医療
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45 巻, 9 号
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  • 竹内 仁司, 小長 英二, 山下 博士, 岩藤 浩典, 仁科 拓也, 片岡 正文, 片岡 和彦, 荒田 敦
    1991 年 45 巻 9 号 p. 825-831
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)の有効性を検討するため, 過去5年2ヵ月間に施行したPTGBD症例51例, およびPTGBDを施行しなかった無石胆嚢炎37例ならびに悪性疾患による下部胆管閉塞に対する経皮経肝胆管ドレナージ(PTBD)症例15例を比較検討した. 減黄効果に関してPTGBDとPTBDとの間に全く有意差を認めなかったが, PTBGDでは2例に腫瘍の進展とともにPTBDの追加を必要とした. 無石胆嚢炎例では12例中7例がPTGBDのみで治癒したが, 1例に再燃を認めた. 胆汁細胞診により術前に胆嚢癌の診断が可能となったが, 胆汁中CEA, CA19-9値は血中サンプル以上の有用性はなかった. PTGBD 51症例中1例(2%)に胆嚢穿孔による胆汁性腹膜炎を起こしたが, その他の重篤な合併症はなかった. 以上より, PTGBDは全身状態の悪い胆道感染, 下部胆管閉塞性黄疸例に対して有効なだけでなく, 悪性腫瘍との鑑別診断にも有用と考えられた.
  • 第4報 アシクロビルを用いた帯状疱疹の治療
    山崎 雄一郎, 渡辺 匡子, 北川 佳代子, 福田 知雄
    1991 年 45 巻 9 号 p. 832-838
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    アシクロビルの点滴静注によって治療した75例の帯状疱疹患者について, 疱疹後神経痛の残り方に着目して検討した. 対象は, 昭和62年から平成元年に治療した, 高齢, 基礎疾患あり, 発疹が著しい, といった症例を選んだ. 疱疹後神経痛が残ったのは75例中10例(13.3%)であり, これはすでに報告したAra A治療例の14%とほとんど同じであった. 治療的要因として, 投与量や投与開治日についても検討したが, これらはあまり影響しないようである. むしろ背景的要因である年齢, 発疹の重症度, CF抗体価の上昇の程度などがPHNに関する予後の予測上意味があり, 特に高齢者でCF抗体価の上昇が著しい症例はPHNが残る可能性があると思われた. 本薬剤が原因と思われる検査データ上の異常についてはほとんど問題点はなく, 安全性は高いと考えられた.
  • 第5報 β-インターフェロンとアシクロビルの併用による帯状疱疹の治療
    山暗 雄一郎, 渡辺 匡子, 北川 佳代子, 福田 知雄
    1991 年 45 巻 9 号 p. 839-844
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和63年から平成元年にかけて, アシクロビルとβ-Interferonとの併用療法により, 7例の帯状疱疹入院患者を治療した結果について, 疱疹後神経痛に対する効果を中心に, アシクロビル単独で治療した11例の入院患者と比較しつつ, 検討を加えた.
    併用療法で治療した7例中1例(14.3%)に神経痛が残った. 一方, 対照群では11例中3例であった. また発熱などの副作用は全く認められなかったが, 1例のみに一過性の血中トランスアミナーゼ値の軽度の上昇がみられた.
    VZウイルスのCF抗体価の上昇の仕方をみると, PHNの残る症例では128倍以上の高値を示していた.
    今回は症例数も少なく, β-Interferonの併用効果についてはまだ明らかに有用という結論は出せないが, さらに検討する価値はあろう.
  • 小村 良, 青木 正則, 中田 将風
    1991 年 45 巻 9 号 p. 845-850
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1982年より1990年までの8年間に末梢性顔面神経麻痺204例に対して高気圧酸素療法を行い, その効果を検討した. 症例の内訳はベル麻痺185例, ハント症候群19例であった. 発症後2週以内に治療を開始した新鮮例の治癒率は, ベル麻痺82%, ハント症候群81%と高率で, 治癒までに要した日数の平均は, ベル麻痺28.3日, ハント症候群27.3日と短かった. また, 初診時の麻痺程度が軽いほど, 年齢が低いほど, 治療開始までの期間が短いほど治癒率は高かった. ベル麻痺陳旧例の治癒率は47%で, 前医の治療で回復しなかった症例に対しても有効であった. 本療法は, 特別な合併症はなく, 基礎疾患の有無や年齢にかかわらず安全に行うことができるため, 末梢性顔面神経麻痺に対してきわめてすぐれた治療法であるといえる.
  • 光藤 努, 高鳥 智仁, 土井 克史, 小川 雅巳, 佐藤 圭路, 大村 一郎, 宮崎 正夫
    1991 年 45 巻 9 号 p. 851-854
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    SMON患者の麻酔について従来全身麻酔を選択する傾向があるが, 当院で最近経験した7例の麻酔から, 術中循環動態の変化ならびに術後のSMON後遺症の変化から比較検討した.
    全身麻酔単独2例では, 術中高血圧をきたし降圧薬を必要とし, 硬膜外麻酔5例では血圧下降にてうち4例に昇圧薬を必要としたが, 硬膜外麻酔例の方が血圧のコントロールは容易であった. 硬膜外麻酔単独あるいは全身麻酔・硬膜外麻酔併用5例にてSMONの神経学的後遺症の悪化は認めずまた術後鎮痛に優れていることから, 硬膜外麻酔単独あるいは全身麻酔と硬膜外麻酔の併用はSMON患者の麻酔として有用であると考えられる.
  • ―ベンゾジアゼピン拮抗剤フルマゼニルの検討による―
    百瀬 隆
    1991 年 45 巻 9 号 p. 855-862
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    3種類のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム, フルニトラゼパム, ミダゾラム)とペンタゾシンを用いた所謂NLA変法による全身麻酔で手術を受けた123例(初期検討試験53例, 本試験70例)を対象に, フルマゼニルのベンゾジアゼピンに対する拮抗作用を検討した. また, 患者の覚醒の程度を的確に評価し得る評価基準の作成を試みた.
    その結果, フルマゼニルは, ベンゾジアゼピンとベンタゾシンを用いたNLA変法麻酔から覚醒にきわめて有用性の高い薬剤であることが確認された. また, 本試験で用いた評価基準は, 患者の覚醒状態を細かく正確にとらえられ, 覚醒状態を調べる上で好ましい基準であると考えられた.
  • 厚生省小児医療共同研究班
    1991 年 45 巻 9 号 p. 863-868
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胎児・新生児管理の向上を目的として, 標題にかかる研究が国立病院8施設で行われた. 妊娠維持機構では母子間免疫応答機構の関与が強く示唆された. すなわち反復流産妊婦では夫HLA抗原に対する特異的抗HLA抗体の産生に関し低応答性であり, これらの妊婦に夫リンパ球を接種することにより母体の免疫応答性が高められ, 妊娠維持例が高率に得られた. 臨床的に重要な母子間感染疾患の統計調査と自己免疫疾患の代表としてのSLE婦人の産科歴の解析が行われた. 単クローン抗体を用いてtrophoblastにおける特異抗原の存在が示された. 新生児領域では, 臍帯血と母体血の単球運動能およびIL-1濃度の比較検討が行われた. 新生児期における腸内細菌叢の形成過程が明らかにされた. 臍帯血細胞の培養により, ヒトの好塩基球と肥満細胞の起源と増殖形式には, 互いに隔たりのあることが示唆された.
  • 八ツ橋 輝海, 岸 真澄, 石井 敬基, 堀越 衛, 小笠原 弘二, 中嶋 雅彦, 喜多島 豊三
    1991 年 45 巻 9 号 p. 869-872
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胆石症のうち, 三管合流部に跨り結石が存在するものをConfluence stoneと言って, 区別しているが, 今回我々は同症例の1例を経験し, 手術的に治癒せしめえたので報告する.
    症例は66歳の女性で, 10年前より胆石症の診断を受け, 保存的治療を受けていたが, 今回, 上腹部痛と黄疸を発症して入院した. ERCP, CT, PTCDなどの検査で, 術前にConfluence stoneと診断し, 減黄を待って開腹術を施行した. 手術は, 高度に萎縮した胆嚢と三管合流部に径4cmのコレステリン結石を認め摘出後, 合流部の胆管欠損部はPatch graft法で形成しその下部胆管にTチューブを挿入して手術を終了した. 術後2週目にTチューブ造影を行い, 胆管の狭窄もなく, 流れも良好であることを確認後, 3週目にチェーブを抜去し, 術後37日目に軽快退院した.
    以上文献的考察を加え, 報告する.
  • 岸本 美也子, 窪田 伸三, 上野 尚彦, 寺本 忠久, 長尾 宗彦, 尤 芳才, 立岩 誠, 入江 一彦, 長田 裕, 奥村 修一, 北澤 ...
    1991 年 45 巻 9 号 p. 873-877
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は76歳, 女性で嚥下困難を自覚し来院した. 上部消化管造影にて食道上部から下垂するヘチマ様腫瘤を認めた. 内視鏡検査では門歯列より約20cmに表面平滑で先端に浅い潰瘍を有する有茎性の腫瘤を認め, 胸部CT検査では食道内腔に内部が不均一な充実性の腫瘍像が示された. 粘膜下腫瘍, 特に脂肪腫が疑われたが悪性化も否定できないため, 開腹食道抜去術を施行し腫瘍を摘出した. 病理組織検査より脂肪腫と診断された. 食道脂肪腫は非常にまれで, 本邦では未だ15例の報告をみるのみである.
  • 森田 稔, 平林 靖士, 石光 鐵三郎, 神野 健二, 和田 俊裕, 中西 曹輔, 新免 寛治, 森脇 昭介, 元井 信
    1991 年 45 巻 9 号 p. 878-884
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    表層拡大型の早期胃悪性リンパ腫の5例(男性2, 女性3)を報告した. この型の肉眼形態の特徴は, (1)不整形の浅い潰瘍, 瘢痕またはビランが連続性あるいは不連続性に拡がり, (2)潰瘍やその周辺に粗大な顆粒性隆起がcobble-stone様やbull's-eye sign様に存在し, (3)粘膜の色調が白色調に裾色し, 潰瘍面の白苔は乳白色を帯び, (4)病巣が広範囲におよぶ割に胃壁の伸展性がよい, ことが挙げられる. 腫瘤型, 巨大皺壁型や限局する潰瘍決潰型に比べ, RLHをはじめ鑑別すべき病変も多くあり, X線, 内視鏡および生検の面で診断の困難な部類に属する. 自験例でも, 初回における総合診断での確診例は2例で, 1例はビラン性胃炎を伴うIIc型早期癌とし, RLHとして数年以上の長期間経過を追ったのが2例あった.
  • 福田 充宏, 松下 公一, 岸口 稔睦, 久村 英嗣, 堀部 邦夫, 赤木 功人
    1991 年 45 巻 9 号 p. 885-888
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    頭蓋内悪性リンパ腫は近年明らかに増加している. 今回は自験8例についてその臨床像を検討した. 対象は男性4例, 女性4例, 平均年齢54歳であり, 以下にそれらをまとめた.
    1) 初発症状は片麻痺, 見当識障害, 脳圧亢進症状の順であった.
    2) 脳血管写では全例avascular massであった.
    3) CT上の病変部位は脳室系の近傍である傍脳室部, 脳正中構造がほとんどを占め, 4例でこれらの部位に多発した. 増強効果を認めなかった例と多形膠芽腫と鑑別が困難であった例以外は典型的なCT像を示した.
    4) 経過中, CT上病変が消失したにもかかわらずMRIにて異常所見を2例で認めた.
    5) 3例において初発部位と異なった部位に再燃を認めた.
    6) 全例にて一時寛解が得られたが, 肺合併症で4例死亡した.
    このようにMRIを含めた画像所見にてfollow upが可能であるが, 予後を決定する因子として肺合併症が重要であった.
  • ―MRI所見を中心に―
    福島 卓也, 松岡 陽治郎, 森川 実, 天本 祐平, 峯 豊
    1991 年 45 巻 9 号 p. 889-891
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    気管支閉鎖症の1例について, 従来の胸部X線写真・CTにMRIの所見を加えて報告した. MRIは本症の形態学的特徴を詳細に描出し, またT1強調豫で, mucoid impactionが高信号として描出されることなどから, 本症の診断に寄与するところは大きいと考えた.
  • 国重 英治, 伴野 佳代, 中平 誠一郎, 田原 留之助, 三木 茂裕
    1991 年 45 巻 9 号 p. 892-897
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は44歳女性, 発熱, 脱力感を主訴にて入院. 近位筋優位の筋力低下を認めた. 血液生化学検査にてCK, ALP, GOT, GPT, LDHなどの筋原性酵素の異常高値を認め, さらに筋電図, 筋生検所見より定型的多発性筋炎と診断した. 血清CK異常高値は, 電気泳動法, Sephadex-200を担体とした薄層ゲル濾過法と酵素免疫固定法により, MB分画とMM画の中間に認められた, IgAκ及びλと結合し高分子化した免疫グロブリン結合性マクロCKによるものと確認した. マクロCKは悪性疾患や遣伝性筋疾患などで報告され, なんらかの免疫異常が存在する可能性が示唆されている.
    今回, 我々の経験した症例は, 多発性筋炎の病勢改善とともにマクロCK値が低下した. すなわちマクロCKが筋炎の活動性を反映している可能性が強く, 病因との間連性が示唆されたが確認はできなかった.
    今後, 多発性筋炎の病因解明の一つの手段として, 同様の症例の蓄積が待たれる.
  • 吉川 秀人, 平山 義人, 黒川 徹, 宝道 定孝
    1991 年 45 巻 9 号 p. 898-902
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    急速に進行する心不全を呈し死亡した福山型先天性筋ジストロフィー症の剖検例を報告した. 患児は生後より低緊張, 顔面筋罹患, 多発性関節拘縮, 精神運動発達遅滞を認め8ヵ月時, 筋生検施行され福山型先天性筋ジストロフィー症と診断された. 15歳4ヵ月より呼吸困難, 乏尿, 浮腫などの心不全症状が出現し検査で著明な心拡大および駆出率低下が認められた. 5カ月後, 肺炎が誘因となり心不全のため死亡した. 剖検の結果, 著明な心肥大, 心筋変性および線維化が認められ右室に著明であった. 福山型における心不全死の報告例で, このように急速に進行し死亡した例はない. 本疾患において心不全死は無視できず, またその症状にも多様性があることが示唆された.
  • 中塚 逸央, 滝野 善夫
    1991 年 45 巻 9 号 p. 903-906
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胸部硬膜外麻酔における局所麻酔薬の必要量と年齢の関係について検討した. 対象は上腹部手術予定患者で年齢により70歳以上の高齢者群35人と50歳以下の非高齢者群34人に分けた. 胸椎7~10のいずれかの椎間より穿刺し2%メビバカインを高齢者群では3ml, 非高齢者群では6ml注入し, 薬液注入15分後にpinprick法によって麻酔範囲を調べた. 一脊髄分節の無痛を得るために必要な薬液量(ml/seg)を求め, 両群の身長に有意な差があったため, さらにこれを患者の身長(M)で補正した値(ml/seg/M)を算出し, これらについて両群を比較した. ml/segは高齢者群で0.57, 非高齢者群で1.01となり, ml/seg/Mは高齢者群で0.37, 非高齢者群では0.61であった. これらの値は両群間に有意差が認められた(p<0.01). このことより高齢者群では非高齢者群と比較して胸部硬膜外麻酔における局所麻酔薬必要量は少ないと考えられる
  • 岡本 圭生, 奥野 博, 福山 拓夫, 西脇 洸一, 糸山 光麿, 岡本 英一
    1991 年 45 巻 9 号 p. 907-910
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    陰茎癌は比較的まれな疾患であるが遠隔転移を有する場合の予後はきわめて不良とされる. 肺転移を有する再発陰茎癌に対し, methotorexate, bleomycin, cis-platinumによるneo-adjuvant chemotherapyののちに肺部分切除をおこなった症例について報告する. 症例は72歳男性で, 初診時に陰茎部分切除及び両側鼠径部にLinac(各25Gy)照射を受け, 4ヵ月後に局所再発及び肺転移にて再入院. 陰茎部分切断時の病理診断は中分化型扁平上皮癌であった. methotorexate, bleomycin, cis-platinumによる化学療法ののちに残存陰茎・尿道海綿体切除術および肺部分切除をおこない術後2年6ヵ月経過した現在も再発の兆候なく, 完全寛解を得ている.
  • 9. 心臓腫瘍
    岩瀬 正嗣
    1991 年 45 巻 9 号 p. 911-914
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 45 巻 9 号 p. 915-917
    発行日: 1991/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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