本稿は、トルコ共和国における国民司法ネットワーク情報システム〔Ulusal Yargı Ağı Bilişim Sistemi: UYAP〕の概要を、関連する主要な電子政府システムとあわせて紹介する研究ノートである。UYAPは、裁判所・検察庁・弁護士・市民など多様な関係者がオンラインで事件情報や手続を共有・処理できる統合的基盤であり、文書作成支援、証拠管理、期日管理、各種照会・連携機能など、多岐にわたる機能を備える。その特徴として、国民番号や住所登録システム、警察情報網、税務・土地登記などの他分野の国家システムと直接連携し、事件関係者の属性確認や財産調査を即時かつ正確に行える点が挙げられる。
日本においても司法分野のIT化が進展し、近年の法改正により新たな電子的手続が実務に導入されたばかりであり、今後はさらなる発展が見込まれる。このような状況を踏まえ、先行事例として、我が国にはまだ備わっていない国家全体のネットワーク化と、司法分野での豊富な機能を有するUYAPを紹介することは、今後の司法IT政策を検討するうえで有益な参考資料となり得る。
本研究ノートは、現地調査や統計分析といった今後の詳細な検証の端緒として、公開情報や日本で入手可能な文献に基づき、現時点で明らかにできる範囲でUYAPの全体像と関連システムの概要を報告するものである。
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