医療
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35 巻, 11 号
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  • I. 臨床的側面からの検討
    西海 正彦
    1981 年 35 巻 11 号 p. 971-976
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチには関節骨破壊が発症後1年以内に発現する型と, 1年以上経過しても骨破壊を示さぬ型の2つが存在した. 後者は前者の軽症型ではなく, また他の膠原病の前駆状態でもなかつた. 後者は前者に比し皮下結節, 血沈亢進, CRP陽性, および貧血が少なかつた.
  • II. 免疫血清学的側面からの検討
    西海 正彦
    1981 年 35 巻 11 号 p. 977-981
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    前の報告で慢性関節リウマチ(RA)には関節の骨破壊を1年以内に認めるRA(ERA)と何年も認めぬRA(NERA)の2つの型が存在することを述べた. 本稿ではRAにおける沈降性自己抗体をはじめとする免疫異常の側面からERAとNERAとの特異性を検討した. その結果Ro抗体陽性でLa抗体陰性のRAはERAに多く(P<0.01), 両者ともに陽性のものはNERAに多かつた(P<0.001).
  • 佐分 利輝彦
    1981 年 35 巻 11 号 p. 983-987
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    院内感染の防止は, 病院が実践すべき重要な倫理の一つである. 院内感染は, 古くから手術, 分娩, 小児におけるものが問題とされてきたが, 現在では病院内の広い範囲で考慮されねばならない. 感染の発生には感染源一感染経路―感受性体の3つの要素があり, 院内感染予防のポイントは, 感染経路の遮断にある. 従来とかく院内感染は診療や看護の問題として局所的に考えられる傾向にあつたが, 院内感染の防止や発生時の対策は, 病院管理の問題として対応されねばならない.
    このため, 病院は感染管理委員会を設置し, 院内感染予防の処置を講じるとともに, 院内でおこつた感染はすべてこの委員会に通報させ, 院内感染の存在が明らかになつた場合は, 委員会は院長の指揮によつて的確な対策を講じる. 職員に感染者を発見した場合には配置転換, 休職, 入院などの処置をとる. 法定伝染病の場合は, 保健所に連絡をとり, ただちに防疫対策を行わねばならない.
  • 天木 一太, 武尾 宏
    1981 年 35 巻 11 号 p. 988-992
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    水平層流式無菌病室を用いた急性白血病の治療と本病室の運営方法ならびに患者の治療成績について述べる. 無菌病室での抗白血病療法は一般病室例と同一のプロトコールに従つており, とくに抗白血病剤の増量は行つておらず, 緩解率, 緩解導入期間, 緩解持続期間などには, 開放病室例との間に差はみられなかつた. 感染症の予防効果をみるために好中球数と発熱期間との関係について, 開放病室例と比較したところ, 無菌病室例に発熱出現頻度の低下が認められた. 入室患者12例中1例に内因性感染と思われる敗血症が認められた外, 原因不明の発熱が2例みられたが, 開放病室で多発する肺感染症は認められなかつた. 患者常在菌叢のうち, 糞便中の細菌動態は検索しえなかつたが, しらべえた範囲では咽頭と肛門周囲の細菌が種類, 量ともに多く, 今後これらの部位への対策が重要と考えられる.
  • 藤川 達明, 富岡 由之
    1981 年 35 巻 11 号 p. 993-997
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    重症心身障害児(者)をつくり出し, あるいは重症化させている要因について調査, 集計し, その問題が単に重症心身障害児(者)のみに帰せられないこと. むしろ彼らを一個の「ヒト」として形成する過程における環境的要因が看過しえないことが指摘しうる結果を得たので, その調査, 集計を公表することにした.
  • 合田 忠, 久保西 健司, 神人 勉, 佐々木 光, 神人 映子, 久保 摂二
    1981 年 35 巻 11 号 p. 998-1001
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    行動異常を伴う重度心身障害児病棟という特殊な病棟において, Sonne I型赤痢菌による赤痢の集団発生があり, 約2ヵ月余にわたつて新患者の発生が続くという事態を経験し, その対応について反省すべき点があつたので, その経過の概要について報告した.
    1)菌陽性者のみの隔離では, 以後の新患者の発生は予防し得なかつた.
    2)短期間の薬剤の予防内服は無効であつた.
    3)感受性薬剤を使用することはもち論であるが, 良吸収性薬剤と難吸収性薬剤との併用が最適であり, 小児に対しては成人量に近い大量投与が有効であつた.
    4) Sonne菌による赤痢では, 治療終了後, 少なくも1ヵ月間は再排菌の有無を観察すべきである.
  • 中川原 寛一, 酒井 京子, 佐藤 元
    1981 年 35 巻 11 号 p. 1002-1006
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は, 伴性劣性遺伝を示す, Progressive muscular dystrophy (Duchenne type)中期分裂像の染色体内におけるDNA上の傷害を定量的に観察するため, Sister Chromatid Exchange (SCE)を指標として検索した.
    1) Duchenne typeとcontrolにおいてSCE数に差が生じた.
    2) SCE切断出現場所については, C群, 染色体に多い傾向にある.
  • ―主として閉塞の全身的要因について―
    船木 治雄, 大田 早苗, 広瀬 脩二, 又井 一雄, 小出 桂三, 吉岡 典子
    1981 年 35 巻 11 号 p. 1007-1014
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    前腕の動静脈内シヤント施行症例123例について, シヤント閉塞の, 主として全身的要因について検討した.
    技術的なミスによらないで術後にシヤントが閉塞した症例は22例で, 全症例の17.9%にあたる. 「のう胞腎性腎不全」と「糖尿病性腎症」では, シヤントの閉塞率が高く, それぞれ80%, 57.1%という高い閉塞率を示した.
    シヤント閉塞のみられなかつた群(第1群)と閉塞のみられた群(第2群)とに分けて, 年令, Ht値とその変動幅, 血小板数, 血圧及びその変動幅, シヤント流量などの項目について比較してみたところ, 第2群の方が第1群に比べてより高令であり, 血圧がより低く, またシヤントの流量の不良のものが多かつた.
    また, シヤント閉塞の時期と年令との関係を調べたところ, 術後2年未満で閉塞したものの平均年令は(45±13)才, 2年半以後に閉塞したものの平均年令は(30±8)才であつた. このことは, たとえ若い腎不全の患者であつても, 2年半以上にわたり, 1つの内シヤントを使用してい
    るうちに, 恐らく血液透析のたびにシヤント部位を反復穿刺することや, 透析終了時に止血のために穿刺部位を圧迫することなどが原因となつて, シヤントの閉塞が起こるものと考えられる.
  • 大倉 慶子, 鳥海 達夫
    1981 年 35 巻 11 号 p. 1015-1020
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    妊娠中の嗜好品が児の発育に及ぼす影響を2地域で調査し, 妊婦及び父親の喫煙, 妊婦のアルコール, カフエイン摂取が児の生下時体重に与えた影響について, 母親の体重及び在胎週数の影響を除いて統計的に解析を行い, 以下のような結果を得た. (1)妊娠初期, 後期に月ビール2本以上摂取する群では, そうでない群よりも有意に生下時体重の大きな児が生まれる傾向をみた. (2)母親が妊娠前に喫煙した群では, 有意に生下時体重の小さい児が生まれた. またその他の妊娠期間に喫煙した場合も児が小さい傾向にあつた. 父親の喫煙と児の生下時体重との相関は認められなかつた. (3)アルコールとタバコの両方を摂取する場合の交互作用は認められなかつた. (4)紅茶5杯以上のカフエインを摂取した場合, 妊娠のいずれの時期にも, 有意に生下時体重の小さい児が生まれる傾向にあつた. (5)環境が異なると思われた2地域での調査では, 特に有意差は認められなかつた.
  • 沢村 献児
    1981 年 35 巻 11 号 p. 1021-1027
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1974~1979年間の国療16施設の慢性膿胸765例を, 治癒, 軽快などの治療成績判定基準を明確にした上で分析した.
    男性が80%を占め, 50才以上は60.3%, 60才以上は24.5%と高令者層が多く, 全膿胸は49.3%, 内瘻ありが53.5%を占めていた. 喀痰中結核菌は20.8%, 膿胸腔内結核菌は22.2%に陽性で, 化膿菌はグラム陽性球菌20%, グラム陰性桿菌21%, 結核菌とグラム陽性球菌の混合感染4.3%, グラム陰性桿菌との混合感染3.5%, 無菌性は31.6%であつた.
    内科的治療は24.3%に施行され, 治癒30.1%, 成功65.1%, 死亡12.4%とかなり良好な成績を示したが, 有瘻, 耐性例の治癒は4.5%, 成功22.7%, 死亡45.5%と悪かつた.
    外科的治療(無瘻例)は30.1%に施行され, 治癒87%, 成功93.5%, 死亡2.6%, 一期的手術成功率67.8%を示し, 有瘻例(41.8%)では, 治癒67.2%, 成功82.2%, 死亡5.9%, 一期的手術成功率41.6%を示した.
    術式別では骨膜外Air plombage法が剥皮術単独に遜色ない成績を示したのみでなく, 肺機能の改善度では, 剥皮術に優る良好な成績であつたが, 術前のrisk度により更に分析した上で最終的な術式別評価を行いたい.
  • 則井 崇, 長田 高寿, 瀬崎 達雄, 石井 廣文
    1981 年 35 巻 11 号 p. 1029-1032
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例75才, 男. アレルギー性素因なく, 3年前より糖尿あり, 経口剤で治療, インスリン(「イ」)による治療はしたことがなかつた. 1979年2月25日多尿あり入院, 空腹時血糖, 294mg/dl, 1日尿糖78-94g, 3月4日よりレンテ「イ」30u. 開始するも「イ」アレルギーの臨床症状はなかつた. 3月26日白血球数14,700, 好酸球50%と増加, 4月3日IgE 25,800U/mlの高値を認めた. 糖尿病のコントロールは良く「イ」を漸次減量するに伴い白血球数, 好酸球比率は減少するもIgEは上昇, 9月1日には424,000U/mlに達した. 9月26日「イ」より経口剤に切換え, 以後IgEは減少傾向にある. 「イ」による即時型アレルギー反応はIgE型抗体に由来する. RASTによるIgE型「イ」抗体検出を北大・第2内科・中川先生により測定, 牛, 豚, 豚-MC, 魚「イ」いずれに対しても明らかに陽性で「イ」を抗原決定基とするIgE抗体を含んでいることが証明された. 患者は既に経口剤への切換えをしてコントロール良好で「イ」脱感作療法は行わなかつた.
  • 吉岡 秀憲, 安冨 徹, 古田 睦広
    1981 年 35 巻 11 号 p. 1033-1036
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    特発性門脈圧亢進の診断のもとに開腹し, 10年後再び開腹した症例を経験したので全経過と病理所見を報告する.
    症例は61才の女性で10年前食道静脈瘤からの出血, 脾腫, 汎血球減少症を認め, 特発性門脈圧亢進症と診断し, 脾剔, 近位脾腎静脈吻合を行つた, 肝は肉眼的に正常であつた. 2年後再吐血を来し, 経胸的食道離断を行つた. 8年間良好に経過した後, 吐血を来し, 紐腹的食道離断を行つた. この時採取した肝の生検所見は, piecemeal necrosisと細胞浸潤がみられ, chronic active hepatitisであつた. 肝細胞はfat degenerationを認め, liver cell cordの配列に乱れがあつた. 検査成績は, 脾別後血球減少症は改善し, 肝機能はほぼ正常であつた. γ-globulin分画が増加し, IgGが高く, RA因子陽性で細胞性免疫が低下していた.
    本症例はcryptogenic chronic active hepatitisと考えられ, 免疫応答の変化があり, 本症の病因との関連に興味深いものがある.
  • 石倉 彰, 木村 誠, 出野 秀
    1981 年 35 巻 11 号 p. 1037-1040
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    口腔内常在の嫌気性菌Propionibacteriumによる小脳膿瘍の1例を報告した. 歯槽膿漏が原発感染巣と推定され, 膿瘍の被膜形成良好だつたため, 被膜外全摘出術が可能であつた. また, 菌はAminoglycosides剤以外の抗生物質多剤に高い感受性を示したため, PC, CERの大量投与にて完治を得ることができた. 本例の起炎菌は, 最初好気性培養で検出されず, 嫌気性培養にて初めて分離されたものである. 近年, 嫌気性菌による脳膿瘍の重要性が認識されてきており, 好気性培養のみで菌陰性例を無菌膿瘍として安易に処置することの危険性が指摘されている. 今後, 脳膿瘍の起炎菌検出にあたつては, 好気性, 嫌気性両者の培養は必須であり, 嫌気性菌が分離された場合は, より十分な配慮と早期の適切な治療が望まれる.
  • 鎌田 達, 黄 英博, 重藤 エリ子, 田中 邦子, 沓掛 文子, 岩崎 肇, 真田 義男
    1981 年 35 巻 11 号 p. 1041-1044
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Cryptococcus neoformansは肺や中枢神経にとくに親和性が高く, 診断がむつかしく, 予後不良な疾患である. 骨クリプトコツカス症は極めてまれである. 今回, 我々は, もつとも一般的な型である髄膜炎を呈した36才男性と, まれな骨に限局性の29才男性の2症例を経験した. 前者は激しい頭痛, 嘔吐が主訴で来院し, 髄液から真菌を墨汁法で証明し, アンホテリシンBの静注と髄腔内注入により約8ヵ月後に髄液から真菌の消失をみた. 後者の症例は, 大腿骨頸部に, 骨破壊像をレ線的に認められ結核性病変の疑いで来院し, 骨病巣郭清と骨移植術を施行し, 摘出壊死組織からPAS染色にて真菌を証明した. アンコチルの内服で良好な経過をたどつている. 髄膜炎例は, 1年後に急性肝不全で死亡し, 剖検によりなお髄膜に真菌を認め, 薬剤の有効投与量の決定のむつかしさを痛感している.
  • 大内 円太郎, 奥田 観士, 大源 和彦, 大野 敦史
    1981 年 35 巻 11 号 p. 1045-1047
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    患者は23才の男. 1978年6月19日軟式野球ボールで右眼受傷. 特に既往なし. 入院後低眼圧が続き, 眼底は, 視神経乳頭次第にうつ血乳頭状となり, 黄斑部及び網膜皺壁増大し, 且つ中心窩に出血及びlamellar macular holeを形成し, 視力障害著明となる.
    原因は毛様体剥離による眼圧長期低下が主なものと考えCyclocryothermy, steroid剤などを行うも視力回復せず退院す.
  • 山田 哲夫, 田口 裕功, 村山 鉄郎, 臼田 和正
    1981 年 35 巻 11 号 p. 1049-1051
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    私たちは18才男子の尿道異物の1例を報告した. 患者は軽い精神薄弱で, 5cmの釘を尿道に挿入後約5年以上経過して来院した. また最近20年間における尿道異物43例を集計した. このうち異物が1ヵ月以上存在した8例に対し臨床的検討を加えた.
  • 4. 脊髄疾患 1)脊髄血管奇形
    柴崎 啓一
    1981 年 35 巻 11 号 p. 1052-1053
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 35 巻 11 号 p. 1054-1056
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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