医療
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42 巻, 1 号
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  • 清野 昌一
    1988 年 42 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    古くからいわれる「たおれ病」を特徴づけるてんかん性転倒発作には, 様々な見方, ひいては用語が用いられてきた. 過去2世紀にわたる転倒発作の概念と記載の変遷について概説した.
    転倒発作の症状把握が困難な理由は, 本発作のすべてが1秒以下と極めて短時間のうちに経過する点にある. われわれは閉鎖回路TV・EEG装置に記録された, Lennox-Gastaut症候群15症例の計48回の転倒発作を分析した. その結果, 強直型, 屈曲けい縮型, ミオクロニー・脱力型, 脱力型の4型を分類することができた. このうち乳児けい縮発作を彷彿させる屈曲けい縮型転倒が, 専らWest症候群をもつて発病した症例とみられることがわかつた. 転倒発作の発現機序の解明がまたれる.
  • ―adenosine diphosphate二次凝集閾値判定法の意義―
    飯野 耕三, 中富 康夫, 西野 康, 吉田 富士雄, 竹之山 利夫
    1988 年 42 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Lumi-aggregometerを用いて脳血管障害患者368例と対照者124例について血小板凝集能を測定し, 二次凝集をきたすADPの最低濃度で凝集能を判定した. 若年対照者(50才未満, 49例)ではADP 1~2μMで二次凝集をきたすものが全体の76%, 1/8μM 0%, 1/4μM 2%, 1/2μM 16%, 4μM以上8%であつた. 以上よりADP二次凝集閾値1~2μMを正常, 1/2μMを境界域, 1/4μM以下を凝集能亢進, 4μM以上を凝集能低下と判定した. 一方, 高令対照者(50才以上, 75例)では凝集能亢進群は20%であつた. 脳卒中病型別では凝集能亢進を示すものは脳血栓症21%, TIA 30%, 脳出血13%, 脳塞栓症9%と前二者で高率であつた. 脳血栓症では発症から1週間以降において凝集能亢進を示すものが多かつた. 性, 年令, 高血圧および糖尿病の有無と凝集能亢進との間には明らかな差異はなかつた. また, 4症例を呈示し, 二次凝集閾値判定法が抗血小板薬の効果判定にも役立つことを示した.
  • 第5報 クレンザツク型及びバネ継手付下腿装具の工夫と経験
    宮地 直恒, 最上 鉦, 遠山 有能
    1988 年 42 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    脳卒中片麻痺では, 下腿装具がよく使用されるが, 痙性麻痺の足関節変形, 拘縮に対応するために, 足関節の中間位の固定位がよいとされている. バネによる継手は, ほとんど使用されない. 我々は, 元来の下腿装具に, 支持部, 支柱, 足底装具の各部を改良することと同時に, 継手に, バネ機構を導入したものを試作して使用している. 患者の間でも評価はよく, 歩行解析を行つても, 当装具を使用することにより, 改善をみることができた. さらに, 三日月型に組合せたバネも考察し, 適応を広げて使用が可能になるものと思われた. 以上, このようなバネ機構を継手に利用することにより, 下腿装具の構造を改良し, 脳卒中片麻痺患者の歩行動作をより有効なものにできることが判明した.
  • 第6報 退院患者のアンケート調査
    遠山 有能, 宮地 直恒
    1988 年 42 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    当院で脳卒中片麻痺に対するリハ訓練をうけ, 退院後5年以上を経過した219名に対しアンケート調査を行つた.
    回答率は62%で, 回答のあつた136名中63名(46%)が死亡していた.
    生存者のうち12名が他病院入院中, 42名が自宅療養中, 2名が老人施設に入所中で生存者の76%が療養をつづけている. この中にはねたきりの8名(10.8%)が含まれており, 生存者の困つていること, 希望することでは医療に関する問題が最も多かつた.
    死亡群は生存群に比し, 脳梗塞, 血栓の患者が多く, また高令者が多かつた. そして, 退院後4年以内に43名(68.2%)が死亡していた. このことから退院可能時から少なくとも4年間は厳重な医学的管理下におくことが望ましい.
  • 島倉 忠行, 水上 信明, 矢島 幸昌, 細川 昌俊
    1988 年 42 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    脳血管性障害, 脳手術後などの中枢性疾患に起因する運動知覚機能障害に意識障害を随伴している患者に遭遇することがしばしばみられる.
    意識障害を伴う患者は通常回復意欲, 自発性, 疎通性が極めて乏しく, 特に2桁以上の重度の障害例では随意運動も消失し, 予後のよくない場合が多い.
    私たちは本研究において, このような意識障害を随伴する患者に対するリハビリの方法として従来からの維持的療法以外に, 介助による早期起坐, 坐位バランス, 移乗起立と種々の反射運動や視, 聴, 触, 味覚などの多重刺激の積極的応用法を, 過去4年間に男14名, 女7名の計21名に試み, よい結果を得たことを報告した.
    なかでも(1)リハビリ開始時意識レベルが2桁以上の重症例12名, 57%あつたが, 終了時には全例0まで回復し, (2)離床率では100%その目的を果し, (3)11名52%が歩行可能まで回復したことなどは特筆すべき高成績であった.
  • 三好 和雄
    1988 年 42 巻 1 号 p. 45-47
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    重症心身障害児(者)に, くる病・骨軟化症の発生が多いことはよく知られている.今回私は, 生体内のビタミンDの保有状態をよく反映すると考えられている血清25-hydroxy-vitamin D (25-OH-D)の値を, 当院に入院中の重症心身障害児(者)において検討した. 血清25-OH-Dの値は, 対照群に比べ, 重症心身障害児(者)群は有意に低かつた. 重症心身障害児(者)のうち, 抗痙攣剤の服用者群は非服用者群に比べ25-OH-Dの値が低い傾向にあつたが, 有意差はなかつた. また, 重症心身障害児(者)34例のうち, 1例にくる病所見を認めた. 重症心身障害児(者)の25-OH-Dの値が低い原因としては, 日照不足が考えられ, 屋外での生活を積極的にとりいれる必要性を痛感した.
  • 汐田 まどか, 安藤 雅史, 笠木 重人
    1988 年 42 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    種々の感覚刺激に対する反応が極めて乏しく, 発達的変化をとらえにくい重度脳障害児12名について, 視覚, 聴覚, 表在感覚の3領域で検査項目を設定し, 感覚刺激に対する反応行動がどの程度多様化しているか, という観点で発達評価を試みた.
    対象12名(男7名, 女5名)は, いずれも四肢麻痺で, 発語は叫声~喃語レベル, 固視, 追視や音に対する反応がとらえにくい児である.
    視覚17項目, 聴覚35項目, 表在感覚17項目を設定し, 検査した結果, それぞれの反応の多様化の程度を知ることができ, 低い反応レベルでのグレード分けが可能であつた.
    今後の問題点として, 検査の客観化と, 検査結果を分析的に表わすための検討が必要と思われる.
  • 国立精神療養所共同研究班
    1988 年 42 巻 1 号 p. 53-61
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1. 国立精神療養所の共同研究班では, 16施設について, 在院慢性精神障害者の老令化に関する実態調査を, 昭和58, 59年度に実施し, 10年前の調査と比較した.
    2. 在院精神障害者4,727人の年令構成は, 10年前と比べ, 60才以上では13.6%から22.0%に, 70才以上では4.9%から8.4%に増加し高令化が著しい.
    3. 慢性経過を示し, 60才以上在院3年以上の在院患者は783例で, 診断別内訳では精神分裂病の比率が36.7%から61.9%に著しく増加し, 病型別では破瓜型が主であった.
    4. 身体合併症は, 老年患者の72.7%にみられ, 循環器, 消化器, 呼吸器疾患の順に多く, その治療にあたる他科専門医が不足している.
    5. 長期在院の主な理由は, 家族の受入れ拒否, 衣食住の自立困難, 病状が重いの順である.
    6. 老年患者の今後望ましい処遇場所は, 老人福祉施設38.8%, 老人病院19.8%であつた.
  • 塩田 匡宣, 石名田 洋一, 大熊 哲夫, 荒張 喜好
    1988 年 42 巻 1 号 p. 62-66
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    無症候性のクモ膜の骨化がけつしてまれなものではないことは諸家の報告により異論のないところであるが, 進行性の脊髄症状を呈する, いわゆる“骨化性クモ膜炎”はまれな疾患である. 骨化性クモ膜炎と癒着性クモ膜炎には本質的な差異はないとされ, 脊髄血管奇形, クモ膜下出血など原因として考えられている. われわれは10才時の髄膜炎が原因と思われる骨化性クモ膜炎の1例を経験した. 手術所見は癒着性クモ膜炎のものであり, クモ膜は高度に混濁肥厚し脊髄と強く癒着しており, T10高位のクモ膜内に小指爪大の石灰化物を認めた. これは一部に脂肪髄を有する骨であつた. クモ膜は線維化を主とし, 腫瘍や活動性の炎症はなかつた. 本例は10才時に罹患した髄膜炎の後遺症として癒着性クモ膜炎が生じ, 経過中に骨が形成されたものであろう.
  • 松海 信彦, 石光 宏, 原田 泰弘, 宮田 伊知郎, 西浦 司, 津野 和幸, 西本 健, 荒木 文雄
    1988 年 42 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    近年, 脳結核腫は化学療法の進歩により著しく減少し, 最近ではまれに報告をみるに過ぎない. 今回我々は, 脳結核腫の1例を経験したので報告する. 症例は35才の男性で, 昭和59年6月左顔面に痙攣を数回おこし, 当科を受診した. CTで右運動領にわずかに低吸収域を認めたが, 神経学的に異常所見はなく抗痙攣剤を投与して経過観察していた. 翌年4月全身痙攣をおこし, また, このころより左顔面, 舌の知覚異常を訴えるようになつたため, CTを再検すると, 低吸収域は右前頭葉より頭頂葉まで増大し, さらに造影剤注入で不規則なenhancementを示した. しかし, 血管撮影では特に異常所見は認められなかつた. 4月25日脳腫瘍の診断のもとに開頭術を行つたところ, 悪性高熱症をきたし, 手術は外減圧術のみにとどめた. 5月23日NLA麻酔下で腫瘍摘出を行い, 病理診断は脳結核腫であつた. 術後経過は良好で, 直ちに抗結核療法をはじめ, 6ヵ月後のCTで残存した腫瘤は縮小していた.
  • 宮田 伊知郎, 石光 宏, 原田 泰弘, 西浦 司, 津野 和幸
    1988 年 42 巻 1 号 p. 72-74
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は33才の女性. 頭痛, 脱力感で発症したが, 翌日より急速に意識状態が悪化し半昏睡となつた. 頭部CT scanで左小脳に広範なlow density areaと, それによる第4脳室の圧排消失, 閉塞性水頭症をきたしていたため緊急に後頭下減圧開頭術を施行した. 術直前は昏睡, 両側瞳孔散大の状態であつたが, 翌日には簡単な命令に応じるようになり, 術後約4ヵ月目に軽快, 独歩退院した.
    小脳梗塞の中には, 自験例のごとく広範な脳浮腫を伴い脳幹圧迫および閉塞性水頭症をきたす例がまれながらあり, このような症例に対して後頭下減圧開頭術が極めて有効であつたので報告した.
  • (あるいはBecker型)筋ジストロフィー
    伊藤 久美子, 山田 満
    1988 年 42 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    近年染色体の研究技術の進歩と共に多くの知見がえられ, 女性のDMDにおけるX-ATの報告が欧米から11例以上, 本邦からも5例の多きに達しているが, 著者らも女性DMDよりは女性のBMDと考えられる症例を経験したので, 内外の報告を比較検討し, その女性DMDにおけるX-ATの意味についての考察を加えた.
  • ―すくみ足に対する奇異運動の利用―
    川村 力, 永田 雅章, 山縣 元, 坂本 賢右, 中山 昇二
    1988 年 42 巻 1 号 p. 79-81
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    すくみ足を主症状とし, levodopa療法に抵抗し著しい歩行障害を呈したパーキンソニズムに2本杖歩行を試みた. 患者は71才男性で, 薬物療法にてrigidityの消失後もすくみ足の改善が認められず独歩不能であつたが, 一方において障害物を越えたり階段の昇降時には歩行が改善する奇異な現象であるkinésie paradoxaleが観察された. そこで患者の両手に杖をもたせ, 交互につかせ, 歩かせたところ通常の杖歩行に比しても有意の歩行時間の短縮が認められた. kinésie paradoxaleはリハビリテーシヨン部門でパーキンソニズムの歩行訓練に広く利用されているが, 2本杖歩行はこのkinésie paradoxaleを利用した実用的な歩行方法と考えられ報告した.
  • ―語想起における音声と文字との関係―
    渡部 信一, 笹生 俊一, 木村 格
    1988 年 42 巻 1 号 p. 82-86
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    語想起において, 呼称に比べ書字が良好な健忘失語の1症例を報告した.
    症例は発話運動系の障害がない27才の男性で, 語想起障害が顕著であつたが, そのとき空書行動が頻繁に観察された. 本症例の語想起における音声と文字との関係を明らかにする目的で, 単語の呼称と書字に関する課題を実施し, 次の結果を得た.
    1) 本症例では呼称と書字の間に大きな能力差がみられ, 呼称不可能な単語でも書字であれば可能なことがあつた。
    2) 書字することによつて音声による語想起が促進される場合があつた.
    3) 呼称と書字で異なつた単語が想起される場合があつた.
  • 大量療法が著効した1例
    宝満 誠, 田中 司, 中山 紀男, 今村 甲
    1988 年 42 巻 1 号 p. 87-89
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    てんかんにおいてWest症候群はLennox症候と共に難治性で, 大半が知能予後も不良である. 今回我々はWest症候群に対し活性型vitamin B6大量療法が著効し, 知能低下に至らず軽快した1例を経験したので, 若干の考察を加え報告する.
  • 1. 呼吸器感染症の起炎菌決定法
    宍戸 春美, 永武 毅
    1988 年 42 巻 1 号 p. 90-93
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 42 巻 1 号 p. 94
    発行日: 1988/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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