過去20年間に手術した縦隔腫瘍症例は42例である. 性別は男24例, 女18例, 性比1.33, 年令は3才から75才にわたり, 平均年令40.3才である. 臨床診断は, 縦隔腫瘍26, 重症筋無力症11, 胸腺腫4, 傍心嚢嚢腫1例である. 組織学的診断では, 良性縦隔腫瘍9例で奇形腫3, 傍心嚢嚢腫2, 神経鞘腫2, リンパ嚢腫および食道平滑筋腫各1例である. 悪性縦隔腫瘍は11例で, 悪性リンパ腫4, 転移性腫瘍7例である. 胸腺由来の腫瘤は22例で, 実質性胸腺組織4, 胸腺肥大9, 嚢腫2, および胸腺腫7例である.
右縦隔にみられた悪性リンパ腫の1症例は, 17才, 男子高校生で, 4才時虫垂炎として開腹時, 腹腔内リンパ節腫脹を指摘され, 悪性腫瘍を疑われた, 全身倦怠感, 咳嗽, 喀痰, 胸痛を主訴とし入院, 右上中肺葉合併切除により縦隔腫瘍を摘出した. 術後の検索で, 結節硬化型ホジキン病と判明した
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