医療
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39 巻, 5 号
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  • ―胃膵相関に基づく新しい病型分類と病像展開における新解釈―
    阿部 道夫
    1985 年 39 巻 5 号 p. 413-424
    発行日: 1985/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    膵炎の進歩に終始重要な貢献を示したのはそのメツカともいうべきフランスSarles教授を中心とする研究業績の集積によることは周知の通りである. まさに主流であり, 世界の学者はこの概念の下に多彩な膵炎を考え, 近年の臨床膵臓病学が出来上つたものといえよう.
    しかし揺らぐことのない世界に覇して冠たるSarlesの学説も, もはや巌然と瀟洒に位する訳にはいかなくなつた. 突如として異変が生じたのである.
    すなわち, このSarlesに対しスイスのAmmannは独自の概念を提唱し一つの新しい臨床像を明らかにした. 更に著者は日本の膵炎につき胃膵相関に基づく論拠より再考を加え, 病型分類と病像展開に対し新解釈を見い出した. 先の国際シンポジウムにおいては以上に立脚した新しい内科的治療-Secretin cocktail pancreatic ductwash-out methodを開発し発表したが, 今や,Sarles, Ammannそして著者の新しい概念を加え膵炎の臨床は大きく変遷してゆくことであろう.
  • 福喜多 博義, 山本 浩, 小山 靖夫, 小山田 日吉丸, 照井 頌二, 森谷 宣皓, 川合 英夫, 宮岡 裕子
    1985 年 39 巻 5 号 p. 425-429
    発行日: 1985/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肝転移の診断の指標として, 甲状腺ホルモンの結合蛋白質である, Thyroxine-binding globulin(TBG)の有用性について検討した. 症例は, 原発巣手術後の肝転移, 50例である. 肝転移の診断は, 肝シンチグラム, CT, 超音波, 及び開腹手術で行つた. 対照として, 原発性肝癌42例, 骨転移19例, 及び慢性肝疾患でfollow-up中の33例のTBGについて検討した. 血清は, 肝シンチグラム施行時に採血し, TBG及び, 甲状腺ホルモンの測定を行つた. 肝機能, AFP, 及びCEAについては, 肝シンチグラム施行時の2週間以内の値を参考にした. 肝転移の50症例中, 36例(72%)のTBGが, Euthyroidにもかかわらず, 正常値以上の異常高値を示した. また, CEA陰性の18例中, 14例のTBGが異常高値を示した. 原発巣や, 組織型に関係なく, 肝転移症例で, TBGが異常高値を示していることから, TBGは肝転移のマーカーとして有用である.
  • 江草 国之, 今福 健雄, 荒瀧 冷資, 井手 武朗, 近藤 忠亮, 広田 滋
    1985 年 39 巻 5 号 p. 430-436
    発行日: 1985/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1980年以来, 当院に入院した慢性肝障害および原発性肝癌233例に, RIA法でAFP値を測定した. AFP高値群(≧200ng/ml)と低値群(<200ng/ml)の両群に原発性肝癌は存在した. 良性慢性肝障害にもAFP高値を示すものがあるため, AFP高値のとき, これら肝疾患をAFP値と, 基準値を設定した血液生化学値と腫瘍マーカー値とを併せて解析・鑑別した. 基準値については以下のように定めた.
    GOT/GPT: 2以上, ALP: 20KAU以上, LDH: 450mIU以上, ICG:K=0.05以下, Ferritin: 200ng/ml以上, β2ミクログロブリン: 10ng/ml以上.
    その結果, AFPが高値を示したとき, これらの成績の一部またはすべてが基準値を満たすときには, 肝癌を考慮する必要があり, 満たさぬときは良性肝障害の存在を考えた. 一方, AFP低値でも, これらの基準値を満たしていれば, 肝癌を考慮すべきと考えられた.
  • ―HBe抗原系を指標として―
    安原 高士, 尾上 公昭, 河野 宏, 杉山 明, 川口 憲二, 萩原 秀紀, 三宅 周
    1985 年 39 巻 5 号 p. 437-441
    発行日: 1985/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    HBs抗原持続陽性者の腹腔鏡による肝表面像を, 年令, 臨床経過, それにHBe抗原(eAg)を指標として比較検討した. eAg陽性例は40才未満では島田分類に従えば100, 200番地が多かつたが, 40才以上では300, 400番地となつていた. eAg陰性例は, 逆に40才, 50才でも200番地にとどまり無症候性キヤリアとなつているものがあつた. 300番地例は, eAgの陽性, 陰性をとわず斑紋肝を呈していた. 以上よりeAg陽性例では加令とともに肝病変も進展していくことが予想された. eAg陰性例では, 200番地にとどまる症例もみられたが, 一方で300番地例では, eAg陽性例と同じく斑紋肝を呈していたことより, このような例ではさらに肝病変が進展する可能性があるので, より早期でのseroconversionか望ましいと考えられた.
  • 宇都宮 利善, 別所 隆, 近藤 喬, 大谷 泰雄, 古内 孝幸, 高浪 巌, 篠原 央, 大西 英胤, 北洞 哲治
    1985 年 39 巻 5 号 p. 442-446
    発行日: 1985/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胆道系疾患の診断の一助として, 血中および胆汁中CEA値の検討を行つた.
    血漿CEA値は, 胆嚢癌においてのみ高値を示したが, 高値例は進行癌であり, 早期診断には結びつかなかつた. 胆汁CEA値では, 胆石症の胆嚢内胆汁は高値を示す例もあり, ばらつきも多かつたが, 胆汁細菌の有無や胆石部位には関係なく, 術前胆嚢造影陰性例にCEA高値が多かつた. 胆嚢癌では, 胆嚢内胆汁は平均8116.3ng/mlと著明な高値を示し, 根治手術可能であつたStage Iの症例でも7361.6ng/mlで, 良性疾患との鑑別には有用と思われる. 胆管癌の胆管胆汁は, 平均423.4ng/mlと良性疾患に比し高値を示し, 悪性疾患の胆嚢癌胆管胆汁平均37.3ng/mlと比較しても高値を示した. 又, 減黄手術時の胆管胆汁では良性疾患は高値を示さず, 閉塞性黄疸の良悪性の鑑別に有用と思われる.
  • 野中 道泰, 吉田 晃治, 上田 俊明, 才津 秀樹
    1985 年 39 巻 5 号 p. 447-451
    発行日: 1985/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胆石症の合併症として比較的まれなBiliobiliary Fistula3例を経験したので報告する.
    臨床症状は全例に黄疸を認め, その他疼痛, 発熱が主な症状である. 病悩期間はすべて1年以上で, 2例は5年以上と長い. 術前診断は1例に確診でき, 他は総胆管結石, Mirizzi症候群を伴う総胆管結石と診断している.
    診断方法はecho及びPTC又はPTCD造影である. 瘻孔の型はCorlette I型3例である.
    本疾患の治療は胆摘, 結石除去, 胆管形成(胆嚢壁によるPatch graft法), 胆道ドレナージが基本術式である. 手術の際結石除去により胆管右側に大きな欠損を来し, 周囲は炎症性変化強く, 脆弱なため胆道形成の際難渋することも多いが, 炎症性胆道狭窄は可逆性のことが多いので, 解剖学的位置関係を充分検索した後, 胆嚢及び胆管の切開や切除を行い, 無理な胆摘や胆道再建はできるだけ避けるべきである.
  • 土田 博, 津嶋 恵輔, 山形 尚正, 三上 勝也, 杉山 雄一, 笹村 雅人, 三上 贇麿, 村上 哲之
    1985 年 39 巻 5 号 p. 452-455
    発行日: 1985/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    海外帰国者のいわゆるtraveler's diarrheaのひとつとして理解されているランブル鞭毛虫症(Lambliasis)(Giardiasis)は, 胆道を汚染し, 上腹部痛を惹起し, 急性腹症のひとつとなり得ることを知つた.
    また本症の不明上腹部痛への関与, また胆道疾患における, 古典的な十二指腸液検査の有効かつ必要性(十二指腸カプセル利用)を再認識するとともに, 例数が少なくなつたとはいえ, 一般臨床における寄生虫疾患の重要性を思い知らされた.
    なお, 希少寄生虫疾患の治療-厚生省研究事業「輸入熱帯病の薬物治療に関する研究」について二, 三ふれた.
  • 安冨 徹, 生田 篤也, 伊藤 剛, 児島 貴久, 粉川 皓仲, 古田 睦広, 鈴木 万里子, 吉岡 秀憲, 土屋 宣之, 清水 一良, 大 ...
    1985 年 39 巻 5 号 p. 456-460
    発行日: 1985/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肝硬変合併肝癌に対する肝切除術式として, 1979年10月より国立がんセンター肝外科グループが始めた術中超音波ガイドを用いた血管構築に立脚した系統的亜区域切除術が, 近年多くの施設で施行されるようになつた. 今回, 我々も肝右葉前上亜区域によく限局した肝癌症例に対して, この方法による肝切除術を施行した. 術前の肝動脈塞栓術(TAE)は残念ながら施行できなかつたが, 患者の術後経過は良好であり, AFP値も術後正常値にもどつた. 今後も肝亜区域によく限局した肝硬変合併肝癌に対しては, 今回の術式を施行していきたいと考えている.
  • 大塚 和生, 前田 蓮十, 古賀 満明, 伴 信太郎, 立花 一幸, 矢野 右人, 小野 彰夫, 島 正義
    1985 年 39 巻 5 号 p. 461-464
    発行日: 1985/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肝硬変症にはまれながら, 肺高血圧症が合併することが報告されている.
    我々も, 肝硬変症で経過観察中, 肺高血圧症の合併を経験したので報告する.
    症例は49才の男性で, 昭和54年に, HBs抗原陽性を指摘されている. 昭和58年12月, 肝性脳症により当科入院となつた. この時, 胸部X線写真上, 主肺動脈の拡張と末梢肺動脈の狭小化像を認め, 心電図は右室負荷, 又, 心音図上, II音肺動脈成分の亢進がみられた. 肺シンチグラムでは, 両側肺門部にlow activity areaがみられた. 心エコーでも右室腔の拡大, 壁の肥厚など, 右室負荷の所見が得られた. 心臓カテーテル検査で, 肺動脈圧が70/25mmHgと上昇しており, 肺動脈抵抗指数も1648dyne・sec・cm-5/m2を呈した.
    肝硬変症と肺高血圧症との因果関係については, 諸説が報告されているが, この症例で検討したかぎりでは不明である.
  • 藤田 誠, 永田 紀四郎, 村中 秀樹, 佐藤 勇, 黒沼 忠由樹
    1985 年 39 巻 5 号 p. 465-469
    発行日: 1985/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    小児慢性B型肝炎において, interferonやtransfer factor(TF)の投与の試みが最近なされているが, adenine arabinoside(Ara-A)とTF併用の試みはほとんどなされていない. 著者らは, 2才時, 火傷の治療に際し, 多量の輸血を受け, それにより難治性の慢性活動性B型肝炎を発症したと考えられる13才の男児にAra-AとTFを投与する機会を得た. Ara-Aは8.5mg/kg/day, 7日間および5mg/kg/day, 23日間の投与を1クールとし, 間隔をおいて2クール投与した後, 3クール目にはTF1/2単位/週の5回投与と併用した. これにより血清GOT, GPT, TTT, ZTT, LDHの正常化およびγ-GTPの低下が認められ, またHBe抗原の陰性化とHBe抗体の出現およびDNA-polymeraseの正常化もみられた. TF投与により一時HBe抗原の上昇がみられ, 活性化リンパ球による感染肝細胞の破壊が推測された. このような治療法は, 副作用もなく, 小児科領域においても有用であると思われた.
  • 5. 単球
    青木 誠, 村山 直弘
    1985 年 39 巻 5 号 p. 470-473
    発行日: 1985/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 39 巻 5 号 p. 474
    発行日: 1985/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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