医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
36 巻, 5 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 高橋 隆一
    1982 年 36 巻 5 号 p. 409-413
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    多発性骨髄腫, 原発性マクログロブリン血症(Waldenström)およびi類縁疾患を除く単クロン性免疫グロブリン血症を良性単クロン性免疫グロブリン血症(BMG)という, BMGは通常原発性および続発性に分けられている. BMGに関する優れた総説が多いが, 続発性BMGに関する総説は少ない, 続発性BMGは, リンパ増殖性疾患, 癌, 感染症, 自己免疫疾患および慢性肝疾患に認められることがある. しかし続発性BMGの意義についてはよく知られておらず, 原疾患と原発性BMGの偶然の合併が時に続発性BMGとされている可能性もある. これらの点を検討しつつ続発性BMGの臨床的意義について総説する. 続発性BMGの診断には, M蛋白と臨床経過との関連についての注意深い経過観察が必要である.
  • 西海 正彦, 中村 公一, 伊藤 宗元, 大塚 護, 谷 瑞子
    1982 年 36 巻 5 号 p. 415-418
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    シエグレン症候群(SjS)における乾燥症状は単に「口が乾く」または「眼が乾く」といつた症状に留まらず, 種々の訴えとして把握される. そこでこれまでSjSの乾燥症状として文献に記載されている35の「乾燥症状」につきSjS患者31例に対して問診し, 対照と比較し, 各症状の頻度と特異性を検討した. その結果対照に比し有意に(P<0.05)発現頻度が高いものは13項目であつたが, これら特異的な乾燥症状の中には従来問診すべき項目としてあまり重視されなかつたものが少なくなく, また逆に従来SjSの乾燥症状とされていたものの中にはSjSに特異性の高くないものも少なくないことが判明した. これらの成績は診断のむつかしいSjS症例のより合理的な発見をめざした問診項目の設定を行う上で有用と思われる.
  • 杉之下 俊彦, 井本 敬二, 熊谷 俊一
    1982 年 36 巻 5 号 p. 419-424
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    シエーグレン症候群患者の乾燥症状に対するbromhexineの効果を検討するために, 患者を6錠(24mg)と12錠(48mg)投与群に分け, 1ヵ月間投与し, 投与前・後の乾燥症状に関する調査を行い, bromhexineの効果を判定した.
    本症患者の乾燥症状は20例中12例(60%)に改善がみられ, 口腔症状改善例60%, 眼症状改善例53%であつた. 口腔症状改善例は12錠投与群により多くみられ, gumtest値の有意の増加がみられた. 一方, 眼症状改善例ではSchirmer test値はほとんど変動しなかつた.
    bromhexineは本症患者の乾燥症状の改善に有効であり, その効果は唾液腺・涙腺の分泌液の増加と分泌液のsialochemicalな変化との総合的作用によつて発揮されるであろうことが推定された.
  • ―そのfollow-up studyよりの一考察―
    難波 真平, 本田 千穂, 西本 健, 石光 宏
    1982 年 36 巻 5 号 p. 425-434
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    過去5年半における種々の原因による水頭症に対するシヤント(Sh)症例(V-P)60例, 及び脳室ドレナージ症例14例の術前後におけるCT所見, 病態などを分析し考察した. Sh症例のうち, 49例は正常圧水頭症と診断されたものであるが, Sh効果goodと考えられた29例(48%)では術後脳室は著明に縮小し, PVL(Periventricular lucency)もほとんど全例で消失した. これに対して, fair群, poor群では術前後における脳室の大きさ, PVLの変化は明らかでなかつた. このgood群と他群における差異の原因は, 前群の術後では立位の保持がほとんど全症例で可能であり, Sh valveにかかる圧差が大であつたためSh内の髄液流量が他群よりも多かつたためであろうと推測された. さらに急性期で脳室ドレナージが有効であつても, V-Pへの切り換えで諸症状がかえつて悪化する症例もあるので, このような場合にはCTによる観察を十分行いながら, V-A(Ventriculo-peritoneal shunt)への早期の切り換えなどの積極的な処置が必要であろうと考えられた.
  • ―とくに後迷路性難聴について―
    田内 光, 鳥山 稔, 皿井 靖長, 上野 則之, 石戸 谷淳一, 小出 桂三, 遠山 純子
    1982 年 36 巻 5 号 p. 435-441
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    腎透析患者23名及び正常者13名にBékésy自記オージオメトリ, 語音明瞭度検査, 方向感検査, 両耳合成能検査, 両耳分離能検査を行い, 下記の結果を得た.
    1. 腎透析患者46耳中29耳(63%)に聴力低下がみられ, 高音障害型が多かつた.
    2. 透析患者のうち5名(22%)がBékésyオージオメトリで内耳性難聴と診断され, 他の検査で14名(61%)が後迷路性難聴と診断された.
    3. 透析患者の語音明瞭度検査, 歪語音明瞭度検査, 方向感検査, 両耳合成能検査, 両耳分離能検査の平均値はすべて正常者より低値を示した.
    4. 腎透析患者の後迷路性難聴には貧血が関与しており, 透析により改善傾向がみられた.
  • 香川 和三, 浜田 嘉徳, 辻 正子
    1982 年 36 巻 5 号 p. 442-446
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Bolandeにより指摘されて以来諸家の追試検討が行われている.
    著者らはムンプスウイルス感染症と尿中好酸性細胞質内封入体の関係について検討したので報告する.
    1)封入体は第1病日より高い陽性率を示し, 第3病日に陽性率のピークが見られ, 第6病日
    まで50%以上の陽性率であつた. 臨床症状の推移と封入体出現の推移に共通点が見られた.
    2)症状が重い場合は長期間封入体が陽性を示す傾向が見られた.
    3)発熱及び腫脹の程度と封入体数には明らかな相関は見られないが, 発熱及び腫脹の有無と陽性率の間には関係があるように思われた.
  • 進藤 登, 岡田 正明, 大網 弘, 山本 悦子
    1982 年 36 巻 5 号 p. 447-453
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    最近電子顕微鏡がroutineにも使用されるようになつてきた. しかしroutineに使用されている6~10倍のformalinで固定した材料を用いて電顕的検索を行つても診断上価値ある所見が得られないことが多い. そこで, 光顕的に比較的染色性のよいmodified Millonig's buffered formalin固定液を選び, 超微構造の保存について一般的電顕法と比較検討した. それによると本法で固定した皮膚の表皮細胞にみられるdesmosomeに不自然な曲折が認められ, 微細構造上若干の相違がみられたが, 肝臓, 腎臓においては相違はほとんど認められなかつた. また本固定液で固定後, 1年半経過した材料から作製した試料においても細胞膜の表現が一般的電顕法に比べて劣るものの, 細胞内微細器官の保存はかなり良好であり, 本固定液は光顕的検索のみならず, 電顕的検索にも十分耐え得るものであり非常に有効な固定液である. 本固定液は調整が簡単で, 安価であるのでroutineに常用し得る固定液である.
  • 岡田 正明, 進藤 登, 大網 弘, 山本 悦子
    1982 年 36 巻 5 号 p. 454-458
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    簡易緩衝ホルマリン固定液の有用性はすでに報告したところであるが, 今回はこの固定法による再発性のmalignant fibrous histiocytomaの電顕的検索を行つた. 37才男の陰嚢に再発したこの腫瘍は, 脂肪細胞様の成分多くxanthomatousな特徴を示す. 一般には腫瘍細胞は多角形から星型でruffled borderを持たず, 胞体内細器管に乏しいhistiocyte様細胞である. 腫瘍細胞周囲には薄い基底膜様構造が高頻度にみられ, 一部細胞ではその多層化もみられる. 基質での膠原線維形成は少ない. xanthomatous cellには大小様々を脂質滴が含まれ, またことにmitochondriaの発達が目立つ. 胞体内脂質滴には膜で胞体と境され, 貪食された脂質と考えられるものもあるが, 大部分のものはこの膜構造を持たず, 腫瘍細胞により生成された可能性を示唆する. よく発達したmitochondriaの存在と共にxanthomatous cellはlipoblastへの分化の可能性を思わせる.
  • 石井 廣文, 篠井 格, 瀬崎 達雄, 長田 高寿, 山本 康生, 西原 修美, 村上 元正
    1982 年 36 巻 5 号 p. 459-462
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    後天的因子がアルコールと考えられる晩発性皮膚ポルフイリン症を経験したので, 臨床症状, 皮膚・肝病理組織像の特徴的所見を呈すると共に, 病態に関して検討を行つた.
    晩発性皮膚ポルフイリン症(Porphyria cutanea tarda, 「PCT」と略す)は皮膚病変, 肝機能異常, 糖尿病でみつかることが多く, 本邦においても100例近い報告がみられるが, 病因とされる肝Uroporphy-rinogen Decarboxyrase(UD)活性の低下をみた報告は少ない. 我々は典型的PCTの1例を経験し, 病因とされる肝UD活性の低下を確認すると共に, 肝・皮膚組織所見および臨床症状について若干の検討を行つたので報告する.
  • 荒滝 令資, 石川 泰祐, 川崎 正輝, 近藤 忠亮, 松岡 順治, 柏原 瑩爾, 桑田 康典, 岡本 司
    1982 年 36 巻 5 号 p. 463-466
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    十二指腸平滑筋肉腫の1例を報告し, 若干の文献的考察を加えた. 症例は原因不明の貧血を主訴とした45才の女性で, 腫瘍は十二指腸第一部に発生し, 3.5cm×4.0cm×5.0cmと比較的小さく, 管内外性に発育していた.
    本例の貧血は低色素性小球性を示したが, 原因となる出血巣は, 術前術後を通じて明らかでなく, 腫瘍摘出によつて貧血の改善が認められた. 本症例は術後1年を経過した現在, なお元気で家事に従事しながら外来治療を続けている.
  • 高橋 純一, 野口 純一, 深井 清子, 山田 かず子, 川添 太郎
    1982 年 36 巻 5 号 p. 467-470
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    幼小児の扁桃剔出術, アデノイド切除術の麻酔は, (1)術中術後を通じて気道の確保を確実にし, (2)止血のため術野にアドレナリンを用いるので麻酔薬の選択に考慮を要する, などの問題がある. 当院では昭和52年5月から当該手術に際し, 笑気・酸素・パンクロニウムによる全身麻酔と10万倍エピネフリン入り0.5%リドカインによる局所麻酔の併用を行つてきたので, 昭和54年4月までの240例について検討を加えた.
    循環動態は収縮期血圧が29.1±17.0%, 脈拍数は17.5±15.6%増加したが血圧低下を来すような重篤な不整脈は経験しなかつた. エピネフリン希釈液の使用量は多くの例でKatzの基準を越え, 当該手術のハロセン麻酔は避けた方がよいと思われた. 麻酔からの覚醒は速やかで術後の気道確保は容易であつた.
    幼小児の扁桃剔出術, アデノイド切除術の麻酔に本法は有用であると考える.
  • 安藤 謙一, 野末 洋, 岡田 菊三, 戸山 芳昭, 添田 修一
    1982 年 36 巻 5 号 p. 471-475
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    術後5年以上経過した全人工股関節置換術29関節(変形性股関節症: 19関節, 大腿骨頸部内側骨折: 8関節, 人工骨頭置換術後: 1関節, 中心性脱臼: 1関節)について検討した. 日整会判定基準で成績不良例が64%と高頻度に認められた. 大腿骨頸部内側骨折例では, X線上沈み込みを示すものが75%にみられた. 以上のことにより, 手術手技の十分な習熟と正確さが必要とされ, 手術適応についても厳密であるべきと考えられる.
  • 佐藤 良博, 水本 善四郎, 設楽 美紀
    1982 年 36 巻 5 号 p. 477-481
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    今回我々は, アンケート調査により41例の片麻痺に大腿骨頸部骨折を合併した症例を集め, 発症原因・治療方法・予後などを調査, 概略下記のような結果が得られた.
    受傷時年令は60才代後半から70才代の女性に多い. また受傷機転は, 院内における転倒事故が圧倒的に多く, 原因判明例の約75%を占めている.
    受傷前歩行可能であつた33例のうち, 治療後14例(47%)が再度歩行可能となつたにすぎない. またこれらの例について治療内容より分類した場合, 牽引施行例12例のうち6例(50%), 手術施行例18例のうち11例(61%)が歩行可能となつている.
    歩行不能となつた例のほとんどすべては, 日常生活においてほとんど全介助を必要とするような状態になつている.
  • 児玉 秀敏, 久保 摂二, 大森 信忠
    1982 年 36 巻 5 号 p. 482-486
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    沖縄県立八重山病院精神科開設以来のカルテ1350枚(昭和37年~54年11月)のうち, 使用し得た1249枚を用いて, 八重山地方の精神科医療の状況の分析を試みた.
    1. 八重山地方は, 42年出張診療開始, 44年外来開設, 48年精神科病棟開棟, 49年2月より常勤医がいる.
    2. 分裂病群27.3%, 躁うつ病群2.0%, 神経症群19.2%, てんかん15.7%, 精神薄弱8.2%, 老人性精神障害5.2%, その他17.3%であつた.
    3. これら数値は, 隣りの宮古群島の統計と類似しており, 38年の精神衛生実態調査と比較すると, 分裂病群・てんかん・神経症群が多く, 精神薄弱が少なかつた.
  • 2. 胸腰椎装具
    藤村 祥一
    1982 年 36 巻 5 号 p. 487-489
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 36 巻 5 号 p. 490-491
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 36 巻 5 号 p. 491-492
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
feedback
Top