医療
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46 巻, 4 号
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  • 矢野 三郎
    1992 年 46 巻 4 号 p. 241-245
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    甘草は二千数百年前から東洋においても西洋においても広く用いられている生薬である. 甘味があるので各種の食品にも広範囲に含まれている. 1946年, この甘草に副腎皮質ホルモン様作用のあることが明らかになり, その作用機序について研究が進められてきた. 有効成分, グリチルリチンによるステロイド代謝阻害説やレセプター結合説が唱えられていたが, 最近, グリチルレチン酸による11β-hydroxy-steroiddehydrogenase阻害が明らかにされた. 私どもはグリチルリチン投与に基づく偽アルドステロン症患者に布いて血中に3-モノグルクロニル・グリチルレチン酸という新抱合体を発見したが, これも同酵素を阻害することを明らかにした.
  • 山口 博一郎, 馬場 尚道, 草場 英介, 松尾 和彦, 永尾 修二, 岩松 みよ子, 中田 俊則, 松岡 陽治郎, 森川 実
    1992 年 46 巻 4 号 p. 246-251
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    過去8年間の胸部外傷142例について検討した. 年齢は3歳から81(平均41.6歳)で, 男性が106例, 女性が36例(男女比2.9:1)であった. 鈍的外傷は136例, 鋭的外傷は7例(1例は重複)であり, 胸部単独外傷は75例(52.8%), 胸部以外を含む多発外傷は67例(47.2%)であった. 大部分の症例を保存的に治療し, フレイルチェスト6例を含む27例に人工呼吸管理を行った. 手術例は6例(4.2%)であった. 気道出血のコントロールが困難であった肺挫傷の1例に気管支動脈塞栓術を施行し, 良好な止血効果を得た. 死亡例は19例(13.4%)で, うち16例は在院期間16.4±4.7時間(M±SD)の早期死亡であった. 死亡例中胸部外傷が直接死因と考えられたのは5例(3.5%)であった. 胸部外傷が関連した死亡率(13.4%)は, 同時期の全外傷死亡率(5.7%)に比し高率であり, 今後一層迅速な診断, 処置により救命率の向上に努める必要がある.
  • 藤本 和久, 玉城 廣保
    1992 年 46 巻 4 号 p. 252-257
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立名古屋病院歯科・口腔外科を受診し, 病理組織診断を行い, 口腔粘膜扁平苔癬と診断された32症例について, 臨床統計的観察を行い, 以下の結果を得た.
    (1)性別は, 男性18例, 女性114例であり, 年齢は, 19歳から76歳にわたり, 60歳代に最も多く, 次いで, 50歳代, 30歳代, 40歳代の順であり, 特に, 60歳代と30歳代の男性に多く認められた.
    (2)病悩期間は, 6カ月以内が最も多く, 次いで, 6カ月~1年, 5年以上などの順であった.
    (3)自覚症状は, 違和感, 刺激痛, ビラン形成, 粗感, 灼熱感などの順であった.
    (4)発症部位は, 頬粘膜が最も多く, 次いで, 歯肉~歯肉頬移行部, 舌, 口唇の順であった.
    (5)病理組織学的特徴は錯角化は84.4%, 上皮突起の鋸歯状延長が31.3%, 基底細胞層の液性皮性が81.3%, 基底膜の部分的消失が90.6%, 粘膜固有層上部の帯状のリンパ球浸潤は100%にそれぞれ認められた.
  • 小長谷 正明, 小長谷 陽子, 本田 仁, 米山 栄, 酒井 素子, 飯田 光男, 松岡 幸彦
    1992 年 46 巻 4 号 p. 258-262
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    筋ジストロフィー(PMD)などの神経筋疾患109例で, 血清心室筋ミオシン軽鎖-I(MLC-I)を測定した. 心室筋MLC-Iは骨格筋のうちの赤筋にも存在している. 血清MLC-IはDuchenne型PMD(DMD)とBecker型PMD(BMD)の多数例で上昇しており, 障害度の進行とともに低下し, 年齢とは有意な隼の指数関数に回帰した. DMD末期例では検出不能のものが多く, DMDとBMDでは, 血清MLC-Iは血清CK値と有意な正の相関を示した. 先天型PMD, 顔面肩甲上腕ジストロフィーでは血清MLC-Iの上昇はみられなかった. 肢帯型PMD, 筋緊張性ジストロフィーでは少数例で軽度の上昇がみられた. 神経原性筋萎縮疾患でも血清MLC-I値の上昇が観察された. 本測定系においては全骨格筋ミオシン軽鎖との交叉性が17.6%であることを考慮すると, 心筋よりは骨格筋の障害をより多く反映していると考えられた.
  • 武田 武夫, 中舘 尚也, 飯塚 進, 畑江 芳郎
    1992 年 46 巻 4 号 p. 263-267
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1972年1月より1987年12月までの期間に当科を初診した小児ALLのうちで, CNSが初回再発部位であった15例(男10例, 女5例, 年齢0~12歳, 中央値5.5歳)について再寛解導入時に全身への強化療法を併用しその効果をみた. 併用群では再々発までの期間が長くなっていたが統計的には有為差をみるほどではなく, 今回の治療がまだ不十分であることを思わせた. ただ再寛解後に骨髄移植をうけた群はすべて完全寛解を続けており, 今後の経過観察と検討を必要とするものと考えられた.
  • 岡田 弘, 重本 道香, 直木 正雄, 露木 茂, 西脇 洸一, 荻野 篤彦, 岡本 英一
    1992 年 46 巻 4 号 p. 268-272
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は44歳の男性で平成元年3月より慢性骨髄性白血病の治療を受けていた. 平成3年3月18日失血性シヨックの状態で入院した. 内視鏡検査にて十二指腸潰瘍を認め, 3月20日広範囲胃切除術, および摘脾術をした. 術前, 術中および術後に新鮮, 濃厚赤血球と濃厚血小板の輸血をした. 手術後5日目より頑固な血性下痢が始まり, 39℃以上の高熱が続いた. さらに9日目からは全身にびまん性の紅斑が認められ, 12日目からは肝機能が増悪して黄疸も顕著となった. また白血球数もこの頃には急激に低下した. Cyclophosphsmide, Solu-Medrolの投与をしたが無効で, 患者は多臓器不全で術後21日目の4月10日に死亡した. 死亡前に行った皮膚生検ではgraft-versus-hostdisease(GVHD)に合致する所見がえられた. 剖検で骨髄は低形成で各種臓器に白血病細胞の浸潤は認められなかった. 今後, 輸血にさいしては, 血液製剤の放射線照射など, GVHDの防止に留意する必要がある.
  • 影山 洋, 篠崎 尚哉, 小松 崎修
    1992 年 46 巻 4 号 p. 273-276
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    利尿剤による低ナトリウム血症の1例を報告する. 症例は65歳の男性, 高血圧で約1ヵ月半前より利尿剤(trichlormethiazide 2mg/day)の投与を受けていた. 入院約2週間前に数回の意識消失発作があり, さらに全身倦怠感と食欲不振が出現したため来院, 血清ナトリウム(Na)が118mEq/lであったため入院となった. 入院後, 利尿剤の中止と水分制限により血清Naは正常化した. 入院時低Na血症, 低浸透圧血症にもかかわらず尿浸透圧は高値で, 血漿抗利尿ホルモン(ADH)は正常値を示した. Trichlormethiazideの再投与により低Na血症がみられたが, このときも血漿ADHは正常で, 尿浸透圧は血清より高値であった. 利尿剤の投与中には低Na血症がみられる可能性かあることを念頭におく必要があると思われた.
  • 西野 聡, 安田 成雄, 松葉 利恵子, 吉田 勉, 林 隆夫, 松下 捷彦
    1992 年 46 巻 4 号 p. 277-280
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胸郭成形術後44年目に発症した結核性胸壁瘻の1例を経験した. 症例は66歳の男性で44年前に肺結核にて右胸郭成形術を受けた既往がある. 右腋窩部の無痛性腫瘤と難治性瘻孔を主訴に1990年4月23日に入院となった. 瘻孔からの分泌物より結核菌が証明され, 瘻孔造影にて瘻孔は腫大した右腋窩リンパ節に通じていたが胸腔内とは無関係であった. 右腋窩リンパ節生検にて乾酪壊死を伴った類上皮細胞の浸潤を認めた. 腋窩リンパ節結核による流注膿瘍が自潰して胸壁瘻を形成したものと診断し, streptomycin, isoniazid, rifampicinの3者併用による化学療法を開始した. 加療6ヵ月目には瘻孔の閉鎖と腋窩リンパ節の縮小, 硬化を認めた.
  • 小畑 司, 菅原 好孝, 梶田 哲, 旱乙女 和幸, 中野 裕章, 谷内 純一
    1992 年 46 巻 4 号 p. 281-287
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    今回, 我々は潰瘍性皮膚から非定型抗酸菌のM. chelonei subspecies cheloneiによる症例を報告する. 菌株は下肢潰瘍から28℃培養温度のみから分離でき, DNA hybrizationによって同定できたが, その性状は日本結核病理学会結核菌分類委員会試案と若干の相違がみられた. 試験管内検査においてTH以外全ての抗結核菌薬に耐性であり, アミノグリコシッド系に感受性を示した. Gm外用療法と抗結核菌薬, MNC併用によって治癒した.
  • 北村 賢司, 神谷 齊, 内田 幸憲, 庵原 俊昭
    1992 年 46 巻 4 号 p. 288-291
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立療養所三重病院では昭和51年に急性病棟が開設され, 以後15年間三重県, 特に所在地津市を中心とした地域の小児二次救急センターとして役割を果たしてきている. 入院患者数は昭和52年は363人であったが, 昭和56年には745人となり, 昭和63年9月小児二次救急の体制を建て直した後増加し平成2年には1139人となった. 紹介入院患者数, 時間外入院患者数も昭和63年9月体制を建て直した後増加し, 平成2年にはそれぞれ503人(44%), 455人(40%)となった. 平成2年の入院患者の住所は病院所在地津市が一番多く37%を占め, 半径20km以内の地域で85%を占めており, 時間外入院患者の住所も同様に20km以内が88%を占めていた. 開放型病院(オープンシステム)が平成3年11月1日より認可され, 三重県下で初めてのオープンシステムの病院として稼働が可能となり, 病診連係体制をさらに強化して, 国立療養所としての役割を果たしてゆきたい.
  • 4. 直腸癌の超音波内視鏡診断
    赤須 孝之, 北條 慶一
    1992 年 46 巻 4 号 p. 292-296
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 46 巻 4 号 p. 297-298
    発行日: 1992/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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