本研究は、構造パースペクティブのエコシステム論であるAdner(2021)のMVE(Minimum Value Ecosystem)概念と記事データを用いて、2017年以降に成立した日本企業の新事業創造に関係が深いと考えられる提携の状況を明らかにする。これを以て本研究は、構造的パースペクティブのエコシステムが測定可能であることに一定の根拠を示すと同時に、理論発展の可能性を示す。現在の日本企業の提携は、イノベーティブなMVEが盛んというよりは、既存のビジネスの不足資源を相手に求める傾向が強い。自前主義の限界、イノベーション活性化を充足するためには、挑戦的な目的を共有するMVEの生成に意欲を向け、実践していくことが求められる。