Journal of Inclusive Education
Online ISSN : 2189-9185
ISSN-L : 2189-9185
最新号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著論文
  • 大井 靖, 中西 郁, 日高 浩一, 岩井 雄一, 丹羽 登, 濵田 豊彦, 渡邉 健治, 蓮香 美園, 上地 ひかり
    2020 年 9 巻 p. 1-22
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、自立活動の指導にかかわる事項を検討し、「自立活動の時間における指導」に関する課題を明らかにすることを目的として、全国の国公立知的障害特別支援学校小学部設置校603校を対象として調査を行った。 結果、自立活動の指導の内容・方法等の充実策の検討をしている学校は、回答の66%であり、知的障害特別支援学校小学部の約6割で自立活動の指導を「自立活動の時間における指導」として週時程に位置づけて指導されていること、週時程に位置付けていない場合は、学校教育全体で指導している学校が64%と多いことが明らかになった。また、「自立活動の時間における指導」として週時程に位置づけている学校とそうでない学校の比較では、調査項目の多くで顕著な差異が認められなかった。
  • ―「特別支援教育に関する実践研究充実事業」を事例に―
    梅田 崇広, 苅田 知則, 樫木 暢子, 加藤 哲則
    2020 年 9 巻 p. 23-34
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,文部科学省事業「特別支援教育に関する実践研究充実事業」の受託団体に対するヒアリング調査の結果を,キャリア教育の視点から検討することを目的とした。具体的には,キャリア教育の視点から5つの分析視点を設定し,成果の整理・考察を行った。キャリア教育を行う上での体制整備や教育課程への位置づけを検討する団体が多くを占めていた一方,児童生徒が自身の「成長」を実感し,振り返るためのツールとして,教育課程全体で「キャリアノート」を活用することが有効であることが示唆された。
  • 韓 昌完, 小原 愛子, 岡田 直美
    2020 年 9 巻 p. 35-51
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,2019年に開発したCRAYON Book (3~5歳Ver.) (韓, 2019)の内容的妥当性の検証を行った。保育士,幼稚園教諭などの保育従事者ら34名を対象にCRAYON Book (3~5歳Ver.)の内容的妥当性に関する質問紙調査及び意見調査を実施した。 その結果,CRAYON Book (3~5歳Ver.)16領域219項目に対し89項目で80%以上が「妥当である」または「きわめて妥当である」との回答が得られた。他の80%に満たなかった項目については, 質問の意図自体を「全く妥当でない」「妥当でない」とする意見というよりも,項目内容に関する言葉の表記や具体例が欲しいというような指摘事項が多数であった。 よって,「全く妥当でない」,「妥当でない」とした項目に関しては,回答者の意見等を踏まえ,専門家協議により項目の再検討及び修正を行った。その結果,最終的なCRAYON Book (3~5歳Ver.)は16領域206項目に設定された。
総説論文
  • 下條 満代, 照屋 晴奈, 島内 梨沙, 天久 亜衣奈
    2020 年 9 巻 p. 52-65
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    小中学校の通常学級に在籍する多くの児童生徒が学習上または生活上の支援を必要としているとされている。太田・井上・金(2018)は,日本における SLD傾向のある児童生徒へ指導・支援方法を典型化して課題を明らかにした。しかしながら,いまだ通常学級において,支援を要する児童生徒は増加している。そこで本研究では,諸外国におけるSLD傾向のある子どもに対する指導・支援に関する文献を収集し,その傾向について明らかにすることを目的とした。その結果,先行研究において日本では指導・支援の中心が,児童生徒にとって学習しやすくする事前の工夫を行うものであるのに対し,諸外国では学習自体を楽しむための児童に対する心理面へのアプローチや,多様な感覚を通して学べるようにする等,学び方の工夫が中心となっていることが明らかとなった。このように,個の特性に応じた学習方法の提供や児童生徒のモチベーションを上げる等の心理面へのアプローチを伴う指導・支援は,SLD傾向の児童生徒だけでなく,学習意欲のない児童生徒や不登校など,様々な背景をもった子どもに対して効果的な指導法となりうるのではないか。そして,個の特性に応じた学習方法を提供することは昨今求められているインクルーシブ教育の実現に繋がるであろう。
  • ―国際的縦断研究の分析を中心に―
    太田 麻美子, 照屋 晴奈, 鳩間 千華
    2020 年 9 巻 p. 66-79
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    教育の経済効果について検討する「教育経済学」が注目されている。教育経済学は主に人的資本論に基づいており、教育を社会全体の収益を増加させる活動であるとし、スキルや知識の獲得が、長期的な利益をもたらすものであると捉える考え方である(Checchi, 2006)。 現在、乳幼児教育の経済効果について検討するために、諸外国において国レベルの政策として縦断研究が進められている。乳幼児教育の成果については、既存の縦断データを基に検討する必要があるが、先行研究において教育経済学の観点から整理し課題をあきらかにした研究は見当たらず、日本においても教育経済学に関する研究は少ない現状である。 本研究においては、諸外国における既存の縦断研究に関する情報を収集し分析することで、乳幼児教育における教育成果や経済的効果に関する研究の現状と今後の課題を明らかにすることを目的とし、先行研究や報告書及びホームページから得られた研究資料の分析をおこなった。
  • ―脳性まひ児・者を中心に―
    趙 彩尹, 渡邉 尚孝, 矢野 夏樹
    2020 年 9 巻 p. 80-89
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では、医学的観点から肢体不自由の、特に脳性まひのある子どもに対する心理リハビリテーションを概観し、現在、教育現場で行われている心理リハビリテーションの課題を明らかにすることで、今後、肢体不自由児・者教育の現場で活用することのできる心理リハビリテーションプログラムを構築するための基礎研究を実施した。教育分野における研究を検討した結果、心理リハビリテーションが動作法・心リハキャンプを中心とした観察・質的研究が多く、その他のリハビリテーションプログラムへの言及がほとんどなされていないことや、動作法・心リハキャンプに関しても量的にその効果を検証した研究は少ないことを明らかにした。今後の課題として、肢体不自由児・者に対する心理リハビリテーションの効果を定量的に把握する量的研究や多職種連携に基づいたプログラムの充実が挙げられた。
短報論文
  • 真名瀬 陽平
    2020 年 9 巻 p. 90-101
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、大学新入生の入学直後に感じている発達障害関連困り感の高さ・低さ、および相談などの学生支援の実行とその後の講義の出席率・成績の関連性について検討することを目的とした。対象者は大学新入生の学生42名であった。対象学生の入学直後に発達障害関連困り感質問紙調査(高橋・岩渕・須田ら,2015)を実施した。また、相談を希望した学生に対しては、筆者が個別相談を実施した。従属変数は、入学直後の前学期の講義の出席率とGrade Point Average(以下、GPA)を用いた。分析Ⅰでは、講義の出席率とGPAの相関を検討し、強い相関がみられた。分析Ⅱでは、個別相談を実施しなかった35名を発達障害関連困り感の高群・低群に分類し、出席率とGPAにおいて有意差がみられるのかを検討した。その結果、発達障害関連困り感の高群は低群に比較し、有意に低い出席率とGPAを示した。分析Ⅲでは、全対象者を対象に、発達障害関連困り感の高群・低群と相談の有無が出席率とGPAに与える影響を検討した。その結果、発達障害関連困り感の高群で相談を実施した学生は、相談未実施の学生と比較して高い出席率・GPAを示した。一方で、発達障害関連困り感の低群では、相談の実施有無による出席率・GPAにおいて明確な違いがみられなかった。以上の結果から、新入学生に対して、早期に発達障害関連困り感質問紙調査を実施し、予防的介入をすることの有効性や、相談を希望しない学生への対応について、考察した。
  • ―パス解析による適合度の分析―
    砂原 雅夫, 西村 政子, 宇多川 清美, 金 珉智
    2020 年 9 巻 p. 102-110
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、経済・産業構造の変化により仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合が高くなっている中、保育士の早期離職の傾向も高まっている。しかしながら、保育士の性格や特性等の内面的要因とキャリアアップの支援策の関連においては未だ十分に検討されていない。本研究では、保育所内における職業人に対して心と体の健康が情報の取得及び表出する能力に与える影響をキャリアにおけるニーズを分析する観点から検討することを目的とし、Scale for Coordinate Contiguous Career(Scale C3)を用いて、パーソナリティとキャリアを評価した。構造方程式モデリングを用いたパス解析の分析の結果、年齢と勤続年数という変数が心と体の健康に影響し、さらに注意特性に影響を及ぼし、最終的には情報取得と情報表出といったキャリアにおける影響を与えるモデルにおいて良好な適合度が見られた。心と体の健康が、年齢や勤続年数に影響を受けることについては、職業人として仕事をする上で年齢による体の変化や人間関係などが関連していることが考えられることが示唆された。
feedback
Top