医療
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40 巻, 7 号
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  • 山田 満
    1986 年 40 巻 7 号 p. 589-595
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々が筋ジストロフィーの診療や研究にあたつて, 昔からの考え方や定着した説明の仕方などに対していろいろ不十分さ, 疑問点, 理解しにくさなどに直面することは極めて多いが, その主要な点について, 症例と共に分析検討した. 第一に分類上の問題点, 第二に遺伝方式に対する疑問点, 第三に原因論を考える場合における問題, 第四に女性筋ジストロフィーの分類, 成り立ちなど, について我々の考え方を述べた.
  • 名取 徳彦
    1986 年 40 巻 7 号 p. 596-598
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Myotonic dystrophy (「MyD」と略す)における染色体異常を明らかにする目的で, MyD患者15名について染色体のG染色法と脆弱性試験をおこなつた. 方法 末梢血0.2mlをアミノプテリンを添加した葉酸不含のMEM-FA培地にて96時間培養し, それぞれ中期の細胞100個についてギヤツプの数をかぞえた. 結果と考察MyD患者にて15名中8名(53.3%)に, 2%以上の出現頻度で非遣伝性のギヤツプ, すなわちhot spotが認められた. 好発した部位は3p21, 4q31, 6q12又は13で, その中で最も頻度が高かつた部位は6q12又は13で8名中3名に認められた. hot spotの出現と年令との関係では, 統計学的に, 有意に年令の若い患者により多くhot spotが認められた. 遺伝的, 臨床的に異なる疾患と考えられているDuchenne型筋ジストロフィー症においても, 6q12又は13のhot spotが最も高頻度であつたことから, その部位はMyDの本質とは直接関係のない二次的産物と考えられた.
  • ―歩行不能の症例について―
    印東 利勝
    1986 年 40 巻 7 号 p. 599-601
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Duchenlle型筋ジストロフィー症(DMD)の歩行不能例の残存運動機能を正常児の歩行発達過程で獲得される運動機能と対比し, DMDの残存機能の臨床的意義を検討した. その結果正常児の歩行発達上生後9ヵ月までに獲得される運動機能が重要であり, stage VIIIという高度機能障害の時期でも「頸定」, 「坐位」の2項目はかなり残存することが明らかとなつた. DMDの最終残存機能のうち, 歩行機能獲得過程における早期の機能は保持されうると考えられた.
  • 三好 和雄, 升田 慶三, 亀尾 等
    1986 年 40 巻 7 号 p. 602-604
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Duchenne型筋ジストロフィー症に伴う, うつ血性心不全の2症例にループ利尿剤を投与中に, 血清尿酸値の上昇を認めた. この原因は, 当然, ループ利尿剤による尿酸の排泄低下と考えられたが, Duchenne型筋ジストロフィー症の病態の一部として尿酸の排泄低下があるのではないかと思い, この点を検討した. Duchenne型筋ジストロフィー症の血清尿酸値には年令的変動がみられ, 15~19才群で高値を示した. 14~21才の13症例のうち, 8症例に8mg/dl以上の高尿酸血症を認め, このうち7症例で尿酸クリアランスが5ml/min以下に低下していた.
  • 三好 和雄, 升田 慶三, 亀尾 等
    1986 年 40 巻 7 号 p. 605-607
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    進行性筋ジストロフィー症の末期において呼吸不全への対応は重要である. 頻回の動脈血ガス分析を必要とすることが多い. 意識のある患者にとつて, 頻回の動脈血採血はかなりの苦痛になる. そこで, 主に新生児の呼吸管理において, 動脈血ガス分析の代りに用いられている経皮酸素・炭酸ガス分圧測定装置が使用できるか否か検討した. その結果, 経皮酸素分圧は動脈血酸素分圧より低い値を示すものの, 相関係数は0.88であつた. また, 経皮炭酸ガス分圧は動脈血炭酸ガス分圧より高い値を示すものの, 相関係数は0.87であつた. また, 呼吸不全に陥つている進行性筋ジストロフイー症の患者において, 経皮酸素・炭酸ガス分圧を連続的にモニターし, 睡眠に入ると経皮酸素分圧が更に下降し, 経皮炭酸ガス分圧が更に上昇することを認めた.
  • 小笠原 昭彦, 中藤 淳, 野尻 久雄, 宮崎 光弘
    1986 年 40 巻 7 号 p. 608-611
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    WAISを用いて, 116例のDuchenne型筋ジストロフィー症患者(16~27才, 障害度5~8)の知能について分析を行つた.
    FIQは, 平均82.8±13.4であつた. 加令によるIQの低下はなかつたが, 障害の進行や入院の長期化に伴うIQの低下の傾向を認めた. また, 下位検査については, 言語性では単語問題の, 動作性では符号問題の成績が最も低かつた.
    これら知能障害の原因は, 基本的には一次的なものであると考えられた.
  • 川村 真理, 秋山 健一, 平形 明人, 大島 崇, 富田 香
    1986 年 40 巻 7 号 p. 612-615
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    福山型先天性筋ジストロフイー症で両眼に網膜剥離のある症例を経験したのでその経過につき報告する. 症例は8才の女児で, 生後9ヵ月に福山型先天性筋ジストロフイー症と診断されていた. 8才7ヵ月の時に左水晶体吸引術を受け, 術後両眼に網膜剥離を認め, 当科を紹介された. 両眼とも耳側に90°以上におよぶ鋸状縁断裂と, その周囲に類嚢胞変性, 網膜剥離を認め, 8才8ヵ月の時に両眼網膜剥離手術を施行した. 術後感染を起こしバツクルの除去を行つたが網膜は復位した. この網膜剥離の原因としては, まれな2疾患が合併した可能性も考えられるが, むしろ原病による網膜の脆弱性が関与していることが考えられた.
  • 山本 秀平, 印東 利勝
    1986 年 40 巻 7 号 p. 616-619
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    筋緊張性ジストロフイー症の34才男性で, 骨格筋線維化の評価がThallium-201骨格筋シンチグラフイーにより可能と考えられた1例を経験した. 本症例は左下肢のわずかな筋力低下がみられたが, 筋萎縮, 筋線維束攣縮はみられず, 両側の足背動脈はよく触知した. 201T12mCiを静注後, 対向型ガンマカメラおよびオンラインで接続したデータ処理装置を用いて体前面および背面より同時に頭側から尾側へ15分間スキヤンし201T1の全身分布像を撮像した. ついで体前後面像の各画素カウントを相乗平均し, 201T1全身分布像を画像再構成した. 201T1全身分布像上, 肩甲筋群, 三角筋, 殿筋群部位では分布が対称であつたが, 筋力低下がみられた左下腿部は明瞭な灌流欠損となつていた. 本症例の骨格筋病変は軽度であつたが2201T1全身分布像では明瞭な灌流欠損として認められ, 201T1骨格筋シンチグラフイーは四肢筋病変の早期診断, 重症度判定などに役立つ可能性があると考えられた.
  • 第2報 運動時酸素消費と筋生検
    宮地 直恒, 最上 鉦, 遠山 有能
    1986 年 40 巻 7 号 p. 620-625
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    片麻痺の理学療法を実施する場合, 患者の体力や予備力を考慮に入れなければならない. その場合, 運動負荷時酸素消費がよい指標になると考えられている. 安静時の心拍数30%増加を目安に負荷を加えると, 同年代の片麻痺患者では, 健康者にくらべて低値をとつた. この原因が筋肉そのものにあるのではと考え, 滑車を利用した両側上肢の上下運動を同時に患・健側の両方に負荷することにより, その時の静脈血PO2を測定した. 健側の方がより多く使用されるので, 静脈血PO2は健側に底かつた. すなわち筋肉の酸素消費が, 健側と患側で差があつたのである. これを筋組織をHE染色ATPase染色により確かめると, 白筋に優位に小径化がみられ, small fibersが患側にはより多く存在し, これが筋萎縮の病態であることが判明した. 片麻痺では患側の筋肉には, 神経原性のhemiplegic amyotrophyがあるために, 酸素消費が低下するものと考えられた.
  • 大沼 歩, 成川 弘治, 笹生 俊一, 小川 達次, 木村 格
    1986 年 40 巻 7 号 p. 626-628
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    パーキンソニズムを呈した星細胞腫の1例を報告した. 症例は70才女性. 10年前, 右上肢の振戦で発症し, 以後右下肢振戦, 筋強剛を合併し進行. パーキンソニズムは経過中, 右一側にとどまつた. 頭部CTにて前頭葉腫瘍を疑われ, 生検にて星細胞腫と診断された. 放射線・化学療法にて振戦は軽快した. 一側性パーキンソニズムにおける原因検索の重要性とパーキンソニズム発現機構に関して考察した.
  • 広田 茂, 藤本 俊一, 甲州 啓二, 園部 真, 高橋 慎一郎
    1986 年 40 巻 7 号 p. 629-631
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    CTにて, 孤立していると考えられる2個の腫瘍性病変を認め, 転移性脳腫瘍を疑つたが, 組織学的検索にて神経膠芽腫であつた1症例を報告した. 症例は53才男性で, 交通事故を反復するため, 精査したところ, 右下同名四半盲と, CTにて両側後頭葉の腫瘍性病変を認めた. mass effectの大きかつた右側の腫瘍を部分摘出し, 減圧開頭術を施行したが, 約5ヵ月後死亡した. 組織学的にはglioblastomaであり, CT上multicentric gliomaと考えられたが, 剖検は得られず, これを確証することはできなかつた.
  • 牧 和夫, 古田 睦広, 小原 安喜子, 浅本 仁, 船戸 正久
    1986 年 40 巻 7 号 p. 632-635
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Cockayne症候群は, 精神発達遅滞, 運動失調, 視聴力障害, 日光過敏症, 老人様顔貌などを呈する常染色体劣性遺伝疾患である. 本邦でも, 今日まで60例以上の報告があるが剖検例は少ない. 我々は, 13才の男児のほぼ典型的な剖検例を得たので報告する. 症例の兄, 姉共に健全である. 生下時は正常. 精神運動発達遅滞, 視聴力障害, 日光過敏症, 蛋白尿などを示し, 13才時に, 全身浮腫, 傾眠状態で入院し, 肺炎及びDIC症候群を合併し死亡した. 身長98cm. 老人様顔貌. 頭蓋骨は異常に厚く, 石様にかたい. 脳は著明な萎縮と大脳基底核に石灰化, 脱髄巣, 小脳プルキニエ細胞の脱落. 網膜は, 内外顆粒層の低形成など, 腎臓は, 糸球体の大小不同及び線維化, 汗腺は萎縮, 胸腺, 副腎は著明な萎縮を示す. 基庭核結石はX線回折でリン酸カルシウムと判明した. この疾患を, 染色体脆弱症候群の一つとし, DNA障害に伴う正常発達阻害及び二次障害の結果と考えた.
  • 足立 克仁, 橋口 修二, 竹田 勝則, 坂東 智子, 米田 賢治, 日下 香苗, 宮内 光男
    1986 年 40 巻 7 号 p. 636-640
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    26才, 男性. 小中学生時は学業成績不良で, 16才より同じ言葉や動作の反復, 顔面・手のチツク, 易興奮性, 強迫傾向がみられ, 20才時当院入院. このころより糞語, 陰部露出も出現. 体格は痩せ型で四肢が長く, クモ状様指, 翼状指, 高口蓋がみられた. IQ(WAIS)は67. 染色体は46XY. 以上よりMarfan様の体型, 知能障害を伴う特異なGilles de la Tourette症候群(GTS)と診断した.
    抗ドパミン薬の投与によるGTSの全症状の著明な改善, インスリン試験による成長ホルモンの分泌遅延(90~120分に最高値), またclonidine投与による易興奮性の改善などから, 本例では脳内dopaminergic neuron系の亢進, α-adrenergic neuron系の異常が示唆された. 更に, 本例はMarfan様体型や知能障害などの先天性の異常があり, GTSの発症要因として神経系の発達・分化の異常やこれに関する遺伝子の異常を考慮すべき要があると思われた.
  • 鈴木 文晴, 平山 義人, 有馬 正高
    1986 年 40 巻 7 号 p. 641-642
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    重症心身障害児は, 重症心身障害児に特有な種々の因子により胃食道逆流現象をきたしやすく, 反復性嘔吐, 吐血の原因となる. この病態に対して, 体位・薬剤による保存的治療を行い, 2症例について1年間の変化を臨床的, 内視鏡的に観察した. この結果保存的治療により十分な効果が得られた. 外科的治療の困難な重症心身障害児に対して, このような保存的療法を積極的に行うべきであると考えた.
  • 三好 和雄, 升田 慶三, 亀尾 等
    1986 年 40 巻 7 号 p. 643-645
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    経管栄養を施行中に, コーヒー残査様の嘔吐とタール様黒色便を繰り返していた重症心身障害児において, チユーブの留置を胃より十二指腸の下行脚に変更することが, 消化管出血の改善に有効であつたので, ここに報告する. 症例は, 13才の女児で, 2才の時より, 溺水事故の後遺症のため, 経管栄養を余儀なくされた. 8才の時, 当院へ転院したが, 上部消化管出血を繰り返し, 上部消化管造影で, 著明な胃食道逆流現象と滑脱型横隔膜ヘルニアを認めた. 半起坐位にしての栄養剤の注入と抗潰瘍薬による治療後も上部消化管出血を繰り返していたが, チユーブを十二指腸の下行脚に留置することにより, 症状の寛解を得た.
    経管栄養が施行されている重症心身障害児で著しい胃食道逆流現象を認める症例では, 体位の工夫と薬物療法の他に, チユーブを留置する部位も大事であると思われた.
  • 五十嵐 勝朗, 黒沼忠 由樹, 秋元 義已
    1986 年 40 巻 7 号 p. 646-649
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立療養所岩木病院の最近10年間の入院患者の実態と今後の方向について検討した.
    年度別の入院患者の種類別比では昭和50年代の前半は結核が20%台を占めていたが次第に激減し, 逆に小児慢性疾患と整形外科的疾患が約2倍に増加した. 重障者と筋ジス患者はほとんど増減ない. 小児慢性疾患はこれまで学童・生徒が中心であつたが, 今後は幼児まで範囲を広げていきたい. 重障者については訓練にも力を入れていきたい. 筋ジス患者でも同様である. また県民の小児保健の立場から心臓検診, 腎臓検診, 貧血スクリーニングの二次検診施設として拡充していく.
  • 7. 難聴幼小児の検査と対策
    猪 忠彦
    1986 年 40 巻 7 号 p. 650-653
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 40 巻 7 号 p. 654-656
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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