHOQOL-100, KIDSCREEN, SF-36v2)の評価項目を教育分野における成果評価の観点に基づいたQOL概念の再定義(韓, 2017)で示された身体、情緒、社会・経済の3領域ごとに分類した。また、生徒指導提要(文部科学省, 2010)からも、児童生徒のQOLを評価するために必要となる項目を収集し、既存のQOL尺度と同様に身体、情緒、社会・経済の3領域に分類した。今後の研究として、尺度の評価項目の精査と構成、データを収集した上での信頼性および妥当性の検証が必要である。
  • A Case Study of a Japanese University Student
    Shane Doyle
    2020 年 8 巻 p. 14-29
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    This paper discusses the experiences of an English language major at a Japanese university who has been diagnosed with Attention Deficit Hyperactivity Disorder. The paper aims to highlight the difficulties the student faces and how the university and faculty are supporting the student. It also aims to further understanding of ADHD on the part of faculty and offers some advice as to how support can be further developed to lessen the impact of the difficulties that students diagnosed with ADHD experience at university.
  • ―新学習指導要領における自立活動とインクルーシブ教育の観点から―
    船越 裕輝, 照屋 晴奈, 下條 満代, 鳩間 千華
    2020 年 8 巻 p. 30-39
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,学校教育法の改正により,盲・聾・養護学校を特別支援学校へ移行した,2007年から2019年までに発表された研究論文を対象に聴覚障害教育の現状と課題を明らかにする。その観点として,聴覚障害教育におけるインクルーシブ教育推進の課題を観点に明らかにしたい。更に,新学習指導要領における聴覚障害教育の自立活動の現状と課題も明らかにすることを目的とした。その結果,多くの研究で「教師の専門性の課題」が指摘されていた。また,新学習指導要領が目指す「主体的・対話的な深い学び」を推進するためには,聴覚障害教育において自立活動は重要な領域となるが,そこでも教師の専門性の課題があることが分かった。今後,聴覚障害教育現場において,IEATなどの尺度を用いてインクルーシブ推進の現状を客観的に評価しながら,目の前にある課題や成果を明確に評価することが解決の1つに繋がるのではないかと考える。
総説論文
  • ―知的障害の生理・病理の観点から―
    太田 麻美子, 小原 愛子, 權 偕珍
    2020 年 8 巻 p. 40-55
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、肥満は生活習慣病の危険因子として位置づけられており、医療的・教育的介入の対象となっている。介入に関しては早期からの肥満予防支援が重要であるとされ、現在では幼児期からの取り組みが有効であると認識されている(岡田, 2009)。とりわけ、ダウン症児の場合、幼少期の段階から小児肥満症とされることが多いため、より早期の肥満に関する介入が必要であるといえる。そこで本研究では、肥満治療に関する介入の現状と課題を明らかにすることを目的に、日本国内におけるダウン症児・者に対して行われた肥満予防・肥満対策に関連する介入を行った論文、症例報告及び実践報告の内容を、肥満に対する治療方法と対応分析した。 結果として、ダウン症児・者を対象とした介入については、運動指導とそれに伴う運動習慣定着を目的とした心理社会的・行動療法的介入を行っている事例が多いことや、食事に関する介入が少ないことを明らかになった。加えて、生理・病理的変化による観点からより効果的な介入方法について考察を行った。
  • ―看護教育の視点から―
    大元 慶子, 平川 美和子
    2020 年 8 巻 p. 56-66
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    日本は急速に高齢化が進んでおり、中・高齢期において視覚障がいを受障する者も増加傾向にある。しかし、看護職が障がいについて学ぶ機会は少なく、今後増加が予想される中・高齢の中途視覚障がい者に対するケア実践が課題となる。中途視覚障がい者は、受障による心理面の落胆や、周囲からの差別的な扱いに接する。また、日常生活に最も重要とも言われる視覚の感覚器に課題を抱えることで、外出機会が減少するなど、閉鎖的な生活による二次障がいの発生も懸念される。そこで本論文では、中・高齢期において中途の視覚障がいを受障した患者における諸課題と、それに対するケアについて先行研究を検討し、中途視覚障がい者に対する看護実践のケアを教育するにあたり、必要な視座を論じた。
短報論文
  • ―地域コミュニティにおける教育資源の活用可能性―
    下條 満代
    2020 年 8 巻 p. 67-81
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    現在日本の教育現場においては,教員の多忙化や児童生徒の問題行動の増加等が問題とされている。その解決策として「地域とともにある学校」である「コミュニティ・スクール(学校運営協議会を設置した学校)」が設置されている。しかしながら,コミュニティ・スクールの全国的な導入率には差があり,人的・物的資源や体制等についても実態がさまざまである。本研究は,文部科学省の答申等を中心とした文献研究を中心に地域コミュニティの再定義を行い,その地域コミュニティの教育資源としてのコミュニティ・スクールの役割と課題について明らかにすることを目的とした。本研究により,コミュニティ・スクールは地域との連携という学校運営(スクール・ガバナンス)の面においては成果を挙げているが,教職員の勤務負担軽減等の学校支援(ソーシャル・キャピタル)の面においては課題があることが示唆された。よって,今後,コミュニティ・スクールが持続可能なシステムとして推進していくためにも,予算の確保や地域の教育資源としての人材育成等が重要である。
実践報告
  • 杉中 拓央, 奥村 真衣子
    2020 年 8 巻 p. 82-90
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    新学習指導要領の全面実施により、2007年の特別支援教育転換、2014年の障害者権利条約の批准等を踏まえた、インクルーシブ教育システムの推進が一層図られることとなり、養成課程の教員・学生はこれを十分に理解する必要がある。 そこで本研究は、障害をとりまく構造に対するメタファーとしての寓話であるStolov著「惑星ソイルの物語」を障害理解教育の教材として訳出することと、それを用いて、障害理解に資するグループワークを設計・実施した上で、その教育効果を検討することに目的を置いた。その結果、保育士・幼稚園教諭養成課程の講義において、障害という概念は各々の生活環境や視点によって異なるものになるということなど、障害理解教育の理解に一定の効果を認めた。さらに、その学習過程において、学生が相互に協調しながら作業を進め、自らと異なる意見に触れることで学びを深め価値観を新たにしていく姿に、教員養成における有用性が示唆された。
エラータ
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