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遠藤 昌孝, 高野 誠, 田中 千彦, 橋本 隆, 松森 邦昭
1989 年 43 巻 10 号 p.
1010-1013
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
頭部外傷を伴う多発外傷で, 全身麻酔下に頭部以外の手術がなされる場合, 術中の頭蓋内の変化を正確にとらえられない場合がある. またこれらの症例ではシヨツクを合併することが多く, この際頭蓋内圧亢進の程度が軽度であつても, 著しい脳灌流圧低下を来す可能性がある.
頭部外傷を伴う多発外傷例で, 頭部以外の手術を行う際に頭蓋内圧(ICP)と脳灌流圧(CPP)とを連続的に測定をした15例についてその有用性について検討した. 手術中に35mmHg以上の著明な頭蓋内圧亢進を4例に認めた. シヨツクを呈した7例のうちで脳灌流圧が30mmHg以下の低灌流状態を4例に認めた. これらの症例を来院時の意識状態やCT所見で予想することは不可能であつた. このためICPやCPPを測定せずに手術を行うことは危険であり, 特にシヨツクを合併し, CTで所見のある症例には絶対適応と考えられた.
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秋田 博孝, 瀧沢 紹一, 児玉 秀敏, 久保 摂二, 原田 萬雄
1989 年 43 巻 10 号 p.
1014-1018
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
国立らい療養所邑久光明園において在園者501名(男301, 女200)に精神医学的調査を行い以下の結果を得た.
対象者の平均年令は66.4±9.3才(男66.0±9.2, 女67.0±9.5)である.
対象者の約9割にらい以外の身体合併症があり, 一般老人よりも多く, 眼疾患, 胃腸疾患, 神経痛などが主なものである. ADLは約8割が正常で, 老化性精神疾患をもつ老人に比べて良好である.
対象者のうち軽度以上の痴呆の認められる者は老人ホーム入所者に比べて少ないが, 在宅老人より高頻度である. また痴呆以外の精神症状としては心気症, 不眠, 抑うつなどが約2割の者にみられるが, この原因については今後の社会心理的調査が必要であるとおもわれる.
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―ビタミンD療法におけるカルシウム剤併用について―
横井 秋夫, 細川 昌俊, 加藤 哲也, 福井 康之, 山下 方也
1989 年 43 巻 10 号 p.
1019-1024
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
閉経後または老人性骨粗鬆症の病態はまだ不明確な部分が多いが, われわれは血清Al-p値の低値群(L群, 8.4KAU以下)と高値群(H群, 8.5KAU以上)とを区別する必要があると考えている. 治療法は最近では活性型ビタミンD(α-D
3)投与が一般的であるが, L群とH群とでは治療に対する反応も異なると予想された. そこで骨粗鬆症75症例(対称群10, α-D
3単独投与42, α-D
3とCa剤併用23)について, 血清Al-p値, Ca値およびMD法による観察を12カ月間行つた.
MD法各指標のうちMCI以外の指標では, 治療群が対称群に比して有意に高値でありα-D
3治療の有用性が示された. また治療群の血清Al-p値は有意に低下するが, Ca値は有意な変動を認めなかつた. 治療法別にみると, L群に対してはα-D
3 1μg/dayと乳酸Ca 3~6g/day併用療法が有効であつた. 一方H群に対してはCa剤投与による高Ca血症の発現が懸念されるため, α-D
3単独投与の方が有用性があると考えられた.
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依田 しづ子, 和田 佳子, 荒木 英爾
1989 年 43 巻 10 号 p.
1025-1028
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
アシルポリアミン加水分解酵素, プトレツシンオキシダーゼなどを用いる尿ポリアミン測定法について, その特性である定量性の範囲, 精度などについて検討した. 本法により24時間の蓄尿と一時尿(クレアチニン補正)のポリアミンを測定し, 同義の成績を得た. 尿保存の条件は-20℃が最も安定で, トルエン添加の条件下でも長期保存の試料は不適当であることが示された.
健常成人59名の尿ポリアミン値は24.98±9.22μmol/gcreatinineであつた.
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染野 敬, 大矢 晃, 高橋 徳男, 網野 洋一郎, 柴崎 信吾
1989 年 43 巻 10 号 p.
1029-1032
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
1984年1月から1987年12月までの4年間に, 国立水戸病院泌尿器科に入院した患者1, 252名のうち56例の腎性血尿患者を対象として, 検査異常所見とその治療効果を検討した. 検査異常所見は, 腎杯微小石灰化2例, 腎内嚢胞2例, 両者合併1例であり, 微小動脈瘤2例, 微小動脈瘤と病理組織異常合併1例, 静脈うつ滞像と病理組織異常2例, 病理組織異常のみ35例であつた. これらの56例に対する主な治療法の種類は, 全身療法として, 一般止血剤のみ18件, 酵素不活性剤でメシル酸ガベキサート(FOY)16件, アプロチニン(トラジロール)7件, ステロイド剤29件であつた. また局所療法は, 硝酸銀液腎孟内注入2件, 手術療法は, 左腎静脈周囲剥離術1件であつた. 治療効果判定は, 尿所見の変化でみると, 正常化40件, 改善22件, 不変11件であり, 2件は副作用で薬剤使用を中止した.
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中村 博, 澤辺 宏, 島津 直也
1989 年 43 巻 10 号 p.
1033-1037
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
国立相模原病院の糖尿病患者(外来, 入院)253例を分析した. 性別にやや女性が多く50才, 60才台に分布が高く, 糖尿病歴年数は10年以内が約77%を占める.
虚血性心不全は女性に合併が多い. 高血圧の合併には性差がないが, 高脂血症は女性に合併が多かつた.
女性に虚血性心不全の合併が多いのは, 高脂血症が女性に合併を多くみとめることに関係があると類推する.
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岡 孝和, 松浦 達雄
1989 年 43 巻 10 号 p.
1038-1040
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
咽喉頭異常感症に対し, 半夏厚朴湯を始めとする漢方薬が有効であるという報告が散見されるようになつてきた. しかしながら, 従来の報告のほとんどは漢方独自の証に基づいた治療成績とはいい難い. そこで今回, 我々は, 咽喉頭異常感症患者にみられる証, 及び証を考慮した場合の治療効果を検討した.
腹証では, 胸脇苦満(47%), 心下病硬(33%), 臍傍圧痛(20%)が高頻度にみられ, 気血弁証では, 咽喉頭異常感(気滞)に加え, 〓血の合併(20%)が高かつた. これらの結果に基づいて漢方薬を処方したところ, 従来の半夏厚朴湯単独投与より高い有効性(やや有効以上87%)が得られ, 証に基づいた治療が必要であることが示された.
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高浪 巌, 大西 英胤, 宇都宮 利善, 篠原 央, 別所 隆, 近藤 喬
1989 年 43 巻 10 号 p.
1041-1044
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
国立大蔵病院外科において370例の乳癌に乳房手術を行つたが, 乳房切断時ならびにその後71例に転移を認めた. 初発転移部は軟部組織, 骨, 肺, 胸膜, 肝, 脳の順であつた. 肺転移は18%, 胸膜転移は13%であつた. 肺・胸膜転移様式の頻度を初発・続発併わせて比べると胸水型>結節型>播種型>リンパ管型の順であつた. 初発肺・胸膜転移の予後は続発性のものよりやや良好であつた. 肺に限局した結節型肺転移は5例あり, その3例に手術を行つたが予後は不良であつた. 乳癌肺転移例のうち長期生存可能な手術適応例は乳癌全体からみると極めてまれな症例とおもわれた.
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田中 昭吉, 古川 哲也, 石本 三洋
1989 年 43 巻 10 号 p.
1045-1048
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
糖尿病は一般に膵内分泌機能の異常をきたす疾患である. インスリンやグルカゴンなどのホルモン分泌を調節し, 血糖を一定に保つ機構における中枢モノアミンの役割について薬理学的に検討し以下の結果を得た. ラツトの血糖は約65mg/dlで, インスリン値は45μU/mlであつた. ストレプトゾトシン処置により血糖値は1.6倍に上昇し, インスリン値は約30%低下した. カテコールアミンの投与は血糖値を上昇させた. セロトニンの投与は血糖値を低下させた. 脳内ノルアドレナリン含量を低下させる処置により血糖値は有意に低下した. また脳内セロトニン含量を増加させる処置により血糖値は低下し, 低下させる処置により上昇した. 以上, 血糖調節作用においてノルアドレナリン作動神経は血糖を上げる方向に働き, セロトニン作動神経は血糖を下げる方向に働く可能性を示唆した.
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田中 昭吉, 古川 哲也, 石本 三洋
1989 年 43 巻 10 号 p.
1049-1053
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
私たちは各種実験潰瘍における消化器系薬剤の胃粘膜防御効果と薬剤吸収について研究を重ねてきた. 今回, 胃潰瘍患者がテオフイリンを服用した際の薬物動態を明らかにする目的でラツトを用い水浸拘束ストレス負荷時のテオフイリン吸収について薬理学的に検討し以下の結果を得た. アミノフイリン15mg/kgを経口投与後テオフイリン吸収は, 投与後5時間付近で最高血中濃度に達し, 以後経時的に減少した. 水浸拘束ストレス負荷後のテオフイリン吸収は対照群の約95%促進された. この促進効果は重曹の前処置により用量依存性に抑制された. アミノフイリンの直腸投与は約32%の吸収促進効果を示した. メトクロプラミドやピコサルフエイトなどの前処置により腸の運動性を高めるとテオフイリン吸収は促進した.
以上, 水浸拘束ストレス負荷時にテオフイリン吸収が促進されることを示し, この効果の機序に胃腸運動の亢進が一部ふくまれる可能性を示唆した.
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―血糖自己測定の患者指導―
田中 昭吉, 小澤 秀弘, 田中 俊博, 竹本 親生, 谷川 清澄, 古川 哲也, 森石 貴子, 古居 順, 石本 三洋
1989 年 43 巻 10 号 p.
1054-1057
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
血糖のコントロールは糖尿病性合併症を防止するうえからも大切なことの一つである. 本研究では患者が血糖自己測定する際に必要な基本知識を習得させるためにいくつかの因子について検討した. 測定器に表示された補正番号と試験紙の番号の一致, 測定時の室内温度, 試験紙部分への水分, あるいはアルコールの混入の測定値への影響, 試験紙部分への血液の塗布の仕方とそのふきとり方, などについて調べ, いずれの場合も血糖値は大きく変化することを示した. すなわち, 補正番号の一致, 十分量の血液の塗布, 水分, あるいはアルコールの混入を避けること, 測定時の室内温度は25±5℃以内に保つことが正しい値を出すのに必要であることが判明した.
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川原 禮子, 伊藤 文也, 佐々木 賀広, 工藤 優, 梅村 芳文, 福原 泰樹, 土田 博, 松本 一仁
1989 年 43 巻 10 号 p.
1058-1061
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
まれな疾患であるとされている膵嚢胞腺癌の1剖検例を経験した, 症例は84才男性で, 食欲不振及び腹水にて入院, 約2週間後に呼吸不全にて死亡した. 腹水細胞診ではClass Vを示し腺癌と判定され, 腹部CT所見では膵に辺縁不整で多数の嚢胞を含む腫瘍性病変が認められ, 嚢胞腺癌が疑われた. 各種腫瘍マーカーの検索では, CA19-9, NCC-ST-439, SLXが著しく高値を示し, CEA, CA125, Du-Pan-2も上昇がみられた. 剖検所見では膵は, 体尾部を中心に多数の嚢胞と結節性病変から成る腫瘍で占められ, 転移は肝, 両肺, 腹膜ならびに多数のリンパ節に及んでいた. 組織学的に膵腫瘍の嚢胞内面は, 異型性を示す立方上皮細胞と淡明な胞体を有する一層の高円柱上皮細胞で覆われ, しばしば内腔に乳頭状増生を伴つていた. また腫瘍細胞は周囲に浸潤性に増殖し, 膵間質は線維増加を伴つていた. これらの腫瘍細胞の胞体には粘液産生所見が認められた粘液性嚢胞腺癌と診断された.
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勝見 哲郎, 村山 和夫
1989 年 43 巻 10 号 p.
1062-1065
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
膀胱移行上皮癌9例にBCG膀胱内注入療法を施行した. 患者は男性7例, 女性2例の9例で, 年令は52~82才(平均70才)で, 腫瘍はすべて多発性でBCG注入以前に膀胱生検を施行し, 移行上皮癌であることを確認した. BCG東京172株80mg(日本ビーシージー製造株式会社より提供を受けた)を生食水40mlに溶解し, 週3回, 9回注入した. 9例中6例で腫瘍の完全消失(1例は内視鏡, 尿細胞診のみで確認), 1例で50%以上の腫瘍縮小をみ, 腫瘍消失率は78%であつた. 腫瘍の完全消失をみた6例中1例は6カ月後に再発し, BCGをさらに6回追加注入後24カ月再発を認めていない. 2例は投与10カ月, 15カ月後に呼吸不全, 膀胱壁外腫瘍再発で死亡したが, 他の3例は6~13カ月腫瘍の再発を認めていない. また腫瘍の縮小をみた1例はBCGの追加注入後35カ月後も再発はみられない. 無効であつた2例はT3の浸潤癌で後日膀胱全摘除を施行した. PPD皮内反応と腫瘍消失症例との間に関連は見いだしえなかつた.
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河原 俊司, 本田 実, 小須田 茂, 田村 宏平, 三谷 比呂志, 斉藤 賢一, 仲村 洋, 黒田 重臣, 近藤 喬
1989 年 43 巻 10 号 p.
1066-1072
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
膵癌が周囲臓器に浸潤することはよく知られているが, 尿路系へ浸潤することには関心がもたれていない. 尿路系への浸潤は膵癌の後期に起こるが, 尿路系疾患の所見を呈し, 尿路系疾患と区別できないことがある.
組織学的に確定診断がつけられた膵癌50症例のX線写真および記録をみなおした. 10症例に尿路系浸潤が存在した. 尿路系浸潤は左:右:両側=7:2:1と左に多い傾向がみられた. これらはすべて膵体尾部から発生したものであり, ステージはIVであつた. IVP, CTと剖検時の肉眼所見とを比較してみた. IVPでは浸潤を受けた側の腎臓の下方偏位がみられた. 尿管の圧排による腎盂の変形や水腎症も認められた. CTでは膵臓から発生した腫瘍が腎臓を圧排し, 後腹膜, 尿管は浸潤しているのがみられた. 膀胱への転移巣も認められた. 放射線科医と泌尿器科医は尿路疾患の鑑別を考えるときに, 周囲臓器および膵臓の疾患からの影響を考慮すべきである.
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岡島 幸代, 山田 武敏
1989 年 43 巻 10 号 p.
1073-1075
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
中部病院重心病棟10年間129例のうち, 12例に染色体異常がみられた. 入院中の症例で, 必要と思われる症例に高精度分染法を施行し3例の診断が改められた. そのうちの1例は3q+がlqdistal trisomyと判明, 第2例は2q―とされていたものが2q distal trisomyと判明. short umbilical cord, hypoplasia of processus alveolaris, oligodontia, などがみられた. 第3例は正常とされていたものが18q+で, 由来は不明であるがinsertionであつた.
今後高精度分染法による症例が蓄積されるに従い, このような診断の訂正がされることもあるとおもわれる. 場合によつては, 一定の症候群となつているものの一部改訂がされるかもしれない.
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西崎 良知, 滝沢 道弘, 福間 朝子, 正岡 佳子, 時岡 正明, 西崎 進, 三河内 弘, 村上 元正
1989 年 43 巻 10 号 p.
1076-1080
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
従来心アミロイドージスは比較的まれな疾患とされてきたが, 近年各種検査法の発達により現在では生前に診断されることが多くなつた. 我々は過去10年間に7例の心アミロイドージスを経験したので報告するとともに, その中の興味ある1例について詳述した. 年令は平均58.4才, 男女比は6:1, 罹病期間は10.6カ月, 7例中6例で生前診断が可能であつた. 臨床症状では心不全症状および不整脈による症状が主であつた. 心電図では7例中6例に不整脈が認められ4例は伝導障害であつた. 超音波所見では, 心室中隔, 左室後壁のびまん性肥厚, 左房径の拡大などがみられ, 心筋壁に全例granular sparklingをみとめた. 死因は心不全によるものが多く, 1例は急死であつた. その中より自律神経系の症状を主とし, 心アミロイドージスの症状発症前より経過を観察しえた1例について報告した.
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阿部 啓一, 青木 晃, 藤森 清
1989 年 43 巻 10 号 p.
1081-1084
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
26才, 男, 転落事故で両前頭頭頂骨矢状縫合を含む開放性複雑陥没骨折, 脳内血腫と右大腿骨骨折例で, 脳血管像上, 外傷性脳動脈瘤を疑われたが, 陥没骨折整復と共に根治術を行つたところ, 前頭葉表在中大脳動脈が断裂し, その中枢側断端が反転して中枢側に癒着し, あたかも動脈瘤様の興味ある変型を呈し, より末梢の動脈枝は発見されず, 術後理学療法を施行し, 独歩退院した. その後は脳波異常, 痙攣発作につき薬物治療を継続し, 原職に復帰した. 外傷性脳動脈瘤につき検討し, 本例は外傷性脳表在脳動脈瘤としては疑問のある一変型例として報告した.
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―131I-IMP SPECTによる検討―
続木 陽子, 佐藤 勉, 永山 正雄
1989 年 43 巻 10 号 p.
1085-1090
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
優位側視床梗塞による健忘症候群の1例につき,
131I-IMP SPECTにより検討を加えた. 症例は73才女, 右利き. 傾眠と一過性の右上肢不全麻痺で発症した. 数日で意識清明化した後にも健忘症状が持続し, 14~16日後の神経心理学的検査で言語性短期記憶, 計算, 抽象的思考の障害を認めた. CTスキヤンにて左視床前核群, 背内側核, 前腹側核にわたる梗塞巣がみられた. SPECT所見では, 発症後18日目に左視床の他に左前頭葉と側頭葉に広汎な脳血流低下が示唆され, 発症後41日目には左前頭葉下部にのみ異常が残つた. 視床前・内側部の限局性病変が大脳皮質機能に影響し, これが症状の発現と関係した可能性が考えられた.
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河原 俊司, 本田 実, 小須田 茂, 石橋 章彦, 田村 宏平, 篠原 央, 飯尾 宏, 向井 美和子
1989 年 43 巻 10 号 p.
1091-1094
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
核医学検査, および剖検により確認された, きわめてまれな非ホジキンリンパ腫心臓転移例を報告した. 上大静脈症候群を呈し, 非ホジキンリンパ腫の右房転移が疑われた57才の男性に心RIアンギオグラフイーを施行した. 心RIアンギオグラフイーでは右房内に欠損像を認め,
67Ga,
201Tlシンチグラムにて右房内腫瘍と考えられる欠損像に一致して異常集積を認めた. この結果は核医学検査が心臓転移を検出するのに有用であることを示すものと思われる. また, 心臓への放射線照射により一般症状は改善した. 核医学検査が診断上, 放射線照射が治療上有用であつたと思われた.
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住田 洋一, 滝野 善夫, 島田 宗明, 林 弘毅
1989 年 43 巻 10 号 p.
1095-1097
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
類天庖瘡と胃癌を合併する71才の男性の胃切除に際し, 気管内挿管による吸入麻酔を行つた. 発疹が気道の不可視粘膜にも及んでいる危険を考え, 麻酔中, 気管内チユーブのカフによる粘膜の損傷を避iけるために細心の注意を払つた. 類天庖瘡を有する場合の気管内麻酔には気管粘膜保護のために低圧カフ付き気管内チユーブを選ぶ, 当該チユーブのカフ内圧をモニターし, カフ内圧の上昇を防ぐなど, 通常の麻酔の麻酔にはそれほど, 重要視されない配慮が特に必要と考える.
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10. 挿管困難症の対策
永井 一成, 榎本 尚美
1989 年 43 巻 10 号 p.
1098-1099
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー
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1989 年 43 巻 10 号 p.
1104
発行日: 1989/10/20
公開日: 2011/10/19
ジャーナル
フリー