医療
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41 巻, 4 号
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  • (国立相模原病院定期健康診断の調査成績)
    山崎 昭
    1987 年41 巻4 号 p. 326-330
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    秋の定期健康診断のときに, ルーチンの検査のほかに女子職員に対して血清鉄の検査をした. 受診者285名中血清鉄が正常値以下のものが15%以上に見られた. 今回はTIBCや血清フエリチンの測定を行つていないが, もしこの検査を加えると, さらに多数の人々に血清鉄減少症が見られると考えられる.
    そこでここでは健康診断によつてほぼ健康とされた女子職員で, その血清鉄値と血液検査の各項目との関係について検討した. その結果血清鉄値とMCVやMCHとの間にはやや相関がみとめられ, HbやHtとはさらにゆるい相関がみとめられた. 血清鉄値が低いにもかかわらず, 血液学的異常値のないものもかなりみられた.
    これらの血清鉄値低下例は必ずしも自覚症状がない. そしてこの原因は月経血喪失に見合う鉄分の補給と食事のまずさによるものと考えられる.
    そこで女子の定期健康診断においては血清フエリチンの測定をすることが必要であるということ, 及び食生活の改善をこの面から検討することが大切であると強調したい.
  • 島 功, 池野 暢子, 渡辺 正昭, 遠藤 紘, 高橋 克幸
    1987 年41 巻4 号 p. 331-335
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    婦人科疾患の超音波診断の要点について解説を試みた.
    子宮筋腫では変性子宮筋腫や妊娠合併子宮筋腫の所見に注意する. 子宮内膜増殖症では内膜の層状構造, 子宮体癌では内膜の塊状構造が検出される. 子宮肉腫は多発性結節性腫大子宮像として描写される. 嚢胞性卵巣腫瘍では, 非腫瘍性嚢胞, 嚢胞腺腫, 類皮嚢胞腫との鑑別, 充実性卵巣腫瘍では, 輪郭と内部エコーの分析によりある程度良性悪性の予知診断が必要である. 卵巣子宮内膜症は内部エコーを有する嚢胞性腫瘤, 子宮体部子宮内膜症は多彩なエコーを有する腫大子宮像として描写される. 高度骨盤内炎症性疾患では膿瘍由来の塊状所見が検出される. 卵巣出血ではダグラス窩貯留所見と同時に嚢胞性腫瘤所見に注意を要する.
    以上, 婦人科領域においては超音波断層法は形態的診断法として優れてはいるが, 術後の病理組織学的検索が最も重要である.
  • 島 功, 池野 暢子, 渡辺 正昭, 遠藤 紘, 高橋 克幸
    1987 年41 巻4 号 p. 336-340
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    産科臨床上特に問題となる疾患の超音波診断の要点について解説を試みた.
    正常妊娠(初期)の診断では胎嚢像, 胎児(芽)心拍動や胎児運動, 流産の診断や予後判定では胎嚢の発育, 形態, 位置および絨毛所見が要点となる. 多胎妊娠では胎嚢数, 胎児(芽)心拍動, 児頭数により胎数が確診されるが, double decidual sacや双角子宮との識別の他, blighted twinに留意する必要がある. 胞状奇胎では初期および非定形的奇胎所見に注意する. 胎盤付着部位診断では前置胎盤の経過観察と肥厚脱落膜や子宮筋の局所性収縮との識別の他, 膀胱充満の適否に留意する. 常位胎盤早期剥離では, 胎盤後方子宮卵膜間の血腫の増大に注意する. 子宮外妊娠では, 子宮外妊卵着床所見または妊娠性腫瘤所見により高い正診率が期待できる.
    以上, 産科領域においては妊娠経過に伴う超音波所見の変化と, その産科学的意義を理解することが重要と考えられる.
  • 長町 典夫, 武本 幹彦, 西内 憲, 辻 正子, 浜田 嘉徳, 森 啓一郎
    1987 年41 巻4 号 p. 341-345
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    当院における羊水量異常とそれに伴う新生児疾患について, 過去11年間の症例を集計して検討した.
    羊水過多症は21例, 羊水過少症は7例で分娩総数に占める割合は各々0.3%, 0.1%で, 男児が多かつた. 昭和58年1年間の正常分娩475例を対照として検討したところ, ともに早産, IUGRの傾向を示し, Apgar scoreも低く, 児の死亡率, 奇形率は羊水過多症で58.3%, 45.8%, 羊水過少症で50%, 50%と高い傾向を示した.
    児の奇形は中枢神経系に多く, 羊水過多症では無顎症, 過少症ではPotter症候群の症例もあつた.
    羊水の循環動態, 調節機構はまだ不明の点が多いが, 胎児奇形との関連が高いと考えられることからも胎児情報源としての羊水の意義は大きい. 羊水量異常が疑われる症例では超音波断層法, 染色体分析, 胎児造影法などの出生前診断がより必要であろう.
  • 山田 清美, 我妻 堯, 瀧 直彦, 鈴置 洋三, 長町 典夫, 高橋 克幸
    1987 年41 巻4 号 p. 346-349
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    反復性流産における遺伝的要因を明らかにするために, 自然流産歴を2回以上もち流産の原因が全く不明の夫婦組を対象として染色体検査を行つた. 染色体分析はすべてGバンド法による分染法を用いて精査した. その結果, 検査した夫婦100組中の10組(10%)に均衡型の相互転座による染色体異常を認めた. 妻が転座保因者と判明したものが8人で, 夫は2人であつた. この転座保因者の頻度は新生児集団では約700人に1人と推定されるので, それと比較してみると流産夫婦集団では妻が54.8倍で夫が13.7倍高いことが明らかになつた. 流産夫婦群に多い転座保因者の存在は, 自然流産や奇形児出産の危険性の上から日常の診療の際に十分に考慮すべき遺伝要因である. そのため, 分染法を用いての精査による染色体検査の必要性を強調したい.
  • ―姉妹染色分体交換の測定による検討―
    山本 克哉, 鴻巣 武, 中川原 寛一, 酒井 京子, 沼田 由紀子, 佐藤 元
    1987 年41 巻4 号 p. 350-355
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    抗てんかん薬(AED)の変異原性の有無を検討する目的で, 脳障害児45名(AED服用群23名, 非服用群22名)と健康成人10名(対照群)のリンパ球における姉妹染色分体交換(SCE)頻度を測定した. また患児5名, 対照3名についてphenytoin (PHT), phenobarbital (PB)を種々の濃度で培地に加え, in vitroでのSCE誘発効果をみた. 結果(1)1細胞あたりのSCE頻度はAED服用群5.52±1.29, 非服用群5.52±1.75, 対照群3.98±0.48であり, 前2者間には有意差はなかつたが, AED服用群, 非服用群ともに対照群との間に統計学的有意差が認められた. (2)全例で培地中のPHT, PB濃度の上昇に伴い有意のSCE増加が認められた. 以上よりPHT, PBの変異原性が示唆されたが, 実際の患児でのSCE増加には, AED以外の要因が関与している可能性が推測された.
  • 小林 千鶴子, 篠崎 文信, 後藤 信昭, 野口 知志, 武者 広隆, 森 博志, 高沢 博
    1987 年41 巻4 号 p. 356-360
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    63才女性の鉄芽球性貧血の1症例を報告した. 汎血球減少があつたため, 再生不良性貧血と診断された. その3年半後, 骨髄細胞の鉄染色でringed sideroblastを認め, さらに染色体異常トリソミー8が検索した骨髄細胞の97%に認められた. 前白血病状態が強く疑われたが, 再入院6ヵ月後ヘモジデローシス及び真菌血症で死亡した. 剖検にて骨髄に白血病化所見は認められなかつた.
  • 佐藤 徹, 継 健, 永田 雅良, 中沢 博江, 石原 伝幸
    1987 年41 巻4 号 p. 361-363
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は52才の男性で, 主訴は心拡大. 現病歴は, 幼少時より歩行の異常に気付かれ, また右肘関節の伸展が不十分であり, 40才の時心拡大を指摘された. 理学的所見では, 脈拍数45/分と徐脈, 肩甲帯・上腕部・前頸骨筋に筋力低下と筋の萎縮を認め, 頸部前屈に制限があり, 右肘関節に拘縮を認めた. 胸部X-PではCTR 71%と著明な心拡大, 心電図では心室性固有調律であり, 心臓カテーテル検査では恒久的心房停止であるが, 心内圧・心係数・左室駆出率は正常, 左室拡張末期容量は拡大していた. 筋電図・筋生検所見とも神経原性であり, 我々はあえてEmery-Dreifuss型筋萎縮症と診断した. 心病変については, 血行動態を含めた詳細な検討を行つたのは1975年のWatersらの報告のみであるが, 本症例でも同様の結果であつた.
  • 下山 直人, 伊東 和人
    1987 年41 巻4 号 p. 364-367
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 36例のvon Recklinghausen病(以下「R病」)の麻酔に対し, 麻酔法, 合併症につきretrospectiveに検討を加えた.
    R病は5~20%に高血圧を合併し, その中には褐色細胞腫の合併例もあり注意を要する. 我々の例の中には褐色細胞腫合併例はみられなかつたが, 腎動脈異形成による腎血管性高血圧もみられ, 術中の循環管理を困難にしていた. 気管偏位例, のう胞性肺疾患例もみられたが, いずれも問題とはならなかつた. 麻酔法では, ハローセン麻酔が70%と多かつたが, エンフルレン麻酔に変わりつつあった.
    合併症を認識し, それに対応している限りほとんど問題はないが, 特に高血圧を合併している場合には, 術前検査によつて褐色細胞腫を除外診断しておくべきである. また, それによつて褐色細胞腫の診断がつかなくても, 万全の体制で麻酔管理を行わなくてはならない.
  • 寺本 好弘, 井上 正二, 初田 和勝, 榊 寿右, 森本 哲也, 竹村 潔
    1987 年41 巻4 号 p. 368-371
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    もやもや病は昭和30年代日本で最初に発見された原因不明の脳血管異常である.
    本症合併妊娠の報告はこれまで数例にすぎないため, その妊娠・分娩の管理法はまだ確立されたとはいえない.
    本症例は28才の初産婦で, 妊娠35週で妊娠中毒症のため入院した. 入院17日目の夜間就眠時突然強度の頭痛を訴え, 間もなく意識消失を来した. ただちに頭部CTスキヤンを施行し, その結果両側脳室内出血が認められたので, 手術的に血腫除去し, 引き続いて帝王切開術にて2700gの女児をApgar score 7点で娩出した.
    患者は術後も意識状態の改善が認められず植物状態となつた. 11ヵ月後再度頭蓋内出血を発症し, そのさいの脳血管撮影でもやもや病と診断された. 患者は翌日死亡した.
  • 樋口 和彦, 中川 康, 三木 鈴
    1987 年41 巻4 号 p. 372-378
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我が国では, 妊娠に合併する尿崩症は約60例の報告があるにすぎない. そしてその多くは妊娠中に一過性に尿崩症症状が出現し, 分娩後にすみやかに軽快するものである.
    症例は27才の主婦であり, 前回妊娠時の後期に尿崩症症状が出現し, 産褥1ヵ月で症状が消失している. 今回の妊娠においても, 中期まではまつたく尿崩症症状はみられなかつたが, 妊娠後期になつて前回同様に尿崩症症状が出現し, その症状も産褥早期に自然消失した.
    妊娠に合併する尿崩症の原因については種々の説がいわれているが, 詳しい解明はいまだされていない. 本症例においては分娩前後のDDAVPテスト, 血中ADH値などより, その原因はADH分解酵素活性の亢進によると思われた.
  • 冨久 尾信, 小坂 順治, 中島 裕史, 舟山 仁
    1987 年41 巻4 号 p. 375-378
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    卵巣に発生する絨毛癌はまれで, なかでも非妊娠性の絨毛癌の報告は少ない. 今回我々は, 未分化胚細胞腫に絨毛癌を併発した症例を経験したので報告する.
    症例は16才の女児で, 不正出血, 下腹部痛を主訴に来院した. 小児頭大の下腹部腫瘤で, 圧痛と少量の性器出血を認めた. CTでは充実性腫瘍で, 尿中HCG, 血中HCGが高値を示したことから, HCG発性卵巣腫瘍と診断し, 開腹術を行つた. 左側卵巣より発生した腫瘍で, 割面は灰白色充実部と出血壊死部よりなり, 組織診断は未分化胚細胞腫と絨毛癌であつた. 術後化学療法として, MTX, ACTDを投与した. 投与後, HCGは順調に下降し, 現在のところ異常なく経過している. 本症例の診断, 治療について, 文献的考察を加えて報告する.
  • 4. 妊娠維持のしくみ―抗イデイオタイプ抗体
    堤 紀夫, 伊藤 治英, 田中 忠夫, 柏木 登
    1987 年41 巻4 号 p. 379-382
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1987 年41 巻4 号 p. 383-384
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1987 年41 巻4 号 p. 384-385
    発行日: 1987/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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