56才, 男性, 20才台より1日5合以上の酒客, 7年前急性肝炎, 61年糖尿病と診断され経口糖尿剤を投与, 外来加療するも, 神経炎の合併症が著明となる. 1年後, IRIの低値よりインスリン自己注射に変更した.
62年2月, 全身浮腫, 腹水で入院, 左背部の激痛が持続した. 4月に黄疽, 白色便, 胆道系酵素の上昇をみとめ, MOFの状態で, 24日, 吐血・下血で死亡した.
剖検では, 膵体部・尾部は癌におきかえられ, 頭部に浸潤して閉塞性黄疽を呈していた. 腹水は門脈内に腫瘍塞栓があり, そのためであつた.
中年以後発症した糖尿病は, CA19-9, DUPAN2などtumor makerの検索, エコー, CTの検査など, 膵癌の検索が必要である.
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