医療
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43 巻, 12 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
  • 森田 稔, 戸川 三省, 平林 靖士, 坂井 宣行, 大口 創平, 和田 俊裕, 神野 健次, 徳山 勝之, 石光 鐵三郎
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1245-1249
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    新たに電子スコープを導入するにあたり, 固体撮像素子(CCD)による撮像の特性を有効に生かすため, スコープ本来の観察機能に静止画像プアイリングシステムを付加することにした. 鮮明な色画質で記録・再生できるように, 光ディスクにデジタル方式で書き込む方法を採用した. 画像入力にはフジノン・ビデオエンドスコープを, 画像プアイルにはソニーの光ディスク・イメージフアイル・プロセツサーを用い, パーソナルコンピューターで制御できるようにした. 被検者属性のデータで高速検索される再生画像は, 鮮明な色調で, 輪郭のはつきりした形の映像で得られた. また, 長時間経ても画質の劣化はみられない. 画像処理や画像データベースとして利用価値が高い画像プアイリングシステムと考えている.
  • 松家 豊
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1250-1255
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    進行性筋ジストロフィー症は終局的に呼吸筋萎縮による拘束性低換気の呼吸不全に陥る. 必然的に人工呼吸のターミナルケアが到来することになる. 筋ジストロフィーの病態に適した体外式人工呼吸(CR)装置を開発し実用化した. CRは陰圧用ベンチレーターと気密性の体幹コルセツトからなる. 1980年以来, 実験的および臨床的にCRについて研究し患者の延命に役立てた. 自験例は20例(Duchenne型16例, LG型4例)に達し現在7例がCR継続中である. 使用期間は最長4年を過ぎた. CRからの死亡例, 気管切開への移行, 合併症などについても検討した. CRの適応はPaCO2, PaO2値の逆転する時期(60 Torr)に導入する. 長期となるため医学的管理のほか生活面の充実につとめることが肝要である. これら適応および管理に関しての方針も示した. 筋ジストロフィー末期呼吸不全の治療には非侵襲的なCRを気管切開より優先することが有利である.
  • 石倉 彰, 池田 正人, 大日方 千春
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1256-1260
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    65才以上の慢性硬膜下血腫37例, 水腫13例について検討をおこなった. 41例の慢性硬膜下血腫と水腫に穿頭洗浄術を施行した. 術中, 脳のreexpansionの悪い20例にOmmaya reservoirを頭皮下留置したところ, 追跡CTスキヤンで全例に硬膜下腔液再貯留をみたが, ベツドサイドでの穿刺排液にて18例に完全回復が認められた. 経過不良例は脳萎縮が強く, 症状進行が緩徐で血腫腔が多胞性であり, 術中, 脳のreexpansionが悪く, 内膜形成が強固なものであつた. Ommaya reservoirの留置は, 感染に注意すれば, 術後残存した空気や貯留液を再手術することなく, ベツドサイドで容易に除去でき, 治癒を促進させることが可能で, 手術侵襲による合併症が危惧される高令者には有効な方法である.
  • 阿部 憲男, 宮沢 幸仁
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1261-1263
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立仙台病院に入院した心房細動を合併する心疾患患者390名について虚血性脳血管障害の発症を高める因子について検討した. 心房細動を有する心疾患患者での虚血性脳血管障害の発症頻度は390名中94例で, 基礎心疾患がなんであれ発症頻度は一様で約25%と高かつた. 心房細動の存在様式別では, 慢性心房細動群において発作性群よりも虚血性脳血管障害の発症が有意に多かつた. 年令, 心拍数, 心胸郭係数の検討では基礎心疾患を有さない慢性心房細動群において有意の傾向を示し, 心臓弁膜症や虚血性心疾患に合併した心房細動群では有意の傾向はみられなかつた. 慢性心房細動のみを有する群では年令が高く, 心拍数が低く, 心胸郭係数が高い例で虚血性脳血管障害の発症に注意を要する.
  • 松尾 和彦, 馬場 尚道, 草場 英介, 山内 秀人, 柴田 隆一郎
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1264-1268
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1980年4月から, 1989年4月までの9年間に, 36例(男性33例, 女性3例, 平均年令67.9才)の腹部大動脈瘤の手術を行つた. 非破裂性が30例, 破裂性が6例で術後の在院死亡は5例であつた. 70才以上の高令者が多いため, 術前術後に多彩な合併症が認められ, 合併症の種類に応じた重点的な患者管理が必要であつた. 動脈瘤径が5.0cm以上になると, 手術時間が長びき, 出血量も多くなつて, 術後に重篤な合併症の発生頻度が高くなる傾向が認められた. 術後の心筋梗塞および腸管壊死は特に致命的な合併症であつた. 小さな動脈瘤でも, 手術禁忌となるような術前合併症がないかぎり, 患者の年令に関係なく, 動脈瘤を発見しだい早期に手術を行うべきである.
  • 進藤 仁, 林 直諒, 足立 ヒトミ, 久保 精志, 久保 井宏, 加藤 義朗, 米島 正博, 春田 郁子, 渡会 伸治
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1269-1273
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胆道癌のハイリスク・グループである膵胆管合流異常(合流異常)について臨床的に検討した. 9年間に1432例のERCPを施行し, 14例(1.0%)の合流異常を診断した. 胆嚢癌は6例に合併したが(2例を切除), 胆管癌はなかつた. 当科で経験した胆嚢癌は30例であり, このうちの20.0%が合流異常に合併したことになる. 合流異常における胆石の合併は4例であるが, このうち胆石と胆嚢癌の併存例は1例のみであつた. 一方, 合流異常のない胆嚢癌24例の胆石の合併は14例(58.3%)であつた. 術中に胆嚢から採取した胆汁中アミラーゼは9例中8例において著増していた. 合流異常は比較的まれな病態であるが胆道癌の合併率が高く, 一方胆道癌からみた合流異常の割合も少なくない. したがつて本症を念頭において診療にあたるとともに,みつけ次第切除することが望ましい.
  • 村上 穆, 西連寺 愛弘
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1274-1282
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和52年1月より昭和63年5月までに経験した, 肝内結石症は82例である. 本症は本来良性疾患なので, なるべく肝を温存すべきであるという立場から, 基本術式として胆嚢摘除術+総胆管切石術+総胆管Tチユーブ・ドレナージを施行, 術後Tチユーブ瘻孔より胆道鏡下載石術を行つてきた. 82例中術後胆道鏡下截石術を行つたものは73例(89.0%)で, 平均施行回数は3.9回であつた. 遺残結石症例は73例中6例(8.2%), 再発症例は67例中9例(13.4%)で, 再発例9例中8例までが昭和57年以前に截石術を受けた症例で, 再発までの期間は平均4.9年であつた. 死亡例は9例(11.0%)で, 4例が胆道感染, 2例が腫瘍死であつた. 肝内胆管に嵌頓した大結石を截石する場合, 電気水圧衝撃波結石破砕装置が威力を発揮した.
  • 唐沢 哲郎, 山田 隆祥, 戸谷 良造, 鈴置 洋三
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1283-1288
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和59年1月より昭和62年12月までの期間に, 当院にて妊娠28週以降2500g未満で分娩した妊娠中毒症子宮内胎児発育遅延児0~3才未満36例及び昭和59・60・62年の3年間に, 当院にて妊娠28週以降2500g未満で分娩した非妊娠中毒症IUGR児0~3才未満103例の精神発達指数(development quotient, 以下「DQ」と略す)を津守式精神発達質問紙を使い調査した.
    妊娠中毒症IUGR児では脳性麻痺1例を認め, 非妊娠中毒症IUGR児では, 脳性麻痺2例と精神発達遅延2例を認めた. これら予後に異常を示した症例の頻度は, 妊娠中毒症2.78%及び非妊娠中毒症3.88%であつた.
    脳性麻痺3例の原因は, 低酸素性虚血性脳症と推察された. しかし, 胎児新生児仮死を呈した症例は2例で, 1例は胎児新生児仮死を呈さず胎児モニタリングで検出されなかつた. 一方, 精神発達遅延の2例は, 胎児新生児仮死を示さなかつた. しかし, それぞれ, 神経芽細胞腫, 片側手指拘縮の合併症を有していた.
  • 大木 健資, 林 謙二, 高田 啓一, 蟹沢 泉
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1289-1293
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和62年4月より10月までの7ヵ月間に腰痛を主訴として来院したもの405名のうち, 44名(10.9%)が心理的加重を有していた. 心理的加重を有する腰痛症のCMIテストの結果は領域III~IVを示したものが24名(54.5%)であり, 領域I~IIを示したものが19名であつた. 整形外科的診断で心理的加重ありと評価され, さらにCMIが領域III~IVを示すものの心理的加重は確実であり, この場合CMIは補助診断として有用である. しかしCMIがI~II領域を示したもので, 明らかに心理的要因があるのに, 情緒的に安定しており, その関与を意識していないためとおもわれる症例がある. これは心理テストとしてのCMIの限界と考えられるが, このなかにmultiply operated backの症例が含まれており, 治療上細心の注意が必要である.
  • 八野 芳已, 山崎 邦夫, 岩重 秀二, 古川 佳也, 遠藤 省三, 河原 勉
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1294-1297
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    高カロリー輸液法の臨床栄養法において果たす役割は極めて多大であり, その無菌調製は療法時の合併症の一つである敗血症の発症の防止対策上重要である. 当院においても1987年6月より本調製業務を実施している.
    しかし, 高カロリー輸液法の本来の目的を考察したとき, 対象患者の栄養アセスメントの変化に即応した高カロリー輸液を無菌調製し, 供給することが必要不可欠と考えられる. この観点より患者の病態に即した治療方針に基づく, 高カロリー輸液の処方設計およびその無菌調製を試行し, その対応の可能性が確認できた.
    この即時対応式調製法は高カロリー輸液調製オーダーシステムに従つた, 医師の栄養アセスメントによる輸液成分のオーダーと薬剤師の処方設計より成る. また, この方法から得られる諸種のデータを薬歴管理フオーマツトとして情報整理し, 臨床栄養法におけるチーム医療への参考資料の作成も可能となつた.
  • 国立精神療養所研究班
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1298-1307
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立精神療養所におけるリハビリテーシヨン(以下「リハ」)の現状と組織について昭和62, 63年度に調査・研究を行つた. まず前提として(1)リハの本来の意味「人間性の復権」に立ちもどらねばならぬこと, (2)障害概念を重視すること, (3)精神科領域では, リハ活動が従来長期入院者の退院と同義語で語られてきたこと, (4)精神科リハは疾病の発生と同時に始まり, したがつてその活動も外来・病棟・地域の広範囲にわたることなどを押さえておかねばならない. 今回の調査・研究では, リハ活動を進めていく上で以下の点が明らかになつた.
    外来患者の著しい増加や, デイケアの設置など従来の組織では対応できない事態が生じている. そのためには各施設が歴史や規模にあつた組織を作り, その組織を統括する責任者が必要である. 予算と人員の点では, 精神科1床当たり2万円の予算が必要であること, 人員の面では外来看護婦の定員化,精神医学ソーシヤルワーカーの増員がまず必要である.
  • 国立病院治療共同研究班
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1308-1314
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    調査した診療中の慢性膵炎症例126例(I群55例, II群38例, 疑診33例)の平均年令は各50.5, 52.9, 49.9才, 平均罹病年数は各5.0, 4.0, 3.3年, 入院回数は各2.5, 0.7, 0.6回であつた. 男性75名, 女性51名. 男性で扶養家族ありは85.5%, 有職は73.6%. 成因はアルコール性38.3, 特発性37.6, 胆石性15.1, その他9.0%. アルコール性膵炎症例の47.9%で飲酒, 58.1%で喫煙の継続がみられた. 疼痛は70.6%, 糖尿病は20.6%(I群で38.2%)にみられた. 病前どおり勤務可能者は69.0%. 老人保健8.3, 生活保護者9.3%. 治療上問題なしは27.0%に過ぎず, 多岐にわたる所見がみられ, 疼痛・糖尿病の管理, 反覆する飲酒が問題点として注目された. 上記症例中20症例にセクレチン療法が実施され, 40%で有用性が確認された. 疼痛消失7, 主膵管内蛋白栓の消失2, 膵外分泌能正常化2, 膵内分泌能改善1例. 特記すべき副作用はなく, 有効例は全例非石灰化群症例であつた.
  • 伊藤 国明, 五十嵐 忠彦, 金子 良一, 野崎 忠信
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1315-1319
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    重症再生不良性貧血(再不貧)3例・赤芽球瘍4例に対するシクロスポリン(CsA)の臨床効果を検討した. CsAは, 200~300mgを経口的に投与し, 有効の場合は100mgまで減量または中止した. 再不貧の2例(20才男, 22才女)は, anti-lymphocyte globulin (ALG), ステロイドパルス療法が無効で, CsAをmepitiostane (mep)と併用し, 66才女性例は, ALG, mepが無効で単独使用した. 再不貧では, 併用薬剤が多く, 3例共に臨床的に改善したが, CsAが有効なのは1例であつた. 赤芽球瘍では3例はステロイド無効で, 49才女性例はサイクロフオスフアミド(CPM)も無効, ALG一時有効, 52才女性例は, ALG, 胸腺腫摘出術も無効であつた. 1例(69才女)は, ステロイド, CPM共に一時有効であつた. CsAは, 赤芽球癆4例共に著効し, 16-39日で網赤血球の増加がみられた. 明らかな副作用は認められなかつた. CsAは, 赤芽球癆では, 治療の第一選択になりうるとおもわれる.
  • ―5例の経験をもとに―
    今村 甲, 森永 正信, 大塚 祐一
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1320-1326
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    聾を伴いQT延長, 失神発作, 突然死を来しやすいJervell and Lange症候群と聾を伴わないで同様の症候をもつRomano-Ward症候群は小児の突然死の原因となりうるので注目されている. 両症候群ともに家族性遺伝性疾患として知られているが, 造伝性が明確でない, 同様の症候をもつものもあり, 総括してQT延長症候群と称されている.
    我々は5例のQT延長症候群を経験している. 2例(姉, 弟)はJervell and Lange-Nielsen症候群に他の3例はRomano-Ward症候群である. 1例は脳波記録中に偶然に, 心電図におけるRon T, 心室性期外収縮, 心室細動, 心室頻拍をキヤツチした.
    QT延長症候群の診断は第一にI, V5, 6のT波の異常(平低または巨大)に注目する. T波の各心拍における形の変動の有無を調べる. そしてQT間隔の測定をする. 失神発作の有無を尋ねる. 運動負荷直後は正常人は心拍数は増加し, 逆にQTは短縮するが, QT延長症候群は各々の変化が鈍い. 生活管理も今後検討さるべき大切な問題となる.
  • 吉村 力也, 岡田 久司, 師富 邦夫, 赤星 隆一郎
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1327-1330
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    リドカイン投与によりtorsades de pointes (TdP)型の心室性頻拍が誘発されたと考えられた1例を報告する. 症例は, 呼吸困難を主訴に入院した84才の女性で, 心不全と心電図で完全房室プロツクに伴う徐脈, QT延長を認めた. 一時的右室ペーシングに加えて, 予防的にリドカインを投与したところTdPが頻発し, 投与中止により全く出現しなくなつた. 心不全, QT延長を伴つた徐脈, 虚血が疑われる症例でのリドカイン投与には, 充分な注意が必要である.
  • 高畠 裕司, 平井 忠和, 塩谷 謙二
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1331-1335
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は, 肥大型心筋症に罹患の66才女性. グリチルリチン225mg/日, 2週間服用後うつ血性心不全を来した. 入院時, 胸部写真で心拡大, 肺うつ血と大量の胸水を認めた. 血清カリウムは3.2mEq/lと低下し, レニン活性(0.1ng/ml/時)とアルドステロン濃度(25pg/ml)はともに抑制されていた. グリチルリチンの中止と安静のみにて1週間で体重は5kg減少し, 胸部写真の改善, 血清カリウム, レニン活性, アルドステロン濃度は正常化した.
  • 田中 久美子, 田口 修一, 黒田 裕久, 武井 泰彦, 鈴木 行憲, 鬼沢 幸世, 石川 皓
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1336-1339
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 巨大な右冠動脈左室瘻の1症例を経験したので報告した. 症例は, 狭心痛様の症状のあつた49才の女性で, 心電図にて虚血性の変化を呈していた. 心エコー図で瘻孔は認められなかつたが, 拡張した右冠動脈の一部を認め, 大動脈造影にて拡張した右冠動脈を認め, それは拡張期に左室流出路に流入していた. 冠動脈瘻の治療としては, 手術が一般的で, 手術適応基準として今野らの基準が用いられている. 本症例では, 心電図変化という基準を満たしていたが, オリフイスモデルを用いて計算したシヤント率は17%であり, 心電図の左室負荷も著しいわけではなく形態的にも, 瘤状形成なく破裂の危険も少ないと考えられたため, 現在経過観察中である.
  • 石黒 俊彦, 古見 健一, 椋 旨正, 中本 一海, 波多野 淑弘
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1340-1344
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    原発性肺高血圧症は原因不明の比較的まれな疾患で, 多くの報告では進行性で診断後の平均生存期間が2~3年の予後不良な疾患とされている. 症例は39才の男性で, 労作時の息切れと, 軽い胸痛を主訴に入院した. 左右心臓カテーテル検査を行つたところ, 肺動脈圧の著しい上昇を認めた他, 冠動脈造影にて両側の冠動脈より起始する気管支動脈を認めた.
    冠動脈と気管支動脈の吻合が認められるのは成人では非常にまれであるとされている. 本例の場合, 先天的な冠動脈の奇形とも考えられ, 気管支動脈へ冠血流がシヤントする, いわゆる“coronary steal”現象により狭心症様症状が出現しているものと考えられる. 我々は, 原発性肺高血圧症に合併した発生学的に非常にまれな冠動脈に起始する気管支動脈を有する症例をここに報告し, 原発性肺高血圧症と冠動脈・気管支動脈吻合の関連性について検討した.
  • 小畑 伸一郎, 前田 和弘, 木村 圭志, 佐藤 昌彦, 真田 功, 松村 克己, 東 輝一朗, 紫藤 忠博, 三浦 和典
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1345-1347
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    急性出血性大腸炎は, 急激に発症し大量の出血をきたす. 本症の大部分はABPCなどのペニシリン系の抗生物質により生じ, 深部大腸が好発である. 今回, 我々はスルバクタム・セフオペラゾン(S/C)によるとおもわれた出血性大腸炎の1例を経験したので報告する. 症例は44才男性, 右肩腱板不全断裂術後S/Cの投与を受けた. 投与3日目より下腹部痛, 水様下痢10行/日, 下血を生じ大腸内視鏡検査にて直腸よりS字結腸にかけて発赤びらんおよび血液付着を認め, 潰瘍性大腸炎と類似の所見を呈した. 便培養検査ではKlebsiella oxytocaが検出され, 本症例の発症には, S/Cの特徴的な体内動態とK. oxytocaの関与が示唆された.
  • 佐藤 孝, 早乙 女智子, 市丸 恭子, 吉武 明子, 寺師 恵子, 加藤 賢朗, 箕浦 茂樹
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1348-1351
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    悪性Brenner腫瘍は非常にまれな卵巣腫瘍として知られている. 今回我々はその1例を経験したのでここに報告する. 症例は57才の家婦で下腹部腫瘤を指摘され, 卵巣腫瘍の疑いにて当院に入院した. 超音波検査, 骨盤CTなどにて充実性部分と嚢胞性部分の混在した腫瘍を認め, 卵巣悪性腫瘍の疑いにて手術施行した. 左卵巣は小児頭大の灰白色の腫瘍を形成し, その他骨盤内に肉眼的異常を認めなかつた. 組織学的には腫瘍は移行上皮癌, 扁平上皮癌様の上皮包巣, 線維性間質にて形成され, 明らかな間質浸潤を伴い, 尿路系などの腫瘍を否定したため悪性Brenner腫瘍と診断された. 術後PVB療法を施行し, 16ヵ月後second look laparoscopy施行したが再発兆候を認めていない.
  • 瀬川 満, 荻野 幹夫, 浅井 春雄, 小杉 雅英, 斉藤 隆, 松本 仁志, 松本 光弘
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1352-1355
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肩甲上肢帯に発生し, 4年以上経過観察を行つた骨原発性悪性腫瘍8例について, その治療法などを検討した.
    治療は, 肩甲骨原発4症例の場合, 全例とも肩甲骨・鎖骨遠位部・上腕骨近位部を一塊として広範囲切除し上腕を温存した. 上腕骨近位部例では腫瘍部広範囲切除・人口骨頭置換を3例に行い, 1例は腫瘍の関節内及び周囲軟部組織への浸潤が明らかなため, 肩甲骨を含めて上肢帯離断を施行した.
    全例中, 局所再発は2例, 遠隔転移は3例であつた.
    上肢温存腫瘍広範囲切除は術後の早期社会復帰が可能であり, またかなりのADLが得られるので, 今後の化学療法などの進歩を考えると積極的に勧められてよい方法であると考える.
  • 田中 昭吉, 古川 哲也, 石本 三洋, 田中 丈夫, 荒光 義美
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1356-1359
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    今回, 外来小児患者の服薬の実態調査をアンケート方式により行い, 患者の服薬実状を把握し, 患者に正しい服薬の意義を理解してもらい, 服薬指導の基礎を固めようと企図した. 調査期間は1989年1月20日から30日間とした. 対象は患者の母親200名で, 内容は13項目, 回収率は80%であつた. 小児患者の年令層は1才から6才までが最も多く78%を占めた. 病院からの薬は全部服用させるとの答えが過半数を占め, 剤型は粉薬, もしくは水薬であるとの答えがほとんどであつた. 服用方法を相談していない人が過半数いた. 薬の説明の満足度は30%で, もう少し詳細に説明してほしいと答えた人は41%いた. このうち, 薬の効果, 服用方法, 薬の副作用についての希望が多かつた. だれから薬の説明を聞きたいかの質問にはほとんどが医師からと答えた.
  • 12. 除細動器の使い方
    永井 一成, 榎本 尚美
    1989 年 43 巻 12 号 p. 1360-1363
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1989 年 43 巻 12 号 p. 1364
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
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  • 1989 年 43 巻 12 号 p. 1364a-1366
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/10/19
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