慢性非活動性肝炎10例, 慢性活動性肝炎27例, 肝硬変10例の合計47例を対象にして, 血清アポA
1値の肝線維化マーカーとしての有用性を検討した. 血清アポA
1値の平均値は肝硬変患者で最も低く, 肝障害の程度と逆相関の傾向を示した. また, 現在, 広く用いられている肝線維化マーカーである血清P III P, IVコラーゲン7S値との間に血清アポA
1値は有意な相関を示したが, 生化学的指標との関連では, これらのマーカーとは異なった特性を示した. 一方, 血清アポA
1値は, いずれも有意でないが, 血清アミノトランスフェラーゼ値, HAIスコアーのfibrosisと比較的高い逆相関の傾向を示した. これらの結果は, 血清アポA
1値が進行中の, さらに, 完成された肝のfibrosisを反映しているこどを示唆し, 肝線維化マーカーとして有用であると考えられた.
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