医療
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35 巻, 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 古屋 暁一, 横張 竜一, 酒瀬 川裕, 栗本 義直, 森一 博, 青塚 新一, 大川 雅子
    1981 年 35 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    SLEの治療および生活指導を適切に行うためには, 疾患活動性の正しい判断が大切である. この研究はSLEが多臓器障害性の疾患であるとの認識から, 障害臓器由来の諸症状および検査値の相互相関性を調べ, 相関ある顕症の一方を除外して臨床的活動性をあらわす指標15種目を選び, これをスコア化して血清補体価, 2本鎖DNA結合能, 末梢血リンパ球数, 免疫複合体, Eロゼツト形成細胞率との相関を検討したものである. その結果, 疾患活動性スコアはEロゼツト形成細胞率を除く他の免疫学的指標と有意の正または負相関を示した. 患者入院時と退院時のスコアには有意差あり, ステロイド開始後, 経過改善に伴いスコアの低下がみられた. 国立病院・療養所からの多数例についても, 入・退院時のスコアとC3および末梢血リンパ球数とは有意の負相関が認められ, このスコア化がSLEの臨床的活動性指標として普遍性あり, 有用と考えられた. しかし, 腎症を伴うSLEではスコアと血清C3値とは必ずしも相関せず, 指標選定の問題をも含め, 評価法について向後の検討が必要となろう.
  • 西海 正彦, 伊藤 宗元
    1981 年 35 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    多発性筋炎(および皮膚筋炎)は膠原病の一構成疾患とされる. しかし, 本疾患が自己抗体をもち, 真に自己免疫疾患としての性格が明らかにされたのはごく最近になつてからである. 著者らは本症の臓器特異性自己抗体として抗ミオグロビン抗体を発見し発表してきた. また最近本症には多様な抗核抗体が存在することが明らかになつてきた. 本稿では中でも皮膚麓炎に特異性の高いMi-1抗体と多発性筋炎に特異性の高いJo-1抗体について解説する. これらの個々の抗体が臨床的に, 特に診断, 治療, および予後などの而でどのような意義を有しているかを検討してゆくことが本症の理解を深める上にきわめて重要な事柄と考えられる.
  • 吉村 誠之
    1981 年 35 巻 2 号 p. 129-131
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    正常および異常妊娠各期120例の新鮮胎盤の実質部を覆う羊膜の上皮細胞質内ズダン好性顆粒を顕微鏡による直接観測で計測した. 羊膜上皮細胞質内のズダン顆粒は妊娠初期には全く出現せず, 妊娠末期に全例出現し. 妊娠後期から末期に向けて出現頻度が増加の傾向を示すことは, Strehlerらの老化の基準1(Universality)と基準2(Time Dependence)を満たすものといえる. 次にこれらの変化は正常例において認められた変化であることから, 基準3(Intrinsicality)を満たすものともいえよう. 一方, 多量の顆粒蓄積の結果, 細胞機能は低下を来すと推測され, 従つて基準4(Deleteriousness)を満たすと思われる. 以上より, 正常例における羊膜上皮細胞質内のズダン好性顆粒の蓄積は, 老化現象に基づくものと考えられ, 従つて羊膜上皮細胞層は妊娠後期以降に老化現象を来すと考えられる. またこのズダン好性顆粒はStrehlerらの指摘する老化色素の一種とも考えられ, 今後詳細に検討すべきと考える.
  • 佐藤 昭雄, 日野 理彦
    1981 年 35 巻 2 号 p. 132-137
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    腺腫による原発性アルドステロン症3例に, 術前にSpironolactone (SP)1日200~300mgを5~7週間投与し, 血漿アルドステロンに及ぼす影響について形態学的, 機能的な面より検討した. 血清Kは投与後1週間以内に正常化し, 血圧は2~3週間後に140-80台となつた. 血漿アルドステロンは急速に減少し, 血漿レニン活性は徐々に上昇した.
    Spironolactone body (SP. B)は腺腫の中にのみ認められ, SP. Bの数とSPの投与量, 投与期間, 臨床効果との間には相関々係はみられなかつた. SPはアルドステロン産生細胞に対して直接的に作用してアルドステロンの産生, 分泌を抑制し, SP. Bはアルドステロンの生合成に対するblockの形態学的なあらわれであると思われる.
  • 進藤 登, 岡田 正明, 大橋 成一
    1981 年 35 巻 2 号 p. 138-144
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    子宮頸癌のhistogenesisに関しては定説をみないが, 今日では, 子宮頸上皮を構成しているreservecellを発生母細胞とし, dysplasia, 上皮内癌, 浸潤癌へと進展するという段階説が有力視されている. 子宮頸癌の大多数は円柱上皮領域に発生するところから, 子宮頸上皮を発生母細胞としていることは間違いないと考え, 子宮頸上皮について電顕レベルでAl-Paseの活性の有無を検討し, 細胞化学的検索を行つた. またdysplasia, 浸潤癌についても同様に検索した. その結果, Al-Paseの活性はreservecell, dysplasia及び浸潤癌を構成する癌細胞の細胞膜に見られた. reserve cell, dysplasia, 及び浸潤癌を比較すると, 形態的にはdesmosome, tonofilamentが各に共通して見られ, またAl-Pase活性の出現patternにも共通性が見られることからreservecell, dysplasia, 及び浸潤癌を構成する細胞は形態的にも細胞化学的にも非常に近い細胞であるものと推定される.
  • 和田 佳子, 三橋 文子, 荒木 英爾
    1981 年 35 巻 2 号 p. 145-147
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    血清中のアリルアミダーゼ(AA, EC 3. 4. 11. 2)とロイシンアミノペプチダーゼ(LAP, EC3. 4. 11. 1)活性の悪性腫瘍診断における意義を検討するため各種悪性腫瘍患者290, 健常者88について並行測定した. AAとLAPの基質としてはそれぞれL-leucine-p-nitroanilineとL-leucineamideをえらんだ.
    AA-, LAP-活性は肝癌, 白血病, 卵巣癌, 胃癌などでほぼ平行して上昇を示した.しかし悪性リンパ腫においてはLAP活性の上昇が著しく, AA-, LAP-両活性の解離が認められた.
    両酵素活性の異常率は, とくに子宮癌でAAがLAPに比較して高率を示した.
    これらの成績から両酵素活性の測定はそれらが解離を示す悪性腫瘍においては診断的意義をもつと考える.
  • 北川 廣, 酒井 幹生, 篠原 直方, 植松 清, 藤原 照夫, 伊藤 久次, 島崎 芳夫, 小嶋 碩夫, 島田 陵介, 岡崎 稔, 月出 ...
    1981 年 35 巻 2 号 p. 148-152
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチに対し, 金塩は有効な抗リウマチ剤として重要な位置を占めている. しかしその効果の発現までにある程度の量が体内に蓄積される必要があり, 体内から消失すると, 症状の再増悪が見られること, 効果を維持するためには, ある程度の量の金塩の注射が続けられなければならないことなどが明らかにされている.
    血清中金濃度測定により, 投与量の決定や副作用の防止の上で, 何らかのより所を得ることが出来るのではないかと考え, 金投与中の慢性関節リウマチ44例について, 血清中金濃度を測定し, これと有効性, 副作用発現との関係について検討した.
    2週1回25mg投与で, 2週目の血清中金濃度が80μg/dl以上を示した全例が有効であつたので, この投与法では血清中金濃度が有効性推定の示標になり得るものと考えられた. 血清中金濃度, 総投与量と副作用発現との間には, 特に相関は認められなかつた.
  • ―ヒト末梢血リンパ球とβ-blockersとの反応性について―
    岩本 束子, 真崎 博昭, 石正 力
    1981 年 35 巻 2 号 p. 153-156
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    ヒト末梢血リンパ球T細胞とB細胞に対するβ-blockersのin vitroにおける反応性を検討した. 各種濃度のβ-bockersおよび電解質(Na+, Ca++)を加えた群に分け, リンパ球と共に培養して橘らの方法によりロゼツト形成能を指標として, T細胞, B細胞の活性を測定した. 循環器用剤では, 電解質の影響が認められて, (Na+:Ca++=37:1)の比においてT, B細胞共にロゼツト形成能は著しい回復を示した. Na+, Ca++は, 細胞膜の生理機能を発揮するための透過イオンであり, 細胞膜外液中の濃度比によつて, T細胞, B細胞のロゼット形成能に影響を及ぼすことは興味あることである.
  • 菅沼 惇, 福本 芳男, 梅枝 孝之, 永井 清志, 池口 猛, 島崎 千尋, 向仲 輝雄
    1981 年 35 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    リステリア菌のヒトからの分離例は, 近年増加の傾向にある. 我々も当院入院患者血液よりリステリア菌Listeria monocytogenes小原株を分離し, その血清型は4b型と同定された. そこで本菌の透過型電子顕微鏡による観察を行つた. 既に報告されたごとく本菌には著明なメソゾームが観察された. しかし, 固定条件によりメソゾームの現われ方が異なることが認められ, その模様はブドウ球菌におけると同様であつた. 従つて, この形態変化はグラム陽性菌に共通の性質と思われる.
  • 升田 隆雄, 玉村 和栄, 中野 学
    1981 年 35 巻 2 号 p. 162-164
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    酵素抗体法(EIA)によるHBs抗原検出を, コルデイス社のコルデイアH及びオルガノン社のヘパノスチカを用いて90例の各種肝疾患患者血清について行つた.同時にSRID法, RPHA法(オーセル, セロデイアHBs, リバースセル)及びRIA法(オースリアH125)と比較して, EIAの有用性について検討した.
    RIAによるHBs抗原の陽性頻度と比較すると, 検出率はSRIDでは54%, オーセル96%, セロデイアHBs85%, リバースセル89%, コルデイアHlO4%, ヘパノスチカ100%であつた. EIAではR-PHAより高い感度を示し, RIAとほぼ同等であつた.
    反応の特異性については, EIAはRIAより信頼性があると思われる.しかしコルディアHでは非特異的陽性が時にみられた.他方, 手技的な容易さとか反応の迅速さはEIAでは劣つていた.
  • 佐藤 勇, 松井 史郎, 工藤 ハツ, 海老 名清, 黒沼 忠由樹, 永田 紀四郎
    1981 年 35 巻 2 号 p. 165-170
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    近年当療養所内においても, 小児慢性腎疾患患児, 外科領域における術後患者より, 検出される率が多くなつてきている. そこで本菌群の院内分布の把握と, それら菌群に対する, 消毒薬の最小発育阻止濃度, minimal inhibitory concentration(MIC), 最小殺菌濃度minimal bactericidal concentration(MBC), また石炭酸係数測定法に準じて, 消毒薬の効果試験を行つた. 供試菌の採取は所内25ヵ所より採取したが, 検出箇所により菌叢が違う分布の傾向が認められた. 消毒薬のMIC, MBC値では, 42-52%クレゾール, 100mg/mlポピドンヨードは, 菌種に対する著明な差は認められなかつたが, 10%塩化ベンザルコニユム, 5%グルコン酸クロールヘキシジンは, 各菌種に対し差が認められた. 1菌種を除きMIC, MBC値が低い5%グルコン酸クロールヘキシジンが, 最も有効と思われるが常用濃度を基準に殺菌効果を比較検討した結果, 100mg/mlポピドンヨード, 10%塩化ベンザルコニユム, 42-52%グレゾール石鹸液, 5%グルコン酸クロールヘキシジンの順であつた.
  • 田村 政司
    1981 年 35 巻 2 号 p. 171-174
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肺結核の経過を知る日常検査はレ線, 検疾, 赤沈である. 近年強化療法が行われるようになり, 結核菌の陰性化, 赤沈の好転が速やかに見られるようになつたが, なかには菌はすでに陰性化して久しく, レ線所見も好転しているにもかかわらず, 赤沈のみが何時までも亢進している症例に遭遇することがある.
    赤沈値と日常検査事項などとの関係を比較検討したなかで, 年令階層と赤沈平均値との間に差のあることを認め, 前記のような症例は60才以上の者に多いことを知つた.
    老人の結核は今後ますます増加する傾向にあるので, 高令者の赤沈の正常値について認識を新たにしておく必要がある. また, 強化療法を行つて菌は陰性化しながらも, なお赤沈が高度促進しているような老人結核症例を如何に取り扱つたらよいか, あらためて検討する必要があると考
    える.
  • 前川 隆, 矢口 慧, 敦賀 百合子, 峯岡 智恵
    1981 年 35 巻 2 号 p. 175-179
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肺結核患者の減少と共に, 国立結核療養所は慢性疾患療養所として性格転換しつつある. この情勢にかんがみ, 最近における国立療養所の病棟区分および看護婦の夜勤体制について, らい療養所および重心・筋ジス病棟を除く全国国立療養所よりのアンケートにより, その実態を調査したので報告する.
    調査成績
    1. 病棟区分では122施設の全病棟712病棟中, 結核病棟が325病棟(45.6%)で最も多く, 次いで一般病棟195病棟(27.4%), 精神病棟103病棟(14.5%), 小児病棟57病棟(8%), 脳卒中病棟32病棟(4.5%)の順であつた.
    2. 看護婦夜勤体制は1人夜勤が結核病棟のみで多く, ほかの病棟は2人夜勤が多かつた. また全病棟712病棟中1. 5人を含む複数夜勤は417病棟(58. 6%)であつた.
    さらに病棟区分の今後の変化や, 看護婦夜勤体制の対策についても若干言及した.
  • 松村 長生, 大塩 猛人, 河内 護, 桐野 有成, 斉藤 恒雄, 古川 正強, 平尾 文男, 西川 清, 浜口 武士, 高丸 誠志, 山田 ...
    1981 年 35 巻 2 号 p. 180-186
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和50年より香川小児病院と名称変更し, 小児医療と取り組んできた. 香川県はそれ以前は乳児, 新生児死亡率は全国平均より悪く, 悪い方の上位を占めていた. しかし昭和51, 年52年と年々低下し昭和53年度には全国平均より下まわり著明な改善がみられた. これらのことが香川小児病院の活躍とどのような関係を有するかを, 昭和53年度の患者を中心に分析を行つた. 昭和53年度は2418名の入院患者があり, うち2113名が乳児以上の症例であり, 305例が未熟児, 新生児であつた. 新生児以外の患者は80%が香川小児病院所在地より半径20km以内の患児であつた. 一方新生児は60%が20km以内の患児であつた. 昭和53年度の時間外救急患者は全体で2405名で, うち入院を要した患児は452名で18.4%であつた. 特に新生児は入院率が高く100%であつた. これらのことより香川県の新生児死亡の低下は我々の活動に影響されている.
  • 犀川 一夫
    1981 年 35 巻 2 号 p. 187-190
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和54年度, 沖縄県におけるらい患者の新発生数は28名で罹患率にして0.026%, 共に過去最低を記録し, 特に小児らい(14才以下)は初めて0となつた. 疫学的にみた特徴は, 小児らいの減少, 老人らい(65才以上)比, 及びL型比の増加, 特に老人らいのL型比の著しい増加が注目される. これらはらいの消退期に入つた時に起る疫学的現象で, 沖縄のらいは一時の狸獗期を過ぎて, 消退期に入つたことを物語つている. 発生率の地域別状況では, 宮古群島が相変らず高く, それと対照的に過去高い罹患率を示していた八重山群島の発生率の低下が注目された. このような状況下で今後のらい対策の中心は, 地域一般医療との協力, 特にプライマリー・ケアーの場における発生患者の発見ということに置かれるべきであり, いずれにしてもらい医療の一般地域医療へのインテグレイシヨンが沖縄では重要な課題になるであろう.
  • 1. 脊柱変形2)先天性後轡症
    大谷 清
    1981 年 35 巻 2 号 p. 192-193
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 35 巻 2 号 p. 194-196
    発行日: 1981/02/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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