医療
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11 巻, 5 号
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  • (第1報) 高血壓症患者脳波と各種臨床所見との關係
    伊藤 榮一
    1957 年 11 巻 5 号 p. 361-367
    発行日: 1957年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    高血圧症患者の脳波所見に関してはCohn, Bagchi, Rohmer, Roberts 及びWalker, 操, 木村氏ら及び伊藤の報告があるが, その臨床所見との関連性につき詳細に記載した文献は少ないようである. 私は国立名古屋病院入院及び外来通院の160例の高血圧症患者に脳波記録を実施し, その異常脳波の種類並びに各異常脳波発生頻度とともにこれが各種臨床所見といかなる関係にあるかをしらべた.
  • 柳田 易一
    1957 年 11 巻 5 号 p. 368-372
    発行日: 1957年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    従来温泉の作用は経験医学を基にして色々述べられてきたが, これを科学的に温泉作用を分析検討されてきたのは比較的最近であつて, その温泉作用も物理科学的, 生物学的, あるいは酵素学的に研究され, ことに生体におよぼす影響についても幾多の報告をみるがいまだ未知の作用因子のあることが推定されて多々研究の余地を残している.
    最近結合組織の基質について研究されて基質の主要構成成分であるヒアルロン酸は非常に粘稠度の高い多糖類であつて基質の透過性に関係すること大である. 一方皮膚に, たとえば連鎖状球菌, 肺炎菌などの細菌またはその産物の皮膚に侵入した場合基質の強粘性によつて侵入した細菌またはその産物の拡りを最少限度に止め組織球及び白血球などがこれを貧喰する. このために基質の透過性に関係するピアルロン酸は主体防衛の役割をはたしていることが注目されてきた. ここにおいて従来急性炎症には禁忌とされている温泉浴がある時には逆に消炎的に働いたものと考えさせられる場合を我々はしばしば経験するのであつて, この点に関して私は炎症の一因子としての拡散因子を採り上げて考えてみた.
    そこで基質のピアルロン酸とこれを加水分解するヒアルロニダーゼとの関係から, ピアルロニダーゼの作用を基にして, 温泉浴の基質への影響について観察を試みたので報告する.
  • 奥原 政雄, 門馬 良吉, 小野田 孝治, 武田 友吉
    1957 年 11 巻 5 号 p. 373-378
    発行日: 1957年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    現在乳癌に対する治療は診断が決定次第, なるべく早期に乳房切断根治手術(腋窩リンパ節廓清を含む)を行なつて, その後放射線療法を行うことが大体の原則になつている. 放射線療法によつて生存率がよくなることは, おおむね認められているところであるが, 塚本らの報告によると, ラジウムによる後放射を行なつたものは, 再発(手術創及び腋窩よりの)を抑制するが, 転移の発生に対してはあまり効果はなく, 中泉らは, 完全後放射例は不完全放射例よりも転移及び再発が少なく, 生存率も高いが, 手術の及ばない部位, 特に鎖骨上窩などの転移は減少せず, 放射線療法で再発や転移を完全に防止することは困難であると述べていて, 放射線後治療法については, さらに改善すべき点が多いようである.
    もちろん, 乳癌に対しても, その他の癌腫に対すると同様に, 充分な殺癌量を与えれば癌細胞が死滅することは当然であるから, 完全治癒をはかるための放射線療法の改善には, 再発及び転移を予想される部分に対して, 充分な殺癌量を放射することに主眼が置かれるべきである.
    私たちは乳癌に対しては, 最近, 前放射としてAu198膠質溶液を乳房内に注入し, 2~3週後乳房切断根治手術を行い, 次いでCo60による遠隔大量放射を行なつているが, ここにAu198膠質溶液の使用に関する経験について報告したい.
  • 橋本 雅能
    1957 年 11 巻 5 号 p. 379-385
    発行日: 1957年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肺結核に関する研究は, 化学療法による疾病の慢性化と外科療法の普及に伴い, 肺機能に対する考慮が要請されるようになつた. 肺機能検査方法としては古くよりHutchinsonの肺活量計による測定が行われてきたが, 1941年Cournand1)が静脈カテーテル法を臨床的に応用するに至り, 循環面における心, 肺を中心とする病態生理学的研究が盛んとなり, 肺の機能についても, 換気機能, 肺胞機能, 肺循環の三者が不即不離の関係にあることが明らかにされ, いわゆる心肺動態として新しく取り上げられるようになつた. 1949年American Trudeaun Societyの肺機能委員会2)が発足し, 臨床的検査法と研究的検査法とに分け, 肺機能を判定する上に最小限度の必要検査事項を挙げた. 1952年笹本3)が紹介するに及んでわが国においてもようやくこれについての研究が行われるに至り, 種々の例についての報告がある.
    J. S. Gray, 4) Needham5)は健康人における換気機能の正常範囲を報告し, また虚脱療法の中, 肋膜外気胸についてはCutler, 6)川村7)の報告があり, 肋膜外気胸は選択的虚脱と, 虚脱の可逆性, 肺機能の損失の少ないことなどにより幾多の利点を有していることを強調したが, 人工気腹についても百瀬, 8) Siebens9)10)の報告があり, 人工気腹のみの場合と, 人工気腹に横隔膜神経捻除術を加えた場合との肺機能の差異について述べた. 肺機能の本質は肺胞における空気と血液とのガス交換であつて, 換気機能, 肺胞機能, 肺循環の三つに分つて考えることができるが, これらの中のいずれが障害されても正常な呼吸機能を維持することができない. しかしあと二者は手技が煩雑であり, 臨床的に一般に施行するには適さない. 従つて著者は換気機能を主として肺結核患者の肺機能の検索をした.
  • 正木 誠, 中元 藤茂, 石山 和夫
    1957 年 11 巻 5 号 p. 386-395
    発行日: 1957年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    PZA-INH or PZA-IHMS combined therapies were given to 18 pulmonary tuberculosis cases. In 12 cases out of the total 18 cases, liver and kidney function tests were conducted repeatedly.
    PZA-INH combined therapy (7 cases) and PZA-IHMS combined therapy (5 cases) were continued for 4 months by the following proportions:
    The liver function test was conducted every two weeks. The test included the following items: urine-urobilinogen; icteric index; BSR clearance; thymolttlrbidity test; cephalin-cholestero1-floculation test; cobaltreaction; and plasma protein level. Furthermore, the following tests were also made to facilitate the study: Hijmans Van den Berger reaction; serum alkali phosphatase; Plasma cholesterol level; and plasma protein fraction (Tiselius).
    The kidney function test was made every month comparing the results with the test before the administration. The test induded the following items: glomerural filtration rate; renal plasma flow; renal blood flow; filtration fraction; PSP clearance; and Fischberg test.
    The results are as follows:
    1) In one case, symptoms of jaundice were noticed after 10 weeks of the administration. Examination of sample by the function test and aspiration liver biopsy indicated the possibility of the growth of hepatitis by PZA. Histologically, subacute nonspecific hepatitis was seen in tissue system.
    2) By the liver function test in 11 cases (excluding 1 jaundice case), the following temporary tendencies were noticed at 6 to 10 weeks after the administration: BSP dye retention; and icteric index elevation.
  • 寺山 和夫
    1957 年 11 巻 5 号 p. 396-404
    発行日: 1957年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    SM耐性結核症の免疫学的研究の一端としてSM耐性菌から作つたツベルクリンが従来の診断用ツベルクリンと異なつた点はないかという問題について皮膚反応抗原, 赤血球凝集反応抗原および沈降反応抗原としての面から検討した. それによつてSM耐性菌による結核症とSM感性菌による結核症に免疫学的差異が見出されるか否かを確かめようと試みた.
  • 原島 三郎, 石井 暢, 貴船 トミ子
    1957 年 11 巻 5 号 p. 417-419
    発行日: 1957年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Schwabはテタニーを神経筋及び知覚刺戟閾値の低下を伴う中枢神経の興奮性亢進の状態と定義し, (1) 低カルシウム血性テタニー(慢性特発性上皮小体機能低下症, 仮性上皮小体機能低下症, 手術, X線照射, 感染, 出血などによる上皮小体侵襲, 佝僂病, 腸疾患に伴われるテタニーなど) (2) 正カルシウム血性テタニー(過呼吸性, 胃性, 心因性, 燐過剰投与, 重曹過剰投与, 水銀利尿剤投与時テタニーなど)と分類している. 本邦において, 甲状腺手術後あるいは小児において佝僂病と合併したテタエーはしばしば報告されているが, 成人の特発性テタニーで典型的症状を呈し, 血中無機塩類の測定及び誘発試験の試みられた症例は少ない. われわれはその1例を経験したのでこれを報告する.
  • 血中尿素窒素の簡易測定法
    尾崎 良直, 能勢 修
    1957 年 11 巻 5 号 p. 420-422
    発行日: 1957年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 庄司 敏彦, 市瀬 正
    1957 年 11 巻 5 号 p. 423-426
    発行日: 1957年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    馬尾神経叢部の腫瘍は比較的まれなものであるが, ことに同部の皮様嚢腫はきわめて稀有なものに属する. 私らは胸椎後彎及び背痛を主訴として来院した患者の背部皮膚に異常成毛を伴う色素沈着を見, レ線像に胸, 腰椎の畸型を証明し, さらに精査の結果, ミエログラフイーにより腫瘤の存在を証明し, 手術別出により皮様嚢腫であつた1例を経験した. 背部の異常成毛が往々脊椎畸型と関連性のあるのは衆知のことであるが, 本症例のごときもまた異常成毛が脊椎管内の皮様嚢腫にまで連なる興味あるものとしてここに報告する次第である.
  • 渡邊 徹, 大西 則之, 米津 和幸
    1957 年 11 巻 5 号 p. 427-429
    発行日: 1957年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    骨肉腫が外傷に起因する例の報告は従来しばしばなされているが, 最近これを否定する向もある. 我々はここに, 既往症よりして明らかに外傷に起因し, 組織学的に興味ある胸骨腫の1例を経験したので報告する.
  • 福田 敏雄
    1957 年 11 巻 5 号 p. 430-432
    発行日: 1957年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    先天性肩甲骨高位症は1863年Eulenburgにより初めて記載せられたが, 1891年Sprengelが詳細な研究報告をなしたことからSprengel氏変形とも呼ばれている. 本症は比較的まれな先天性奇形に属し, ことに両側性のものははなはだまれで, Schwahnによれば氏が文献中より蒐集した150例中20例のみであつたという.
    私は最近頸椎奇形を有する先天性両側肩甲骨高位症の1例を経験したのでここに報告し, その成因についていささか考察を加えて見たい.
  • 織田 良之祐
    1957 年 11 巻 5 号 p. 433-436
    発行日: 1957年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々の日常生活, 職業生活がともに「手」に負うところが多いのはいうまでもない. それだけに工場や農村, はたまた家庭の台所においても至る所, 手指を傷つける恐れが多い. その際関節を振傷することも少なくないし, また腱に損傷を与えることも少なくない, これらの結果, 関節の強直, 拘縮, いろいろの変形, 運動障害をきたす結果となり, 創傷が一応治癒したとしても指の機能の低下する場合は非常に多いわけである. このように手の使用範囲の広く, かつ我々の日常生活における重要性を考えると手指の機能の全部でなくとも, いくらかの運動能力と, 手に入る力の幾分かとを獲得し得れば, 患者の生活にとつて相当のプラスを与えることとなるわけである. こういつた観点から私は高度なTraumatic Decormationの結果ほとんど全指の機能を失う程度に至つた例に, いわゆる中手骨間骨癒合術Intermetacarpal Fusionを行なつた. 術後比較的短期間に内転位拘縮は改善され, 患者は鉛筆で字を書くことができるようになつたので高度な手指損傷に対する一つの方法として紹介的立場からここに報告した次第である.
  • 國立東京第二病院癌センター
    1957 年 11 巻 5 号 p. 437-444
    発行日: 1957年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1957 年 11 巻 5 号 p. 445-447
    発行日: 1957年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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