医療
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35 巻, 12 号
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  • ―とくに胃癌の化学療法―
    井林 淳, 別役 孝
    1981 年35 巻12 号 p. 1077-1080
    発行日: 1981/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和44年から53年までの10年間に国立札幌病院消化器科に入院した非切除胃癌207例について癌化学療法の成績と免疫療法の併用について成績を報告した.
    この結果癌化学療法の効果を期待し得る条件として使用する抗がん剤に対して宿主の癌が, 感受性を有していることが必須条件であること. また化学療法開始時点において貧血, 低蛋白血症及び肝機能障害を可及的に改善しておかねばならないこと. 液性および細胞性免疫能を十分保たせねばならないことなどが挙げられる. 最近の癌治療法には集学的治療が導入されなければならない考え方を述べた.
  • ―UFTM療法による胃スキルスの形態学的変化と生存期間を中心に―
    須賀 昭二, 吉田 雄一, 恒川 洋, 加藤 肇, 長谷川 義夫, 木村 禧代二
    1981 年35 巻12 号 p. 1081-1086
    発行日: 1981/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    15例の胃スキルス患者をUFTM療法により治療を行つた. UFTM療法は5-FU analogueのUFTとMitomycin Cの併用療法でありUFTの癌病巣到達性に関する臨床研究成績をもとにして作成された. すなわち体重50kg当り300mgのUFTを1日2回食前に経口投与し, さらにUFTにMitomycin C 6~(8)mg/50kg B. W. を毎週1回one shot静注する.
    全15例中Performance Status 4の2例と副作用のため治療を中止した2例を除く11例の胃スキルス患者のうち7例(64%)の原発巣に治療後明らかな形態学的(レ線的, 内視鏡的)改善がみられた. またUFTM療法による改善群に延命がみられた.
  • ―自験例5例とその胃液検査所見を含めて―
    三宅 周, 河野 宏, 植田 昌敏, 窪田 政寛, 尾上 公昭, 渡辺 正博, 杉山 明, 岩原 定可, 鷲田 哲雄, 榎本 正満, 荒木 ...
    1981 年35 巻12 号 p. 1087-1092
    発行日: 1981/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    カルチノイドは, 原腸系組織(臓器)に分布する内分泌細胞を起源とする腫瘍である. 消化管原発のほぼ半数は虫垂にあり, 胃原発は18%といわれる. 自験例5例では, 4例に便潜血反応陽性であつた. 年令は56~73才で男3人, 女2人で, カルチノイド症候群を1例に認めた. 胃液検査は4例に施行され, うち3例は低酸傾向にあつた. 症例1~4が進行癌であり, 症例5は早期癌であつたがすでに転移を来していた. 肝転移を2例に, リンパ節転移を3例に認め, 組織では5例中3例に胃癌を合併していた. このようにカルチノイドは悪性の腫瘍なので, 内分泌学的検査, 内視鏡下生検診断に力をおいて, 早期発見に努力する必要がある.
  • 石山 和夫, 山田 穣, 松本 重喜, 岡本 哲彦, 春山 克郎, 三橋 俊郎, 窪地 淳
    1981 年35 巻12 号 p. 1093-1098
    発行日: 1981/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和53年7月からの3年有余にわたつて当院に入院した胃癌患者の手術前後の免疫能の推移と制癌剤のこれに及ぼす影響について検討した. 症例は52例、(男30例, 女22例)で年令は30才から78才である. なおstage分類としては, I17例, II7例, III11例, IV17例である. 観察期間は死亡例を除き最長2年以上に及んでいる. 免疫能の指標としではT-cell, リンパ球, S. I. その他について観察した. 術前ではstage IVの症例に低値のものが多かつた.
    術後は, 2週目の成績では各群とも低値を見た. 薬剤投与のないstage I, II群では6ヵ月前後にかけて緩徐な回復を示し, その後一たん低下した後12ヵ月ころに再度上昇を見た. しかしOK 432投与群では各群とも3ヵ月前後に上昇を示した. 他の制癌剤投与群での回復は遅延する傾向を見た. 死亡例ではその数ヵ月前よりT-ce11, S. I. の低下傾向があつた.
    stage IVおよび末期以外の症例では免疫賦活剤と制癌剤の併用は術後早期における免疫能の維持回復に有用である.
  • 荻田 征美, 金田 守, 佐々木 廸郎, 市川 健寛, 宮川 明
    1981 年35 巻12 号 p. 1099-1103
    発行日: 1981/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Borrmann IV型胃癌(Borr. IV)は発見時, すでに進行したものが多く, 予後も悪い. しかし, 治癒手術を行つた中には長期生存を得た例もあり, 治癒手術への期待がある.
    そこで, 昭和43年8月から49年12月までの37自験例の手術例から治療内容を検討した.
    Borr. IVの絶対治癒手術率は低く, 絶対治癒手術例の5年生存率(5生率)も低い. se例では極端に予後は悪かつた. リンパ節郭清による5生率は, ss例では郭清することによる効果はあり, さらに, 10, 11番リンパ節転移例には, 膵脾合併切除の延命効果はあつた. se, n3 (+)でR3手術を行い, 術中, 術後に強力な化学療法を行つて長期生存例を経験した. se例には手術に加え, 化学療法の工夫, とくに腹膜再発に対する治療が必要である.
  • ―特に胃癌症例について―
    小武 康徳, 高田 俊夫, 賀来 清彦, 平野 長煕, 伯野 徹, 渡辺 四郎, 小田 稔, 後藤 正彦
    1981 年35 巻12 号 p. 1105-1110
    発行日: 1981/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国療東佐賀病院において, 昭和46年から53年までの8年間における腹部外科手術症例は124例であり, このうち肺結核を合併した症例は23例(18.5%)であつた. 肺結核を伴つた胃癌症例9例で, 50才から60才に多かつた. 肺結核を伴う胃癌症例の肺機能は, 混合性換気障害を示す例が多い. 手術当時の排菌は1例に認められた. 切除不能例は71才以上が多かつた. 切除不能の理由は, 癌の進行度によるものは1例もなく, 低肺機能によるものが66.7%と最も多い. 切除例9例について, 術後シユーブを起したものは1例であつた. 従つて, 肺結核を合併する胃癌手術適応の決定と術後経過を左右する因子は肺機能低下ということができる. このことを念頭において, 術前術中, 術後の管理に努力することにより, 肺結核合併例といえども, 術後成績の向上を期待することができた.
  • 西浦 政代, 吉田 茂昭, 小黒 八七郎
    1981 年35 巻12 号 p. 1111-1115
    発行日: 1981/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立病院共同研究班々員12施設の過去5年間の小胃癌(長径1cm以下)の経験例を集計し, その臨床病理学的症候学的な検討を行うことにより早期胃癌診断における現状と今後の問題点を明かにすることを目指した.
    その結果, 単発微小胃癌と多発癌に伴う微小胃癌では病理学的に性状の差が著しくhistogenesis上での違いが示唆され, また診断学上でも大きな違いが見られた. 微小癌の発見には集検の意義が大きく, 症状中心の診断体系では無症状例, 殊にul(-)癌の発見は困難と思われた. 診断学的にもul(-)癌の診断指標は不十分であり, 新たな診断指標の展開が必要である.
  • 野坂 純一郎, 福井 興, 植村 富士男
    1981 年35 巻12 号 p. 1117-1120
    発行日: 1981/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    前後11年間にわたり経過追跡中であつた再発再燃を繰り返す, 75才, 男性の胃潰瘍患者にIIc型早期胃癌が発見された. 過去の内視鏡フイルムを詳細に検討すると, 4年前まで遡及的に追求が可能で, 4年前は境界不鮮明な色合いのうすい異常発赤, 2年前では境界が鮮明で色合いの濃い異常発赤であつた. 1年前では小さな白苔と, 辺縁の一部に発赤を伴つた病変としてみられた. 4年前の境界不鮮明な異常発赤が本症例の初期像であつたと推定される. 当時は萎縮性変化に伴つてみられるびらんと解釈されて見逃されていた. 最近, 早期胃癌分類に記載されたような典型的早期胃癌に遭遇することは次第に少なくなり, 非典型的な早期胃癌が数多く発見されつつあるが, いずれも明確な初期像を認識した上で診断されたものではないと思われる. 今後, 内視鏡的に明確な初期像を集積してゆく努力が要求される.
  • 喜多島 豊三, 中島 洋
    1981 年35 巻12 号 p. 1121-1124
    発行日: 1981/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は吐・下血を主訴とした患者の救急手術後に, 微小III型早期胃癌と判明した症例を経験した. すなわちHauser型潰瘍癌の例であるが, これは以前よりあつたIIcが潰瘍の急性増悪により大きく削りとられて散在的に残つたものか. あるいは多中心性に発生したのか, 判断の難しいところである. 文献的には現在, 潰瘍の癌化という考え方はほとんど否定的になつてきているが, 村上によれば粘膜癌発生のメカニズムがはつきりと解明された訳ではないし, また癌が潰瘍化してHauser型となつた例もそれ程多くはないので, いまだ潰瘍と癌との関係が全く否定された訳ではないと警告している.
  • 中田 理, 津田 宏信, 高松 脩, 浅井 伴衛, 森田 弘之, 道場 昭太郎, 木下 睦之, 上田 博, 小山 信, 渡辺 騏七郎
    1981 年35 巻12 号 p. 1125-1128
    発行日: 1981/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例 48才男子 約5年前より時々心窩部痛を認めた. 1975年2月某病院で, 胃X線検査, 胃内視鏡検査を受け, 生検により胃潰瘍と診断されたが, 食後のもたれ感が消失しないので, 国立金沢病院外科を受診した. 1975年4月26日胃X線検査施行. 前庭部小轡に陥凹性病変が見られ要内視鏡検査とされた. 1975年5月2日, 胃内視鏡検査施行. 前庭部小轡に, 極めて小さな不規則な赤いびらんが見られた. このびらんから10個の生検組織が採取され, その中の1個が, group IVと診断され, 1975年5月6日胃癌として胃切除が行われた. 切除標本は前庭部小轡に不規則な陥凹があり, 周囲は胃小区よりやや大きな花弁状隆起で囲まれている. 大きさは5mm×5mm. 組織学的に, びらん性陥凹部は中分化型管状腺癌の像を示し, リンパ節転移はなく, その増殖は粘膜固有層で, 最終診断は, 前庭部小轡のIIc型早期胃癌で, UIは伴わず, 深達度はm. 大きさは4mm×4mmとされた. 術後経過は極めて順調で, 術後6年にて健在である.
  • 今福 健雄, 近藤 忠亮, 柏原 瑩爾, 岡本 司
    1981 年35 巻12 号 p. 1129-1131
    発行日: 1981/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    十二指腸潰瘍にて胃切除し15年後に発生した残胃早期I型(ポリープ)癌を報告した. 症例は52才, 男, 大工で主訴は全身倦怠感. 貧血を認め胃内視鏡検査で残胃噴門部にI型ポリープ早期胃癌を認めた. 組織学的診断は高分化型管状腺癌であつた. 深達度はm. 本邦報告17例と共に若干の文献的考察を加え残胃癌では貧血が見られることが多いこと, また残胃癌の発見には胃X線検査のみならず内視鏡的検査を積極的に行う必要があることを強調した.
  • 4. 脊髄疾患 2) 脊髄腫瘍
    柴崎 啓一
    1981 年35 巻12 号 p. 1136-1137
    発行日: 1981/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1981 年35 巻12 号 p. 1138-1141
    発行日: 1981/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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