医療
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46 巻, 12 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • ―痴呆の有病率を中心に―
    大塚 俊男
    1992 年 46 巻 12 号 p. 951-957
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    わが国では, 老人人口の増加に伴って痴呆性老人が著しく増加してきている. その状況下で痴呆性老人の社会的対策を考える上では, その実態を明らかにすることが必要である. そこで1980年頃より各自治体を中心に, 広域の疫学調査が行われるようになってきた.
    これまで実施された信頼すべき調査結果をもとに痴呆性老人の有病率を求めると, 1985年の現在のわが国の65歳以上の在宅の痴呆性老人に占める割合は4.8%(男性4.4%, 女性5.1%)であり, 病院や施設に入院・入所中の痴呆性老人を含めると, 6.3%(男性5.8%, 女性6.7%)となる. これらの結果は, わが国の痴呆性老人の実態として厚生省より発表されている. 本論文では, わが国の痴呆性老人の疫学調査の方法, 性別, 年齢段階別の有病率, 原因疾患別の割合, 痴呆性老人の将来推計などについても述べてある.
  • ―抗生物質使用量との関連を中心に―
    小川 達次, 鳥海 良明, 高橋 喜久子, 佐藤 信悦, 浅黄 司
    1992 年 46 巻 12 号 p. 958-962
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1990年1月~1991年12月を6ヵ月毎にI~IV期に分割し, 抗生物質使用状況と院内MRSA感染症発生数の推移を検討した. 抗生物質はペニシリン系, セフェム系第1・2世代, 第3世代, 第4世代, 他のβ-ラクタム剤, アミノ配糖体, その他の抗生剤に分類した. 総使用量は1期と比較して, II期67%,III期68%, IV期59%と減少し, これと並行してMRSA感染症新患数もI期38例, II期20例, III期21例, IV期13例と減少した. 特に第3世代の減少は著しく, IV期ではI期の20%まで低下した. 第4世代もII期には大くきく落ち込んだが, III・IV期には増加に転じた. 一方, 「その他」の抗生剤は各期を通じて使用量は一定しており, 抗生物質全体に占める割合はI期22%からIV期には35%へと上昇した. III・IV期のMRSA感染症34例中, 11例が院外からの持ち込みと推測された. 患者転院に伴う医療施設間での情報交換がMRSA院内感染予防の今後の重要な課題と思われた.
  • 酒巻 建夫, 柏原 英彦, 横山 健郎, 三村 信英
    1992 年 46 巻 12 号 p. 963-968
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    腎移植希望透析患者群200名のPCR-SSO法によるHLA-DR, DQ抗原のDNAタイピングの結果, 対照群235名に比較してDR2抗原頻度が少なく, DR4抗原が多くなっていた. DR2のうちDRB 1*1501が有意に少なく, DR 4ではDRB 1*0405が有意に高くなっていた. DRB遺伝子とDQA 1, DQB 1遺伝子のハプロタイプ分析では44型が検出され, DR-DQ抗原の強い連鎖不平衡が認められたが, 透析患者群に特有な型は検出されなかった. 血清学的にDRタイピングを施行している現状ではドナーとレシピエントのDRB 1遺伝子レベル(HLA-D)がどのくらい適合するかを, 遺伝子レベル頻度をもと, に計算すると, 日本人ではDタイプの多型性のないDR 1, DR 7, DR 9, DR 10, DR 11は100%適合が期待できるが, DR 2 (DRB1*1501, 1502, 1602それぞれの和)では51%, DR 4では41%, DR 8では51%, DR 12では48%, DR 13では90%, そしてDR 14では22%であった.
  • 軍司 祥雄, 柏原 英彦, 坂本 薫, 蜂巣 忠, 植松 武史, 香村 衡一, 山田 研一, 酒巻 建夫, 横山 健郎, 浅野 武秀, 有田 ...
    1992 年 46 巻 12 号 p. 969-976
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    死体腎移植74症例について術後の急性尿細管壊死(ATN)の発現について検討を行った. 腎臓摘出の際に腎の灌流を点滴法で行った14例では無機能腎が3例, ATNの発現も11例に見られた. マシン法で行った60例のうち, 11例にATNの発現がなく利尿がみられ, ATNは42例, 無機能腎は7例であった. 移植後ATNのない11例の温阻血時間は25分以内の症例に見られ, ATNとなると, 6から10回の血液透析を要する症例が多かった. 血液透析の回数が少ないほど腎機能の回復はよい傾向が見られた. 移植腎の生着率はATNのない症例の方がよかった. 腎移植後めATNの発現を抑制する必要があり新しい灌流保存液(UW, CMH液)を用いた症例を呈示する.
  • 第1報 Duchenne型筋ジストロフィー症における白血球内タウリン濃度
    福田 清貴, 石瓶 紘一, 亀尾 等
    1992 年 46 巻 12 号 p. 977-979
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Duchenne型筋ジストロフィー症患者の血漿, リンパ球, 顆粒球におけるタウリン濃度の測定を行い健康人と比較検討した. 血漿中濃度に差は認められなかったが, リンパ球及び顆粒球内では, DMD患者においてタウリン濃度の低下が認められた.
  • 竹崎 英一, 伊藤 公訓, 佐藤 理, 村上 信三, 香川 和徳, 大森 仁也
    1992 年 46 巻 12 号 p. 980-984
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    慢性非活動性肝炎10例, 慢性活動性肝炎27例, 肝硬変10例の合計47例を対象にして, 血清アポA1値の肝線維化マーカーとしての有用性を検討した. 血清アポA1値の平均値は肝硬変患者で最も低く, 肝障害の程度と逆相関の傾向を示した. また, 現在, 広く用いられている肝線維化マーカーである血清P III P, IVコラーゲン7S値との間に血清アポA1値は有意な相関を示したが, 生化学的指標との関連では, これらのマーカーとは異なった特性を示した. 一方, 血清アポA1値は, いずれも有意でないが, 血清アミノトランスフェラーゼ値, HAIスコアーのfibrosisと比較的高い逆相関の傾向を示した. これらの結果は, 血清アポA1値が進行中の, さらに, 完成された肝のfibrosisを反映しているこどを示唆し, 肝線維化マーカーとして有用であると考えられた.
  • 曽根 美智子, 岩井 艶子, 長町 典夫, 香川 和三, 古川 正強, 濱田 嘉徳
    1992 年 46 巻 12 号 p. 985-989
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    妊娠5週から21週までの自然流産より得られた絨毛を用いて, 自然流産と染色体異常との関連を検索するとともに, 絨毛による胎児診断の基礎的検討を試みた. 染色体分析は長期培養法を用い, G, Q分染法により分析した. 61例中34例(55.7%)に染色体異常を認め, その内訳は常染色体トリソミーが19例(55.9%), 倍数体6例(17.6%), 構造異常5例(14.7%), およびXモノソミー4例(11.8%)であった.
    長期培養法による絨毛の染色体分析において, 診断上の誤りの多くは母体細胞の混入により生じる. 誤りを防ぐ方法としてY染色質検索, in situ法, 組織学的検索を行なった. このうち組織学的検索を染色体異常の判定基準とすることはできなかったが, Y染色質検索, in situ法は診断上の誤りを最小限にするために有用であった.
  • 小竹 武, 小森 勝也, 関山 常久, 中野 為夫
    1992 年 46 巻 12 号 p. 990-994
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    10例の急性心筋梗塞患者においてLidocaine持続点滴中の血漿中Lidocaine濃度, α1-acid glycoprotein濃度をそれぞれFPIA法ならびにSRID法で測定した. LidocaineならびにAAG濃度はLid6caine clearanceめ低下, 血漿中の薬物のタンパク結合の変化に伴い, すべての症例で上昇傾向を示した. Lidocaine clearanceをFisherのt-検定で分析したとこち3hr値(0.553ml/hr/kg)と48hr値(0.356ml/hr/kg)を比較してP<0.1で有意差を認めた. AAG濃度とLidocaine濃度は相関係数0.796で相関関係が得られた. 心不全を有する5名のAAG濃度の上昇率は他の症例に比して高く, 回帰式の傾きをt-検定で域較するとP<0.05で有意差が認められた. Lidocaine clearanceが持続点滴時間とAAG濃座に依存しているとして, ベイジァン設定プログラムをCp=D/(α・weight-β・AA-γ・t)の式で定義した. Lidocaine点滴投与量の設定は次の平均的な式, 心不全群はD=CP・(0.439 wt-0.184 T-0.0294 AAG), そうでない群はD=CP・(0,935 wt-0.445 T-0.214 AAG)で規定された.
  • 西野 聡, 安田 成雄, 松下 捷彦, 岩田 仁
    1992 年 46 巻 12 号 p. 995-999
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肝内門脈肝静脈短絡を合併したルポイド肝炎の1剖検例を報告する. 症例は85歳の女性, 輸血歴・外傷歴なし. 5年前に自己免疫性肝炎と診断されたがステロイド療法は受けなかった. 肝硬変が疑われ, 肝精査を目的に入院した. 抗核抗体・抗DNA抗体・LE細胞現象が陽性で, 超音波検査にて肝左葉に多房性の嚢胞性病変を認めた. 門脈左枝からの流入血管・左肝静脈への流出血管とパルスドップラー法にて病変内部の血流を確認し, 肝内門脈肝静脈短絡と診断した. 剖検にて短絡部には筋層と弾性線維層が存在し, 内皮細胞も確認された. 周囲の血管には血栓や搬痕の形成は認められなかったが, 肝実質にはルポイド肝炎による乙型肝硬変が証明された. 短絡部の病理組織学的検討からは先天性と考えられたが, その臨床経過からは後天性の可能性も完全には否定しきれなかった.
  • 高橋 直典, 今村 幹雄, 国井 康男
    1992 年 46 巻 12 号 p. 1000-1003
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肛囲Paget病に肛門直腸癌の多発性肝転移を伴った症例に対してAngiotensin-IIによる昇圧癌化学療法を施行した. 66歳, 女性. 肛門部痛および排便時出血あり. 入院時, 肛門ポリープおよび肛門周囲の湿疹様病変あり, 血清CEA, CA 19-9, CA 125値の上昇を認めた. 超音波およびCT検査にて肝臓に多発性腫瘍陰影を確認. 肛門病変の生検にて乳房外Paget病と診断され, 肛門ポリープの上皮下に低分化型腺癌を確認した. 肝生検でも印環細胞型の低分化腺癌と診断された. 切除不能と判断し, 昇圧癌化学療法を施行. MMC (10mg/body day 1), 5-FU (250mg/body day 1~5, 10~14), CDDP (100mg/body day 10)を4週間毎に投与す. 2クール終了後, 血清CEA値下降, 病変部の縮小, 症状の改善がみられた. 退院し, 外来通院して治療を続けたが, 診断より1年後肝不全にて死亡した.
  • 高里 良男, 長島 悟郎, 浅野 務, 林 弘幸
    1992 年 46 巻 12 号 p. 1004-1008
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    高血圧の既往のある61歳男性で左側尾状核頭部と内包膝部にlacunar infarctionを伴い右急性片舞踏病で発症し, 慢性にその症状の継続した高度左内頸動脈狭窄症の患者で浅側頭動脈―中大脳動脈(STA-MCA)吻合術を施行した症例を報告する. 術後比較的早期に症状は軽快傾向となり消失し, その後現在まで4年間無症状である. 術前後の検査所見を比べると, 血管撮影による吻合血管のpatencyは良好で, 脳血流測定では患側大脳半球を中心に広範囲に低下していた脳血流の改善と分布変化があった. 急性片舞踏病が尾状核などの梗塞で起こることは知られているが, その機序は被殻, 尾状核, 淡蒼球, 視床, 視床下核, 大脳皮質などをそれぞれ連結している興奮および抑制系の調節の乱れによると考えられている. 今症例では血管吻合を境に症状消失したことより, 脳血流の改善・変化に伴いこの不随意運動の調節系がコントロールされたと考えられた.
  • 西村 正明, 西村 悟子
    1992 年 46 巻 12 号 p. 1009-1011
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    現在7歳のAlexander病の非典型例と考られた1例を報告した. 生後9ヵ月にて巨頭と筋緊張低下を指摘され精査, その後進行するCT上の前頭部優位の白質低吸収域と前頭部優位の脳波上の徐波がみられ, 本症と考えられた. ABRでは1~5波間潜時の延長がみられ, 髄鞘の異常を示すと考えられた. いわゆる大頭症のCT所見上このような病初期のわずかな低吸収域にも注意が必要と考えられた.
  • 北尾 武, 小澤 眞二, 伊藤 高明, 中崎 重明
    1992 年 46 巻 12 号 p. 1012-1015
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    平成3年度に当院に入院した90歳以上の患者20名の病態および死因に関して検討した.
    1)90歳以上の患者は平成3年度中の新入院患者の4.6%をしめる.
    2)悪性腫瘍と呼吸器疾患が入院時の疾患としては多かった.
    3)死亡例は6例で悪性腫瘍3例, 肺感染症2例, 窒息死1例であった.
    4)すべての患者に肥満はなく, 痩せ傾向にあるが, アルブミンは正常域で, コレステロールも低く血糖値も高くない.
    5)病気に対する治癒退院への期待があり, 退院への家族の受け入れも良い.
    6)寝たきり, 痴呆の程度は70歳台, 80歳台の患者より少ない.
  • 武田 武夫, 中舘 尚也, 畑江 芳郎, 飯塚 進
    1992 年 46 巻 12 号 p. 1016-1019
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    種々の治療に抵抗性であった7例のchr ITPに加味帰脾湯を投与しその効果をみた. 対象の年齢は4歳から19歳, 中央値は9歳であった. 性別では男児4名, 女児3名で脱落例1例を除く6例のうち2例に著効をみた(33.3%), 副作用と思われるものはみられなかった. 著効例ではその効果は10~14週で現れ始めていた. また22週で立ち上がりをみせた1例では, あるいはこのまま継続していたら効果があったのかも知れない.
    PAIgGと血小板数の関係では, PAIgGの値が180以下では血小板数もほぼ2×104/mm3を越えていた. 難治性のchr ITPでは一度試みてもよいものと考えられた.
  • 12. 早期食道癌の内視鏡診断
    山口 肇, 小黒 八七郎
    1992 年 46 巻 12 号 p. 1020-1023
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 46 巻 12 号 p. 1024a-1026
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 46 巻 12 号 p. 1024
    発行日: 1992/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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