大理石骨病は全身の骨格の硬化性変化を起こすことが特徴の疾患であり, 幼児の報告例は稀れなものである. 我々は2才4ヵ月の男子の1例を経験したので, 主に歯科口腔領域の見地から報告する.
患者は外来以前, てんかん様発作と発熱を繰り返し, 当院小児科を受診した. 家族歴, 遺伝関係に異常認めず. 臨床所見として肝, 脾の腫大, 低色素性貧血, 便潜血反応(+++), GOT 131, GPT 64, CRP(++), 眼底視神経網膜萎縮と黄斑部変性, 視力障害強度, 腱反射亢進などが認められた. レ線所見で身体各所の骨格に骨硬化像, チヨーク様変化が見られ, 歯科的所見として歯牙萌出遅延著しく, 顎骨も処々に硬化像があり, 頭蓋は前後方向では一見仮面を被つたような像を示した. 萌出及び未萌出歯牙の形態は一般に歯冠の大きさはほぼ正常であつたが, 歯根端は未完成であり, 歯牙の萌出遅延を観察中であつたが, 患者死亡のため中止のやむなきにいたつた.
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