医療
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38 巻, 8 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 徳山 勝之, 神野 健二, 湯本 泰弘, 藤田 保男, 荒木 康之, 森田 稔, 石光 鉄三郎, 森脇 昭介, 山本 洋介
    1984 年 38 巻 8 号 p. 760-764
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肝癌早期診断のための方法論について, 当院で過去8年間に経験した144例の肝癌を対象に, リニア電子スキヤンの導入時で, 前, 後期に分け検討した. すなわち, 前期(71例)は, AFPと肝シンチが主診断法であつたが, 後期(73例)は, US, CTおよびAngio. が診断法の中心となり, その診断能も著しく向上した.とくに, USは存在診断能に優れている外, ガイド下吸引細胞診の応用により質的診断を確実にし得, CTはLipiodolの動注後検索するLipio-dol-CTで, 極小結節の検出も可能となつた. さらに, 高危険群の設定や, USによるscreeningにより, 小肝癌の検出が24例(5~3cm:13例, 3cm以下:11例)と著増した. 以上のごとき各法の分析の上で, 存在, 質的ならびに進展度診断のためのDecision treeを確立し, 肝癌早期診断と早期治療に極めて有用であつた
  • ―診断基準の検討―
    八木 昭一, 田中 豊, 佐藤 新太郎, 安淵 義男, 故倉 恵, 佐竹 弘, 生田 篤也, 小川 欽治, 清水 一良, 前川 高天, 梶谷 ...
    1984 年 38 巻 8 号 p. 765-769
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胃腺扁平上皮癌(胃ASCa)の診断基準は, 定まつたものはない. 著者らはASCaの診断には, 胞巣状発育, モザイク様細胞配列(Mp), 角化傾向(Ker), 細胞間橋(Ib)が必須であるとした. 国立京都病院の切除胃癌779例が, 組織学的に調べられた. 今日まで, 胃ASCaの報告は本邦で140例あつた. 以下, 得られた結論は1)~6)である.
    1)国立京都病院の切除食道癌13例にケラチン染色がなされ, 全例に, ケラチンまたはプレケラチンが認められた. 2)切除胃癌779例のうち13例にASCaが疑われ, それらはSCaの胞巣状発育をしていた. 3)食道癌のケラチン染色を対照として, 13例中5例(38.5%)に, ケラチンまたはプレケラチンが認められた. 4)MPを認めるものは5例で, すべてKerを認めた. 5)本邦胃ASCa140例でKer, Mpの記載は各々97例(69.5%), 41例(29.3%)でKerが記載された97例中, 69例にKerが認められた. 6)著者らの診断基準によると, 本院のASCaの頻度は0.6%(5例)で, 本邦報告140例では69例がこの基準に合致した
  • ―再発形式を中心として―
    岡本 哲彦, 奥田 誠, 池内 駿之, 松本 重喜, 山田 穣, 有森 正樹, 石山 和夫, 竹内 広, 栗林 宣雄
    1984 年 38 巻 8 号 p. 770-774
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和49年1月から昭和57年12月までの胃癌剖検例103例を対象とし, 重複癌, 他病死を除外し, 切除再発例34例, 非切除例10例, 非手術例42例の3群に分け, 手術時所見と再発形式とを対比させて検討した. 癌占居部位, 手術術式, 郭清の程度, 切除の程度, 組織型, 生存期間などについて検討し, 更に各再発形式別に検討すると, 有意差のみられた項目は少なかつたが, 種種の特徴的な点が浮き彫りにされた. 今後の胃癌の治療方針に役立つ情報も得られた. 又, 剖検時の検索方法にも新しい手法をとり入れることが, 今後必要になつてくると思われた
  • 古川 勇一
    1984 年 38 巻 8 号 p. 775-781
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    腹腔動脈および上腸間膜動脈の選択的動脈造影による膵動脈造影能の改善を目的として, 16例に一側動脈に限つて, 造影剤注入時, 造影剤注入動脈基部をバルーンカテーテルで閉塞して造影を行つた. 得られた膵動脈造影像について, 同一患者の通常法による両動脈の選択的動脈造影で得られた膵動脈造影と比較像し, 有用性を検討した. 通常法による選択的動脈造影では, 超選択的動脈造影による膵動脈造影能に匹敵する(卅)造影能は膵動脈全体で25%に認められたに過ぎなかつたが, 閉塞を用いた造影では, 61%と通常法に比してはるかに高率を得た. また腹腔動脈基部を閉塞した造影では, 約半数に膵体尾部相当領域に重畳して膵血管造影診断の妨げになることが多い, 左胃動脈の完全閉塞も合わせ得ることが出来た. 造影剤注入動脈基部閉塞併用下での選択的動脈造影は手技が簡単, 容易であり, また安全でもあり, 膵動脈造影に有用な検査法であることが示された
  • 黒沼 忠由樹, 藤田 誠, 永田 紀四郎, 佐藤 勇
    1984 年 38 巻 8 号 p. 782-786
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー

    小児慢性腎疾患52例について, 血清および尿中シアル酸(SA)を測定し次の結果を得た. 1)血清SA値は, ステロイド剤感受性ネフローゼ症候群(SSNS)の活動期において高値の例が多く, 寛解期には低下する傾向であつた. 膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN), 巣状糸球体硬化症(FGS)および慢性糸球体腎炎(CGN)においても, ネフローゼ状態の例で高値の例がみられた. 遷延性糸球体腎炎(PGN)では蛋白尿中等度の例, 易感染性のある例に血清SA値高値の例を認めた. Wilson病では低値, 肝性腎糸球体硬化症では高値であつた. 2)尿中SA値は, SSNS3例, MPGN1例, CGN1例, PGN2例およびDebré de Toni Fanconi症候群1例で高値であり, 蛋白尿の高度~中等度の例や, 腎機能低下の例に高値の傾向があつた. 3)PGNの1例で線溶療法中の尿中SA値を経時的にみると, 治療中やや低下する傾向を示した. 小児慢性腎疾患において, 血中および尿中SA値を経時的に測定することは, その病態を把握する上で有用であると思われた
  • 佐藤 昭雄, 勝又 広重, 西海 正彦, 村山 直弘, 鈴木 民子, 猪 芳亮, 小田 義英
    1984 年 38 巻 8 号 p. 787-789
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    特発性尿崩症に潰瘍性大腸炎を合併した例はみられないので報告する. 症例は56才, 男性で, 1971年3月より特発性尿崩症としてClofibrate+Trichlormethiazideの併用療法を約3年間行い, その後放置す. 1978年11月より, 下痢, 口渇, 全身倦体感あり, 食欲不振となり体重10kg減少し, 同年12月15日入院. 入院時体温37.5℃, 1日平均尿量3.7 1. 皮膚乾燥し, 貧血著明. 血清総蛋白5.0g/dl, 肝機能, 免疫グロブリン正常, 血沈亢進あり. ッ反応陰性. 内分泌機能(下垂体前葉, 甲状腺, 副腎皮質)は正常. 注腸, 内視鏡, 生検にて全結腸にわたり潰瘍性大腸炎の所見で重症の部類であつた, 治療としてDDAVP5μg 2回点鼻にで尿量は1日1.5 1台となり, Salazopyrinにて下痢消失, 貧血も回復し, 血清総蛋白も正常化した. 尿崩症の経過中に偶然に潰瘍性大腸炎を合併したものと思われる
  • 三宅 周, 安原 高士, 村田 太郎, 尾上 公昭, 川口 憲二, 杉山 明, 岩本 龍夫, 河野 宏
    1984 年 38 巻 8 号 p. 790-792
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    目的:炎症性腸疾患への免疫遺伝学的関与を検討するために, 潰瘍性大腸炎(以下「UC」), クローン病(以下「CD」), 腸結核(以下「TB」)患者におけるHLA抗原を調べた.
    対象:国立岩国病院において精査・治療されたUCの重症型4例, CD2例, TB1例の計7例を対象とした.
    方法:HLAのA, B, C抗原のtypingをNIH標準法に基づき, ヘキストジヤパンKK(東京)販売の「HLA-A, B, CプレートHS」のキツトを用いて行つた.
    成績:UCの4例については, AW24, CW3を3例に, またAllとB52を2例にみとめた. CDの2例については, CW3が両者にみられたにとどまつた. TBの1例ではAW24をみとめた.
    結論:UCにおいては, AW24, CW3, All, BW52が重要と思われた. CDについては, CW3以外には関連性をみなかつた. 今後, 症例を重ねて検索したい
  • 船木 治雄, 大田 早苗, 広瀬 脩二, 磯本 徹
    1984 年 38 巻 8 号 p. 793-797
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    われわれは非常に珍しいとされている十二指腸の悪性腫瘍2例を手術する機会をえた. 1例は65才の男性の十二指腸癌の症例で, 癌は十二指腸第4部の末端を占居していた. 十二指腸・空腸切除, 端々吻合を行つて腫瘍を摘除した. しかし約3年後再発死亡した.
    もう1例は47才の男性の十二指腸平滑筋肉腫の症例で, 腫瘍は十二指腸下行部のほぼ中央に位置していた. 膵頭十二指腸切除により腫瘍を摘除した. 腫瘍の大きさは小児頭大であつた. この症例も, 術後1年2ヵ月で再発死亡した.
    以上, 2例の経験をもとに, 十二指腸悪性腫瘍について, いささか文献的考察を加えてみた
  • 長谷川 親太郎, 久保 内光一, 岡本 純哉, 天羽 道男
    1984 年 38 巻 8 号 p. 798-801
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    小腸に潰瘍病変を呈する疾患としては, 腸結核, Crohn病, Behcet病, 憩室炎などが知られているが, これらの所見がみられず, 異物, 放射線照射あるいは特殊薬物などの既往もなく, 瘻孔形成とDouglas窩膿瘍を併発した炎症性回腸病変を経験した.
    症例は33才男性. 過去に2度急性虫垂炎様の右下腹部痛を認め, 抗生剤で軽快した既往がある. 昭和57年11月再々度の右下腹部痛を訴えて入院, 精査したところ回腸末端に病変を認め, 回盲部切除術を施行した. 術中所見は回腸末端部が癒着し, 一塊となり, その一部からDouglas窩に膿瘍が波及していた. 切除標本では回盲弁より口側20cmと60cmの部に瘻管が存在し, 病理学的検索から原発性非特異性小腸潰瘍が穿孔し, 隣り合つた腸管腔に穿通したために瘻孔形成が生じたものと考えられた
  • 三宅 周, 尾上 公昭, 安原 高士, 川口 憲二, 杉山 明, 河野 宏, 荒木 文雄
    1984 年 38 巻 8 号 p. 802-806
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    癌関連抗原(TAA)は, 消化器の悪性腫瘍患者の血清中に高頻度に検出されている. しかし, これらが多種類同時に同一症例に検出されることは大変まれである. 我々は, 血清中に4種類のTAAが高値を示した胃癌の症例を経験したので, PAP法による組織学的検索を含めて報告する.
    53才男性が, 右季肋部痛を主訴に入院した. この患者は, 昭和56年6月8日に胃亜全摘術を受けており, 病型はIIc+IIIで, 組織は中分化型管状腺癌が主体をなし, リンパ節転移を認めた. 昭和57年11月には, 諸検査により転移性肝癌が考えられた. 入院時検査成績は, AFP 15388ng/ml, CEA4.80ng/ml, β2-ミクログロブリン1.41μg/ml, フエリチン377ng/mlなどで, 経過と共に上昇した. 昭和58年3月11日に死亡し, 剖検では肝, 肺などに転移をみた. PAP法によりTAAを検索したところ, AFP, CEA, フエリチンを癌細胞内に認めた
  • 原田 泰子, 広松 雄治, 高本 正祇, 石橋 凡雄, 篠田 厚
    1984 年 38 巻 8 号 p. 807-811
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    多発性肝膿瘍と膿胸を併発した赤痢アメーバ症の1例を報告する. 症例は56才の男性, 昭和58年6月韓国を旅行, その後, 軽度の下痢と共に右側胸部痛, 発熱が出現し, 一般細菌性膿胸として抗生物質療法を受けたが改善なく, 腹部エコーにて多発性肝膿瘍を発見された. アメーバ性肝膿瘍を疑われ, Metronidazoleによる治療を開始したが死亡した. 剖検はできなかつたが, 赤痢アメーバに対するIHA抗体及びゲル内沈降反応の両者の血清診断により赤痢アメーバ症と診断した
  • 岡本 晃, 山口 和男, 谷口 正次, 永田 二郎, 伊藤 公一
    1984 年 38 巻 8 号 p. 812-814
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は9才女児で, 早朝起床時突然左上腹部痛と嘔吐があり, 近医に入院した. しかし腹痛増強し, 発熱, 白血球増多あり翌日当院に転入院した. 入院時白血球17900, 体温37.7℃. 左上腹部に腫瘤と腹膜刺激症状あり, 超音波検査で同部に一致した充実性腫瘤を認め, 又, 腫瘤中央下面より血管侵入像がみられ, 脾臓であることが推定された. 以上により当日緊急開腹手術を施行した. 手術所見:巨大なうつ血脾を認め, 各種脾固定靱帯は欠如し, 脾は脾門部を軒とし, 180°以上茎捻転をしていた. 従つて脾剔除術を施行した. 術後一時的に血小板数増多, 血小板凝集能, 同粘着能の亢進をみたが, 術後1年6ヵ月経過した現在特に異常を認めない
  • 石原 八十士, 廣川 勲, 米澤 真次
    1984 年 38 巻 8 号 p. 815-818
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    腎動脈瘤は以前はまれな疾患とされたが, 血管造影の普及につれその報告数も増加している. 最近我々は腎動脈瘤の2例を経験したので, 若干の文献的考察と共に報告する.
    症例1 63才主婦. 高血圧の精査を目的に当院内科入院. 腹部単純撮影にて右腎部に2個の石灰化像を認め, 当科に転科. 腹部大動脈造影にて右腎動脈第1分岐部直後の分枝に1.6×0.9cmの, また腎内にも1.3×1.6cmの嚢状動脈瘤を認め, 右腎摘除術施行. 術後血圧は不変であつた.
    症例2 65才主婦. 左腰部痛及び右肩痛を主訴に某医受診し, 腹部単純撮影にて左腎部に石灰化像を認め, 精査目的にて当科入院. 高血圧あり. 排泄性腎孟造影にて左腎の上腎杯に一致した2.2×1.5cmの石灰化像が認められた. 血管造影は施行不能. その後左腰部痛が増強するため, 左腎結石の診断のもとに左腎摘除術施行. 病理検査にて石灰化像は腎動脈瘤と判明した. なお術後血圧は正常に復した
  • 則井 崇, 長田 高寿, 瀬崎 達雄, 谷崎 真行, 田中 嶺太郎, 村上 元正
    1984 年 38 巻 8 号 p. 819-822
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例:33才, 男. 1982年5月の定期検診で初めて尿蛋白を指摘された. 7月16日本院内科を受診, 尿蛋白, 顕微鏡的血尿, 高血圧を認めたが, 腎部に腫瘤, 痺痛はなかつた. 腎シンチグラムにて右腎上部に陰影欠損あり, 精査のため8月10日に入院した. 尿蛋白(+)0.51%, 沈査で赤血球1視野2~3個で腎機能は正常であつた. 排泄性腎孟造影で腎孟, 腎杯の腫瘍による圧迫, 欠損は証明されず, 腎CTで右腎後方に比較的境界明瞭な円形の低吸収部を認めた. 右選択的腎動脈造影で, 右腎上部に直径3.5cmの円形の腫瘤あり, 動脈相, 静脈相で腫瘤部に造影剤が貯留した特有な影像は見られなかつた. しかし腎腫瘍の疑いは完全に否定しきれず, 9月3日本院泌尿器科で右腎摘を実施した. 病理組織学的には腎実質と腫瘍は明瞭に結合織により分けられている淡明細胞型の腎細胞癌であつた. 9月26日退院, 現在外来通院中, 再発遠隔転移は見られていない
  • 三村 尚, 滋野 俊, 中川 治一, 上野 一也, 竹内 健太郎, 吉沢 晋一, 井口 欽之丞, 堀利 雄
    1984 年 38 巻 8 号 p. 823-825
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    61才, 女性で, 心窩部不快感にて来院, 胃X線検査および内視鏡にて, 胃体下部小彎に粘膜下腫瘍を認め, 手術を施行した. 切除所見は, 2.0×1.5×1.4cmの広基性半球状腫瘤で, 組織所見は粘膜下の脂肪腫であつた
  • 沼田 憲男, 石川 恵一郎, 遠藤 省三, 小早川 清, 伊野 照子, 岡崎 晃, 河原 勉, 倉田 明彦
    1984 年 38 巻 8 号 p. 826-829
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    最近経験した3例の重複早期胃癌について報告した. また術前検査で正診することの難しさを検討し, 若干の文献的考察を加えた.
    症例1は60才の男性で, 胃角後壁のBorrmannIIIと体中部前壁のIIc+IIIの重複胃癌で胃切除術を施行したが, 3年後に残胃のIIa型早期胃癌を指摘され, 残胃全摘を行つた症例である.
    症例2は48の才男性で, 体中部後壁のIIcと胃角小彎の良性潰瘍の診断で胃切除を行つたところ, 良性潰瘍と思われた病変もIIcと判明した例である. 症例3は76才の男性で, 胃前庭部のBorrmann IIIとの診断で手術をしたところ, 胃角後壁にIIa+III, 体下部前壁にIIa, さらに体下部後壁にATPが発見された症例である.
    重複早期胃癌を術前に正診するには, 主病変にとらわれることなく「もう一つ癌があるのではないか」という慎重な態度が最も大切である
  • 松岡 寿夫, 白井 幸子, 村上 国男
    1984 年 38 巻 8 号 p. 830-833
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    患者は癌を宣告された43才の男子で, 胃癌再発後, 約2年間に50枚の版画を製作した. 主治医に版画による心理分析を依頼し, 1981年6月死亡した.
    遺作版画は色彩とイメージにより4期に分けることが出来た. I期は背景は明るい青色で, 抽象化されたものが描かれている. 能動的に力強くはあるが, 病気に対する“怒り”をひめている. II期は背景は灰色で, 都市像, 自動車, 人物, かげろうなどが描かれている.意識的, 現実的ではあるが“否認”をひめている. III期は背景は濃紺色で, 目立つ色はピンク色, 白色で, 人物, 月, 太陽, 鳥などが描かれている. “抑うつ”傾向を示す. IV期は背景は黒色で, 緑色, ピンク色が多用され, 羽毛状のものが舞い, 生命線, 鳥, 太陽などが描かれている. 抑うつ的な気持の中にも, 安らかに死を“受容”して, 旅立つたものと思う
  • 8. 脊髄麻酔
    川添 太郎
    1984 年 38 巻 8 号 p. 834-836
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 38 巻 8 号 p. 837-838
    発行日: 1984/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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