1. 国立精神療養所の共同研究班では, 16施設について, 在院慢性精神障害者の老令化に関する実態調査を, 昭和58, 59年度に実施し, 10年前の調査と比較した.
2. 在院精神障害者4,727人の年令構成は, 10年前と比べ, 60才以上では13.6%から22.0%に, 70才以上では4.9%から8.4%に増加し高令化が著しい.
3. 慢性経過を示し, 60才以上在院3年以上の在院患者は783例で, 診断別内訳では精神分裂病の比率が36.7%から61.9%に著しく増加し, 病型別では破瓜型が主であった.
4. 身体合併症は, 老年患者の72.7%にみられ, 循環器, 消化器, 呼吸器疾患の順に多く, その治療にあたる他科専門医が不足している.
5. 長期在院の主な理由は, 家族の受入れ拒否, 衣食住の自立困難, 病状が重いの順である.
6. 老年患者の今後望ましい処遇場所は, 老人福祉施設38.8%, 老人病院19.8%であつた.
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