医療
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44 巻, 8 号
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  • 伊東 政敏, 矢加部 茂, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 8 号 p. 763-769
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    心臓弁膜症の病因の変遷及び外科療法の役割とその発展について概説した. 病因ではリウマチ性が30年前の5分の1に減少し, 非リウマチ性が増加し病因は多様化した. 弁膜症の外科治療は近年カルディオプレディアによる心筋保護の導入や新しい人工弁の開発などにより手術成績は改善をみている. 代表的施設の現在の手術死亡率はOMC 0~1%, MAP 2%, MVR 2~7%, AVR 5%以下, AVR+MVR 4~10%, 三弁置換14%である. 遠隔成績ではOMCの8年生存率88%, MAP, MVR, AVR, 二弁置換の5年生存率はそれぞれ76%, 72%, 85%, 70%と良好である. 代用弁別では機械弁は耐久性にすぐれ生体弁は血栓塞栓が少ない. 弁荒廃以前での早期発見・保存的治療体系の整備と合併症のない理想的代用弁の開発が望まれる.
  • 鈴木 夏生, 堀澤 増雅, 北村 司, 嶋地 崇, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 8 号 p. 770-774
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1985年10月より1989年9月までの4年間に, 膵頭十二指腸切除(PD)28例, 膵全摘(TP)4例を経験し, 門脈カテーテルバイパス下で門脈合併切除をそれぞれ10例(35.7%)及び1例(25.0%)に併施した. 門脈合併PDのうち9例は膵頭部癌で, 1例は膵炎であり, 門脈合併TPの1例は粘液産生膵癌で, 年令は50才から73才, 平均60.9才, 男6例, 女5例であつた. 平均門脈バイパス時間は2時間34分で, 門脈の全周切除が9例, 側壁切除(部分切除)が2例であつた. 再建法は1例がPD-Iであつた以外すべてPD-III(今永法)あるいはTP一IIIであつた. 門脈合併切除例では非合併切除例と比べて手術時間は長く, 出血量は多くなる傾向がみとめられた. PDの1例を残胃壊死のため術後4日目に失つたが, 他に術死, 入院死はみとめなかつた. 術後平均生存期間は11.0ヵ月で, 最長は25カ月であつた.
  • 高橋 慎一郎, 園部 真, 甲州 啓二, 杉田 京一, 藤井 康伸, 林 央周, 野村 耕章
    1990 年 44 巻 8 号 p. 775-778
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    当科にて経験した破裂脳動脈瘤患者476例を年令別に分け, その治療成績の差を比較検討した. 70才以上をAグループ(52例), 65~69才以上をBグループ(40例), 64才以下をCグループ(384例)と分類した. 手術成績は, good resultがA39.3%, B72%, C78%であり, 手術死亡率はA25%, B12%, C11.6%, とAはBCに比較して有意にその治療成績が悪かつた. 手術群におけるmedical complicationの頻度はA25%, B8%, C8.5%であり, またsymptomatic vasospasmの発生率には3群に差がなかつたが, spasmをきたしたAはすべてdead, poorに対しB, Cはその1/4がgood resultに回復した. overall resultではgoodはA25%, B45%, C62.8%であり, 死亡はA51.9%, B45%, C25.8%であつた. 以上の結果より破裂脳動脈瘤の外科治療の適応を決定する場合70才以上の高令者を1つのcriticalpointにおくことが適当とおもわれた.
  • 里村 淳, 石田 重信, 八木 和一, 清野 昌一, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 8 号 p. 779-785
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    疑似てんかん発作(以下「疑似発作」)は, ある時期に入院した成人患者100名中15名にみられ, そのうち11名では真のてんかん発作に合併してみられ, 残りの4名では真のてんかん発作はみられなかつた. 疑似発作症状はけいれん性5名, 非けいれん性6名であり, 各例のてんかん発作と疑似発作を比較すると7名(64%)で疑似性がみられた. 疑似発作の発現時期は心因の明確な3例を除き不明で, てんかん発作として治療され, かつ発作頻度はてんかん発作より多かつた. 疑似発作の発作時脳波には全く変化がみられなかつた. 心因の不明な8例では, 過保護で自己中心的な性格傾向がみられた. 臨床上疑似発作は固有のてんかん発作をもつ症例に出現したときにのみ使用するべきものと考える.
  • 新井 正明, 遠藤 敬一, 平井 利和, 東 正明, 金沢 稔, 川野 賢一, 三瓶 善康
    1990 年 44 巻 8 号 p. 786-789
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1984年1月から1988年6月までに当院で施行された甲状腺手術症例は296例で, このうち甲状腺癌が57例(19.3%)を占めた.
    当院における甲状腺結節の手術適応は, 結節が癌を否定できない場合としており, 良性と考えられても, 直径2~3cm以上の比較的大きな結節や, 気管偏位を伴う結節, 縦隔内甲状腺腫, 機能性結節, シンチグラム上coldな結節, 石灰化を伴う結節は, 手術する方針で臨んでいる.
    術式は, 結節が良性と考えられても, 核出術は避け, 葉部分切除以上を選択している.
    甲状腺癌57例のうち, 最大径が1cm以下のいわゆる微小癌が14例(24.6%)存在した. これは当院の症例に集団検診による早期例の占める割合が高いことによると考える.
  • 赤木 謙三, 岡村 泰彦, 高塚 雄一, 河原 勉, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 8 号 p. 790-793
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    乳癌術後・胸壁放射線潰瘍及び局所進行乳癌手術時の広範な皮膚欠損部に対して, 有茎大網移植後にmesh skin graftによる再建を行い, 良好な結果を得たので報告する. 胸壁放射線潰瘍1例, 原発進行乳癌6例を対象とした. 放射線潰瘍症例は骨壊死による難治性の瘻孔及び広範な放射線皮膚炎を, 乳癌症例6例中3例は腫瘍の自壊による感染を伴つていた. 開腹に伴う合併症はなく, 全例術後上肢の浮腫や運動障害は軽度で, 感染もなくquality of lifeの改善が得られた.
    以上のように大網移植は, 特に感染合併症例や広範な皮膚切除後の植皮の母床として最適と考えられた.
  • 久保 進, 力竹 輝彦, 増山 泰治, 下田 照文, 福嶋 弘道, 藤田 紀代, 中富 昌夫
    1990 年 44 巻 8 号 p. 794-799
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    慢性呼吸不全を含む慢性肺疾患患者について, 肺血行動態と血液ガス所見(77例)および12分間歩行試験前後の血液ガスとα-hANP濃度の変化(55例, 80回)を検討した. 肺結核後遺症では肺動脈圧高値, 心係数低値, 慢性気管支炎では肺動脈圧高値, 心係数も高値であり, 慢性肺気腫や肺線維症では肺動脈圧の上昇は軽度であつた. 低酸素血症の機序として肺結核後遺症では肺胞低換気が, その他の群では換気血流比不均等が主因とおもわれた. 12分間歩行試験では, 歩行距離は634±133mで, Pao2は歩行後約16 torr低下し, その低下度は心係数および肺拡散能が低いほど高度であつた. 歩行後のα-hANP濃度は, 歩行前に比較して有意に上昇し, その増加度は歩行後の低酸素血症が著しいほど大であつた.
  • 田中 勤, 朴 英進, 隈部 俊次, 塩野 則次, 李 美根雅, 松崎 秀男, 鵜養 恭介, 阿部 容久
    1990 年 44 巻 8 号 p. 800-805
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    201T1心筋SPECTの運動負荷にTETを用いた24例(以下「TET群」)と, ergometerを用いた24例(以下「Ergo群」)を同時期に行つた冠動脈造影所見を対照として比較検討した. 負荷は, TETはSHEFFIELD法, ergometerは25 watts 3分毎多段階漸増法で行い, SPECT虚血部位評価は視覚判定とwash out rate (以下「WOR」)を用い, 視覚判定はshort axis, sagital, horizontalの3方向を用いLAD, LCx, RCAにて評価した. WORはshort axis (apex, middle, basal)正常下限より低い部位を陽性とし, それぞれLAD, LCx, RCAにて評価した.
    以上の結果を同時期に行なつた冠動脈造影所見を対照としてsensitivityとspecificityを算出した. TET群SPECT視覚判定におけるsensitivityは77.8%, specificityは95.8%, WORでは各々78.2%, 85.7%. Ergo群SPECT視覚判定では各々77.2%, 88.9%, WORは各々62.5%, 92.1%であり, 両群間で視覚判定は大差なかつたがWORではsensitivityはTET群が高くspecificityはTET群が低かつた.
  • 草野 敏臣, 古川 正人, 中田 俊則, 林 〓欽, 田代 和則, 渡部 誠一郎, 藤尾 俊之, 梯 昭彦, 高山 隼人
    1990 年 44 巻 8 号 p. 806-809
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    内視鏡による経皮経肝截石法(PTCSL)は, 基礎疾患による手術不能例や肝内結石症などの多次手術例に適応がある.
    そこで電気水圧衝撃波(EHL)を用いたPTCSLの臨床成績を報告するとともにLASER, 超音波を用いた方法と比較検討した.
    対象は, 昭和61年3月から施行したPTCSL 26例(総胆管結石症18例, 肝内結石症8例)である. 砕石法別では, 電気水圧衝撃波20例YAG-LASER 5例, 超音波1例であつた.
    PTCSLの合併症は, 胆管出血2例, 潅流生食誤嚥による肺炎1例, PTCS-tubeの脱落による限局性腹膜炎3例であつた.
    EHD, は, YAG-LASERや超音波による截石と比較すると, 結石の破壊力, 可動性, 廉価などで優れ, 内視鏡的截石においては, 総合的にEHLが有利な点が多いとおもわれた.
  • 井出 哲, 沢辺 宏, 長谷川 眞紀, 山田 昭夫, 中村 博, 吉沢 久嘉, 三上 理一郎, 浅尾 武士
    1990 年 44 巻 8 号 p. 810-813
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肺動脈にのみ著明な閉塞性動脈内膜炎の所見を認めた悪性関節リウマチの1剖検例を経験した. 症例は42才女性で, 主訴は呼吸困難, 体重減少であつた. 昭和54年に多発性関節炎を発症し, RAと診断されて, 55年当院を初診した. 初診時すでにRAはstage IVで胸部X線写真にて両上肺野に線状粒状影を認めた. 消炎鎮痛剤, D-ペニシラミンにて治療し関節症状はほぼ固定していたが, 胸部変化は徐々に進行して, 62年6月入院した. 入院後一時状態改善をみたが, 呼吸不全が徐々に進行し, 同年10月死亡した. 剖検では, 両側胸膜の線維性癒着, 胸膜下嚢胞, 器質化肺炎と肺動脈の小及び細動脈支に閉塞性動脈内膜炎を認め, 肺内にnoduleも認めた. 肺以外の臓器にはほとんど動脈炎は認められなかつた.
  • 八木 伸治, 尾山 光一, 青木 浩一郎, 四位例 靖, 能登 裕, 木田 寛, 杉岡 五郎
    1990 年 44 巻 8 号 p. 814-817
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の心血管反射機能障害における迷走神経と交感神経の障害様式を検討した. 迷走神経の指標として圧反射, 深呼吸による心拍数の変動を, 交感神経の指標としてtiltによる血圧と心拍数の変化を用いた. 糖尿病17例中, 7例は正常, 5例は迷走神経のみ異常, 5例は迷走神経と交感神経が異常で, 交感神経のみの異常はみられなかつた. 交感神経異常例では, 血圧低下・心拍数過剰反応型2例, 血圧中等度低下・心拍数低反応型2例, 血圧高度低下・心拍数正常型1例がみられた. 以上より, 糖尿病性自律神経障害では, 迷走神経が交感神経に比し早期に障害され, 交感神経の異常は, 障害の程度により種種の病態を示すと考えられた.
  • 小川 克仁, 山岡 透, 田本 慎一, 伊藤 雅史, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 8 号 p. 818-821
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は25才, 男性. 糖尿病の既往はない. 家族・縁者に5名の糖尿病家族歴をもつ. 左足第一趾に外傷を負い, そののち糖尿病発症, 創部の壊疽化をみとめたため入院となつた. 入院時顕在性の糖尿病合併症はみとめず. 食事療法下, インスリン治療により血糖コントロールを行うとともに, 局所への消毒, 抗生剤, インスリン処置および抗生剤, PG製剤の全身投与による壊疽創の治療を行つた. 血糖コントロールは良好で約1カ月で耐糖能の改善とともにインスリン治療を中止とし, 壊疽創も約1.5カ月で治癒に至り, 以後両疾患とも再発はみとめられていない.
    以上本例は, 糖尿病既往がなく, 外傷をきつかけとして糖尿病が発症し, 合併症をみとめない状態で創の壊疽化へと進展し, 治療により両疾患とも良好にコントロールされ再発をみとめていないという点で報告に価する症例と思われる.
  • 西崎 良知, 小栗栖 千雅, 三河内 弘, 西崎 進, 時岡 正明, 正岡 佳子, 飛岡 徹, 村上 元正
    1990 年 44 巻 8 号 p. 822-826
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は今回, 胸部痛とともに心電図変化を認め虚血性心疾患として入院した患者が高血圧と腹部に腫瘤があることより褐色細胞腫を疑い検査をおこなつたところ, 血液, 尿検査においてノルアドレナリンの著明な増加を認めたことより副腎外腫瘍の可能性を考え, 超音波, CT, 131I-MIBGシンチグラムなどの検査を行い診断を確定した1例を報告するとともに, 褐色細胞腫についての心電図変化, 診断手段としての超音波検査法, CT検査法, 131I-MIBGによるシンチグラムの意義についても文献的考察を加えた.
  • 則井 崇, 深井 待子, 瀬崎 達雄, 長田 高寿, 武本 和義, 小田 三明, 村上 元正
    1990 年 44 巻 8 号 p. 827-830
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は43才の男性, 3カ月前より腰背部痛があり骨髄腫を疑われて転院してきた. 検査はHb9.3g/dl, 骨髄で形質細胞52.5%(immature type), CRE1.0mg/dl, Ca 9.4mg/dl, M-蛋白28.8%(2.38g/dl), IgD(λ)型, IgD 3600mg/dl, B-J蛋白(λ), X線像は頭蓋骨にpunched-out lesion (+), 骨シンチグラムは頭蓋骨, 胸骨, 腰椎, 肋骨にhot spot (+), IgD(λ)型骨髄腫type Cと診断された. 天然型interferon-α製剤(HLBI)で治療開始, その直後より筋肉痛, 腰痛が増悪, 急性腎不全発症, 血液透析を実施, 離脱した. 形質細胞の減少, M蛋白の消失, IgDは激減, 自覚症状の改善をみた. IgD(λ)型骨髄腫にHLBIが著効を示した症例を経験した. しかしHLBIの副作用とおもわれる高尿酸血症による急性腎不全を来した. 今後その投与方法と治療効果, 特に未治療例のIgD型骨髄腫について検討する上で貴重な症例と考え報告した.
  • 福田 充宏, 赤木 功人, 堀部 邦夫, 久村 英嗣, 岸口 稔睦, 松下 公一, 小松原 誠, 倉田 明彦
    1990 年 44 巻 8 号 p. 831-834
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    基礎疾患として悪性腫瘍を有し, 臨床的にDICと診断され, 同時にSDHを合併した4例を経験した. 症例1は37才女性. 胃全摘(スキルス)1年後, 急速に意識障害をきたし, 亜急性SDHを認め, 3日後死亡. 症例2は45才男性. 腰痛にて通院中, 突然の意識障害をきたし, 大脳半球裂間に急性SDHを認め, 翌日死亡. 症例3は54才女性. 皮下出血斑にて入院中, 進行性の意識障害をきたし, 慢性SDHを認め, 血腫除去するも5日後死亡. 症例4は77才男性. 真性多血症で入院中, 見当識障害が進行し, 慢性SDHを認め, 血腫除去するも全経過24日で死亡. 以上全例, 経過が急速で予後が悪かつた. また3例は組織学的にadenocarcinomaであり, 2例に硬膜転移を確認した. 文献的に胃癌で硬膜転移していることが, DICを合併したSDHの発症に重要であり, その発生機序として, 腫瘍細胞の硬膜転移を引き金としたlocal DICの概念が示唆された.
  • 宮田 伊知郎, 正岡 哲也, 西浦 司, 原田 泰弘, 石光 宏, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 8 号 p. 835-840
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    外傷性小脳内血腫は比較的まれであるが, CTの普及とともに報告がふえてきている. 我々は1984年から1989年までに7例の外傷性小脳内血腫を経験した. 受傷機転は, 交通事故3例, 転落4例であり, 受傷部位は, いずれも後頭部であつた. 入院時の意識状態が, Glasgow coma scale (GCS)で3~10であつた4例は, 小脳内血腫や合併脳損傷により死亡した. GCSが15であつた2例は, 保存的治療を行い, GCSが12であつた1例は, 外科的治療を行つた. これら3例はいずれも良好な経過をたどつた. 外傷性小脳内血腫は, しばしば天膜上病変や脳幹部損傷を伴い, このような場合はきわめて予後不良と考えられた. 一方合併損傷が軽微で血腫が小さい場合は, 保存的治療で充分と考えられた. また意識清明期があり, その後症状を呈してくる遅発型は, できるだけ早く充分な減圧手術が必要と考えられた.
  • 深田 義夫, 津田 洋, 増田 裕, 乾 浩三, 先山 正二, 佐尾山 信夫, 吉田 冲
    1990 年 44 巻 8 号 p. 841-845
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    De Bakey III b型慢性解離性胸部下行大動脈瘤手術の補助手段として遠心ポンプによる一時的バイパス法を用い有用であつたので報告する. 症例は61才, 男, 胸部下行大動脈起始部にentry, 腎動脈分岐部にre-entryのある最大横径55mmの解離性大動脈瘤で, II度の大動脈弁閉鎖不全を合併. 左心房脱血, 遠心ポンプにて左総大腿動脈送血. 回路は途中にシート型貯血槽を付けた塩化ビニールチユーブを用いた. entryを含め下行大動脈を切断し, 断端を補強し, woven dacron, low porosity人工血管にて置換した. 大動脈遮断中は1.1~1.8l/分の血流量で, 平均上肢および下肢血圧はほぼ等しく, 尿量は良好で, 腎, 肝, 脊髄障害は発生しなかつた. 遠心ポンプは流量調節が容易で, 遮断末梢側の血流量が十分確保でき, 流量は末梢血管抵抗に反応して変化し, ヘパリン投与は少量でよく, 心後負荷軽減効果もある. 一時的バイパス法としては第一選択となる方法である.
  • 西岡 正, 倉山 英昭, 宇田川 淳子, 松村 千恵子, 安田 敏行, 新美 仁男
    1990 年 44 巻 8 号 p. 846-850
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1α hydroxyvitamin D3とともにカルシトニンを点鼻で100U/doseを隔日投与し(nCT), その骨吸収抑制効果を検討した. 対象は頻回再発, またはステロイドを中止できないネフローゼ症候群の症例5例とし, 対照として同様のネフローゼ症候群の児4例とした. 骨量はquantitative computed tomography法を用いて治療開始前と治療開始後8カ月の時点で測定した. またこの間の血中カルシウム, 燐などや尿中カルシウム, hydroxyproline排泄量についても検討した. 対照群では骨量が著明に減少したがnCT併用群では阻止できた. nCT投与群では血中カルシウム, 燐の変動, 副甲状腺機能の亢進をきたすことなしに尿中カルシウム, hydroxyprolineの排泄量も有意に減少した. 使用を継続できないような副作用は認められなかつた. 以上より点鼻カルシトンはステロイド性骨粗鬆症の治療に有効であつた.
  • 8. 急性肝炎―B, C, D, E型―
    安部 明郎, 矢加部 茂, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 8 号 p. 851-855
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 第135回関信地区国立病院療養所薬学集談会, 第55回愛知県下国立病院療養所神経内科症例検討会
    朔 元則, 矢加部 茂, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 8 号 p. 856
    発行日: 1990/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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