情報ネットワーク・ローレビュー
Online ISSN : 2435-0303
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情報ネットワーク法学会第24回研究大会 基調講演
論説
研究ノート
  • 中川 裕志
    2025 年24 巻 p. 80-92
    発行日: 2025/12/05
    公開日: 2025/12/09
    ジャーナル フリー

    この研究ノートでは、AIないしは予約などの現実世界における作業まで行えるAIエージェントに法的人格を付与できるかという観点からの調査、分析の結果について述べる。SolumによるAIへの法的人格付与論からスタートし、AIへの法人格付与に対する種々の反対論、Novelliらによるシンギュラリスト・ビューとクラスター・ビューによる法的人格のあり方を紹介する。これらを基にPagalloらによる部分的法人格付与論などを紹介する。

  • 松尾 剛行
    2025 年24 巻 p. 93-114
    発行日: 2025/12/05
    公開日: 2025/12/09
    ジャーナル フリー

    生成AI時代において重要となる、誰が、いかなる要件の下でAI生成物に関する著作権を獲得することができるのかという問題について、文化庁「AIと著作権に関する考え方について」は、共同著作のアナロジーを利用する。つまり、(AIは(共同)著作者にはなれないものの、)AI利用者のプロンプトにおける入力内容その他の寄与が、もしそれが共同著作の場面であれば共同著作者になることができる程度のものであれば、AI生成物の著作物性を認める(AI利用者が著作権を取得する)というものである。これを踏まえ、本稿は、共同著作だけではなく、それ以外のアナロジーをも利用すべきことを主張するとともに、それぞれのアナロジーにおいて具体的にどのような場合に著作物性を認めるべきかを論じる。

  • 片岡 弘
    2025 年24 巻 p. 115-143
    発行日: 2025/12/05
    公開日: 2025/12/09
    ジャーナル フリー

    近年の地政学的変動を背景に、各国でデータ保護主義の動きが強まる中、「データの自由な流通」は国際協調の基本原理としての機能を喪失しつつある。国家主権や安全保障を根拠とする越境的データ移転規制の強化が進む中で、大国による一国主義的な規範の強要が進行し、越境的データガバナンスにおける格差が顕著に拡大している。過度な保護主義とガバナンス格差の深刻化は、経済成長、技術革新、そして国際協力の持続的基盤を損なうおそれがある。これに対処するには、中堅国や新興国が有志国間連携を構築し、「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)」の理念の下、リスクベースアプローチによって運用規範を再構成し、主権的統制と相互運用性の調和を制度的に実現する必要がある。日本はこの取組みを主導し、それら有志国が形成した規範に大国を段階的に取り込む「トウキョウ効果」を戦略的に追求すべきである。

  • 佃 貴弘
    2025 年24 巻 p. 144-164
    発行日: 2025/12/05
    公開日: 2025/12/09
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、アメリカ合衆国において、米国データプライバシー保護法(ADPPA)について、忠実義務の観点を中心に、どのような批判的評価がなされていたかを整理することにある。このような整理をすることで、日本の個人情報保護法制に信認義務(特に忠実義務)の視点を導入する可能性を検討したい。

    ADPPAは連邦レベルの包括的なプライバシー保護法案であるが、連邦法の専占と当事者適格(損害要件)の問題が指摘されていた。この法案は、忠実義務の観点から見ても、信認義務を取り込んだものとはいえなかった。

    情報法研究者(リチャーズ・ハーツォグ・フランシス)は、[州]データ忠実義務法を提案した。それは、ADPPAの文言を修正し、一般的な信認義務と調和させて、データ忠実義務を盛り込んだものである。本稿では、これらを踏まえ、日本法への示唆を検討する。

  • 岡田 好弘
    2025 年24 巻 p. 165-186
    発行日: 2025/12/05
    公開日: 2025/12/09
    ジャーナル フリー

    本稿は、トルコ共和国における国民司法ネットワーク情報システム〔Ulusal Yargı Ağı Bilişim Sistemi: UYAP〕の概要を、関連する主要な電子政府システムとあわせて紹介する研究ノートである。UYAPは、裁判所・検察庁・弁護士・市民など多様な関係者がオンラインで事件情報や手続を共有・処理できる統合的基盤であり、文書作成支援、証拠管理、期日管理、各種照会・連携機能など、多岐にわたる機能を備える。その特徴として、国民番号や住所登録システム、警察情報網、税務・土地登記などの他分野の国家システムと直接連携し、事件関係者の属性確認や財産調査を即時かつ正確に行える点が挙げられる。

    日本においても司法分野のIT化が進展し、近年の法改正により新たな電子的手続が実務に導入されたばかりであり、今後はさらなる発展が見込まれる。このような状況を踏まえ、先行事例として、我が国にはまだ備わっていない国家全体のネットワーク化と、司法分野での豊富な機能を有するUYAPを紹介することは、今後の司法IT政策を検討するうえで有益な参考資料となり得る。

    本研究ノートは、現地調査や統計分析といった今後の詳細な検証の端緒として、公開情報や日本で入手可能な文献に基づき、現時点で明らかにできる範囲でUYAPの全体像と関連システムの概要を報告するものである。

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