国立名古屋病院歯科・口腔外科を受診し, 病理組織診断を行い, 口腔粘膜扁平苔癬と診断された32症例について, 臨床統計的観察を行い, 以下の結果を得た.
(1)性別は, 男性18例, 女性114例であり, 年齢は, 19歳から76歳にわたり, 60歳代に最も多く, 次いで, 50歳代, 30歳代, 40歳代の順であり, 特に, 60歳代と30歳代の男性に多く認められた.
(2)病悩期間は, 6カ月以内が最も多く, 次いで, 6カ月~1年, 5年以上などの順であった.
(3)自覚症状は, 違和感, 刺激痛, ビラン形成, 粗感, 灼熱感などの順であった.
(4)発症部位は, 頬粘膜が最も多く, 次いで, 歯肉~歯肉頬移行部, 舌, 口唇の順であった.
(5)病理組織学的特徴は錯角化は84.4%, 上皮突起の鋸歯状延長が31.3%, 基底細胞層の液性皮性が81.3%, 基底膜の部分的消失が90.6%, 粘膜固有層上部の帯状のリンパ球浸潤は100%にそれぞれ認められた.
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