近年当療養所内においても, 小児慢性腎疾患患児, 外科領域における術後患者より, 検出される率が多くなつてきている. そこで本菌群の院内分布の把握と, それら菌群に対する, 消毒薬の最小発育阻止濃度, minimal inhibitory concentration(MIC), 最小殺菌濃度minimal bactericidal concentration(MBC), また石炭酸係数測定法に準じて, 消毒薬の効果試験を行つた. 供試菌の採取は所内25ヵ所より採取したが, 検出箇所により菌叢が違う分布の傾向が認められた. 消毒薬のMIC, MBC値では, 42-52%クレゾール, 100mg/mlポピドンヨードは, 菌種に対する著明な差は認められなかつたが, 10%塩化ベンザルコニユム, 5%グルコン酸クロールヘキシジンは, 各菌種に対し差が認められた. 1菌種を除きMIC, MBC値が低い5%グルコン酸クロールヘキシジンが, 最も有効と思われるが常用濃度を基準に殺菌効果を比較検討した結果, 100mg/mlポピドンヨード, 10%塩化ベンザルコニユム, 42-52%グレゾール石鹸液, 5%グルコン酸クロールヘキシジンの順であつた.
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