Journal of Inclusive Education
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ORIGINAL ARTICLES
  • ―福祉避難所に指定されている施設職員の参集意識の分析―
    伊藤 里佳, 南里 玲葵, 高崎 弘子, 早瀬 麻子
    2025 年14 巻 p. 1-13
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】日本における豪雨災害の被害特性として、高齢者の割合が高く、屋内被災の割合が高い。その要因として、災害時における高齢者福祉施設の人的資源不足が挙げられる。そこで本研究では、福祉避難所の施設職員の参集意識に影響を与える要因について検討することを目的とする。 【方法】A市の福祉避難所89施設から30施設をランダムサンプリングで抽出し、郵送法による無記名自記式質問票調査を実施した。災害への備えや、防災意識を測定し、災害時の参集意識との関連について分析を行った。 【結果】18施設から124名の回答があり、うち113名を分析対象とした(回収率36.0%、有効回答率91.1%)。災害時に職場までの参集手段が徒歩である(p=0.002)、災害時マニュアルを認識している(p=0.004)、災害時に施設での役割が決定している(p=0.034)ことは参集意識と関連していた。防災意識では、被災状況の想像力(p=0.009)、災害の危機感(p=0.019)、災害に対する関心の項目(p=0.001)で参集意識と関連していた。参集群の防災意識得点は、「災害に対する関心」(β=0.205, p=0.049)と正の関連を認めた。 【結論】施設職員に対しては、平時より災害に対する関心を高める働きかけを行い、災害発生時の対応について、具体的に取り決めておくことで参集意識が高まることが示唆された。
  • ―金融リテラシー・マップに基づく体系的構築と実施可能性の検討―
    太田 麻美子, 三輪 正太郎, 平井 系佑
    2025 年14 巻 p. 14-29
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、小学生を対象としたオンライン形式の金融経済教育カリキュラムを開発し、その教育的妥当性および実施可能性を検討することを目的とする。近年、日本において金融教育の制度的な位置づけは強化されつつあるが、先行研究では、実践の多くが単発的・断片的であり、体系的なカリキュラムや効果測定の枠組みが整っていないことが指摘されてきた。こうした課題を踏まえ、本研究では、金融庁策定の「金融リテラシー・マップ」を基盤に、小学生の発達段階に応じて段階的に学べる、全12テーマ・48回構成のカリキュラムを開発した。内容は、家計管理、ローン・クレジット、資産形成、契約・保険、金融トラブル対応など多岐にわたり、各テーマでは昔話と金融概念を融合させた創造的な学習構成を採用している。開発過程では、教員免許を有する3名およびカリキュラム開発の研究経験を持つ2名、計5名の研究者による構成検討を実施し、さらに研究者2名とオンラインマネースクール関係者との間で計30回にわたる協議を通じ、実施可能性と教育的妥当性について議論を重ねた。今後の課題として、本カリキュラムの効果検証と中高生向けカリキュラムへの応用展開が挙げられる。
  • 小原 愛子, 矢野 夏樹, 米水 桜子, 韓 昌完
    2025 年14 巻 p. 30-37
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、現代の労働環境の変化に対応するため、新たに開発された「持続可能な職業生活の質(S-QWL)」の信頼性と妥当性を検証することを目的とした。S-QWL尺度は、「ワークライフバランス」、「ジョブマッチ」、「全体的満足感」の3領域と、「ジョブマッチ」の下位領域として「個人パフォーマンス」、「職場環境」を含む18項目で構成されている。調査は、日本国内の1法人を対象に所属する317名の職員を対象に実施した。信頼性の検証にはクロンバックのα係数を用い、構成概念妥当性の検証では確証的因子分析を行った。 その結果、S-QWL尺度全体のα係数は0.923、各領域においても0.775-0.872と高い内的整合性が確認された。また、確証的因子分析においても、適合度指標は良好な値(GFI=0.998, CFI=0.999, RMSEA=0.043)を示し、理論的モデルが実証データによって支持された。これらの結果から、S-QWL尺度は、多様な職種において職業生活の質を安定して測定できる、信頼性と妥当性の高い尺度であることが示された。本尺度は、「人材版伊藤レポート」や「人的資本可視化指針」が示す経営戦略と人材戦略の連動において、現状(As is)を定量的に把握するための有効なツールとなり得る。企業はS-QWLを用いることで、従業員のウェルビーイングの状態を可視化し、生産性向上との好循環を創出するための具体的な施策立案と効果測定に活用できると期待される。
  • ―オンライン記事のテキストマイニングによる傾向と課題の分析―
    中澤 宏規, 太田 麻美子
    2025 年14 巻 p. 38-56
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    背景:性的グルーミングは、子どもとの信頼関係を利用して性的虐待へと至る手法であり、オンライン環境の発展により近年増加傾向にある。日本では認知や研究が遅れており、教育現場での性教育への抵抗や制度的課題が指摘されている。 目的:本研究は、日本の主要新聞記事を対象にテキストマイニングを用いて、「性的グルーミング」に関する主要なテーマを抽出し、日本における社会的認識や関心の動向を明らかにすることを目的とする。 結果:分析の結果、性的グルーミングは「日本の現状」「法整備」「加害手法」「予防・防止」の4領域で言及され、被害の複雑性や制度的・教育的対応の必要性が報道でも認識されつつあることが示された。また、「性的グルーミング」が「性的」「子ども」「被害」「信頼」などと強く結びつき、段階的・戦略的な加害行為として扱われている様子が確認された。 考察:日本のマスメディアにおいて、性的グルーミングとの関連語が様々な視点で共起され、性的グルーミングという行為の複雑性と多層性を意識的に取り扱っている様子が窺えた。しかしながら、日本における「性的グルーミング」に関する研究蓄積は依然として乏しく、社会的な認知が未だに限定的である現状が浮き彫りになった。
  • 廣岡 崇史, 韓 昌完
    2025 年14 巻 p. 57-76
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、サステナブル経営を支える人的資源管理(HRM)専門人材の育成に向けて、日本の国公立大学における学士課程での教育カリキュラムの実態を明らかにすることを目的とする。対象とした国公立大学168校から、学士課程において「人的資源管理」もしくは「人事管理」、「Human Resource Management」、「HRM」のいずれかが含まれている科目のシラバスを収集・選定し、KH Coderを使用した共起ネットワーク分析を行った。結果、37大学46科目が分析対象となり、経済経営系を中心に幅広い学問分野でHRM教育が展開されている実態が確認された。講義内容は、導入、HRMの基礎理論と制度(採用、配置、評価、報酬等)、近年の課題(ダイバーシティ、働き方改革、国際比較)が取り扱われており、後半ではアクティブラーニング形式を用いた講義が多かった。将来の人材育成を担う学士課程では、サステナブルHRMの観点を含む未来志向の教育が求められる。しかし現状のシラバスでは、日本型の独自の経営スタイルを基礎としたHRMに関する説明に留まっている傾向であった。労働人口の減少やグローバル化といった観点から持続可能な企業経営にするためにも、学士課程において、時代を見据えた教育内容の構築が必要である。
  • -国際的示唆に基づく実践的提言-
    半澤 嘉博
    2025 年14 巻 p. 77-97
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、障害者権利条約に規定されたインクルーシブ教育の理念に照らし、日本の交流及び共同学習の現状とその課題を明らかにすることを目的とする。序論においては、国際的動向および日本国内における特別支援教育政策の歴史的変遷を整理し、交流及び共同学習が果たす制度的・教育的役割を位置づけた。実証的考察により、交流活動は障害のある子どもと障害のない子どもの相互理解や社会性、協働性の向上に資する一方で、分離教育体制を温存し、教員の負担増や教育課程上の制約といった問題を内包するというパラドックスを抱えていることが示された。 さらに、イタリア、フィンランド、カナダの先進的実践事例を比較参照し、単なる交流の機会提供に留まらない、教育課程に組み込まれた協働的学習モデルの重要性を導出した。考察においては、インクルーシブ教育の持続的推進に向け、交流及び共同学習の質的転換を図るための政策的支援、教員養成・研修の充実、学校内外における支援体制の整備ならびに成果測定に資する評価枠組みの構築の必要性を指摘し、国際的示唆に基づく具体的な実践的提言として、包括的な教育改革の方向性を提示した。
  • 清都 康雄, 菊池 紀彦, 森 浩平
    2025 年14 巻 p. 98-113
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    共生社会の形成に向けて、インクルーシブ教育システムの構築と障害理解を深めることの重要性があらためて認識されている。インクルーシブ教育の進展には、その理念に対する正しい理解と実践の接続が必要であることから、幼児期からの接続の場となる小学校の教職員を対象として、障害理解とインクルーシブ教育に関わる意識を明らかにすることを目的に意識調査を行った。 三重県内5市の小学校教職員516名を対象に調査を実施し、因子分析により教職員の障害理解に関する3つの因子(「社会・地域とのかかわり意識」「障害のある人への受け入れ姿勢」「積極的関心・参画」)、インクルーシブ教育に対する意識に関する3つの因子(「主体的実践・連携」「共生社会への意識・推進」「不安・抵抗感軽減」)を抽出した。重回帰分析の結果、障害理解がインクルーシブ教育への肯定的意識に有意な影響を及ぼしていた。 教職員は理念を肯定的に受け止めつつも、実践との間に葛藤を抱えている実態が明らかとなった。また、学びの場に関する意識では年代による有意差が見られたが、免許状の取得や担任経験の有無による差は認められなかった。これらの結果から、理念と実践をつなぐために、経験の質に着目した教員研修や支援体制の再検討が求められることが示唆された。
REVIEW ARTICLES
  • 藤原 あや
    2025 年14 巻 p. 114-125
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、日本の就学前保育・教育における合理的配慮に関する先行研究のレビューを通して、これまでの研究動向を整理した。また、就学前保育・教育施設における子どもの多様なニーズに応じた合理的配慮の提供に向けて、今後の実践および研究において取り組むべき課題について検討することを目的とした。その結果、「合理的配慮の内容」、「合理的配慮の提供」、「合理的配慮の在り方」、「合理的配慮の課題」をテーマとした研究が行われていることがわかった。しかし、本研究で対象となった論文の数は限られており、今後も就学前保育・教育における合理的配慮に関する研究の蓄積が必要である。また、就学前保育・教育現場における合理的配慮に関する課題を整理し、合理的配慮の内容の検討や提供に必要な観点および有効な方法を明らかにし、その効果を検証していく必要があると考えられた。
  • ―国内の研究論文に基づいてー
    佐々木 浩江, 三輪 正太郎, 金城 紅杏, 金 珉智
    2025 年14 巻 p. 126-141
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    1990年代以後、日本では大学全入化時代が意識されはじめ、多様な価値観とニーズをもつ新入生が増え始めたことにより、大学における初年次教育の重要性は日々高まっている。しかし、「初年次教育」という用語は、最近使われ始めた用語であり、実施上での効果や影響を報告した研究も少ないことから、本研究では先行研究を基にして日本の大学の初年次教育の実施状況とそれに伴う課題について検討を行った。Google Scholar、CiNii、J-stageを用いて日本の初年次教育の課題について、資料選定基準を基に抽出した結果、計44本の論文を抽出することができた。さらに、抽出した文献を、(1)実施内容における課題、(2)実施方法における課題、(3)その他の課題で分けて検討した結果、実施内容における課題は、初年次教育のカリキュラムに関する課題や情報リテラシーに関する課題であったこと、実施方法については、初年次教育の評価やアクティブラーニングに関する課題、その他、全学的な協力体制を構築することが急務であること等が挙げられた。このことから、初年次教育の実施内容の検討や、初年次教育の評価、協力体制の構築を検討する必要があることが示唆された。
  • ―認知的・情動的側面における生理・行動・心理学的視点からの検討―
    岡村 恵里子, 杉中 拓央
    2025 年14 巻 p. 142-158
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、ナラティブレビューを通じて、知的障害(ID)児者における病因の違いを考慮し、認知的共感と情動的共感の特徴を探索的に検討した。先行研究の整理を通じて、ID 児者は全体として情動的共感には大きな制約がみられない一方で、認知的共感においては他者の心的状態を推測する複雑さや課題形式に応じて困難さが顕在化する傾向があることが示された。特に、心の理論課題を用いた研究では、知的発達水準や言語能力、非言語性の認知能力の個人差に加え、ダウン症、脆弱X 症候群、ウィリアムズ症候群など病因ごとの特性が認知的共感の成績に影響を及ぼす可能性が示唆された。一方、保護者評定や生理・行動指標による評価からは、ID 児者における情動的共感の初期発達は定型発達児者と大きな差異がない可能性が示唆された。本レビューを通じて、ID 児者の社会的適応の理解と支援の基盤として、認知的共感ならびに情動的共感の構成要素に着目した検討を行う必要性を示した。加えて、共感に関わる個々の事例や類型を明らかにすること、そして発達過程を踏まえた検討を行うことといった今後の研究課題と、認知的共感ならびに情動的共感の特徴を考慮した支援の大切さといった臨床的示唆があった。
  • TOMA Shota, SHIMOJO Mitsuyo, TERUYA Haruna
    2025 年14 巻 p. 159-179
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    This study examines the effects and challenges of Information and Communication Technology (ICT) based educational support for students with health impairments through a review of 20 academic publications released in Japan since 2017. The findings highlight the current state of ICT utilization in special needs education, its benefits, and existing obstacles. Specifically, the implementation of remote learning systems—primarily web conferencing tools—and other ICT resources has been frequently reported to enhance students' access to education while promoting psychological stability. However, fundamental challenges remain, including the need for improved communication infrastructure, enhanced teacher expertise, and sustainable support mechanisms. Addressing these concerns is essential for optimizing ICT’s role in educational inclusivity and effectiveness. Moreover, the review suggests a gradual transition from ICT use solely in medical or hospital settings to broader inclusion in mainstream classrooms. This expansion reflects a growing recognition of ICT as a tool for inclusive education rather than merely a medical support. Notably, despite using broad search terms, only 20 relevant studies were identified, indicating that research on ICT-based support for students with health impairments remains underdeveloped in Japan. This gap between policy advancements and academic investigation underscores the importance of further empirical studies to build an evidence base for effective and scalable support practices. Future research should aim to develop models that consider the practical realities of diverse educational contexts, support teacher training, and bridge the gap between policy and practice in Japan.
  • ―日本・海外文献を対象とした文献レビュー―
    金城 紅杏, 趙 彩尹
    2025 年14 巻 p. 180-201
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、日本および海外の文献を対象に、乳幼児期における嗅覚の役割とその短期的・長期的な影響を体系的に整理し、嗅覚の育成の重要性を明らかにすることを目的とする。さらに、非認知能力の形成に寄与する可能性を検討し、今後の保育実践に役立つ知見を導き出すことを目指す。2018年以降の日本および海外の先行研究60本を対象とし、嗅覚の重要性およびその影響に関する記述から共通用語を抽出した。抽出用語は、①身体的影響、②心理的影響、③対人的影響、④その他の影響に分類した。その結果、嗅覚は母子の絆の形成や授乳行動、情緒の安定、社会的関係の構築、記憶や学習に至るまで、多様な影響を与えることが明らかとなった。さらに、嗅覚は社会性や共感性、情動調整力といった非認知能力の形成にも寄与する可能性が示唆された。こうした知見は、保育・教育の現場において、嗅覚を意図的に取り入れた実践の重要性を示すものであり、今後は、文化的背景や発達を踏まえた評価方法の開発と実践研究のさらなる充実が求められる。
  • ―スコーピングレビューによる検討―
    權 偕珍
    2025 年14 巻 p. 202-210
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    インクルーシブ教育の進展に伴い、高等学校に在籍する障害のある生徒が増加している。その一方で、学校現場では就労支援への十分な対応が難しいという課題が生じている。本研究では、通常学校に在籍している障害のある生徒に対する就労支援について、先行研究を体系的に整理・分析し、研究動向と今後の支援のあり方を検討することを目的とした。スコーピングレビュー手法を通して、高等学校における障害のある生徒への就労支援に関する9本の先行研究を抽出した。分析結果、高等学校における就労支援は、主に発達障害を対象として実施されており、自己理解支援、社会性スキルの育成、就労準備教育が行われていることが明らかになった。さらに、現場での体制整備等が十分に追いついていない現状があることも明らかになった。今後の重要な課題としては、①発達障害以外の障害種別を視野に入れた支援ニーズと現状の把握、②教職員に対する特別支援教育および就労支援に関する専門的研修の充実、③外部機関(福祉、医療、就労支援等)との持続的かつ制度的な連携の構築、④多様な障害に対応可能な、標準化された就労支援プログラムの検討と開発の4つが挙げられた。
SHORT PAPERS
  • ―全国調査に基づく実態と課題―
    伊藤 貴大, 渡辺 陽介, 青木 隆男, 山﨑 英明, 野中 梨帆
    2025 年14 巻 p. 211-223
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、インクルーシブ保育を重視した保育施設が増加しており、発達障害や知的障害等のある乳幼児が保育場面において安心して過ごすことのできる取り組みが進んでいる。しかし、小規模保育事業所におけるインクルーシブ保育の現状は明らかになっていない。本研究では、小規模保育事業所の職員を対象にWEB調査を実施し、インクルーシブ保育の現状とその課題について明らかにすることを目的とし調査を実施した。対象は特別な支援を要する子どもが在籍している小規模保育事業所に勤務している職員117名であった。その結果、「行動を促す際に伝え方を工夫する」といった対応や「保育所全体で支援体制を作る」といった回答が多くみられた。一方、苦慮している点として「具体的な支援方法」、「職員数が十分でない」といった課題が明らかになった。また、個別の支援計画作成に関しては、60%以上が作成していると回答しており、積極的に活用されていることが明らかになった。考察では、関係機関との連携に関する課題や、インクルーシブ保育の実施に伴う職員研修に関して論じた。今後は面接法等を用いることで、より具体的な実態と課題を明らかにすることが求められる。
  • ―CRAYON BOOKの結果に基づく教育プランのテキストマイニング分析を通して―
    河村 悠衣, 小原 愛子
    2025 年14 巻 p. 224-239
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、幼児期における発達支援の重要性が広く認識されるようになり、個々の子どもの特性や発達段階に応じた具体的な指導・教育方法の確立が強く求められている。しかし、これらの課題を包括的に解決するための具体的な指導・教育方法については、依然として体系的な整理が十分になされておらず、保育現場で実践可能な支援の在り方を明らかにすることが今後の重要な課題である。そうした背景のもと、保育現場における教育の困難さを受けて、近年では、子どもの発達特性を把握し、効果的な教育につなげるための評価ツールの開発が進められている。本研究では、こうした課題に対する一助として、CRAYONプロジェクトで開発・運用されている乳幼児評価ツール「CRAYON BOOK〈0歳児版〉」に注目した。そこに記載された教育方法に関する教育プランのテキストデータ16件を対象に、KH Coderを用いた共起ネットワーク分析によるテキストマイニングを実施した。本研究は、乳児教育の記述的データを定量的に可視化することで、教育内容の特性把握と今後の実践指針の策定に資する知見を提供するものである。
CACE REPORT
  • ―TEM(複線径路・等至性モデリング)を用いた分析から―
    今井 彩
    2025 年14 巻 p. 240-252
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    障害がある人の社会参加が進む中で、特別支援学校においては、教師が十分な知識やスキルを習得する機会がないまま進路指導が行われている現状が見受けられる。本研究では、特別支援学校高等部に在籍する軽度知的障害のある生徒を研究対象者とし、生徒の高等部入学から就職が内定する(卒業後の進路が決定する)までのプロセスを可視化することで、生徒の進路選択と社会参加への主体形成を促進する教育的支援について検討することを目的とした。生徒の進路決定までのプロセスを可視化し、生徒の変容を心理社会的な観点から具体的に表すことができるよう、質的研究法である複線径路・等至性モデリング(TEM)を採用した。その結果、生徒の進路決定までのプロセスには「卒業後の進路への見通しをもつ段階」「進路について考え始める段階」「進路について模索する段階」「卒業後の進路を決める段階」があり、それぞれの段階において、生徒の主体的な進路選択を促進する学習活動や人とのかかわりなどがあることが明らかとなった。逆に、生徒の進路選択を阻害する要素も明らかとなった。これらの結果から、生徒の進路選択と社会参加への主体形成を促進する教育的支援について検討した。
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