脳動脈のTortuosity, Ectasiaと脳動脈瘤の併存をみる症例の報告は散見するのみである.
我々は, 49才, 女子, 両側内頸動脈系の著明なTortuosityとMegadolicho basilar artery及び前交通動脈瘤の1例を経験した.
クモ膜下出血で発症し, 始め, 出血の原因は, 内頸, 前大脳動脈C
2, A
1のElongationにより前交通動脈瘤が隠蔽され, Megadolicho basilar arteryによるものと推定された. 後に, 脳動脈瘤が同定され, 直接手術によりClippingし, 出血源は瘤破裂によることが確認された.
脳動脈のTortuosity, Ectasiaの成因に関して考察し, 先天的血管脆弱性が素因にあり, これの加令的変化の所産と推定した. 従つて, 脳動脈瘤合併の頻度も多くなるものと考えられ, 脳動脈撮影法の工夫などにより, 更に精密な検索を行う必要がある.
複雑な脳血管走向異常と併存する脳動脈瘤の同定法として, 小照射野撮影法の利点を述べた.
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