医療
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36 巻, 12 号
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  • 丹後 正紘, 川原 領一, 松山 毅, 長柄 一夫, 岡部 三郎
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1163-1168
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    子宮頸癌Ia期検討委員会の診断基準は該当した微小浸潤癌72例について, その細胞所見, 組織所見と治療成績について検討した. 微小浸潤癌の細胞診の正診率は72例中52例(72.2%)であつた. 細胞像は深層型悪性細胞に混じて中表層型悪性細胞が出現し, 多彩である. 悪性細胞の出現には大きな集塊をなすものが70%の症例にみられた. クロマチンの粗顆粒状, 不均等分布やindian ink様の濃縮核の増加, 核小体の出現なども特徴的であつた. 背景は悪性細胞の出現に比して比較的きれいで, 出血は84%の症例に, tumor diathesisは36%の症例に認められた. 微小浸潤癌の診断には, 頸部円錐切除による頸部全域の組織検査で, 浸潤の深さのみてなく, 脈管侵襲, 癒合浸潤などを除外し, 発育先端に退行変性の所見があれば, 単純子宮全摘術でよい. 根治手術を行つた52例中, リンパ節転移例はなかつた. 微小浸潤癌の再発例も経験していない.
  • 猪 芳亮, 鈴木 民子, 村山 直弘, 西海 正彦, 中村 公一, 佐藤 昭雄
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1169-1173
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    腎外来通院中の患者339名(男150名, 女189名)について, 血清のクレアチニン値2mg/dl以上の明らかな腎機能障害群とそうでない群とにわけ, 腎機能増悪因子を明らかにした.
    結果:1)男子は女子より腎機能障害に陥りやすい(P<0.01). 2)加令と共に腎機能障害の頻度及び高血圧の頻度は高くなり, 男子でその傾向はより顕著であつた. 3)持続性高血圧(160/95mmHg以上)を有するものの半数は腎機能障害を認めた. 4)安静あるいは隠居しているもので腎障害は約40%に, 普通労働, 過重労働の群では約20%にみられた. 各群の年令分布, 比較的短い観察期間, retrospectiveな統計などの要因がこの結果に影響しており, 安静の意義を否定するものではない. 5)腎不全は高血圧, 尿路感染, 妊娠腎後遺例でなりやすい. 6)正常分娩例は7例, 流産, 死産は4例にみられた. 7)透析患者26例中5例は妊娠後腎機能の悪化した例であつた. 8)死亡は脳出血4例, 消化管出血3例, 肺炎3例であつた.
  • 木村 要, 工藤 雄爾, 黒沼 忠由樹, 羽根田 敏, 増岡 昭生
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1174-1178
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    膠原病の治療法としては, これまでの副腎皮質ステロイド剤および免疫抑制剤の外, 細胞免疫強化療法ないしは免疫賦活療法がこころみられるようになつた.
    今回, 我々は再発・再燃を繰り返す, いわゆる難治性SLE腎症5例(全例ステロイド剤および免疫抑制剤の使用例)に細胞免疫賦活剤であるPS-Kを使用し, その成績を検討した.
    PS-Kは1日3gであり, ステロイド剤と併用した. 投与期間は3~18ヵ月, 観察期間は最長22ヵ月である.
    5例中2例に良好な成績が得られ, 再発・再然の防止とともに, 尿蛋白の減少も認められた.
    細胞性免疫の異常が指摘されているSLE腎症の治療において, 今後細胞免疫能賦活剤も期待され得る可能性があろう.
  • ―Trimetazidineの使用経験―
    大谷 良樹, 斉藤 昭, 市村 信一, 栗田 正, 八木橋 美範, 前島 潔, 篠崎 有三, 向井 美和子
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1179-1185
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    近年, 腎炎の発症・進展に凝固・線溶系の機序が関係ありとされ, 抗凝固・線溶療法が行われるようになつた. これまで抗凝固療法には, 経口剤としてDipyridamoleの大量療法が汎用され, 効果が認められているが, 我々は同じく血小板機能抑制効果のあるTrimetazidineを1日45mg用いて腎炎に対する効果を検討した. 尿蛋白と尿中赤血球の減少は, 個々の症例において減少するものが多かつた. また, 凝固・線溶系の検査についても, 投与後に血小板粘着能やフイブリノーゲンで低下するものがあり, 腎機能検査としてのクレアチニン・クリアランスの改善もこれらの症例に伴つており, 本剤の抗凝固作用の効果の一端をうかがわせた. これらの症例は増殖型の腎炎に多く, 本剤には副作用もないところから, 腎炎に対しては症例を選んで行えば用いてみるべき薬剤と思われた.
  • 野坂 周, 谷口 敏雄, 宮田 誠, 都田 潤一郎
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1186-1189
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全の透析治療には血液透析が主流であるが, 腹膜透析による長期維持には問題も多く減少傾向にある. 今回70才男性及び70才女性の2症例について間欠的腹膜透析を行つた. 透析終了後は腹膜ボタンを使用した. 透析期間は9ヵ月と11ヵ月であつた. 2症例とも腹膜炎を合併したが, この場合は連日透析を行つた. 症例1は腹水の貯留をみたので, 無菌的に採取し, 濃縮して抗生剤, 抗凝固剤を加えて静脈内へ還元した.
    透析効率を改善する目的で連続腹膜透析を行つたが, 腹部膨満感や重量感のため食欲不振, 不眠を訴え, 結局間欠法を継続した.
    間欠的腹膜透析によつて長期維持が可能であり, 腹膜ボタンの使用は身体の可動性には適合している. 食事及び水管理, 感染症, 透析効率など多方面にわたる配慮が必要であるが, とくに腹膜炎対策は重要である.
  • 船木 治雄, 大田 早苗, 広瀬 脩二, 石田 秀世, 小出 桂三
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1190-1194
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は血液透析患者25人に対し26例の外科手術を施行したが, 20例が良性疾患, 6例が悪性腫瘍であつた. 良性疾患の手術死亡率は5%であつたのに対し, 悪性腫瘍では33%と高い. 悪性腫瘍の死因の主たるものは縫合不全であり, 次いで肺合併症があげられる.
    我々は縫合不全対策として, 腸管同志の吻合数の少ない術式を選ぶこと, 吻合部周辺の組織挫滅を少なくするためすべて手縫いで行うこと, 非吸収性の血管縫合糸を用いること, などの方針をとつている.
    一方, 肺合併症の予防対策として, リスクのわるい高令者の場合には, 排痰が自分で十分にできると判断される段階まで人工呼吸器を用いる方針とし, また上気道経由でゾンデを留置することはさけ, 空腸瘻から挿入したゾンデを腸管を逆上させて残胃に留置する方針をとり, 排痰がしやすいようにしている.
  • 則井 崇, 長田 高寿, 瀬崎 達雄
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1195-1198
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全患者に対する長期透析治療に際し, シヤントの長期開存とその合併症の防止は重要な問題である. 症例38才女性. 1973年5月12日尿毒症性心不全で入院. 直ちにPDを開始. 5月21日左手前腕に外シヤントを作成してHDに導入した. 外シヤントは合併症が多く, その寿命が短いこととされ5~10年の長期透析を目ざす上で最大の隘路である. 1人の医師が管理責任を持ち8年9ヵ月の間に動静脈6回の外シヤントを同手に再設置した. 動脈側外シヤント平均開存期間25.1ヵ月, 静脈側平均開存期間27.3ヵ月であつた. 日常の感染の防止と同時に、血流速度が遅くなつたことを示唆する徴候が見られたら, 抗凝固剤の投与, シヤント洗浄を行いぎりぎりまで外シヤントを使用して再造設を血管外科医に依頼している. 一側の血管を最大限に利用し尽して患者の延命を計つている.
  • 林田 康明, 鈴木 民子, 西海 正彦, 猪 芳亮, 中村 公一, 竹内 広
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1199-1204
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は24才男子, 昭和54年12月上旬糸球体腎炎様の症状で発症し, 同月25日に発熱および下腿筋肉痛を主訴に当院内科に入院した. 諸症状及び検査成績は, SLE急性腎不全を示唆し, さらに血中および尿中のミオグロビンが高値を示した. ステロイド投与, 血液透析により症状改善BUN, クレアチニンも正常化したが第40病日肺炎を併発, 第72病日種々の抗生剤投与も効なく死亡した. 剖検上腎はMCGN型のループス腎炎の像を呈していた.
    経過中我々は腎不全の原因として, ループス腎炎と高ミオグロビン血症性の急性尿細管壊死の関与を疑つた. 結果的に本例の糸球体病変はループス腎炎中まれで, かつ最も強い変化であるMCGN型で腎不全を引きおこすに十分な変化であり, ATNの存在を関連づける必要はないように思われた. しかしいずれに原因を求めても極めて希で, 貴重な1症例と思われたので, 多少の文献的考察を加えここに報告した.
  • 土岐 博信, 石川 盛寛, 高上 洋一, 森脇 昭介
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1205-1211
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    私たちは, IBM2997成分血液分離装置の回路中に活性炭素吸着筒のDHP-1をセツトするcharcoal seroperfusion(血漿濾過法)を考案し, パラコート中毒患者の治療を行つた. 尿中パラコート濃度は, charcoal seroperfusionにより著明に低下し, この方法の有効性が証明できた. charcoal seroperfusionは, 従来のhemoperfusionと比較して, 血球成分の吸着, 破壊がないため, より安全で効果的と思われる. また, このパラコート中毒症例は, 不幸な転帰をとつたが, 剖検において, 間質性心筋炎像が特徴的な所見であつたので, 病理所見についても詳しく記載した.
  • 木村 荘一, 久保 秋夫, 森田 敬知, 稲垣 敬三, 荒井 他嘉司, 平田 正信, 松田 美彦, 鈴木 俊光, 大谷 直史, 鈴木 恒雄, ...
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1212-1216
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々の施設において昭和48年以来9年間に切除した肺腫瘍は263例で, うち良性腫瘍は16例(6%)である. 良性腫瘍のうち, 肺硬化性血管腫は5例あり, それらにつき臨床病理学的に検討した. 症例は全例女性で, 30才代2例, 60才代3例に認められ, 全例無症状であつた. X線像としては本腫瘍に特徴的な所見が認められるが, X線上の診断は疑診の域を出ないし, 確定診断をつける意味からも外科的に処置を加える必要がある. その際には肺良性腫瘍の手術の原則として肺機能温存が心がけられた方法がとられるべきである. 又2例に電顕にて検討を加えたが, 本腫瘍の増殖細胞はII型肺胞上皮細胞由来を考えられ, 本腫瘍の本態は肺実質構成成分の量的異常あるいは分化過程の異常により腫瘍を形成した, 肺末梢発生の過誤腫を考えさせるものであつた.
  • 泉 二郎, 中村 公明, 床田 基
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1217-1221
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    オープンコルドトミー12例, 経皮的コルドトミー10例13回の施行における排尿異常の出現について検討を行つた. 上位頸髄の方が, 下位頸髄よりも高度の排尿障害が起きやすく, また, 経皮的コルドトミーにおける排尿異常は, 脱力または小脳失調と合併しやすいとの印象を得た. すなわち, 深く切るか, 背側を切ると起きやすいとする従来いわれていることに一致する.
  • 国立病院核医学共同研究班
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1223-1227
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1979~1981年の間, 国立病院9施設参加の下に核医学による早期診断体系の確立に関する共同研究を行つた.
    臨床核医学の進歩と測定機器, 放射性医薬品の開発とは互いに依存し合つている. そこで班研究の遂行に当つて, 班員は生化学, 生物物理学, 生体医用工学などのそれぞれ関係する分野での知識を発揮する必要性から, 得意とする分野は多様性を示した. これは急速な発展を示している核医学領域において, 医学以外の高度な科学をも吸収する素養を必要としたからである. この3年間, 我々はこの方向づけを堅持し, かつこれら多様性に富んだ諸研究の結晶から成る論文をまとまつた報文集として世に送りたいと念じつつ努力して来た. この方式は本研究の目的を支えてきたものと思つている.
    本研究班での核医学的研究はin vivo, in vitro両面で著しい進歩, 成果を収めてきた. しかし一部分では急速な研究の進歩の途中にあるため不完全なままで報告されている.
    これらの部分はいずれ, 現在進められている研究の進歩で埋められるものと信ずる.
  • 佐藤 正典, 藤田 博正, 山口 ほづえ, 前田 耕太郎, 橋本 敏夫, 野田 辰男
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1229-1232
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    呼吸器系症状はなく食道癌の精査中に偶然発見した67才, 男性のTracheopathia osteoplasticaの1例を経験したので報告する. 本邦では希有な疾患とされ, 報告例では本例が17例目である. 気管支鏡(フレキシブル)下生検は不可能で組織診はついていないが, 気管断層写真と特異的な内視鏡所見より肉眼的に診断した. 食道癌術後の経過も良好で, また気管の病変は軽度で呼吸器系症状もないため, 現在も無治療で外来で経過観察中である.
  • 高嶋 成光, 吉澤 順一, 平井 隆二
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1233-1236
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    癌治療後の機能保全が重要視されるようになり, 乳癌においても縮小手術の適応が拡大されるようになつてきた.
    私たちは乳癌術後の障害を把握し, その発生要因を検討するためにアンケート調査を行つた. 過去14年間の初治療手術例657例のうち, 死亡, 再発例を除いた355例を対象とした. 上肢浮腫は54.9%に出現しており, 腋窩への術後照射例に有意に多く, 非定型手術例には少なかつた.
    上肢運動障害は10.4%にみられ, TNM stage IIIの進行例と定型手術例に多く, 疼痛は44.8%に発生し, 定型手術例に高率であつた.
    このほか腫瘍の大きさ, 年令, 肥満なども障害発生要因になり得る.
    乳癌術後障害を少なくするためには, 縮小手術で治癒可能な早期例の発見に努めるとともに, 術後障害発生要因を念頭におき, 手術, 術後管理に細心の注意を払うべきである.
  • (生化学的検査値と使用期間の関係および塩酸モルヒネの直腸内投与の可能性)
    佐藤 尚, 植木 邦治, 福野 剛樹, 水内 義明, 大久保 利之, 仲野 登喜子, 漆畑 一, 鈴木 文行, 越川 芳一, 水口 公信
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1237-1241
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    前報においてBrompton mixture(塩酸モルヒネと塩酸コカインの内用液剤: 以下, 「BP」と略す)はペンタゾシン50mg/day以上の投与を受けている癌性疼痛のコントロールに有効であることを報告した.
    本報においては113例のBP使用患者を対象に生化学的検査値(BUN, GOT, GPT)と使用期間を調査した結果, BUNが正常量域の2倍以上の症例にはBPの長期投与例が少ないことが判明した(χ2-検定, P<0.05).
    また塩酸モルヒネを直腸内投与(0.67mg/kg), 静脈内投与(0.09mg/kg)および経口投与(0.20mg/kg)したときの癌患者血漿中total-morphine濃度をSpin immunoassay法を用いて定量した. その結果, 塩酸モルヒネ坐剤は経口投与と同様に癌性疼痛のコントロールに応用できることが示唆された.
  • 村上 穆
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1243-1246
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和49年1月より昭和56年9月までの7年9ヵ月間に取り扱つた悪性腫瘍による疼痛患者症例は87例である. 消化器疾患46例, 胸部疾患14例, 婦人科疾患11例, 耳鼻咽喉科疾患6例など各科領域の疾患が含まれている. これらの患者に対して用いられた除痛手段は持続硬膜外ブロツク63例, くも膜下フエノールブロツク35例, 三叉神経アルコールブロック3例, 腹腔神経叢アルコールブロツク4例となつている. 神経破壊剤を用いた神経ブロツク症例37例についてみると, ブロツク回数は平均2.0回で, その除痛効果は鎮痛剤を全く必要としなくなつた著効例13例, 鎮痛剤の使用量が明らかに少なくなつた有効例27例で, 無効例は2例のみであつた. 神経ブロツク後の生存期間をみると1ヵ月未満のもの4例, 1カ月以上3カ月未満のもの3例, 6ヵ月以上のもの4例となつており, 20例は一応退院して家族と共に余生を送らせることができた. 現在入院加療中のもの2例である.
  • 吉岡 信彦, 湊 武, 河野 宏
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1247-1250
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    特別な心疾患のないヒト18名(19例)に1%lidocaine 10ml(100mg)で右, 左星状神経節ブロツク(RSB, LSB)を行い, 心電図の変化を検討した.
    (1) 血圧, 心拍数, QT時間はRSB, LSBともに有意な変化は認めなかつた.
    (2) T波はLSBで3例(33%)が3mm以上の増高を示したが, RSBでは不変であり, 右, 左星状神経節の心における機能的分布が異なることが示唆された.
    (3) 不整脈は2例(11%)にみられた. RSBの1例は心室性期外収縮が散発した. LSBの1例は上室性心室性期外収縮の頻発, 房室解離が出現し, 約3時間持続した. 不整脈の成因については電気生理学的, 薬理学的検討が行われていないため不明であるが, 星状神経節ブロツクに際しては一応注意を要するものと考えられた.
  • 乾 宏行, 正木 拓朗, 飯倉 洋治
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1251-1254
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    日常診療の中で絶えず考慮しなければならないことの一つにシヨツクに対する予防と対策の問題がある. 特にアレルギー性疾患患者を扱う場合, アナフイラキシーシヨツクを含めた種種のadverse reactionは治療, 管理の上で問題である. そこで私たちは, 当科で経験した種々のシヨツクにつき検討を加え, その対策について述べる. 症例は(1)アレルゲン検索のための皮内反応によるシヨック, (2)減感作注射によるシヨツク, (3)ハイドロコーチゾンによるシヨツク, (4)コートロシン(rapid ACTH test)によるシヨツク, (5)抗生物質(CER)によるシヨツク, (6)ステロイド減量時のwithdrawal syndrome, (7)ヨード, ケタラールによるシヨツクの7つを提示し, 我々が行つている対策と問題点につき述べた. 一般に, 問題点はあるにせよ, 皮膚テストを励行すること, 救急用品を準備しておくことが大切と思われる.
  • VI. 自助具
    椿原 彰夫, 本田 哲三, 永田 雅章, 大谷 清
    1982 年 36 巻 12 号 p. 1255-1257
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 36 巻 12 号 p. 1258-1259
    発行日: 1982/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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